哿の暗殺教室   作:翠色の風

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今話はプロローグです。
あととっても短いです……


再装填 キンジの時間

――凛香side――

 

なんでこうなったの。

 

「この遠山桜。手向けには血染めの桜と決めている。例えお前たちでも容赦はしないぞ」

 

目の前にはキンジ。

それは背中を預けたわけじゃない。

キンジの隣には私じゃない別の人物が立ち、その拳は私達に向けられている。

皆はキンジに武器を向けていいのか迷ってるのだろうか、キンジ達を見るだけ。

私もそうできたら良かった。

でもその緋色と翠色の触手を見てしまった今、そんな悠長なことはできない。

私の中の血が騒ぐ。

 

あれは目覚めさしてはいけない。

止めなければいけない。

そのためには殺せと。

 

本能といえばいいのだろうか、それに抗いながら私は小通連とキンジとおそろいのベレッタを抜く。

 

「やらせない。私は正義の味方を目指した幼馴染の隣に立つ。例えキンジが立ちふさがっても私は止まらないわよ」

「……そうか。その道は後悔しか生まれない、お前なら分かると思ってたんだがな」

 

その言葉を最後に私は引き金を引く。

 

――パァン‼

 

私が開戦の合図に放ったベレッタの銃弾をキンジは指に挟んで銃弾の方向を曲げる。

ほんと分かっていても無茶苦茶よね。

キンジの拳が迫る。

銃はキンジに効かない。

そう判断した私は銃を捨て、もう一振りの刀を取りだす。

それらを峰のほうを下に向け拳に合わせる。

 

――ガキン

 

およそ拳と刀が交わった音ではない。

チッとキンジの口から舌打ちも聞こえる。

こっちが舌打ちしたい状況よ。

なんで短刀と拳が相打ちになるのよ‼

 

そんな余裕があったのも最初だけ。

キンジの拳がどんどん早くなっていく。

 

――ガキン……ガキン…ガキン、ガガガガガ……パァン‼

 

マズイ、拳がマッハに入った。

小通連で見えてても避けれない。

咄嗟に短刀をクロスさせ受けの体制に入り、目を瞑り歯を食いしばる。

 

――ドンッ‼

 

音は聞こえるが衝撃は来ない。

 

「おいおい律、盾が一撃でおじゃんだぞ」

「寺坂さん、まずお兄ちゃんの一撃を耐えれたことに驚きです」

「おい待て、それって下手したら盾の意味なかったってことだよな」

「…………テヘッ」

 

目の前にはひしゃげた盾を捨てて、また律の本体から作成した盾を装備する寺坂と律。

 

「お前らも俺の復讐の邪魔をするのか」

「俺達だけじゃねえ、全員で邪魔してやんよ。それでそのバカな頭に一発叩き込んでやる」

「お兄ちゃんを止めるのも義妹の役目ですから」

 

2人が言うと、他の面々もナイフや銃を持って私の横に並ぶ。

 

ねえキンジ。

こんなにもアンタは仲間に恵まれてるのよ。

それでもそんな事を続けるの?

いちにぃはそんな事を望んでるはずないのをキンジが一番分かっているはずなのに……

あの時、キンジの横にずっといればこんなことにならなかったのかな……

後悔してもやり直しなんて効かないことは分かっている。

それでも私は後悔してしまう。

こうなった原因でもある12月24日から始まった、数日間の出来事を。




次話以降はこの時間から少し遡って話が始まります。

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