効果が似るのは別に構いませんが、名前を出すのがあんまり... っていう僕の意見なので、出して欲しい等を言っていただければ極力出します。
ぐにゃり、ぐにゃりと視界がうねる。それはまるで、体の形が無くなるような、自分と言う存在を書き換えられているような不愉快な感じだった。
しかし、どうしてかこれは必要なことだと脳が理解しなくても心が理解して、抵抗をしなかった。
やがて、俺はバラバラと粉々になるような錯覚を覚えたが、それも一瞬。直ぐに再構成されていくかのようにもとに戻った。
否、もとに戻ったと言うより、なにか違う器に入れ換えられたような変な感覚だった。
それと同時に、俺の中にナニかが入ってくるような感覚がして、その苦しさに思わず身悶えする──行動を頭の中で繰り広げた。
そして終わったのか、俺の全てが収縮するように視界がクリアになっていき、うねっていた背景も元に戻った。
だが、まだ見えない。周りは黒、黒一色。明るいようで暗い、変な風景が目先に広がっていてそこはまだ異世界ではないと証明するかのようだった。
「ここ... は?」
辛うじて声が出た。それはか細く女の子のような声だったが、この状況では致し方ないと思う。
返答はない。恐らく、この空間には何者も存在していないのだろう。
この空間は恐らく、生と死... 有と無の間の境界線のような所なのだろう。それに神でも侵入出来ないほど危険な場所でもある。
しかしなぜ、俺はここにいるのか。それは転生しているからだ。優しい神による俺のための転生。誰もが願い、求める究極のファンタジーな転生。
転生とはこれ程までに大変なことなのだろうか。死を越え、生を越え、世界を歩きわたる。えげつないほどの時間と労力を消費する作業だろう。
やはりあの神は神だった。
光が見えてきた。それは、トンネルを抜けるときのような小さな光。段々と大きくなってきて、抜けると入る前と全く違う景色が見える。それと同じような光だった。
光の先はやはり暗いところに目が慣れてしまっていたのか見えない。
光は俺の方へと近づいてきて、直ぐに俺を包み込んだ。その時、何処からかカチッとまるで、世界に俺の肉体、魂を固定するかのような音がなった。
「うっ... 眩しぃ」
目が慣れるまで、腕で目を軽く塞ぐ。すると、目が慣れてきたので、腕を退かす。
「お... おぉっ!!?すっげーーっ!まじ?マジで異世界だぁ!」
腕をどかして見えた景色は──たくさんの浮き島が浮く、広大な大地だった。
「すげー!すげーよ!ドラゴンとかいるのかな!?なぁ!?」
俺は興奮のあまり、大声で凄いを連発する。そしてお約束通りのドラゴンがいるのかと思い、辺りを見渡すが、そこには生物の気配すらなく、寧ろ最初に見た場所以外は全て木々に囲まれて何も見えなかった。
えぇーー!?と心のなかで嘆くが、実際ドラゴンに出会ってしまったら元も子もないので、これでいいのだきっと。ロマンはないが... 。
「うーん... 何でこっちだけは木が生えてないの?」
最初に見えた場所に木が生えてないことに疑問をもった俺は、傾斜になっているから地面が見えないのだと思って、地面を覗き込んでしまった。
「う、うおぉぁつ!?」
下を見て0.1秒... 俺は目の前に広がった光景を瞬時に理解し、情けない声を上げながら数歩後ずさった。それほど見えた光景が衝撃的だったのだ。
実際、何が見えたのかというと崖。崖よりも怖い崖だった。何を言っているのかよくわからないだろうがまさに崖だった。しかも地面が霞んで見えないくらいの。
始めに気付くべきだった。なぜ前を向いているはずなのに、浮島と思われる物が見えるのか、なぜ地面を広大な大地などと表現したのか。
そんなの決まってる
「ここ、浮島じゃないですかぁぁあ!!?」
正解。
ここはある密集している浮島のなかの、ちょっとした孤島サイズの島である。ラピュタはここにあったのか。もしかしたらここには飛行石が大量に眠っているのかも。
「ちょっ、どうするんですか神様!?これもう詰みですよ!つ・み!!」
俺は居もしない神に向かって吠えるように叫ぶ。だが、やはりと言うべきか虚しくこの大空に響くだけだった。同時に俺の心まで虚しくなっただけだった。
「これから俺... 死ぬのかな?」
さっきの事故で覚えた恐怖が、また甦ってきたような感じになってしまった。だってそうだろう?どういう原理で浮いているのか知らない島に、現在進行形でどうすることも出来ないちっぽけな人間がいるんですから。そりゃたまったもんじゃないですよ。
「あぁ... ほんとにどおしよぉ... 」
転生していきなり、足止めをくらう俺だった。
誤字、脱字等があればよろしくお願いします。