哿の暗殺教室   作:翠色の風

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さてデート回です。
と言っても放課後デートなので短いです。



日間23位に入っていて、嬉しさから部屋で発狂してしまいました。


21弾 デートの時間

プール、それは俺にとってかなり厄介なものだ。

泳げないとかそんな理由ではない。

 

「凛香ちゃん、パース」

「倉橋、いくよ」

「アターック」

 

(131.137.139.149……)

 

ヒスる危険がいつも以上に上がるからだ。

殺せんせーによる補習が役に立っているのかまだ素数は数えれる。

 

必死に目をつぶって落ち着かせていると、誰かがやってきた。

 

「キンジ何で目を閉じて突っ立てんだ。見てみろ桃源郷はここにあるぞ」

 

岡島だった、そちらを見るとプールに入らず女子主に矢田や中村などクラスでも胸が大きい奴を必死に撮っている。

 

「バカやってたら、凛香とかに殴られんぞ」

 

一応やめとけと言ったがコイツはやめないだろう。

岡島とのやりとりで落ち着いた俺はプールに入ると茅野が浮き輪に乗ってため息をついているのが見えた。

 

「どうしたんだ茅野?」

「あ、遠山君、泳ぎが苦手だからちょっとね。それに体のラインもハッキリしちゃうし……」

「そ、そうか」

 

後者の悩みはノーコメントだ。

 

「大丈夫さ、茅野。その体もいつかどこかで需要あるさ」

 

岡島が耳聡く茅野の言葉を聞き、二枚目面していた。

 

「岡島……」

「岡島君……」

「どうした2人とも哀れんだような顔をして?」

「「後ろ見て(みろ)」」

 

岡島の後ろには背後に鬼を纏う凛香がいた。

哀れ岡島、白雪に会ってから凛香はそういう話題に敏感になったからこの展開は読めていた。

茅野と2人で合掌していると

 

ゴスッッ‼

 

岡島は秋水気味に蹴り飛ばされ、プールに落とされた。

 

(たぶんカメラも壊れたな)

 

岡島を哀れんでいると笛の音が聞こえる。

 

「速水さん!プールに落とすのは危険ですよ!」

「……すいません」

 

少しふてくされているがこれは凛香にも非があるから仕方ない。

 

「原さん、中村さん溺れると思いますので潜水遊びはほどほどにしてください!

狭間さんは本ばかり読まず泳いで! 菅谷君、ボディペイントは禁止です!」

 

笛の音が鳴りやまず、殺せんせーは小さいことまで注意してくる。

 

⦅小うるせぇ⦆

 

笛吹きすぎだ先生。

 

「いるよねー自分が作った中だと王様になるやつ」

「ありがたみがうすれるな……」

 

中村、杉野が言って全員がため息をつく。

そんな中、倉橋が殺せんせーに近づき

「カタイこと言わないでよ殺せんせー。水かけちゃえ」

「キャン」

 

……なんだ今の悲鳴

何か察したカルマは先生が座っている監視台を揺らしはじめた。

 

「揺らさないで水に落ちるぅ!」

 

もしかして先生……泳げないのか?

これは暗殺に使えるぞ。

クラス全員が使えると確信したあと、茅野がプールで溺れるという小さな事件が起きたが片岡が助けた為何事もなく解決した。

その後片岡が殺せんせー水殺を提案し、クラスの士気が上がったところで今日の授業が終わった。

 

 

 

 

 

放課後になり補習の課題を受け取った俺は凛香のところに向かう。

 

「今日は早いのね」

「殺せんせーに無理言って補習の課題だけ渡してもらったんだ」

「そうなんだ、律はどうしたの?」

「ん? 律はタイム計測してほしいってことで片岡のところにいったぞ」

 

なぜそこで律が出てきたんだ?

 

「じゃあ、さっそく行きましょう」

 

そう言われ凛香と共に買い物をしに街に出かける。

着いた場所は映画館だった。

 

「凛香……買い物するんじゃなかったのか?」

「ッ! や、矢田に()()()()もらったの。時間もあるからついでよ!」

 

たまたまを強く強調してきた凛香に引っ張られ、映画を見ることになった。

映画の内容は女子らしく恋愛映画かと思ったがまさかの俺が好きな007シリーズだ。

 

(凛香アクション系好きだったか?)

 

映画が終わり、本来の目的である買い物に向かった。

 

「凛香も007見るんだな」

「まあね。キンジが……って言ってたし……」

「え?」

「何でもない! 着いたし早く買い物するわよ!」

 

そう言って凛香は店に入って行った。

もしかして俺が好きだからあの映画を選んだのか?

