異世界でポーション屋を開こう!   作:緒兎

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 小説など初めて投稿するときは、ドキドキするものですが今やこれが日常となっています。最初は軽い気持ちで投稿すれば、何れは日課になり、それは楽しいことへと変わっていき、実に電車の暇潰しとなっています。

 皆さんも始めてみては如何でしょうか?きっといい刺激になると思います。


寝ている主人公

 翼、昔の人々は翼を求めていた。されど人間、進化など求めていないので成長するはずもなく、ただそこには何時までも人間のままでいる種族がいた。

 

 そして時はたち、人間は翼の代わりになるものを造った。

 

 その名は飛行機、飛んで行く機械と書いて飛行機だ。それはライト兄弟が人生を費やして開発し、今の今まで進化を続けていった、ある意味人間が求め続けていた存在だ。

 その飛行機は人々を乗せ、大陸を横断し、海を渡り、様々な旅をした。いつしか、人間には無くてはならない大切な存在になっていた。

 

 そんな便利な翼が今、俺の背中には生えている。正確には生やした。

 

 俺の能力はありとあらゆるポーション、秘薬を作れ、どんな効果でもつけられるというある意味最強の能力。飲めば一定時間強くなるなど生温い、飲めば一生その効果を持続させ、強くなる。

 そして俺の翼は、何の考えもなかった俺によって、永久に生えるようにされた翼だった。

 

 「だからね、この翼をとることはできないんですよ」

 

 ─と説明したわけだが、マダムの目は怪しいものから痛い子を見る目へと変わり、やがて溜め息まで吐くようになっていた。

 

 俺の説明に何か不備があっただろうか?誰か説明してくれ。

 

 そんな誰に問いかけているのかわからない、本当に痛い事を心のなかで言いつつ俺は言い訳を考える。

 

 これは俺のいた秘境に伝わる禁忌の薬だとか、俺は人間じゃない堕天使だとか、実はモンスターと人間のハイブリッドですとか、なんとまぁ酷いアイデアしか浮かばず、これじゃあ本当に痛い子ではないか。

 

 そこでふと思い当たる。最初から生えていたと言えばそれはそれでいいのでは?と。

 

 だってここは異世界でしょ?そんなこと日常茶飯事じゃないの?また俺の期待を裏切ったりしないよね?ね!?となんて絶対に思っていない。

 

 「最初から生えてたんだよ」

 

 「なんで棒読みなんだい... 」

 

 「な、なな、別にそんなやましいことは考えてないよ!?ただ信じて貰えるように話を捻っただけだよ!?」

 

 おっと口が滑ってしまったようだ。棒読みに突っ込まれた俺は慌てて言い繕うが、それはいいから察してくれと言わんばかりの内容であり、言ったそばから嘆いていた。

 

 その様子を見てマダムは、はっはっはと大声で笑う。まるでバルナバスみたいな笑い方で正直怖かった。というのは置いといて、一頻り笑うと俺の方へと向き直り、笑い涙を浮かべながら、まぁそう言うことにしといてやると言った。

 

 漸く解放された俺はまたもやおんぶされた。いや正直あともう少しだろうから歩いて行きたいのだが、そんなことを言ってさっきの話をぶり返されたらたまったもんじゃ無いので黙っておく。

 

 静かな時が流れる。

 

 俺らに会話はなく、賑やかな街の喧騒だけが聞こえてくる。それは心を落ち着かせるものであり、次第に俺の(まぶた)はゆっくりと閉じようとしていた。

 俺はなんとか堪えようと目を越すって体を起こすが、おんぶされて楽な姿勢がゆえ、更に心地よい揺れがまた眠気を刺激し、だんだんとその微睡みへと落ちていく。

 

 

 

 

 「すぅ... すぅ... 」

 

 マダムは後ろで寝息をたて眠っている女の子、夢美を背負い家への帰路へとついていた。

 家はもう目の前まで迫り、その全貌をしかと見ることが出来た。そこはお店のようで看板が立て掛けられており、二階建てになっていた。

 恐らく二階が居住スペースで一回がお店なのだろうか、一階には商品だろうと思われるものがところ狭しと並べられていた。

 

 しかし今は開いていないのか家の前には閉業中と看板が立て掛けられていた。

 

 マダムはそんなものには目を向けず、颯爽と二階へと上がっていく。

 

 「夢美、少し軽すぎるねぇ」

 

 夢美を背負いながら階段を上るマダムは、そんなことを思いつつ起こさないようにゆっくりと上がっていく。

 しかし夢美は本当に軽い。対比するものがあれば、恐らく分厚くもなく、薄くもない中途半端な布団くらいだろうか。尚、この世界には布団はない模様。

 

 ちゃんとご飯は食べていたのだろうか?マダムは心配性なのだ。

 

 そっと自分のベッドへと夢美を寝かせる。その愛らしい寝顔を見ていたいが、今日から家族が増えるので色々と大変だ。

 まずベッドや食器など、日々つかうであろう物を揃える必要がある。服などもそうだ、見た目からして何も持ってなさそうなのだ。

 まぁ、ただあるとしたら翼くらいだろうか?さっきは流してあげることにしたが、マダムは気になって仕方がなかった。

 しかし当の本人が寝てしまった以上聞くことは出来ず、まどろっこしい気持ちが込み上げてくる。

 

 「まぁ、仕方ない... か。何れは本当の事を言って欲しいものだね」

 

 始めに本当の事を言っていた事に気付かないマダムなのであった。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

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