だからバイトの帰りと行きしなに書いてます。結構遠いです。
感想など、お好きなことを言ってくださって結構ですので、どうぞお気楽に書いてみてください、返信は必ずしてますので。
グツグツと煮える鍋を見詰める俺は、とてもこれを食べようと言う気にはなれなかった。その料理の名はカラー、名前の通りカラフルな野菜を使った地球で言うカレーだ。しかし肉は高級らしく入っておらず、肝心の野菜の色がふざけているとしか思えないほど酷いのである。
そしてその野菜達を入れて煮えてきたところに入れたのが、ルーだ。この世界、基本的に技術の水準が低いようだが、何故かルーはあった。
ルーの色は茶色。やっとまともな色が来た。
そう、思っていたんだ。
「こ、これは...なに?」
「なにってカラーだよ?」
「これ、食べ物...なの?」
カラーと名乗る謎の物体A。いや、名乗っている訳ではなくマダムがそう呼んでいるだけなんだが。その色はルーと同じ茶色...ではなく、何故か物凄いピンク色をしていた。
なぜだろうか、もしかしたらルーの外見は茶色で中身がピンクだったのか...?やっとまともなやつが来たと思った俺が馬鹿だったよ!
しかし驚いたのはマダムにだ。なんとマダムはこれを食べ物だと言い張る。どういう神経をしたらこれが食べ物に見えるのかと教えて欲しいくらいだ。
「さ、そろそろいいだろう」
そう言ってマダムはお皿にルーを入れていく。因みに米などないのでパンを浸けて食べると言うなんともナンチックな食べ方だ。
ささっと皿をテーブルに置き席につく。
ジーっとこの禍々しいカラーを見詰める。やはりどう見ても美味しそうには見えないし、寧ろお腹を壊すのが当たり前に思える色をしていて正直食欲がない。
ちらっとマダムの様子を伺う...とすでに食べていた。なんとも美味しそうに食べる姿は俺に勇気をくれるのかと思ったが、食べている様を見たらそこにあるルーを見ているより奇妙で珍妙だったので、余計に食べれなくなった。
しかしそれでもせっかく作ったものを食べないわけにはいかない。俺は恐る恐るスプーンを持ち上げ、口へと運んでいく。
ここでパンを浸さないのは、もし無理だった場合パンだけ食べようとしているからだ。
はむっと控えめに口に含んで舌で転がす。
「ん?んんぅ...?」
味は...といえばなんとも普通だった。いや、カレーの味がするかと言われればしないと即答出来るんだが、思ったよりも不味くはなく、しかし美味しくもない微妙な味だった。
普通ならここで美味しいって言う展開なのだろうが皆さん、これがリアルですから。
ま、不味くないだけましだと言えよう。
「どうしたんだい?変な声だして」
「え、いやうん、おい...しいよ?」
「美味しくないんだったら言えばいいのに...私だって味が薄くてあんまり美味しいとは思えないんだから」
「え?なんて?」
「んや、なんでもないよ」
ふむふむ、どうやらマダムもあんまり美味しくないと思っているようだ。いや、バッチリ聞こえてましたけどなにか?
そもそもこの世界、料理屋なんかは全て味が薄くて美味しくないらしい。その理由は別に香辛料等が不足しているからとかそんなわけではなく、なんともつまらないものだった。
それは...貴族たちが大量に買い占めているからである!ほらね、つまらないでしょう?
貴族たちは皆濃い味がお好きなようで、一度の料理に香辛料をいっぱい使うため、買っても買っても買い足りなくなっていっそのこと商店を買ってそこから仕入れようとなったようだ。
ほんとに貴族さんたちはいつも何処でも馬鹿なんですね、馬鹿じゃないの!?って叫んでやろうか!!
「馬鹿じゃないの!?」
すみませんもう叫んでます。いや、思ったことを口に出すって素晴らしいと思うよ、うん。ストレスがとっても解消されるからね。
だからさ、そんな目で見ないでくれるかな?マダムさんや。俺の心が割れまくっている音が聞こえてくるんですが。え?心が割れるのは一回だけだろ?俺の心は割れた瞬間に復活するんです!
いえはい、食事の途中で叫ぶなんて行儀が悪いですね。今度から気を付けます。
そもそもこの世界にマナーとかあるんだろうか?異世界だし皆好き勝手に飲み食いしているような気しかしないんだが、そこのとこどうなのだろうか?教えて、マダムさん!
「そらあるに決まってるじゃない」
あるのかよ!?この世界で見た人物が門番とバルナバスとマダムくらいだ。そりゃあバルナバスをみればそういうイメージがあってもおかしくはないだろう?
まぁ、マナーがあるからといって別に日本よりも良いとは思えないので、結局は騒がしい食事とかになったりするのだろうけど。
っと、肝心なことを忘れていたよ。
「それより午後から何をすればいいのかな?」
「ん?...なんにも」
「.....」
この世界はとても退屈しそうですな。と心に思った俺は悪くないはずだ。
誤字、脱字等があればよろしくお願いします。