to Muv-Luv from 天獄 ≪凍結≫   作:(´神`)

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第一章 (4)

《1998年8月24日 14時50分 練馬基地》

 

帝国軍練馬基地の秘匿された地下のハンガーに、複数の衛士達が集まっていた。

 

彼らは皆、来るべき命令に備えて秘密裏に召集された人員だ。卓越した操縦技術と高い水準の衛士適正を持つ帝国斯衛軍所属の36人の男女の何人かは、ハンガーにて簡易設置された長机を囲む椅子に座り込んでいる。

 

一人は目を瞑り腕を組んで微動だにせず、またある一人は椅子を不安定にも船を漕いで遊ばせている。とある四人は静かに合成紅茶を嗜み、ある者達は自身の駆る戦術機を調整していた。

 

出撃前とは思えない異質な空間に、一本の連絡を受けた男が戻ってきた。

 

 

「皆の者、遂に我らの出番ぞ」

 

 

その一言で、椅子に座っていた者や戦術機を眺めていた者達は皆一様に立ち上がって視線を集める。

 

 

「多摩川にて防衛戦を展開している某かの部隊を救援するのが、我ら第零特務大隊の華々しき初任務」

 

 

この場の指揮官である斑鳩崇継は、普段通りの不敵な微笑を浮かべる。

 

 

「集いし36の優れたる斯衛の衛士よ。いざ、我らの力を見せる時――参るぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

斑鳩の気合に敬礼を返し、全員が戦術機に乗り込んでいった。

 

 

 

 

 

噴射跳躍にて、一足飛びに練馬基地から戦場へと向かう戦術機の群れを大まかに分けると3つになる。

 

斯衛軍の主力部隊である、第一機甲師団。同様に続いて出撃した第二機甲師団。

 

そして、機甲師団よりも先に出撃したのが、青い2機を筆頭に、赤、黄、白、黒と色取り取りの第零特務大隊だ。

 

第零特務大隊は本来存在しない部隊なのだが、城内省大臣である槐金時の命令により、二年前から極秘裏に結成された特殊部隊だ。

 

第零特務大隊の主な任務内容は、実験機である新型戦術機の試験運用及び実戦での有用性を証明する事にあった。

 

ここで言う新型戦術機とは、日本帝国斯衛軍専用機であり、斯衛軍所属の衛士の誇りであった瑞鶴の後継機であり、上位互換機に相当する飛鳥計画の真髄足りうる純国産の第3世代戦術機――武御雷を指す。

 

河﨑・光菱・富嶽の三社を中心にして製作されたこの機体の通称が零式であった事から、部隊名には本来存在しない部隊である事の零(ゼロ)を引っ掛けたダブルミーニングであったりする。

 

この武御雷は内部構造から外装、材質を含めた全てを拘った結果、ずば抜けた性能と良いとは言い難い整備性。オマケに目玉が飛び出る様なコストの掛かる、様々な意味で特別な戦術機となっている。現時点では、斯衛軍の紛うこと無き『切り札』として秘匿されていた存在だ。

 

本来ならこの武御雷は、資材資金人手のどれをとっても完成までに後数年は掛かるシロモノだ。その場合、未だこの機体は試製98式とでも、呼ばれていただろう。

 

だが、城内省大臣であり、実質斯衛軍のトップである槐が斑鳩と結託して予算を充てがい、槐自らが率先して新兵器開発運用試験を行う中央評価試験部隊の一部の吸収など、人材勧誘を積極的に推し進めた結果、想定より二年ほど早く、実戦配備一歩手前まで漕ぎ着けていた。

 

年生産数が非常に少ない高価な機体だが、この出撃で成果を発揮すれば一部の部隊には来年に正式配備される手筈になっている。

 

そんな武御雷を使用した正式な任務は今回が初であり、ここで実績を見せつければ武御雷の優秀さを見せつけるという目的を達成する事が可能であり、晴れて隊は解散。所属する衛士達は各々の武御雷を所有したまま本来の部隊に帰還、または新たな部隊に配属される事を許されているという高待遇だ。

 

 

(教官…志摩子…安芸…和泉…上総…皆の仇を…この手でっ…!)

 

 

帝都陥落時の惨憺たる悲劇を経験している篁唯依は、武御雷の操縦桿を軋む程に強く握りしめる。

 

唯依はつい半月前まで京都の嵐山補給基地に所属しており、京都防衛戦にて同じ訓練校の仲間を四人、自分達を逃がす教官を含めた皆が犠牲になるのを目にし、唯一の生き残りとなってしまった過去を持つ。

 

防衛戦の折に自身も死にかけていた所を、五摂家が1つ崇宰家の現当主――崇宰恭子の駆る武御雷に助けられた事が始まりだった。

 

如何に訓練兵であり、それがこの世界ではありふれている光景だとは言え、余りにも凄惨な出来事を体験した唯依は心身共に深く傷つき、BETAへの強い憎しみと復讐に燃える余り、一人生き残った事を激しく後悔し、慟哭していたのが二週間前だ。

