殺せんせーの暗殺から1週間ほど過ぎ、俺はこの中学校生活に慣れ始めた。
まあ、ビッチ先生の授業は聞くも見るもヒスりそうなものばかりの為さぼるか寝てすごしている。何回かビッチ先生に当てられ公開ディープキスの刑になりそうだったのだが銃で脅す→凛香に秋水をくらうという流れが毎度おこり、俺が吹き飛ぶのが3-Eの日常化としている。
クラスのやつとはあれから仲良くなり男子や殺せんせーにはキンジと呼んでもらって、つどつど射撃のアドバイスを求められたりしている。
そんな何気ない毎日を過ごしていたある日
「修学旅行?」
「そう、来週からあるから班が決まったら学級委員の私か磯貝君に報告してね」
どうやら京都に行くらしく、そこでも暗殺(狙撃)を行う為殺せんせーを誘導させるのが俺たちの仕事らしい。
それにしてもどこの班に入ろう……無難に凛香達の班に入れてもらおうか……
そんなことを考えていると、ちょうど凛香もこちらに来た。
「……キンジ、修学旅行の班決まった?」
「いや、まだだ。よかったら凛香の班に入れてくれないか?」
「別にいいけど……」
凛香に了承をもらい班に入れてもらう。
? 凛香はなぜか小さくガッツポーズをしている。
班のメンバーは、凛香の他に、中村、不破、千葉、菅谷、岡島、三村だ。
「修学旅行の班別行動どうする?」
三村がリーダーらしく仕切っている。
「はーい、映画村は?」
中村の意見は映画村か…殺陣をやっているところを狙えばいけるか……
「殺陣を激しくしてもらって、殺せんせーが見ているところを狙い撃ちにしてもらえばいいんじゃないか?」
俺と同じ考えだった千葉の発言に全員が賛成して、暗殺場所として1つは映画村に決まった。
「星伽神社にも行きてーな。あそこには美少女巫女がいっぱいって噂らしいぜ」
岡島……お前は修学旅行に行ってまで何をしたいんだ……
京都にあるのは分社のほうだったよな。
岡島が言っているのは山の麓の神社のことだ。
だいたいの巫女達は山奥のほうにある一般に開放されてない社にいるはず。
「ちょうど2日目の日はそこで神楽舞やってるみたいよ」
不破のこの発言でみんな行く気満々になってしまい、多数決の結果俺以外賛成だったため星伽神社が2日目の暗殺場所に決まってしまった……
白雪はいないと思うが知り合いがいるかもしれない場所に中学生として行くのか……
他の班も行く場所を決めているみたいだが、なぜか1班のところでビッチ先生がデリンジャーを持ってギャーギャー騒いでいた。
「こんなところで銃を振り回すな、ビッチ先生」
「うるさいトオヤマ!このガキどもに1発ぶち込む!」
武偵高のノリかよ、ビッチ先生……
生徒の制服、防弾制服にした方が良いんじゃないか……
「まったく、3年生も始まったばかりのこの時期に修学旅行とは片腹痛い」
ビッチ先生からデリンジャーを取り上げたところで、殺せんせーが教室に入ってきた。
さすがに殺せんせーは浮かれてないみたいだな。
「先生はあまり気のりしませんね」
『ウキウキじゃねーか!』
訂正、浮かれていた。
大量の荷物を詰めたリュックを持ってきた殺せんせーの浮かれように、思わずみんなツッコんでしまう。
てか荷物多すぎだろ……なんでこんにゃくや雲形定規があるんだ……
「先生……なんでネギやニンジンがあるんですか?」
凛香もリュックに入ってるものに疑問が出たみたいで質問する。
「修学旅行に必須だからです。」
『それが必須の修学旅行なんてないから!』
また全員でツッコむ。殺せんせーにツッコみをいれるたびに、クラスの団結力上がっている気がするな……
「実は先生も君たちとの旅行が楽しみで仕方ないんです」
そろいもそろって先生達は旅行で浮かれているみたいだ。
「では計画を立てている皆さんにこれを配ります。1人1冊です」
そういって配ったのは広辞苑より厚い本だった。
なんなんだ、これは……
「修学旅行のしおりです」
『辞書だろこれ!』
今日はツッコみが多い日だな……
「イラスト解説の観光スポットからお土産人気TOP100、旅の護身術入門から応用まで。徹夜で作りました」
「テンション上がりすぎだろ!」
「初回特典は組み立て紙工作の金閣寺です」
「無駄に完成度高けぇ!」
周りがツッコみをいれるなか、試しにペラペラとめくってみると、『五重の塔が倒れてきたときの対処法』や、『京都で買ったお土産が東京のデパートで売っていた時の立ち直り方』などが書いてある。
何手先まで考えてんだ、殺せんせーは……
放課後、補習と訓練が終わり待っていてくれた凛香と一緒に帰っている。
「……キンジはなんで星伽神社は反対だったの?」
「あー、暗殺場所としては別に良いんだが知り合いに会うかもって思ってな……」
「知り合い?」
「凛香には言ってなかったか?白雪っていうもう一人幼馴染がいて、そいつの実家が星伽神社なんだ。まあ、京都にあるのは分社なんだけどな」
「ふーん……その子は今も星伽神社にいるの?」
「いや、今は俺と一緒で東京武偵高にいるぞ」
その瞬間、凛香は固まった。
「……一緒に暮らしてるとかはないでしょうね」
「それはない。俺がアレもちなの知っているだろ?たまに飯を作ってもらうぐらいだな。」
「!?……ご飯を作りに来る……通い妻……」
凛香が小声でブツブツと何か言っている。
「り、凛香?」
「何でもない。けど1発殴らせて」
そう言って秋水で殴られる。
(やっぱり、女子はよくわからない生き物だな……)
そんな他人事のように考えながら、いつものようにおれは吹き飛んだ……
次回からin京都です。
いったい何雪さんがでるんでしょうね…