御坂はようやく落ち着いてミサカ11号に話しかけた。
「あの、常盤台中学の生徒ですか?」
目の前にいる人は確かに顔が似ている。しかし、顔が似ているだけの人だけならば生きているうちに数人くらいは会うかもしれない。顔ばかり見ていたが服を見ると着ているのは常盤台中学の制服だ。
(わたしのコスプレかもしれない。)
御坂は混乱している。いや、それはねーよ。と、言いたくなるかもしれないが、超能力者のなかではかなりまともなコミュニケーションが可能な彼女は広報活動にも起用されている。ファンだっているかもしれない。
「いえ、違いますよ。と、ミサカはあっさり否定します。」
「え?なら、その制服は?」
「これは支給されたものです。と、ミサカは説明します。」
謎は深まる。常盤台中学の制服は常盤台中学でしか使われていない。それを支給された?
「っていうか御坂?」
「はい、ミサカ11号です。と、ミサカは自己紹介します。」
「......。」
(顔も名字も一緒!?もしくはわたしのファン11号?いやいや、後輩、先輩問わず様をつけて呼ばれるけどファンクラブなんてないわ。)
少しずつ落ち着いてきた。
(それにクローンは禁止されているし、やっぱりそっくりさんよね。制服はどこかで間違えたとかで。)
「ごめんね。顔が似てたから驚いちゃって。」
顔が似てるだけと納得して、この場を去ろうとした御坂をミサカ11号が呼び止める。
「顔が似ているのはお姉さまの体細胞クローンだからですよ。と、ミサカは困っているお姉さまを助けます。」
「クローン!?どういうこと?」
ミサカ11号は実験の内容を部外者に教えてはならないところを伏せて説明した。
「クローンが必要になったから作られました。と、ミサカは簡単に説明します。」
「何もわからないわよ。本当にクローンなの?」
「はい。と、ミサカは肯定します。」
御坂は過去に筋肉が固まってしまう病気の治療のために自分のDNAが役立つと言われ、研究者に渡している。
(あのときの研究者がわたしを騙していた?学校の健康調査の時かもしれないわね。)
「なら、警備員か風紀委員に行くわよ。」
「それはできません。もう研究所に戻る時間です。と、ミサカは明確に拒否します。」
「なら、わたしもそこに連れて行って!」
「それは.....では、とりあえず一方通行に会いましょう。」
「なにそれ?」
「超能力者の第一位ですよ。と、ミサカはお姉さまに教えます。」
「わたしの妹から離れろって
言ってるのよ!」
「妹だァ?こいつらはまともな感情もねェ、ただの人形だろォが。」
「人形!?妹達はアンタのおもちゃじゃないわ!」
御坂は怒りでつき出している腕が震えている。
「なら、どォすンだァ?オマエが代わりになンのかァ。」
一方通行が挑発する。御坂から槍のような電撃が放たれる。
そして、一方通行に反射された。
一方通行の能力ベクトル変換は科学の法則に従って運動する物質の向きをを大小関係なく操ることができる。超能力者の電撃も例外ではない。
「な!」
電撃ならば御坂には効かない。しかし御坂の代名詞である超電磁砲を撃っていたら死んでいたかもしれない。
(おい、大ケガさせンなよ?)
「わかった、かァ?俺からすればオマエが無能力者でも超能力者でも変わらねェ。今日は殺さないでやる。だが、この実験のことをばらしたらオマエと知っちまったやつも殺す。とっとと失せろォ。」