哿の暗殺教室   作:翠色の風

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キリが良かったので短いですが投稿します


76弾 開催の時間

学園祭当日の1日目。

準備の都合もあっていつもより集合時間を早く学校へと向おうと、俺と律は凛香達の合流する場所へと向かうのだった。

 

「速く行きましょうお兄ちゃん! 凛香さんたちがもう待ってますよ」

「分かったから袖を引っ張るなって律」

 

いくら言っても直らなかった律の呼び方にはいまだに違和感があったが、今更言っても直さないのは分かっているため何も言わずに学園祭で多少浮かれている律の後ろ姿を追う。

いつもの集合場所である交差点には、凛香と有希子がもういて談笑しているのが見えた。

向こうもこちらに気づいたようで

 

「「おはようキンジ(君)と律……ってなんで武偵高の制服?」」

 

やっぱりそこを聞いてくるよな……

俺は今、椚ヶ丘中の制服では武偵高の制服を着てきている。

一応、中学の制服も持ってきてはいるが、早朝に来たメールのせいで急きょこちらの制服を着る羽目になったのだ。

 

「あーっとこれはだな……「蘭豹先生が朝から来るからですよ」おい律、それは黙ってろって」

 

まだ死にたくない為烏間先生を売ったが、死神戦で俺が倒れた後良い雰囲気だったと聞いた身としては客に紛れてこっそりとどうにかしようとしてたのになんでわざわざばらすんだよ!

 

律の言葉を聞いた二人はと言うと

 

「あー……なんかごめん、キンジ」

 

何かを思い出し哀れむような目で見て、なぜか謝ってくる凛香。

 

「蘭豹先生……確か武偵高の先生だったよね? なんでここに?」

 

意外にも蘭豹を知っていた有希子は、なぜ椚ヶ丘中の文化祭にくるのか不思議がっていた。

つか、今有希子たちを見た先にあり得ないものを見たぞ。

 

「それはまああれだ……交差点の向こうを見て察してくれ」

 

俺は笑いをこらえる意味でも顔をそらしつつそっちを指さす。

 

「消去法的に烏間先生かな?それなら確かにマズいよね。特にビッチ先生とか」

「……あれ、本当に蘭豹先生なの?」

 

凛香、その気持ちは俺も一緒だが口に出すな。向こうが気づいてなから良かったものの聞かれたら問答無用でジャーマンぐらいは仕掛けてくるぞ。

交差点にいたのは、ガチガチに緊張し、必死に『これでイチコロ♡男性を落とす100のテクニック♪』という本を読む蘭豹がいた。

服装はいつものタンクトップにカットジーンズではなく、タートルネックのセーターにロングスカート、そして時期としては少し早いがストールも羽織っている。

しかも普段はしない化粧を薄くしており、髪型も適当にまとめたポニーテールではなく三つ編みで一括りに纏めている。

賢さアピールなのか伊達メガネかけ黙っていたら美人な為、率直なイメージは文系の美女だろうか。

誰の入れ知恵なのか普段の様子とは真逆の恰好なのだ。

 

しかも藍豹は指定しきた時間の3時間も前からここにいるのだ。

俺が朝から武偵高の制服を着ているのも、早く来たから迎えに来いという蘭豹直々の命令のせいである。

 

「お、遠山こっちや。って、なんや速水と神崎、それに遠山妹も一緒なんか」

 

こっちに気づいた蘭豹が手を振ってるが……ん、待て、普通に今スルーしたが遠山妹だと⁉

 

「律?」

 

思わず該当する人物を見ると、律はテヘッと舌をチロッと見せ、バレちゃいましたかとあざとい仕草をしてくる。

不覚にも可愛いと思ったがヤバイ、俺が入院中の間にガチで律が外堀から埋めにきているぞ。

そのうちいろいろ偽造しだして気づいたら「法的にも兄弟ですよ、お兄ちゃん!」なんて言い出しかねん。

現状を確認して、手を打たないとヤバイぞ。

 

「律、これどこまで広めたんだ」

「お兄ちゃん顔が怖いですよ。それと質問ですが、お兄ちゃんの知り合いは全員伝えましたよ。後はおじいちゃんたちが認めてくれたら完璧です。ブイッ!」

「ハハッ……マジかよ」

 

いや、ブイッじゃねーよ!

なあ律さんや、行動力ありすぎじゃないですか?

