もう一人の一方通行   作:yamada1600

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残骸を盗りに行く

宴会の後、筋トレをしている一方通行に天井が話しかける。

 

「なあ、一方通行。」

 

「なンだ?」

 

「樹形図の設計者が壊れていたらしい。」

 

「は?」

 

(まじかよ!)

 

天井はさらっと言ったがとんでもない大事件だ。今まで学園都市の実験は樹形図の設計者でシミュレーションを行うことも多く、その正確さは研究者たちから絶大な信頼を持たれていた。研究者でなくとも天気予報などで恩恵を受けている人はたくさんいる。

 

それが無くなれば学園都市に対する影響は大きいだろう。

 

「隕石でも衝突したのかァ?」

 

一方通行が椅子に座りながら言う。

 

「いや、正体不明の光線が直撃したそうだ。」

 

「どこのどいつがそンな馬鹿なことしでかしやがった?」

 

「さあな、そこまではわからない。そして、樹形図の設計者のありったけの残骸をかき集め、世界最高の技術を手に入れようとする連中がロケットを打ち上げている。」

 

樹形図の設計者は壊れたものの砕け散った部品でさえ、学園都市の外はもちろん並の内側の技術をも超越している。その価値は計り知れない。

 

「それで?」

 

「拾ってきてくれないか?」

 

天井も欲しいらしい。

 

「あァ!?木原クン暗殺の計画を立てンのよりも重要な理由なンだろうな?」

 

「そうだ。お前も思ったことがあるだろう。なぜ自分には彼女ができないのか。どうしてあいつではなく自分ではダメなのか。私は知りたい。彼女を作る方法を!」

 

実際、一方通行ならば宇宙へ行くことも、残骸を拾ってくることも可能だ。

 

「いやいや、その方法だと学園都市の上層部だとか厄介な連中に見つかります。と、ミサカは思慮の足らない二人を見ながら呆れます。」

 

天井の隣にいたミサカ11号が右手を振りながら答える。実験に参加しているのは1から10号だけなので他の妹達は暇だ。

 

「どォして俺も含まれてンだ!?」

 

「学園都市の内部にも残骸を手に入れようとしている人がたくさんいるから、その人たちから盗っちゃえばって、ミサカはミサカは、むぐっ!」

 

天井が打ち止めの口を押さえる。この研究所のどこに隠しカメラがあるかもわからない。

 

「なかなかの策だが、盗るんじゃない、保護だ。いいかい、ここは重要だ。悪人から保護するんだ。間違えないようにしてくれ。」

 

すると、打ち止めとミサカ11号が一方通行の座る椅子の背もたれに手を置く。

 

「わかった。ってミサカはミサカは一方通行を連れて玄関へダッシュ!」

 

「ミサカ11号の健脚についてこれますか?と、ミサカは挑発します。」

 

「待ちやがれ!」

 

「待て待て!」

 

「「Go!」」

 

タイヤつきの椅子に座ったのが悪かった。一方通行は打ち止めとミサカ11号に押され部屋を出て行った。

 

ドドドドドド

 

「......頼んだぞ、一方通行!」

 

ドドドドドド 

 

「あっ、てミサカは」ガラッ! 「うおォ!」ガッシャーン!「オマエらァ!」

 

「......さて、研究の時間だ。」

 

「Hey,you.少し話があるのですけど。」

 

「諸々の修理代はあなたが払ってくれるのよね?」

 

 

天井が振り向くと芳川と布束が立っていた。

 

 

 


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