 

肉体よりも、精神への負担が酷かった唯依の支えになったのもまた恭子だった。衛士として、人としての生きる道を示した恭子は、唯依に生きる意味――活力を与えたからこそ、今の唯依が居るといっても過言では無い。

 

恭子は五摂家当主という立場、第零特務大隊での貢献、試験中の事故により隊の人員が一人欠損しているという状況までもを利用し、斑鳩と槐に『唯依の採用』に関して首を縦に振らせたのだ。

 

1年程前から第零特務大隊に技術者として協力していた巖谷榮二の推薦もあって、つい先日に繰り上げされた少尉の身でありながら第零特務大隊に配属され、僅か二週間で武御雷を扱える程の技術と体力を身につける目的で地獄が始まったのだ。

 

一日でも早く技術を追いつかせる為、恭子が専属の教官となって鬼の様なシゴキを受けながらも修練を積んだのだ。結果として、正規兵とは比べ物にならない程の訓練時間と、武御雷の性能に関する座学を挟みつつ、ほぼ一日中シミュレーターと実機を交代で乗り回すという病み上がりの新人には耐え難いシゴキの中、武御雷に関しては精鋭に引けを取らない程の性能を発揮出来る程度には成長したのだ。

 

父の傑作の後継機にして、後見人である巌谷が携わり、自身を助けてくれた恭子が駆る武御雷でBETAを屠る事が出来ると想像するだけで、震えが収まらないのは無理も無い。

 

 

「肩の力を抜いて、唯依。この二週間、貴方の頑張りは素晴らしかったわ。その成果、心置きなく見せてくれるわよね?」

 

 

やや興奮気味のバイタルデータを見て声を掛けてくれたのであろう、分隊長かつエレメントの相棒でもある恭子からは気遣いの声が掛かる。

 

 

「もう貴方は訓練生では無いわ。立派な斯衛の衛士なの。私達なら、BETAだって押し返すのも訳無いわ。其の為の武御雷でしょう?」

 

 

恭子の優しくも温かい声色に癒され、自身の手の震えが収まっているのを傍目に確認すると、唯依は出来得る限りの自然な笑みを浮かべて口を開いた。

 

 

「恭子様…はい! 必ずや、期待に応えてみせます!」

 

 

唯依は第零特務大隊の中で、誰よりも恭子を慕っている。隊を構成している衛士達は、別の隊から個別に召集を掛けられており、家柄や出自及び年齢から階級までの一切を無視されて集められている。

 

従って、即席の連携や衛士としての技量は他の隊の追従を許さないが、個人的に仲が良いとは決して言えない隊でもあった。

 

腕が立つ衛士は如何せんプライドが高い者が多い故に、任務内容の詳細な方針1つで意見が別れては、対立して雰囲気が悪化するのは少なくなかったし、足並みを揃える方が珍しいとすら言える部隊だ。

 

感覚だけでは無く、目つきや雰囲気まで鋭い者が多い第零特務大隊に於いて、唯一の緩衝材であり、実質的なまとめ役となっていたのは必然的に泰然自若な雰囲気を保つ恭子だったし、恭子自身それを見越して斑鳩は自分に声を掛けたのだろうとあたりを付けては恨んでいたりする。

 

京都防衛戦を始めとして訓練中やそれ以外でも何度も唯依を助け、導き支えとなる恭子が『鬼姫』の異名を発揮していたのは訓練時のみであり、唯依がこの二週間の激闘とも言える訓練に耐え切れたのは、何よりも恭子の存在が大きな要素であると言い切れる程に大事な人となっていた。

 

元より、恭子が居なければ第零特務大隊で凄まじい錬成を受ける事も無ければ、そもそも京都駅で死していたのだ。感謝しない方が可笑しいのだが。

 

 

「恭子様…」

 

「なあに?」

 

 

唯依の呼びかけに、姉が妹に優しく接する様に発せられた恭子は応える。

 

自身を安心させようと優しい声色を出しては気に掛けてくれているのを、唯依は犇々と感じ取っていた。次いで、言葉にしても仕切れない程の感謝の念が込み上げると、意図せず浮かんだ目尻の水滴を、恥ずかしそうに素早く腕で拭い取る。

 

 

「恭子様は、私が守りますから! 帝国も、人類の未来も!」

 

「あらあらまあ……期待してるわよ」

 

 

戦場で階級が下の者に、ましてや部下に守られるというのは、衛士にとって気持ちの良いと感じる者は少ないだろう。

 

しかし、唯依の威勢の良さを『それだけ戦う気力がある』と肯定的に捉えた恭子は、柔らかな微笑を浮かべてお茶目にも唯依にウインクを返しただけだった。

 

オープンチャンネルでの2者による仲睦まじい会話を叱咤し、横槍を誰一人として入れないのは、唯一の新兵である唯依を気遣う程度にはチームワークがあるのか、若しくは興味を示さない程にチームワークが無いのか。恭子は内心、前者であれと密かに願っていたりする。