 

「なあ速水、なんで急に遠山はこの世の終わりみたいな顔してるんや?」

「……そっとしといてあげてください」

「そうか、まあええわ。それと遠山、別に椚ヶ丘の制服で良かったんやぞ。お前の任務内容は今日来る教師全員が知ってるし」

 

は?

どうやら律の件がショックで聞き間違えたらしい。

確かコレ国家機密で秘匿任務だったよな?

例え教師だとしても、バレたらマズイってことで俺は必死に報告書を作成してたんだが。

 

「聞き間違いだと信じたいんだが、確か任務の守秘義務云々はアンタから教わったはずだよな?」

「お前の暗殺任務は色々あるんや。まあ今日の学園祭でその事が分かるからさっさとE組まで案内せい」

 

そう言ってニヤッと豹のような目で笑いながら、俺の背にM500を突き付けてくる蘭豹。

有希子や凛香が急に出てきた銃に焦るなか

 

(ああ、やっぱり見た目は変わっても蘭豹は蘭豹なんだな)

 

と律の件や任務内容の漏洩などによる精神的疲弊を感じつつ、何故かいつもの日常のように感じ安心感が沸き上がったのだった。

 

 

 

E組の校舎に着くと皆はもうついており、案の定蘭豹を見て全員が集まりだす。

 

「おいおいおい、キンジ。誰だよこの美人のお姉さんは」

「そうだぞ、キンジ。学園祭が始まる前からナンパか?俺たちにも紹介しろよな」

「あとで教えるから今は黙ってろ!」

 

俺に纏わりつく岡島や前原を振り払いつつ、烏間先生を探していると……見つけた。校舎近くでビッチ先生と話しているな。

 

「烏間先生少しいいですか?」

「ん?遠山君か、そちらの方は?」

「お初にお目にかかります。東京武偵高校 強襲科教諭の蘭豹 18歳です」

 

いや誰だよ⁉思わず鳥肌が立ったぞ。

いつもの関西弁で凶暴な蘭豹はどこ行ったんだ⁉

もはや猫かぶりを通り越して、全くの別人になってんぞ‼

 

「君があの蘭豹君か、なぜここに?」

「はい。先生のご教育に興味があったのと、お知りかと思いますが()()()についての武偵高で集めた情報の共有をと思いまして」

「それはありがたい。今は生徒が準備をしている、教員室で詳しく聞こう。イリーナ、生徒は任せるぞ」

「ちょっとカラスマ⁉ 「……フッ さあ行きましょう烏間先生」ッ‼トオヤマ、何あの女は‼」

 

蘭豹が勝ち誇った顔をして中に入ると、ビッチ先生が俺の胸倉をつかんでブンブンと振り回してきた。

 

「さっき本人が説明してただろ、武偵高の教師だよ」

「そう言う意味じゃないわよ!アイツの目、獲物を見る目で見てたわよ!アンタたちで私とカラスマをくっつけようとしてたのに、なんで紹介してんのよぉ」

「ビッチ先生落ち着け……俺もすまんとは思ってるがあの時は命がかかってたんだよ」

 

あの時は秒読みで体罰送りで廃人コースが見えてたんだよ。

 

「うー、また烏間先生を狙う人が増えたー」

「いやーとうとうビッチ先生にもライバルができたのかー」

 

いや倉橋に中村、そんな吞気に言ってないでビッチ先生を止めてくれよ。

チラッと皆の方を向けば有希子と目が合う。

有希子なら俺が仕方なく行動したって分かるよな?

 

「今回はキンジ君が悪いからしばらくビッチ先生をお願いね」

「ちょっゆき「トオヤマ~‼」だー!だから落ち着けって言ってんだろ‼」

 

 

 

 

 

「おい聞いたか岡島、年上の文系お姉さんだぞ。後で声かけてみよ―ぜって岡島?」

「……前原、悪い事は言わねぇ。やめとけ、あの人だけはマジでやめとけ。聞いてビビんなよ、あの先生はだな『ドゴッ‼』うっ……なんで速水が殴るんだ……よ」

「気になる人の前で良い印象を与えたいって気持ちが分かるからよ、良いから黙っときなさい岡島」

「岡島ーー⁉」

 

かたやビッチ先生が狂乱し、ある生徒は踏まなくていい地雷を回収するなど、グダグダとしているうちに第11回椚ヶ丘中学校学園祭が幕を開けるのだった。

 




(デレマスの鷺沢文香を見つつ)文系美女いいよね





次回、女豹VS雌豹 開戦!

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