異世界でポーション屋を開こう!   作:緒兎

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 人狼ゲームやりました!皆が皆ルールを知っているわけではなかでたのでぐだぐだでしたが、とっても面白かったです!

 というか俺... すっげー怪しまれた...


自己紹介を忘れてた

 「あ... れ?」

 

 聞こえた気がした。愛する妻である伶奈の声が、この完全無欠の異世界で聞こえた気がした。あり得ない事だが、俺の頭が、体が理解していた。

 そして、聞こえた声はこう言っていた。

 

 強く... 生きると。

 

 これは幻聴か、はたまた神のいたずらか、そんなことは俺にはわからない。だけどこれだけは言える。

 

 ───生きてくれ、強く、俺の分まで生きてくれて...と。

 

 気がつけば俺を包んでいた悲しみ、後悔は消え失せ、いつもの俺へと戻っていた。突然様子が変わったからあたふたしていたマダムがそれを見て安心しているのが手に取るようにわかる。

 

 案外、可愛いところもあるんだ。

 

 案外とは失礼だが、見た目からして案外の方が合っているのだ。寧ろ案外をつけないとなると惚れているとしか思えないくらいには。

 まず年齢差があるだろう?

 

 「ねぇ、お母さん」

 

 うん?と首をかしげて此方を伺うマダムは、そういえばと、お母さんと呼ぶのを許可したことを思い出した。

 

 「なんだい?もう泣くのは懲り懲りだからね... 」

 

 「ち、ちがうって!...街を案内してくれないかなって」

 

 何処か疲れた表情で言うマダムに、否定の言葉を口にして現在の目標?的なものである街の案内を頼んだ。

 それくらいならいいよってマダムは言うと、早速部屋を出ていった。慌てて後を追いかけると外にはマダムとデカぶつがいた。

 

 「よぉ嬢ちゃん!機嫌は治ったか?」

 

 うるさい、やはり第一印象は怖いだが、第二印象はうるさいだった。声の大きさにして犬が鳴く時くらいの大きさだろうか?いや、もっと大きいような... 。

 

 そんなデカブツにマダムが呆れたと半目でジロリと睨んでいた。正直此方も怖い。

 

 「あんた全然学習しないねぇ!」

 

 「はっはっは!褒めてもなんも出んぞ?」

 

 「... 」

 

 しかし所詮馬鹿だった。貶されているのにも関わらず褒められたと勘違いしている。何を吠えているんだろうかこの(馬鹿)は。

 てかその笑いかた怖ぇよ!あれ?前にも似たようなこと言った気がする!?

 

 マダムは既に諦めているようでヤレヤレと手を横にして頭を振っていた。

 

 「そう言えば嬢ちゃんの名前、なんていうんだ?」

 

 「「あっ... 」」

 

 「ん?なんだ?マダムも聞いてねぇのか?」

 

 このデカブツが言った言葉に俺とマダムは忘れてたと顔を見合わせた。そしたらデカブツが突っ込んで来たので、ちょっとムカついたんだけど。

 

 なんで?ばかに突っ込まれたらムカつくでしょ?

 

 まぁ、そんなことは置いといてこの世界に来て初の自己紹介をすることになった。... 不本意ながらデカブツも混じってだが。

 

 「じゃあ俺からいくぞ?俺はバルナバス・バルトゥルだ!この街の戦士長を勤めている最強の男だ!」

 

 と男は勢いよく自己紹介を始めた。

 

 ここで再び容姿の説明に入ろうと思う。身長は約2mだろうか体の所々には戦、または魔物などモンスターと戦っときについたと思われる痛々しい生傷の後があり、特に右目についた爪痕は右目を潰しているようだ。

 基本的に筋肉ムキムキで日本にいた時に知っているどの人物よりも強そうだ。

 そして顔は傷があることにより厳つく頑固でうるさい印象を与え、俺さえも怖がったくらいだ。... 俺だからじゃないよ!?

 白髪混じりの茶髪で壮年男性の印象をつける髪は、日本人と違い黒髪ではなかった。そして目も茶色だった。

 

 てか戦士長だったのかよ!?

 

 「じゃあ次にあたしだね。あたしはマダム・ウーマン、そこら辺のおばさんさ」

 

 そう言うマダムはどこからどう見ても普通のおばさんで、俺でも納得出来るほど普通の自己紹介だった。

 

 マダム・ウーマンの容姿は至って平凡。説明するなればラピュタに登場する親方の奥さんだ。性格も似ているような気がする。

 見た目は強気な印象を与えるが、優しく慈愛に満ち溢れていて、人を落ち着かせる温もりも兼ね備える完璧なおばさんだ。

 

 そしていよいよ俺の番。二人はどんな名前なのだろうか気になってしょうがないのだろうか、そわそわしている。まぁ、二人は知り合いだったみたいだしその気持ちもわかるけど。

 

 「俺は、橋川夢美です。えっと... 日本という国から来ました」

 

 「日本?」

 

 「聞いたことねぇ国だな?」

 

 日本からきたと自己紹介をすると、二人は名前よりもそこが気になってしまったようで、二人して疑問符を浮かべていた。

 やはりここは異世界、日本などという国は存在しないんだ。何処か寂しいような気持ちもあるが、やっぱり異世界だと認識して、満喫しようとそれを振り払う。

 

 「そういえば名前も珍しいな、橋川って... 言っちゃ悪いが変だな」

 

 「あんた本当に失礼なやつよねぇ... 嫌われるよ?」

 

 「あ、いえ... 名前は夢美の方です」

 

 「え?そうなのかい?」

 

 名前に触れ始めた二人は、珍しい名前だとやはり疑問符を浮かべ、デカイヤツ改めバルナバスは本当に悪いと思っているのか、俺の苗字を変だと言いやがった。

 その事に対しマダムが突っ込むが、どうもマダムも思っていることらしく、いつもよりも柔らかい感じだった。

 

 というかこの世界では苗字を後に言うのが基本らしい。まるで外国... 一応外国みたいなもんか。

 実際地球でもアメリカとか名前が先だったから普通だろうか?

 そしてやはりこの世界では名前を先に言う文化はなく、心底以外と言う表情で俺を見てきた。

 

 まだまだこの世界のことを知らなければならないようだ。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

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