 

理由はどうあれ、珍しく雰囲気が悪くない第零特務大隊は、約180秒後に結成して初の実戦を迎える事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多摩川に敷いた防衛戦は危機に瀕していた。BETAは連隊規模で小出ししていた戦力を波状攻撃に切り替えた直後、一気に師団規模にまで増やしたのだ。

 

 

「クソッ! 幾らなんでも多すぎるぞ!」

 

 

カミーユのZガンダムが空中でウェイブライダーに変形して高機動行動を展開する。周囲のBETAを蹴散らそうとするも、光線級が紛れていては警告アラートが鳴り響いて手出しし辛い状況を克服する為の奇策だった。

 

素早い反応速度を持つカミーユと、通常ではあり得ない急旋回等の機動についてこれるZだからこその対光線級に特化した行動だ。

 

カミーユの予想どおり、ウェイブライダーに光線級の視線が釘付けになった。

 

 

「やれ、フォウ!」

 

「分かってる!」

 

 

カミーユを囮に洗い出した光線級を、タッグパートナーであるフォウがバイアラン・カスタムのメガ粒子砲で殲滅する。

 

 

「お前たちの様なヤツを、通す訳には行かない!」

 

 

光線級が消えた事により比較的安全圏となった空中に飛び上がったままのZガンダムは、密集しているBETAの上空にビーム・サーベルを回転させるように投げ、右手のビームライフルで撃ち抜く――所謂、ビーム・コンフューズでビームの雨霰を浴びせながら叫ぶ。

 

 

「カミーユ、そろそろ補給しにいかないと!」

 

「集中しろ、フォウ! 今はそれどころじゃないっ!」

 

 

フォウの指摘にカミーユが噛み付くが、フォウから受けた指摘は的を射ていた。現に、Zガンダムの残弾はかなり減少している。

 

フォウの乗るバイアラン・カスタムはメイン兵装であるメガ粒子砲とビーム・サーベルの出力は、核融合炉と直結している為、戦艦まで補給をしに戻る必要は無いが、Zガンダムはカートリッジシステムを使用した兵装が少なくないのだ。

 

だが、カミーユの意見も最もではある。増え続けるBETAを前にして補給を受けている余裕が無いのが現状だ。

 

補給に戻っている間に戦線には穴が出来てしまい、そこを突破されれば只では済まない。だからこそカミーユは焦っていた。

 

 

「落ち着いてカミーユ。ここは――」

 

 

その先を言おうとして、ふとレーダーに目を向ければ、自身達の後方から幾つか反応があった。反応は見る見る内に此方へ近づいてくる。

 

目視で確認した時にはZガンダムとバイアラン・カスタムの斜め後方に着地したと同時に、赤い一機が白い三機を率いて周りの要撃級を次々に殲滅する。

 

 

「此方は第零特務大隊所属、月詠真那中尉だ。ここは我々に任せて一度退け」

 

 

突撃級をすれ違い様に長刀で撫で斬りにした赤い一機からの通信に、フォウが通信を返す。

 

 

「あ、ありがとうございます! カミーユ、今の内に!」

 

「あ、ああ」

 

 

戦闘に夢中で、援軍の存在を完全に忘れていたカミーユは瞬間的に呆けていたが、直ぐに意識を取り戻してウェイブライダーに変形して母艦に戻る。

 

Z-BLUEへの援軍という存在は経験上稀有だった為、『そういえば、先のブリーフィングで説明されていたっけ』という程度には漸く思い出した。其れを気にしながら戦っていられる程、BETAの圧力が低くなかったのも大きいと言えば、仕方ないと言えるだろう。

 

 

「お前たち、今の奴らが帰ってくる頃にはBETAを平らげておくぞ! 続け!」

 

「「「はい!」」」

 

 

月詠真那の期待に神代巽、巴雪乃、戎美凪の三名は勢い良く声を発しながら周囲のBETAを武御雷で次々に切り刻む。

 

Z-BLUEと日本帝国との共闘が成り立った瞬間であった。

 

 

 

 

 

「こちら帝国斯衛軍第零特務大隊所属、指揮官の斑鳩崇継だ」

 

「こちらはZ-BLUE先遣隊所属ラー・カイラムの艦長、ブライト・ノア大佐です」

 

 

帝国への援軍である部隊に通信を仕掛けると、直ぐに返答が帰ってくる。

 

 

「之より我等、第零特務大隊は貴艦等に助力する次第だ」

 

「感謝します」

 

 

斑鳩は用件だけを済ませると、通信を切って戦闘を再開する。

 

現在、斑鳩率いる第零特務大隊は斑鳩隊と崇宰隊に二分し、それぞれの戦場へと到達していた。

 

そこで見た光景に、斑鳩は操縦桿を動かしながらも溜息を吐く。

 

