俺はなんキロ歩いたことだろうか... 上空から見るとそれなりに近い距離だと思ったものの、案外遠くて俺は早くもギブアップ寸前だった。
実は俺、運動は昔から大の苦手でよく転んだりしていたんだよ。流石にこの歳にまでなればそんなことはないんだけどな。だから体力が無くて、直ぐにバテてしまう。
「はぁ、はぁ、こんなことになるんだったら... 運動しとくんだった... 」
もう息も絶え絶えで喋るのも辛いのに、何故か後悔の言葉を口にする俺。いやあれだよ、気持ちをね... 奮い立たせてるんだよ。え?逆に落ち込む... なんのことかな?
それよりも、もう限界だ。いい加減地面の整備されたところに出たい。ここは木の根っことかで足場が悪いのなんので余計に疲れる。落ちてるときに少しでも街の方へ寄るんだった... 。
「ん?落ちてるとき... ?」
─────あっ。
「翼... あるんだった」
俺は呆けた顔をすると、さっき俺の命を救ってくれたものが何なのか思い出した。
そう言えば、翼が生えるポーションを飲んで翼があるんだった。なんでこんな重要なこと忘れてたんだろ?あれかな、違和感が無さすぎてもう体の一部と認識されたから気が向かなかったとか... 。うん、きっとそう!俺はまだ若い!!
そうと決まれば早速飛びましょう。
俺は背中に生えている翼を動かすイメージで背中の筋肉を動かす。
すると、俺の体は中へと浮かび、まるで鳥のように飛び始めた。
「これで一段落かな?あっ、町には着いてないからまだか」
これで一段落と溜め息を吐こうとしたら、まだ街に着いてないことを思い出してもうひと踏ん張りと溜め息を我慢する。
街につくまで暇なので俺の作ったポーションについて考えていこうと思うんだけど... まず名前から決めちゃおうか。
えーと、翼の生えるから『ウイングポーション』?なんかダサいな。もう一捻り欲しい所なんだけどなー。
ま、先に道のわかるポーションの名前を決めようっと。
道がわかるから... 『苦汁』?うん、すっごいいい名前だと思うけどどう?別にあまりにもの苦さに恨みを持ってつけた訳じゃないからね?ね?
「お、もうすぐ着くかな~。... 降りた方がいいよね?」
もう後100mってところまで来て、この世界では空を飛べる種族とかいるかもわからないので、いたとしても人間と仲がいいとも限らないので念のために降りておく。
でもファンタジーなんだからいる方に期待するよ。
門の近くまで歩いていくと、門兵らしき人物が二人いた。装備は鉄... かな?まぁ、そんな感じの防具を全身に着こんで、槍を持っていた。腰には剣も装備されている。
それと、どうやら人間のようで肌は日に焼けているのか黒いが、ムキムキでとても背が高かった。恐らく190cmはあるだろう。
暫く門を見ていると、幾人かの人が門の中へと入っていった。恐らく商人だと思う。
通行には別に何も要らないようで、その人たちは門兵に挨拶をすると、そのまま入っていってしまった。
俺も通ろうと門の前まで行く。
「ん?そこな娘、何者だ?」
え?娘... ?そんな子何処にいるんだろうか?
俺は辺りを見渡す... がそこには誰もおらず、この門兵の言っていた娘が自分の事だと気付く。
「え?いやぁ、俺の事ですか?」
「うむ、そうだが... 」
一応聞いてみると、どうやら本当に俺のことのようだった。
「あの... 俺、男なんですけど... ?」
心外だ。いくら見た目が女だからって今まで間違われることなんて...なんて...くそぅ... 。どうして俺はこんなにも女みたいなんだ... !
「何を言っている?お前はどう見ても女だろうが」
「は?」
俺の言葉にもう一人の門兵が反応して、俺の胸を見て言った。しかし、俺はその事を理解できなくて疑問で返してしまう。すると門兵は疑わしい人を見る目をしてくると、俺の腕をつかんできた。
「ちょっ、なにすんだ!!」
「少し来てもらう」
咄嗟に抵抗するが、兵士の力は伊達ではないと俺の細い腕を容赦なく引っ張っていく。
「や、やめ!やめろぉ~!!?」
俺は抵抗虚しく、門兵によって机のあるいかにも拷問しますよな部屋へと連れていかれた。
誤字、脱字等があればよろしくお願いします。