凛香を追いかけるように店に入る。どうやら新しい夏服を買うようだ。

 

「じゃあ、私は選んでいるからキンジは少し待っていて」

 

そう言われ俺は贈り物を考える。

今日7月12日は凛香の誕生日なのだ。

 

(服は詫びとして買うのだから別の物を送らないとな……)

 

そんなふうに考えていると気づけば目の前に凛香がいて、俺は固まった。

凛香は制服ではなく黒のノースリーブに縦縞の入ったスカートを穿いていた。

どうやら試着したみたいだが、普段より大人っぽくなった幼馴染に正直にいえば見とれていたのだ。

 

「キンジ?」

「! な、なんだ?」

「これどうってさっきから聞いているんだけど?」

「い、いいんじゃないか」

 

見とれていたことが恥ずかしく言葉がどもってしまった。

それがおかしかったのか凛香が少し笑いながら

 

「じゃあ、これにしようかな。会計お願いね」

 

そう言って試着室に戻っていった。

凛香の着替えが終わり、会計をすまして店を出る。

 

「これからどうするんだ?」

「そうね……ノドも乾いたしどこかお店に行かない?」

「確か、近くにファミレスがあったな……そこでいいか?」

「うん」

 

次の目的地も決まったことだし、先にプレゼントでも探すか

 

「凛香、先にファミレスに行ってくれ。財布の中が少ないし金を卸してくる」

「わかったわ」

 

凛香に適当な理由を言って俺はプレゼントを探しに行く。

しかし、これといって良いものが見つからない。

 

「女子に贈り物なんて何を送ればいいんだ?」

 

思わずそんな事をつぶやくと、花屋の店員と思わしき男がこちらに手招きをしている。

 

「女子に贈り物って聞こえたんだけど、何を送ればいいか困ってるのかな?」

 

どうやら俺のつぶやきが聞こえたみたいだ。

俺1人じゃどうにもなりそうにないし、この人に相談してみるか

 

「そうなんです。年下の幼馴染に何送ればいいんだって」

「それなら花はどうかな?」

「花ですか?」

「花をもらって喜ばない女の子なんていないからね」

 

俺にはよくわからんが花屋が言うんだ。そういうもんだろう。

 

「じゃあ、1束お願いします」

「OK。こっちで見繕っていいんだね?」

「はい」

 

そう言って、花屋の男に少し枯れた白いバラの花束を作ってもらった。

 

「それ少し枯れてますが?」

「むしろ白はそっちのほうがいいんだよ。頑張れ少年」

 

俺は花に詳しくないため花屋を信じるしかなく、少し枯れたバラの花束を持ってファミレスに向かうのだった。

 

 

 

 

花束を持ってファミレスに着くと案の定凛香に

 

「どうしたのそれ?」

 

と花束について聞いてきた。

 

「いや、今日凛香の誕生日だろ。それで用意したんだ」

「覚えてたんだ、私の誕生日」

「当たり前だろ、改めて言うとなんか恥ずかしいな……誕生日おめでとう凛香」

 

そう言って花束を渡すと、凛香は花束が少し枯れた白いバラだった為か驚いている。

 

「意味わかってるの、キンジ?」

 

意味ってどうゆうことだ?

ここで分からないと言うのも恰好がつかない。

 

「当たり前だろ」

 

そういうと凛香は一瞬で顔を赤くする。

過去最速の赤面スピードだな。

 

「けど、まだこういうのは早いし……」

 

花束に遅いや早いとかあるのか?

 

「いつだったらいいんだ?」

「え……ら、来年」

 

知らなかったな、花束に渡す時期みたいなものがあるなんて

花屋の男はそんな事言わなかったんだが

 

「じゃあ、来年も同じ花を送れば受けとってくれるか。」

「うん……」

 

花束を渡してから別人のようにしおらしくなったが、これで来年に送るものを考える必要がなくなったな。

その後凛香は、下を向きつつ小声で

 

「あ……えっと…ふつつかものですがこれからよろしくお願いします」

 

今回は小声だがしっかりと聞こえた。

きっと背中を預けるパートナーとして言っているんだろう、なら俺もちゃんと答えないといけないな。

 

「おう、これからも頼むな」

 

そう返事を返すと突然周りから拍手が送られる。

なんだ、突然⁉

ここは誕生日を祝うサービスでもしているのか⁉

よく見ると、殺せんせー、茅野、渚、片岡がいた。

 

「まさか、ここまで進んでるとは先生も思いませんでしたよ」

 

何が進んだんだ殺せんせーよ。

茅野も「速水さんがツンデレからデレデレになってる」とか言ってるが日本語でしゃべってくれ、何言ってるか分からん。

他のヤツらも口々におめでとうなど言っている。

良かったな凛香、皆に祝ってもらって。

恥ずかしくなったのか凛香はもう帰ろうと言ってきた為、俺達は帰ることにした。

凛香は家に着くまで何故か花束で顔を隠して様子が分からなかったが、たぶん喜んでくれただろう。

翌日なぜか俺にもおめでとうと言ってくるヤツらがいたが、俺の誕生日は確かに今月だがもう少し先だぞ?




余談ですが白いバラの花言葉には「私はあなたにふさわしい」があり、枯れた状態だと「生涯を誓う」と言われています。

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