目の前では、戦術機が戦闘機の様な形態に変形して高速で移動しているかと思えば、気安く空中を飛んでは、光線級の光線を『避ける』のだ。

 

極めつけは荷電粒子砲らしき武装を連射。背部の小さな板や円柱状の武装を飛ばしたかと思えば、変則的な機動を持ってBETAに接近。同じく荷電粒子砲の様な光線を連射している。

 

突撃級、要塞級の衝角や脚、要撃級の鋏を何らかの方法で荷電粒子を収束させたのであろう、近接兵装で容易く切り裂いている。

 

戦場に兵站すら用意されていないのだ。ここから、一部の武装は自動で生成から補給までを済ませる武装もあると斑鳩は予測していた。

 

 

「はっはっはっ…はぁ…」

 

 

オープンチャンネルを切って吐き出した乾いた棒読みの笑いと、出さずにはいられない溜息を口にする。

 

それもそうだろう。

 

斑鳩は、第零特務大隊の本懐である『飛鳥計画』に大きく力を入れているのだ。この戦いは、研究成果とも言える武御雷のデモンストレーション――所謂、お披露目会としての名目を持っていた。

 

だが、武御雷も霞んで見える超兵器をまざまざと見せつけられては、斑鳩の気も落ちるというものだ。

 

当然、謎の援軍に助力したしないに関わらず、武御雷の有用性を証明するつもりではいる。純国産戦術機の力を見せ、その開発の主導権を握っている斑鳩の帝国内での権力を更に高める一大計画の最後の最後に、武御雷は世界のどの戦術機にも負けうる筈がないと、自信を持って言える筈だった。数分前までは。

 

 

(正体不明の援軍に助力せよとの事だが…必要無いのでは無いか?)

 

 

そんな事すら思ってしまう程、圧倒的で超然的な援軍に、斑鳩は興味と密かな敵意を持ち始めていた。

 

 

 

 

 

一方、ネェル・アーガマ隊の方でも、第零特務大隊を始めとした、帝国軍との共同戦線が続いていた。

 

 

「ソード7、ソード11! 前に出過ぎだッ! さっさと下がれ!」

 

「この野郎ッ! フォックス2!」

 

「フォックス3!」

 

 

前線には、戦線から飛び出すぎた戦術機甲師団の瑞鶴2機が孤立していた。この2機は、隊の中でも数少ない初の実戦を今迎えようとしている2人――つまり、現在『死の8分』という壁を攀じ登っていた。

 

 

「ソード7! ソード11! さっさと応答しろ!」

 

「ぶっ飛べ化物オオォォォ!!」

 

 

エレメントとしての能力が高いからなのか、未だこの2機は健在と言える。だが、戦闘の興奮でハイになりながら戦っている2人に後催眠暗示を掛ければ、強制的に一気に現実に引き戻す事は出来る。

 

しかし、その反動で2機は動きを止め、BETAに屠られる確率が倍増するのは明白だった。だからといって、戦線から如何ばかりか出ている2機を救出する程の余裕は帝国の戦術機達に存在しなかった。

 

戦列を乱す事は死に繋がり、其れを自分から行ったのなら、死んでも文句は言えない物だ。

 

ましてや、助けに行くことで自分まで戦列を乱す訳には行かない。つまり、どうあがいても助けに行くことは出来ないのだ。戦術機には。

 

 

「行くぞ、ヒイロ」

 

「ふもももももーっ!!」

 

 

謎の援軍の母艦であろう白い巨大な空中戦艦から、小型のタマゴ型戦術機と着ぐるみらしき物体が飛び降り、一目散に2機の瑞鶴の方角に走りだしたのを見て、ソード隊の隊長は唖然とする。

 

ふと自身の背後からBETAが押し寄せる様な地鳴りが鳴り響き、まさかと思って背後を振り向けば、色違いの着ぐるみが50はあろうか。先行する2機(2体)に引き続いて大軍で2機の瑞鶴に迫っていったのだ。

 

 

「多少壊れても構わん! 量産型を使いまくれ!」

 

「もふ!」

 

 

会話とは言い難い通信が聞こえる。

 

其れよりも驚くべきなのは、スタンロッドで戦車級を沈黙させ、散弾銃で闘士級を爆散させ、クレイモアで要撃級の脚を吹き飛ばし、C4で要撃級の胴体までもを吹き飛ばしているのだ。ほぼ等身大と言っても過言ではない只の着ぐるみが、である。

 

それだけでは無い。

 

ソード隊の隊長が必死に視界に入れようとせず、認めようとしなかった光景も多々あるのだ。

 

兵士級や闘士級を片っ端からハリセンでタコ殴りにし、何故か兵士級や闘士級を沈黙させている着ぐるみ。

 

対物ライフルで突撃級の装甲殻の隙間から見える双頭の頭部を、たったの一撃で撃ち抜く着ぐるみ。

 

1丁のバズーカで光線級の目を引いて、その間にもう1丁のバズーカで光線級を吹き飛ばす着ぐるみ。

 

