異世界でポーション屋を開こう!   作:緒兎

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 バルナバスって、何だか覚えにくい名前だなって思う今日この頃。決めて直ぐに思い浮かんだ言葉は、「おぼえれねぇ... 」でした。

 それにしても主人公、まだ気付かないのかな!?


ファンタジー世界

 俺は今、衝撃を受けている。こんな異世界ファンタジーに転生してきて誰もが望み、誰もが必要としている施設が無かったのだ。これでは異世界ではないではないか... 。

 さて、一体何が無いのかというとだな、ギルドが無いんだ。え?聞こえなかったからもう一回?ギルドが無かったんだよ。パードゥン?受け入れろ、それが事実なんだ。そうだよな... 俺!

 

 まぁ、それは置いといてギルドが無いとはかなりの致命的だ。序盤は弱いモンスターを倒しながら、徐々にお金を貯めていくというのがセオリーだ。なのにそれがないとなると... かなりヤバイ。

 

 だが幸い、俺には家がある。マダムを親とし、実際に俺の家となっているんだ。

 

 それにしても何れは俺も働くなり何なりしなければ、マダムだけでは俺を養うことは出来ないだろう。そもそも、女性が一人暮らしな時点で結構厳しいだろう。偏見かもしれないが。

 

 そして今、俺はバルナバスと別れマダムと一緒に家へと向かっていた。その際、拷問部屋(俺にとっての)から出たときに見えた景色は、俺を興奮させるのには充分だった。

 見ると建ち並ぶ家々があり、大通りだろうか?とにかく道をよく映やしていた。しかし、それだけでは現代日本でもよくある光景だ。されどここは異世界、どれもこれもが洋風建築、中世ヨーロッパ時代の建物ばかりだ。たまに木造の建築物を見かけるが、日本感は全くなく、木で西洋風を醸し出していた。

 ほぼ全てが不器用に作られた粗い見た目に仕上がり、まるで古い建物のように見える。その見た目は何処か古くさい感じを出すが、それがどうしたと言うのだ?ここは異世界だぞ?夢のファンタジー剣と魔法の世界だぞ!?寧ろこの方が異世界らしいじゃないか!!

 

 おっと熱くなりすぎたね、話を戻そうか。

 

 まぁ、取り敢えずマダムの家へと向かっているわけなのだが、長い。一向に家へとつく気配がない。もう何時間あるいたことだろうか、俺の脚はもう限界だった。それに、道が石畳なのも相まって、余計に脚に響かせていた。

 

 「ね、ねぇ... まだ、つかないの... ?」

 

 若干息が荒くなり始めている俺は、途切れ途切れながらも質問をした。

 

 ん?とマダムは振り替えると、ジッとこっちを見てきてあぁ、と一人で納得すると俺をおんぶした。それも悪いと反省しているかのような顔で。

 

 「って、え!?なんで!?」

 

 「いやすまないね、いつも一人でこの距離を歩いているから夢美のこと忘れてたよ」

 

 「だ、だからってなんでおんぶ!?」

 

 「そりゃあ夢美が疲れているからだよ」

 

 さも当たり前に、疲れているから背負うんだとマダムはそう言う。

 果たしてそんな理由で男がこうも軽々しく背負われてもいいものなのだろうか?答えは否だ。別に子供の内なればいいだろう。女でもまだ、いいだろう。だけど、だけど大人の男はこうも軽々しく背負われてはいけない!

 これだけは言える。"男の尊厳に関わる"と。

 

 「お、降ろしてくれないかな?ははっ」

 

 「ん?もういいのかい?あと5kmはあるけど」

 

 「やっぱお願いします」

 

 しかし、そんな尊厳はどぶに捨ててしまわなければならないときも来るであろう。そう、たとえばこんなときなどには特に捨てた方がいい。だって別に減るものでもないし心よりも肉体の疲労の方がキツいからね。

 

 俺はおんぶされたまま、周りの景色を堪能しつつ家へと向かう。それにしてもこの世界の住人はやたらと背が高い。皆2メートル近くはあるだろうか?俺が小さく見える。

 そして一つ、この世界には多種族がいるようで、俺の見た限りだと獣人、ドワーフ、巨人がいた。やはりどれもこれもお決まりの種族だ。なのにギルドが無いとは、これいかに...

 

 しかし、獣人種は獣耳や尻尾だけがある奴や、体が毛におおわれてモデルの動物をそのまま立たせただけの奴もいて、この二つはなにか種族が違うのだろうか?

 

 「そういやぁ夢美は何の種族だい?」

 

 唐突にマダムが聞いてきた。

 

 「え... ?人間だけど?」

 

 取り敢えず正直に答える。すると、マダムは何やら怪訝な表情をしたかと思うと、不意に俺の背中に生えている1対の翼を手に持った。

 最初は、ふにふにと不思議そうにさわるマダムであったが、次第に引っ張ったり捻ったりと、その行為は激しくなっていた。

 

 「ふゅ... ふぅっ!ふんっんん」

 

 まだ神経がうまく繋がっていないからだろうか?不思議な感覚が俺を支配する。

 くすぐったいような、もどかしいような、何だか体がムズムズする刺激が俺を絶え間なく襲う。

 

 「人間には... 翼なんて生えてないのにねぇ」

 

 漸く手を止めたらマダムは、俺に再確認するように疑問を口にした。やはりこの世界でも人間には翼は生えていないもの、寧ろ生えている種族など鳥やドラゴンくらいだろう。

 

 しかし、どうして説明したものか。




誤字、脱字等があればよろしくお願いします!

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