シュミレータを終了すると、女の子がこちらに向かってきた。
「やーお疲れ!キミ、結構やるねえ!」
「さっきの外部連絡の人か。俺はアラタ。宜しく」
「うん。私の名前はミサ。こちらこそ宜しく」
握手を交わすと、ミサが質問してくる。
「この辺じゃ見ない顔だね・・・どこかチームに入ってるの?」
五年前まではガンプラバトルをしていました。って言うのは言わなくてもいっか。
「いいや。チームには入ってないよ」
「ほうほう。これは好都合・・・」
ミサが右手を顎に当て、考える様な仕草を取る。
「ねえ、ちょっと歩きながら話さない?」
「・・・で?」
「え?」
「頼み事があるんだろ?」
歩き始めて数分後。ミサに聞くと、
「あ、うん。私の地元は小さな商店街なんだけど、駅前に百貨店が出来てからお客さんが減っちゃってね。タイムズユニバースって聞いた事あるでしょ?」
「ああ。百貨店だけじゃなく、色々な事業をしている外国の大企業だろ?」
「そっ。まあそのタイムズユニバース百貨店が駅前に出来て家の商店街のお客さん、皆取られちゃったんだ」
そんなことを話していると、一つの商店街へとたどり着いた。綺麗な場所だが、店を開いてる気配は無い。ミサは商店街のアーチの前で立ち止まると、此方を向いて両腕を広げた。
「まあそこで、私は商店街の名前でガンプラチームを作って商店街の宣伝をしようと思ったわけ。つまり、我が“彩渡商店街ガンプラチーム”にキミをスカウトしたいんだよ!」
「・・・」
「ただいまー」
ミサから事情を聞いた後、商店街内にあったガンプラ屋に入った。
「やあ、おかえり」
雰囲気からして迎えた店員さんがミサの父親なんだろう。
「あ、あのねお父さん。・・・紹介したい人がいるの」
「言い方考えてくれない!?」
思わず大声でツッコむ。ただでさえ、勘違いされやすいような登場のしかただったのに、更に追い打ちかけてきよったぞコイツ。焦るアラタだったが、ミサの父親は笑顔でこう言った。
「ああ。チームメンバー、見つかったのかい?」
「あのさぁ、もっとこう、『き・・・キミはまさか娘の!ぬう、許さん!表に出ろ!』とかないの?」
こっちは焦ったよコンチキショウ。
「ないよ」
そう言うとミサの父親はこっちを向いて話してきた。
「すまないねキミ。強引に誘われたんだろう?ミサの父のユウイチです。宜しくね」
「アラタです。こちらこそ宜しく」
握手を交わす。
「そうそう。そういえばそろそろタウンカップ始まるだろう?参加登録、しておいたよ」
「そうだった。まずはタウンカップ優勝目指して頑張ろう!それと、これから宜しく!」
「ああ。ワールドカップ目指して頑張ろう!」
握手をすると、二人はお互いに笑い合った。