『着ぐるみ』とは一体何なのか。『戦術機』の存在意義ってそもそも何だったか。そんな事すら忘れてしまいそうになる衝撃的すぎる光景。大軍で地を駆ける、異質で異端で異常なソレ。

 

ものの数秒でBETA群に道を切り開き、2機の瑞鶴を見事に助けだした事すら、ソード隊の隊長の頭には入ってこなかった。

 

ソード隊の隊長は、先程まで助ける予定だった2機の瑞鶴諸共、何も見なかった様に無言で戦闘を継続させ始めた。

 

 

 

 

 

周囲の要撃級諸共BETAを74式近接戦闘長刀で薙ぎ払い、恭子と共に唯依は中衛でBETAの掃討に励んでいた。

 

 

「消えろ異星起源種ども! みんな纏めてやっつけてやる! ええぇぇぇぇぇい!!」

 

 

人類の宿敵であり、仇であるBETAを易易と両断し、突撃銃で葬り去るのは快感にも等しく、唯依も興奮状態に陥りながらも戦っていた。

 

 

「ッ! ファントム12、下がって!」

 

「ファントム2、大丈夫です!」

 

 

唯依は恭子の指示を聞かずに前に出続ける。京都防衛戦の時の経験からか、退けばBETAにやられるという思い込みがあるのが大きな原因だ。

 

唯依からすれば善戦している様に見えるのだろうが、傍から見ればBETAにおびき寄せられて突っ走っているようにしか見えない。

 

 

「何が『私が守ります』よ…これじゃあ、あべこべね!」

 

 

恭子は唯依から離れない様にと接近しようと試みるが、突撃級の横槍によって中々近づけずに居た。

 

武御雷を乗りこなす唯依の慢心に付け入る様に、BETAは唯依と恭子を見る見る内に引き離していく。

 

戦場で孤立した唯依が受けるのは当然、集中砲火だ。

 

 

「なっ!? いつの間に!」

 

 

背後には要塞級が二体。残りを要撃級で固められており、その後方には光線級が潜んでいた。所謂、詰みの形に入ってしまったのだ。

 

跳べば光線級の餌食。要撃級に気をやり過ぎれば要塞級の衝角が。その逆も然りだ。動かねば、死あるのみ。

 

 

「唯依! どうにか持ち堪えなさい!」

 

「恭子様! 駄目です! ここは――」

 

 

誘い込まれたこの地に、恭子まで引き込む訳にはいかないと、叫びながら静止を出す。が、恭子が参戦するより、唯依がBETAを突破するよりも早くに事態を動かしたのは、BETAだった。

 

山吹の武御雷の横に居た要撃級が、一気に道を開けたのだ。これは光線級が光線を撃つ前段階である事を示している。

 

 

「しまっ…!?」

 

 

ここで唯依は気づいてしまったのだ。自身の終わりを。

 

戦術機は光線属種の警告を受けた際、自動回避を行うシステムが搭載されている。

 

だが、問題はそこでは無い。自動回避しようとも、周囲には要撃級と要塞級が居る為、自動回避で手首以外動かせなくなった戦術機では、体勢までもは変えられないのだ。光線を避ける事が出来たとしても、自動回避モードの最中に要撃級や要塞級に攻撃されてしまえば元も子も無い。

 

偶然か狙ってか、唯依はどうあがいても絶望の状態になってしまったのだ。自動回避中に光線に穿たれるか、自動回避終了直後に要塞級や要撃級に屠られるかの絶望の二択。

 

予測可能回避不可能の死に、唯依は恥も外聞も無く力の限り叫ぶ事しか出来ないでいた。

 

 

「うわあああああっっ!!」

 

「唯依いいぃぃぃーーっ!!」

 

 

戦場で慢心するという事は、死につながる。唯依の命が刈り取られようとしている時、意志があるかどうか不明であるBETAだが、この場に於いてはBETAもまた、同じく慢心していると言えるだろう。

 

この場では多数のBETA対唯依&恭子という構造だが、戦場は不確定要素が常に付き物だ。

 

特に、『規格外な存在』が居るこの戦場では。

 

 

「やらせないっ!」

 

 

恐怖のあまり目を瞑っていた唯依の耳に届いたのは、中性的な声から発せられた気合と特徴的な切断音だった。

 

唯依が音の発生源に目をやれば、特徴的な刀剣を両手に持った戦術機が唯依の武御雷を守る様に仁王立ちしながら、頭部のバルカンで小型種を掃討する。

 

BETAはカトルの好きにさせまいと、光線級と唯依の武御雷を守護するカトルとを線で結んだ場所を開けた。

 

唯依はカトルにオープンチャンネルで警告を入れる。

 

 

「そこの衛士、危ないぞ! 光線が来る!」

 

 

さっきまで死にかけていて、精神力を殆ど使った唯依が必死に絞り出した警告に、カトルは回線を繋げた。唯依に自身の顔を見せて安心させる為だと直ぐに察するが、それとカトルが危険な事とは関係性は無い。

