太陽が低くなって気温も下がっている。馬場を吊るしてから数時間は経っているようだ。
そして、病院から出てきた一方通行と天井はの前に意外な人物が現れた。
「よう、第一位。」
「なンの用だ第二位?」
ベンチに座ったまま垣根提督に対して一方通行と天井は身構える。
(こいつも関わってやがンじゃねェだろォなァ?)
《だとするとかなり大変だよなァ。第二位だしそれなりには強いンだろォし。》
しかし垣根は両手を挙げて敵意が無いことをアピールする。表情もまるで今日の天気の話をしているようで、緊張の欠片もない。
「そう固くなるなよ。ただテメェに訊きたいことがあるだけだ。」
「...言ってみろ。」
「まずは今のこの状況だ。何を探している?」
垣根は何をしているのか、ではなく何を探している、と言った。実はすでに答えは予想できていて、それを確認しているのかもしれない。
「オマエには関係ねェことだ。さっさと帰って寝てろ。」
「そう言うだろうと思ったよ。なら次だ。テメェ、どうしてあの中学生を助けた?」
この質問が垣根の一番知りたいことのようだ。先程とは変わって目が真剣になっている。
「俺が助けたンじゃねェ。」
「あ?まあ、あの姿は無様だったし、実際あの3人の女が来なければテメェは何もできなかっただろうな。だが俺が聴きたいのはそんなことじゃねえ。」
垣根は思い出したらしく、少し笑ったがすぐに真剣な表情に戻った。
「少し前のテメェならあそこで土下座はしねえはずだ。何があった?」
「ハッ、初対面のはずだが、オマエはおれのストーカーか?」
「まあ、似たようなもんだ。」
「」
《》
一瞬固まる。
「ぶふぉっ!うっ、鼻に。」
天井もヤシの実サイダーを噴き出した。
《え。そういう感じなの!?ライバル関係になるンじゃねェの!?》
(知らねェ。つーか、俺たちはこンな危ねェやつと遊ンでる暇はねェ。)
一方通行は無視してこの場を去ろうとした。
「いや、みたいなものな!そのものではなねえ!俺の上でふんぞり返ってやがる第一位ってやつが気になってな。少し調べさせてもらった。実際に会わなくても過去の行動でおおよそ性格くらいはわかるもんだ。」
「そォかよ、そンで俺の性格診断の結果はどォだった?」
「他人を見下し、関わることを避ける。そのはずだ。」
《いや、恥ずかしがりやサンなだけじゃねェ?》
(黙ってろ。)
「だが、オマエは自分の身を犠牲にしてまであのガキを助けようとした。ここ最近で何かあったはずだ。何をしている?」
『フッ知りたいか?』
「!?」
(な、何だ?雰囲気が変わりやがった!)
垣根は一方通行の変化を感じとった。
(オマエ。)
《いやァ、イイこと思いついちゃったぜェ。》
『天井サンちょっとイイかァ?』
「何だ?」
第二人格が天井とコソコソ話始めた。
「それが素のテメェってわけか?」
『どォかなァ?それで、オマエ俺のことを調べた本当の理由はなンだ?』
「!さすがに第一位だな。隠す必要もねえか。俺とテメェの順位の差を知りたかったんだよ。別に一番になりたいなんて考えてねえが、第一位の特典に興味があってな。」
『ン?なンだその特典ってのは?』
「本当に知らねえらしいな。統括理事長との直接交渉権だ。」
《なにそれ?》
(知らねェぞ。そンなもン。)
『つまり、第一位になりたいのかァ?』
「結果的にそうなるな。」
『でも俺はそろそろ絶対能力者になるから、オマエじゃ相手にならねェぞ?』
「あ?」
『今そういう実験してンの。』
「その責任者がわたしだ。そして第二位なら申し分ない。君も参加するかね?」
「なんだと!?」