異世界でポーション屋を開こう!   作:緒兎

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 やっはろー皆さん。マリオンだよ?もう暑くなりはじめているこの季節、マリオンさんは風邪を引いちゃいました!鼻がむずむずしてしんどい...。

 おっとそれよりも、ネタバレになりますが一応言っておきますね。鏡を覗くところが出てくるんですが飽くまで主人公は目しか見てないのでそこのところよろしくお願いします。主人公が自分の顔を見ちゃったら面白く無いもんねっ!


久し振りの説教

 「何処行ってたんだい!!」

 

 「ひぅっ」

 

 おっさんヤンキー...メージスに送られ、マダムがご迷惑をおかけしましたとお礼をいって見送ると、家の中に連れられ早々に起こられた。

 

 「ちょっと図書館に...」

 

 「図書館?こんな時間かかるのかい!」

 

 「うっ...」

 

 質問に答えた俺だが、痛いところをマダムは付いてくる。確かに、図書館に行ったくらいで深夜に帰ってくるなどありえない。もしそんなことを言うやつがいれば間違いなく疑う自信がある。

 

 ぐぅの音も出ない俺を、マダムは鬼の形相で見つめる。

 

 「どれだけ私が心配したか、わかってるのかい!」

 

 「ひぐっ...ごめ...なさい!」

 

 マダムに怒られて、涙が零れる。怒られるなんて久し振りだけど、こんなに怖かったなんて...!ヤバイ、本格的に泣きそう。俺だって、直ぐに帰るつもりでいたのに...そんな言い訳のような言葉が頭に浮かんでは自分で否定する。道もわからないのに図書館などに行った自分の責任だと。

 

 反省の気持ちを漂わせている俺に、マダムはふっと優しい顔になった。安心したような、嬉しいような...本物のお母さんのような顔。俺は耐えられずにマダムの胸へと飛び込んだ。

 

 「ごめんなざいぃ!ひっぐ...迷っ、ちゃって...それで、それでぇ...うわぁぁぁんっ」

 

 「そうか、そうか...戻ってきてくれて良かった」

 

 「めい、わくかけて...ごめんなざい...えぐっ」

 

 「迷惑なんて思ってないから。ただ、心配しただけさ。心配で心配で胸が張り裂けそうだったんだよ。」

 

 大声で泣く俺を子をあやすようにトントンと背中を軽く叩き、頭を撫でてくれるマダムも、うっすらと涙を目に溜め、どれだけ心配していたのかを物語っていた。俺だって、自分の娘がそうなればこうだっただろう。子を持つとその事が理解できるはずなのに、俺は...俺は。いい歳こいてなに迷ってんだよ!いい歳こいてなに人様に迷惑かけてるんだよ!いい歳こいてなに心配かけてるんだよ!

 

 溢れる涙を止めることの出来るものはこの場にはいない。俺は後悔と自分への失望とマダムの優しさに泣き止むことが出来なかった。

 

 「よかった...戻ってきてくれて良かった」

 

 マダムのその言葉が、繰返し俺の心に染み渡るのであった。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 あれから幾分たっただろうか?気づけば俺はベッドへと寝かされていた。

 

 「いたっ...」

 

 重たい瞼を擦って眠気を飛ばそうと瞼に触れると、突然の痛みに襲われた。

 

 なんだろうかと部屋にある鏡へ近づき、自分の()を見てみる。目を開ける際、目が何かに遮られているかのように開けにくかったので、恐らくは目が腫れているんだと思う。

 鏡を覗くと、予想通りと目の回りが赤くなって腫れていた。昨日の泣きすぎが原因だと直ぐにわかった。今でも昨日を思い出すと泣きそうになるが、今の状態でも酷いのに更にひどくなってしまうとなんとか堪えた。

 

 「うぅ...目がこんなんじゃ外に出れないよ」

 

 何時も通り寝起きは声が高いようで幼げの残る...というよりは幼い声だ。

 ちょっと昨日のことや今現在も泣きそうな事もあってかしゃべり方や仕草までもが子供っぽくなっているが、涙を堪えるのに精一杯で気にしてはいられない。

 

 俺は一先ず部屋を出てマダムがいるであろう雑貨屋の一階へと向かった。すると、マダムともう一人おじさんがいた。

 

 「夢美、おはよう」

 

 「お、おはよう」

 

 マダムが俺に気づき挨拶をしてきたので俺も挨拶を返す。マダムは俺の目を見るとクスッと微笑んでいた。やっぱり酷い目だよね...。

 

 俺のことが気になるのかおじさんがチラチラと此方を伺っていた。

 

 「こんな可愛い子この店にいたかね?」

 

 「んや、最近私の娘になった子さ」

 

 「あぁ、なるほど」

 

 マダムから話を聞いたおじさんは、何処か哀れみのこもった目で見てきた。え、いや...俺そんな可哀想な出来事があって来たわけじゃないからね?孤児とかそんなんじゃないからね?ただ身寄りがなかっただけで...あれ?充分可哀想な気がする。ま、まぁ実際悲しいことが起こって来たわけだからあながち間違ってはいないかな...?

 

 「夢美、昨日は疲れただろうから今日は休みな」

 

 「え?で、でも昨日は迷惑かけちゃったし...」

 

 「だから迷惑じゃないって、だからほらあんまり寝てないんだからもう一回寝ておいで」

 

 マダムに言われて確かにまだ眠いと気づく。昨日帰ってきたのが恐らくは深夜の2時頃。そして今は窓から見える太陽からして午前7時だろうか?5時間しか寝てないので眠いのも当然か。少しでも昨日の失態の埋め合わせをしたい気分になるが、ここは素直にマダムの言うことを聞くことにする。

 

 「じゃあお休みなさい」

 

 「あぁ、おやすみ」

 

 俺は階段を上り自室へと戻ってベッドに寝転がる。すると待ってましたとでもいうかのように眠気が襲ってきた。やっぱり眠って正解だったと思いながら、俺はその思い瞼を閉じた。

 

 その日、俺は夢を見た。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

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