 

カトルはその警告を聞かずに、ショーテルを前にクロスして構えたサンドロックのバーニアを全開で吹かし、光線級の元まで一直線に突き進む。

 

 

「無茶だぞ! 避けろっ!」

 

 

唯依の悲鳴と共にサンドロックに光線級の光線が直撃する。

 

だが、サンドロックは爆散せずに『光線に耐えながら速度を落とさずに、光線級に突っ込んで』いった。

 

唯依には何が起きたか理解出来ない。

 

いや、この世界の衛士全員が理解出来ないことだろう。光線を受けて爆散しない戦術機など。ましてや、光線を照射されながら突っ込んでいくなどという自殺行為にも等しい行為は。

 

 

「負けやしない! 僕の…サンドロックは!!」

 

 

光線に怯まないサンドロックは、光線級の手前で一度跳躍したと思うと、自由落下のエネルギーを加えたショーテルで勢い良く光線級を両断する。

 

一連の行動を見て唯依が気づけたのは、目の前の衛士が横に回避していたら、光線が自身の武御雷を貫いていただろうという事だった。

 

戦場では、刻一刻と状況は変化する。

 

光線級を両断しきったサンドロックと新たな光線級を結ぶ道が瞬時に形成されたのだ。

 

 

「そう来るのは分かっていた!」

 

 

カトルが口角を吊り上げながら叫ぶと、唯依達の後方から大量のミサイルと実弾が、カトルを狙っていた光線級とその周囲のBETAを強襲していった。

 

後方から現れた戦術機は、サンドロックと比べれば少し重く感じるが、搭載されているであろう武装の重量から見れば、恐ろしい馬力を持っている事を感じられる様な機体――サーペントだ。

 

サーペントを駆るトロワは、戦術機では有り得ない実弾の積載量を以って周囲のBETAを無に返し続ける。

 

連続爆撃のような止まぬ爆音に、唯依が惚けるのも無理は無い。

 

 

「戦術的に見て、少数を倒すには退路を断ち、集中砲火を浴びせた方が確実な戦果を挙げられる。…だが、お前たちは分析を見誤った」

 

 

爆撃が止んだ頃には、周囲にはBETAだった肉塊しか残って居らず、思考停止していた唯依の所に同じくBETAに取り囲まれていた恭子が駆けつける。

 

 

「ファントム12、無事かっ!?」

 

「こ、こちらファントム12、問題ありません」

 

 

辿々しい唯依の声だが、安心したのだろう。恭子の深い溜息が聞こえると共に、唯依のコクピットには爆音が響く。

 

 

「馬鹿者っ!!」

 

「――っ!?」

 

「斯衛の衛士が戦場で浮かれ、上官の指示に従わぬとは何事ぞ! ともすれば、貴様は死んでいたのやも知れぬのだぞ!」

 

 

恭子の叱咤に、戦闘前には『自分が恭子を守る』と大口を叩いておきながら、助けに来た筈の援軍に命を助けられるというみっともない様を自覚し、唯依は悔しさと情けなさで体に震えが走る。

 

 

「…申し訳っ……ありませんっ…恭子様…!」

 

「……貴方が無事で良かったわ。一度下がりましょう。出来るわね?」

 

「…ぐすっ…ううっ…はい……」

 

 

大粒の涙を流しながら、唯依は恭子の後を追う様に戦線から後退する。

 

 

(情けない…っ! 本当に情けないぞっ! 篁唯依! ……私の力は…覚悟は…! こんなものなのか…!?)

 

 

衛士として、帝国を守る斯衛としての全てを地獄の二週間で得たと勘違いしていた唯依に、この失態は重くのしかかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《1998年8月24日 17時38分 旧武蔵小杉》

 

多摩川防衛戦の開始から三時間を過ぎた頃、ラー・カイラムの医務室にて一人の青年が目を覚ました。

 

BETAの戦術的とも取れる行動により、母艦がピンチになったのを、ニコラは自身の体と機体を使って盾になったのだ。大量の光線級の光線を一身に浴びた所為でかなりの衝撃を受けており、体もフラフラで頭にも激痛が走っている。

 

 

「うっ…僕は…」

 

 

ニコラの漏らす苦痛の声に気づいた軍医は、直ぐにニコラの側に駆け寄る。

 

 

「ニコラス君、まだ動いてはいけない!」

 

「ぐっ……邪魔しないでくれ! 僕だって、Z-BLUEの一員なんだ! この程度…っ!」

 

 

軍医を押しのけ、忠告を無視し、肉体が訴える痛みを歯を食いしばる事で堪えながら格納庫に急ぐ。

 

トップレス能力を抑える為に額に貼られている『ピース』と呼ばれるシールを乱暴に剥がし、ニコラは格納庫に向かいながら能力を使用する。

 

千鳥足で辿り着いた格納庫は、案の定無人のヴァンセットが動き出した事で大騒ぎになっていた。

 

