異世界でポーション屋を開こう!   作:緒兎

22 / 33
 奇妙な野菜で何を作り間ショー♪ははっ、やっぱりあれですな、色が可笑しくて笑っちゃうね。


カラー作り

 結局客引きの方法が思い付かなくて、気づけば太陽が真上へとくるお昼頃へと移り変わっていた。

 

 手伝うと言って全然手伝ってない俺だが、そもそもマダムがずっとお客さんと話しているだけなので、手伝うことも無いのだと思う。

 

 「お母さ~ん、なんか手伝うこと無い?」

 

 それでも念のために聞いてみる。

 

 「ん?無いけど...そろそろお昼だしご飯作ろうかねぇ」

 

 やはり何もないようで、マダムは少し考えてお昼ご飯を作ろうと言った。しかしご飯を作るくらいなら手伝えるのでは無いのか?とふと頭に浮かんでくる。

 

 手伝おうか?と提案すると、マダムは何処か驚いたように此方を見ていた。

 

 「いやー、悪いね。こんな子供が料理なんて出来るのかと驚いてしまってね」

 

 「え?」

 

 「気にしなくてもいいよ、その年で料理が出来るのはいいことだから」

 

 俺がマダムの言葉に疑問に思って声を出したが、気にしなくていいと言われたので、気にしないことにした。

 

 まぁ、マダムがどの言葉に対して気にしなくていいと言ったのかはわからないが、少なくとも俺が疑問に思ったのは子供というところだった。

 少なくとも俺の身長は153cmはあるはず。そこまで子供には見えないはずである。

 

 店をいったんクローズにし、二階へと足を進める。台所の場所は階段を上がって右方向なようだ。因みに、階段は螺旋ではなく直線なので、結構急だったりする。

 

 「なに作るの?」

 

 「んー、カラーでも作ろうかね」

 

 「カラー?」

 

 何だろうカラーって。俺は首をかしげて聞き返してしまう。恐らくこの状況からして料理名か何かなのだろうが、聞いたこともない料理名だったので思わず聞き返してしまったんだ。

 

 それにしてもこの世界の料理の作り方とか超興味があるんですが、早く作らないかなぁ!!

 

 「じゃ、この野菜の皮を剥いてくれるかい?」

 

 そう言って差し出してきたのはじゃがいもだった。いや、じゃがいもの形をした何かだった。

 その見た目はじゃがいもと遜色無い形をしているが、色がおかしくて、どうしてそうなったのかと言いたいくらいの青色をしていた。

 

 いや、紫の野菜とかだったら聞いたことはあるんだけど、青いのってのは... 。そもそもじゃがいもの色ちがいなんて無かったし。

 

 俺は渡された果物ナイフのように小さな包丁を使い、じゃがいも?の皮を剥いていく。凹凸のあるじゃがいもではどうしても綺麗には剥けないが、多少は構わず後から剥けばいいのだ。

 1個2個と渡された6個を目指して剥き続ける。俺は料理をするのが結構好きだったりするので、なかなかのハイペースで順調だ。

 

 「終わったよ~」

 

 「もう終わったのかい?じゃあこれを一口大に切っておくれ」

 

 マダムは少し驚いた様子で次の指示を与える。俺が料理できるのがそんなにも以外だったのかな?世の中にはもう女性だけが家事をするなんてことは無いんだから。あっ、ここは異世界だから違うのかも...。

 

 ストン、ストンと、包丁がまな板へ落ちるこ気味のいい音がキッチンへと響く。料理をするものとして、やっぱりこの時間が一番落ち着く。

 一口大ということなので、取り敢えずカレーに入ってるじゃがいもくらいにする。

 

 ぼとぼとと切ったじゃがいもを水の入ったボールへと入れていく。それは青い色をしているせいか奇妙なものに見え、とても食欲をそそらない感じだった。

 

 さて、と一息吐いてから次の指示を仰ぐ。

 

 「じゃあ次はこれの皮を剥いて...まぁ適当に切ってくれ」

 

 そう言って渡してきたのは、またしても見覚えのあるが色の違う謎の物体だった。そのシルエットはまさに玉ねぎであり、しかし色はオレンジと赤の斑模様(まだらもよう)である。この世にこれほどまで奇妙な野菜を見たことがあるだろうか?

 

 ま、まぁ色は気にしないで...取り敢えず、皮を向いたら色も変わるかも...。

 

 じゃがいもの時は生憎同じ色をしていたので結局食欲をそそらなかったが、玉ねぎはいけるだろ!?ねぇ!

 俺は玉ねぎのヘタを切り落とし、ペラペラとした薄皮を手で捲っていく。一枚、また一枚と剥がれていく玉ねぎの皮の向こう側は...同じ色をした実だった。

 

 あぁ、この世界酷すぎる。

 

 しかし玉ねぎを剥いている一方で、マダムはニンジンを切っていた。

 だが、ニンジンと言えども形だけであり、色は全くの別物で食欲をそそらない。

 

 そのニンジンや、炭の如し。葉っぱの部分を切ってしまえばもう木炭である。それほどまでにニンジンは黒かった。真っ黒である。

 イカスミでもかかってるのかな!?

 

 しかしそのニンジンの存在に、夢美はまだ気づかない。可哀想な主人公であった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。