異世界でポーション屋を開こう!   作:緒兎

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 要望があったので取り敢えず種族の表記だけ入れておきましたが、まぁ入れて欲しい種族などがあれば言ってくださって結構です。その都度文を修正、追加していこうと思います。

 あっ、ちょっと特性の方などは次回でお願いします。なんか文字数がヤバイことになりそうなんで...。


異世界の歴史

 世界の歴史

 

 この世界、エイスはありとあらゆる種族がのんびりと穏やかに暮らしている世界であった。それは生命が誕生してから、つい5年前まで続いた平和だった。

 

 しかし、その平和は崩れ去ることになった。

 

 ある日魔王と名乗る魔族が他種族間で協力し、築き上げた国の王都、フェアシーデンラッセに出没し、一夜にして住人もろとも街を消し飛ばした。それも一人でだ。

 

 その際使用された魔法は、今尚わかっていないという。

 

 魔族が王都を滅ぼしたことにより、長年人々を悩ませ続けていた魔物達が活発化し、魔王の元へと集まりだした。その数、(およ)そ2000万。地面を多い尽くすほどの数だった。

 

 集った魔物達は魔王の命令か、周辺の集落や街を襲い、その(ことごと)くを殲滅した。時間にして約1日、とても早い進軍であった。

 

 王都、集落、街などが陥落したことを皮切りに人類は、いや様々な種族がみな混乱を喫し、まともな判断を出来るものはごく(わず)かとなってしまっていた。いつ自分達の街が滅ぼされるかと人々は不安を抱え、時に街を出て魔物に襲われ殺され、時に狂人となって人々を襲い処刑される。

 着々とその数を減らしていった。

 

 エイスに住む知的生命体、全種族合わせて総勢35億人。これは過去の人口である。しかし今やその半分にも満たない15億人へと減少してしまった。

 そしてその減った人口の凡そ1割である2億人は、不安というストレスによって狂ってしまった者に殺された数であり、また処刑された数でもある。

 

 しかし此方も黙って見過ごすわけでもない。王国騎士団を設立、周辺の魔物軍を殲滅にかかった。

 王国騎士団は多種多様な種族のエリートのみをかき集め、編成した正に切り札と呼べる勢力であり、魔物軍を一人の欠落もなく殲滅して見せた。

 

 ここで漸く人々は安心を得ることができた。人々に笑顔が戻り、活気づいてきた街は、かつての姿を取り戻そうとしていた。

 

 しかしその束の間の休息さえ魔王は見逃さなかった。

 

 まだちらほらと残っている魔物を蹴散らしていた王国騎士団が、一人残らず殺された。

 このニュースは直ぐ様人々へと伝わり、再び恐怖へと陥れることになった。誰も家から出ようとはせず、家に引きこもり、街の活気はゼロに近いと言えるほどになってしまった。

 

 人間、獣人、エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、巨人、魚人、鬼人、小人、精霊、妖精、地底人、魔族。この世界にはこれ程の種族が居るというが、小人とダークエルフは著しい人口の減りにほぼ絶滅寸前、その数凡そ1万人にまで減ってしまった。

 

 「なんか重い話だなぁ...。というか魔王ってそんなに強いのかよ」

 

 それぞれの種族の代表者をかき集め、会議を行った。それはどうすれば生き残るか...ではなく、どうして魔王を倒すことが出来るかだった。

 

 実はこの時、皆には起死回生の一手があった。

 

 勇者召喚。この儀式を聞いたこともある人は居るはずである。異世界から屈強な戦士をこの世に呼び出し、魔王と戦ってもらう、これが残された最後の手段である。

 

 人々の全魔力を勇者召喚に廻す。そして3日ほど経過したとき、魔方陣が光輝き、ついに勇者が召喚された。見た目は少年であり、非常に頼りがたい見た目であったが、その勇者神の如し。

 魔王を瞬殺である。

 

 しかし魔物を討伐する間もなく勇者はもとの世界へと帰ってしまった。でも十分だった。指揮系統が無くなった魔物は元に戻り、普通の騎士でも楽々と倒せるまで弱体化した。

 

 こうして、何とか平和が訪れた。

 

 「ふぅ...難しくてよくわからないけど、超重い話で気分が悪い」

 

 俺は深いため息をついて本に悪態を吐く。しかしもう魔王が居ないということなので、安心できる。だって死にたくないもの。

 

 「あっそうだ」

 

 もう日が傾き始めてきた頃なので図書館を出ようかと思ったが、昼間見かけた妖精の事を思い出して思い止まった。

 あの妖精の挙動が気になるのもあるが、只単に好奇心である。

 

 「おばあちゃん、妖精の本ってどこ?」

 

 先の失態を繰り返さぬよう、今度は確りと場所を聞く。すると老婆はニコッと笑顔を向けるとさっき読んでいた本棚の隣を指差した。

 俺はありがとうとお礼を言い、その本棚へと向かった。

 

 看板には獣人だろうか?の絵が描かれており、多分種族とかの本があるのだろうと予想を付ける。

 

 「妖精は~っと...」

 

 妖精の本は入ってすぐの左の本棚に置いてあった。

 

 「妖精とは、森、湖、池、地面など自然があるところを住みかとしており、普段人里へと降りてこないという。それに妖精とは非常に人見知りが激しいために、他種族と目があってしまう度に恐怖の表情を浮かべ逃げ去っていくという。だから人々は妖精と目を合わせないようにして生活しているが、時々目が合うこともある。だから逃げたのか...」

 

 俺は漸く逃げた理由を納得する。妖精が人見知りって、人と会う機会なんて全然ないからかな?というか人見知りで恐怖の顔を浮かべるとかそうとうヤバイよね?

 

 「ん?妖精と精霊の見分け方?」

 

 ペラペラと本を捲っていると気になる題名が俺の手を止めた。

 

 妖精の見た目とは、手のひらサイズであり小さな翼が生えている。これはまぁさっき見た妖精と同じだ。

 

 精霊の見た目とは、手のひらサイズであり小さな翼が生えている。

 

 ...え?同じじゃん...。それってどうやって見分けるんだよ?

 ま、まぁ、続きを読めばわかるかな...?

 

 見分け方としては人見知りな方が妖精であり、人懐っこいのが精霊である。

 

 「なにこれ目が合わないとわからないやつじゃん...というかどちらかもわからないのに目を合わせることなんて出来ないし」

 

 どうやら見分けることはほぼ不可能なようだ。後の分を見てみるが、他には無いらしい。なにこれ無理ゲー?




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

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