 

「あ、おい!! ニコラ、ヴァンセットを止めろ! まだ整備は十分じゃないんだぞ!」

 

 

Z-BLUE内で『伝説の整備士』と呼ばれるアストナージからの叱責が飛ぶが、ニコラは無理して笑顔を浮かべる。

 

 

「アストナージさん、悪いけど出撃させてもらうよ!」

 

 

そう言って、ニコラは格納庫の手摺を乗り越えて空中に落下する。

 

 

「バカっ!」

 

 

アストナージがニコラに起こるであろう悲劇を即座に予測して罵声を出すも、ニコラの落ちている軌道上にヴァンセットの手が差し出された。

 

そのままニコラはヴァンセットに攀じ登り、意地でもコクピットに乗り込む。

 

余りの強引さに呆れるアストナージだが、無線機の前に走りながら他の整備士に格納庫のハッチを開けるよう大声で指示を出し、ヴァンセットに通信を飛ばす。

 

 

「ニコラ、ヴァンセットはハーケンが使えない。剣ニ本で本当に出るのか?」

 

 

その質問にニコラは口角を無理矢理開け、いつもの笑顔を無理矢理見せる

 

 

「大丈夫です。ヴァンセットはやられませんよ」

 

「言ったな! ボロボロにして帰ってきたら、お前のポケットマネーから晩飯奢らせるからな!」

 

 

誰が聞いてもニコラは明らかに無茶をしているが、覚悟を決めたパイロットを笑って送り出すのも整備士の仕事と割りきって、アストナージは軽口を叩く。

 

何処か硬い表情をしていたニコラの顔にいつもの不敵な笑みが戻ると同時に、ヴァンセットはラー・カイラムから飛び出した。

 

 

 

 

 

同時刻。ラー・カイラムの外では中々の苦戦を強いられていた。

 

押し寄せるBETAの数が、あからさまに増えだしたのだ。

 

第一機甲師団も半壊。第零特務大隊も18機居た武蔵小杉では、既に10機程までに数を減らしていた。その殆どが黒と白だったが、戦力的に痛い事に変わりは無い。

 

 

「くっ! …これだけの数を減らしているというのに……まだ、絶えぬというのか…!」

 

 

赤の武御雷を駆る真壁介六郎は、帝国斯衛軍の底力を見せているにも関わらず、一向に好転しない戦局に思わず愚痴を溢す。

 

BETAとの戦闘は長時間となるのは珍しく無い為、たかが三時間の戦闘で中佐という階級に居る衛士が愚痴を溢すのは情けないと取られても不思議では無いが、誰一人としてそれを咎める者は居なかった。

 

 

「…中佐とも…あろう御方が……まさか、この程度のBETAに…音を挙げたのですか?」

 

 

介六郎の愚痴に之幸いと、同じく赤の武御雷を駆る真那が介六郎を煽り始めた。

 

 

「抜かせ…はぁ…はぁ……御主も随分と…息が荒い様に見受けるが? 中尉は帰って休んでいても良いのだ…ぞ?」

 

「面白い冗談ですね…はぁ…ふぅ…上官が戦っているというのに、下士官が休んでは…いられない…中佐こそ、お昼寝の時間が過ぎているのでは?」

 

「ふっ…気に入ったぞ……この戦いが、終わったら…覚悟するが良い!」

 

 

中佐と中尉という隔絶した階級の間柄で、上下関係が厳しい斯衛では滅多とお目にかかれない煽り合いを介六郎と真那が繰り広げていた。

 

これはお互いの足を引っ張るのが目的では無く、そうまでしてでも互いの士気をどうにか高く保っておく為の行為だ。

 

戦場を幾度も経験していれば、三時間程度の戦闘はざらにある。

 

だが、たったの三時間に10万のBETAという圧力が加われば、話は変わってくる。単純計算で一時間あたり3万と3千。十分あたり5千5百。一分の間に550のBETAが襲ってくるのだ。

 

それを休まずに180回も続けていれば、こうも疲れる。

 

ましてや、只相手にするのでは無い。『一匹足りとも通してはいけない』のだ。

 

ハイヴ内にも酷似した圧力の中、全滅を強いられる精神的負担は幾ら凄腕の衛士とは言っても半端では無い。10万のBETAを相手にしている事を考えると、損耗率5割弱という奇跡の様な数字は、伝説とも言える。この数字を下げまいと尽力している衛士もこの場では少なくない。

 

BETAを幾らか無視できるハイヴ内ですら、三時間も潜っていれば良くて生還率は3厘だ。嘗てミンスクハイヴに潜った5500近くの兵の内、帰還した14名からもこれが裏付けられる。

 

形振り構わずなんとか士気を高いまま保とうとする、真那の小隊と介六郎の小隊の武御雷達のセンサーに、ふと地獄の音が鳴り響き始めた。

 

 

「この音は…っ! 大深度地下か!」

 

「皆の者、気を引き締めろ! 大部隊がお出ましだぞ!」

 

