異世界でポーション屋を開こう!   作:緒兎

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 やっはろー皆さん。やっとグラボが届いてヒャッハーしてるマリオンです。

 皆さんは最近何かいいことがありましたか?良いことがあれば気分が上がるし運も上がりますよね。いいことがあった後に運が関係する何かをやればいいかも...?


3kmは決して近くない

 「そういえば嬢ちゃん何歳なんだ?」

 

 「ふぇ?」

 

 結局男に肩車される形となって送られている道中に、いきなりそんなことを聞いてきた。俺って幾つに見えるんだろうか?実際の年齢は一応23なんだけど、嬢ちゃん嬢ちゃんって明らかに10代に見られてるよね?別に若く見られるのはいいんだけど、嬢ちゃんは止めて欲しいものだよ。

 

 「23」

 

 「へ?あ、あぁ13ね。思ったより上だったな」

 

 「はい?」

 

 「いやー、俺はてっきり10歳かと思ったんだがもう嬢ちゃんじゃねー歳だなそりゃ。ははははっ」

 

 見た目通り豪快に笑うのではなく普通の青年のように笑う男。俺に配慮してそうなのか元々なのかわからない。

 

 って、聞き間違いしたうえになんだよその予想年齢は!!?明らかに低すぎるだろ!!なんだ?この世界の10歳ってそんなに大きいのか!?んな分けねーだろ!

 

 俺はおっさんの髪の毛を毟かのように引っ張る。

 

 「いで、いででで!じょ、冗談だから止めろっ」

 

 俺から逃れるように体をそらしながら慌てて訂正する。なんだ冗談か。はぁ~、驚かせんなよな~。全く冗談なら冗談って初めから言ってくれればいいのに!

 

 「ふんっ」

 

 「いてて...ただ年齢聞いただけでここまでなるかよ普通...」

 

 「自業自得」

 

 「うぐっ」

 

 プイッと顔を背けて怒ってますよアピールをしながら止めの言葉をいい放つ。まぁ、顔を背けても男からは見えないんだけどね。

 

 それにしても男の背が結構高いからか、町を歩いている人を上から見ることが出来る。犬耳猫耳狼耳様々な形の耳が見える。いや、耳しか見てないことはないけどどうしても目が耳にいってしまうんだよ。ぴょこぴょこと揺れる耳がなんとも俺の目を呼び寄せるんだよなぁ...あっ、豚の耳...え?

 

 ちょっと見てはならないものを見てしまった俺は、男の頭を抱えるように俯く。

 

 「後2kmだぞ」

 

 「まだそんだけー?」

 

 「走ったら直ぐなんだがなぁ」

 

 まだ後2kmもあるようで、ここまで1kmに約30分もかかってしまっていた。やっぱり俺というお荷物を肩に乗っけているから歩くペースも落ちているようだ。というか重くないのかな?

 

 うーん、後2kmどうしようか...。そういえば夜の景色って薄明かるい感じで結構いい雰囲気出てるよね。所々ある街灯と家や商店の明かりでキラキラしててまるで物語の世界に来たようだよ。まぁ、異世界なんだけどな。

 でも家の形が規則的じゃないんだな。ひとつひとつまるで個性が出ているかのように違うんだから不思議だよなぁ。あっ、ほっそい家。あんな家に住めるのか?まぁいいや。

 

 「そういえばおっさんの名前は?」

 

 「おっさんて...女の子なんだからおじさんと呼びなさい。いや、おじさんというほど年齢食ってないからお兄さん?うっ、なんか罪悪感が...」

 

 「早く言って」

 

 名前を聞いたのに答えてくれない男に、バタバタと足をばたつかせて抗議する俺に苦笑いを浮かべてこちらを見るおっさん。俺はおっさんの話など聞いてないのだ、なんか文句あるのか?

 

 「俺の名前はメージス。年齢は22だ。」

 

 「ふむふむ、メージスねぇ...って22!?」

 

 メージスの年齢に驚きの声をあげる俺。だってそうだろ?髭を生やして筋肉むっきむきで声が低くて背が高いんだよ?どこからどう見てもおっさんじゃね?厳ついからおっさんヤンキーとでも呼ぼうか?おっ、それいいかも。

 

 「おっさんヤンキーさん、嘘はいけないですよ~ぉ?」

 

 「嘘じゃねぇよ!つかヤンキーってなんだ?」

 

 「ヤンキーは悪い人のことだ!」

 

 「は?俺超好い人だけど?」

 

 「は?」

 

 ヤンキーの意味を教えたんだがおっさんが意味不明なことを言い出した。どこからどう見ても犯罪者で、実際に俺を奴隷にしようとした奴の親分ときたもんだ。おい、思いっきり悪人だろ。しかもヤンキー越えてるぞ。

 

 「いやいや、俺は借金を返さなかったやつを奴隷にしてるだけで、それが部下達には誰も彼もを奴隷にする親分に見えただけだ!」

 

 「嘘だ!」

 

 「ほんとだよ!!」

 

 ギリギリと音をたてて噛み締め、キッと男を睨む。こんな男が、こんな男が全うな奴な訳あるかぁぁぁあああ!!!

 

 「現にお前を家まで送ってやってるじゃねえか!」

 

 「うぐっ」

 

 た、確かに俺を送ってくれる優しさはある。だけどそれは妹と俺を重ね合わせて哀れに思ったからだけであって!いやそもそもそんな男が俺にこんな話しかけてくれるか?うぅ...頭がパンクしそう。

 

 頭を押さえてうずくまる俺に、男は勝ったとガッツポーズをとり、にこやかに笑っていた。超怖い。

 

 「お、着いたみたいだぞ?」

 

 「へ?もう?」

 

 男が指を指すところを見てみればそこは魚の屋、そしてその向かいを見ればまだ見慣れないが雑貨屋であり俺の家でもある。そう、マダムの家があった。

 

 1kmが長いと感じていたのだが、残りの2kmはまるで一瞬だったので驚いた。やっぱ話続けたりすれば時間は早く進むものなのかな?それとも案外楽しいと思ってた...いや、ないないない!俺はこんなおっさんヤンキーに背負われて怖かっただけ、そう、きっとそうだ!

 

 段々近づいてくる家の前に、鬼が立っているとも知らずそんなことを思っている俺であった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

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