異世界でポーション屋を開こう!   作:緒兎

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 コンニチハ皆さん。ゴールデンウィーク満喫しましたか?俺は満喫しました。バイトがありましたが、それ以外はほぼゲームをしていたのでとっても幸せでした。はぁ、いつもゴールデンウィークだったらいいのに。


妖精と図書館

 午後からは暇だということで、マダムは店を離れられないから俺だけで街を探検することにした。

 

 先ずはマダムのお店の辺りから探索するのだが、どこを見ても店、店、店。ここは商店街のようだ。だからか人々の活気も凄く、手を繋いでいないとはぐれるほどだった。まぁ、肝心の手を繋ぐ相手は居ないのだが。

 

 「やっぱ異世界って凄いなぁ」

 

 思わず声に出してしまうほど、異世界は凄かった。溢れる人々、その中に混じっている獣人であると思われる人。時にドワーフ、時にエルフと様々な種族が入りまじっている様は、正に異世界ファンタジーだった。

 

 しかしそんな中に一人、どう見てもそこにいるのは可笑しいと思う人物がいた。異世界だから居ても普通だろと思うかもしれないが、まず違和感しかない。そこにそいつが居ることに違和感しかない沸かないのだ。

 果たしてその正体とは、とても小さき生き物である妖精だった。

 

 妖精といえば普通は森に住んでいるイメージしか無いだろう。しかし妖精は街にいた。だからかも知れないが違和感が半端ない。

 

 その妖精はキョロキョロと何やら新鮮なものを見る目で辺りを見渡している。その目はまるで、初めて街に来たみたいなそんな目だった。

 

 するとふと妖精の動きが止まる。ゆっくりとスローモーションのように俺に振り替えるその様は、まるで見つかってはいけないものに見つかったような反応だった。

 

 「あ、ちょっ...!」

 

 俺の姿を確認した妖精は、まるで恐怖の対象を見る目で見て、一目散に逃げ出した。

 

 突然逃げたことに驚きを隠せない俺であるが、そこは冷静に対処して、追いかけることにした。しかし妖精は本当に手のひらサイズなので、すぐに人混みの中へと消えてしまった。見失ってしまったのだ。

 

 「はぁ...はぁ...何だったんだ一体」

 

 結局見失ってしまった俺は、あの妖精が何だったのかと思い始めていた。俺を怪物だと思わせるような目で見てくる妖精。どうしてあんなにも怖がっていたのか。そもそも逃げ出す理由とは?考えてもきりがない。

 

 しかし一つわかったことがある。それはこの世界には妖精が居るということだ。

 まだ妖精の稀少性や価値などはわからないが、これはある意味一つの発見だ。情報の少ない異世界では大きな一歩と言ったところだろうか。

 

 そうなるといよいよこの世界について知りたくなってきた。種族はどれだけの数あるのか、国は幾つか、海と陸の割合は?魔法はあるのか?ここはどこの国なのか。

 

 俺は取り敢えず探索を続けるが、図書館かなにかを見つけることを最優先とする。

 

 「へいらっしゃい!」

 

 「これ、美味しそうね」

 

 ふと果物屋が気になり見てみると、そんな会話が聞こえてきた。

 少しシワのあるおばさんくらいの女性が、灰色のリンゴを指差して美味しそうと言っている。

 

 マジかよ...あれ、どう見ても不味そうだろ。という思いは心の底に押し止めてそのリンゴ擬きを見ないようにする。

 

 「あっ」

 

 目を前に向けると、そこには看板に本が描かれている店があった。恐らく図書館だろうか。

 ここまで結構な距離を歩いてきたが、なんか見つかりかたが呆気ないというかなんというか...まぁ、リンゴ擬きを見たあとだったので思わず声が出てしまった。

 

 しかし大きい...というほどでもなく、思ったより小さい。やはり異世界では本の量産などは出来ず、手書きなのだろうか?

 

 チャリーン

 

 ドアを開けると、鈴のような音がした。何だか日本でもこんな扉があった為に日本を思い出させるが、そんなことより異世界という感じを出して欲しかったのは俺だけだろうか?

 

 そんなことは置いといて、中に入ると受付だろうか、カウンターには老婆が一人と、少々寂しい印象を与える風景が広がっていた。

 しかし図書館は図書館のようで、本はずらりと並んでおり、絵の看板で本の種類の場所が区切られていた。

 

 「いらっしゃい...」

 

 「あ...どうも」

 

 老婆が挨拶をしてきたので、挨拶を返す。結構(しわが)れた声だったので、聞き取りづらかったが、なんとか挨拶だと理解できた。

 しかしそれっきり老婆はこちらへと見向きもしなくなった。

 

 「ええっと...歴史の本はっと...」

 

 「一番左だよ」

 

 「あっ、ありがとうございます」

 

 俺が看板で歴史の本のありかを探そうとするも、なかなか見つからなかったため、見かねたのか老婆が教えてくれた。最初から教えてくればよかったのにと思ったが、探している本を口にしたのは今が初めてだと気づき、少し恥ずかしい気分になる。

 

 お礼を言って歴史の本へと向かう俺を、老婆が優しい目で見ていたということに俺はは気づきもしなかった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

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