 

真那と介六郎の言葉に武御雷達が各々の兵装を構え直す。

 

そこに、突如援軍の白い戦術機が真那達の前を塞ぐように現れた。

 

 

「そこのパイロット達、貴方達は今直ぐ下がりなさい!」

 

 

次第に大きくなりながら振動が響く中で、告げられた言葉に真那は噛み付いた。

 

 

「我々斯衛に退けとはどういう事だ! 貴様は我等を力不足だとでも言うのか!」

 

「そんな事を言っている暇はありません! 良いから早く、大きいのが来るのよ!」

 

 

白い戦術機の衛士の言葉に、真那と介六郎は思い当たる事があった。そう、BETAの中で、まだ情報がはっきりとしていない未確認の大型種が存在するという報告を耳にした事がある。

 

だが、その存在が出てくる事と真那達が尾を巻いて逃げる事は別だと即決した真那は、忠告を無視して74式近接戦闘長刀を構え直す。

 

白い戦術機――ガンダムMk-IIに乗るエマは、言う事を聞かない真那達に焦燥を隠せなかった。

 

この振動の原因と、この先BETAが何をしてくるかを理解しているエマは、日本の機動兵器では大型BETAが運ぶ大量の光線級に、どうあがいても対処出来ないと踏んでいるからこその忠告だったのだが、如何せん説明する時間も無かった。

 

 

(こうなれば、一瞬でも早く落とすしか無いわね…!)

 

 

覚悟を決めたエマはフットペダルを踏み抜いて、大型BETAの出現予測地に急行しようと機体を反転させる。だが時既に遅く、大型BETAが地面から勢い良く出現してしまった。

 

大型BETAが地面に出てきた衝撃が止んだ次の瞬間には、直径170メートル近い円形の口が開き、中に隙間なく詰められた重光線級達が揃いも揃って此方を見ていたのだ。

 

 

「なっ!? 避けろ!」

 

 

帝国の衛士達の誰もがBETAの次の行動を予測、引き起こされるであろう惨劇を想起して戦慄した次の瞬間――碧く眩い星形の光を発する白き閃光が乱入してきた。

 

 

「やるぞヴァンセット! 一撃必殺技だ!」

 

 

突如現れた武御雷の三倍近い巨躯を誇る、肩から翼の生えた大型戦術機は、その形状から援軍達の中に見た戦術機達と比較してもデザイン、武装、全高に至る全てが異質であった。

 

 

「真っ向勝負、一刀両断!」

 

 

一瞬にして大型BETAと間を詰めたヴァンセットは翼を腕に変化させ、本来備わっている両腕と共にサイズの異なる二本の実体剣を構えて引き抜く。

 

 

「いっけぇぇぇぇっ!」

 

 

僅か一瞬。僅かニ振り。限りなく一閃に近い刹那的な斬撃から生まれたニ閃。総計四回の斬撃。一刀両断と言いながら、刀が二本なのを突っ込む余裕は、衛士達に存在しない。

 

未確認の大型BETAを中身ごと正面からぶった斬ったヴァンセットが空中で動きを止めた瞬間、巨大BETAは中身ごと無数の立方体に瞬時に分解される。

 

空中で分解された立方体の肉片それぞれが蒼く煌めけば、光は急激に増幅されて巨大BETAは碧く爆散した。

 

 

「…なん…だとっ…!?」

 

「………………」

 

 

驚きの声を隠せない介六郎と、みっともなく口が開いている事にすら気付かない真那は、何度も瞬きを繰り返した。

 

突如現れた大型BETAの奇襲に死を覚悟した次には、大型BETAが細切れミンチの微塵切りになって派手に爆散したのだ。2人を始めとした全衛士は今の光景で理解した事があった。

 

『刀で一閃して、生物を細切れにして爆散させた』という一連の現象は、物理法則を無視しているという事だけを辛うじて伝えてくれた。

 

ヴァンセットの参戦にBETAも不利を察したのだろう。

 

衛士達が動きを止めている間に、BETAは来た道を引き返す様に撤退し始めていった。

 

それを喜ぶ程、衝撃的な光景から現実に引き戻されている衛士は未だ一人として居なかった。

 

 

 

 

 

巨大BETAの出現から約一時間後、多摩川全域での状況は警戒態勢に移行した。

 

 

 

 

 




槐金時は利己的ですが、超優秀です。最新機を二年早く開発するって普通に考えてヤバイですからね。

レ○パーだの何だのと嫌われているニコラですが、トップレスの実力は伊達では無いです。

演出は一応、再現してあるつもりです。

その一環から、サンドロックの表現にある『特徴的な切断音』とは、ブッピガンを指します。

もう元ネタ紹介は面倒なのでやりません。遊戯王とか、オサレ漫画とか、クロスボーンとか、勝手に『あぁ~このネタじゃないかな~』程度に思ってて下さい。

投げやりで申し訳ないです(´;ω;`)

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