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少し文章の追加、変更をしました
いつも通り体育の授業で烏間先生による指導を受けていた時に、硝煙とここに来てから久しく見てない血が混じりあったような臭いが漂ってきた。
(新手の殺し屋か……)
授業内容であるナイフの素振りをしつつ、目だけで探していると森のほうから殺気が2人分感じる。
(あれはビッチ先生と……誰だ?)
たぶん、硝煙と血の臭いがするのはあの厳つい顔の男だろう。
しかし暗殺者のクセに殺気を出しすぎじゃないか?
ビッチ先生なんか顔を恍惚とさせて得物を舐めてる。
あれじゃあ、殺し屋というよりただの変人だな。
あまりにも殺気が出ているため他の人も気づき、疲れた顔の烏間先生にあの2人のことを聞く。
どうやらあの男はビッチ先生の師匠らしく、ビッチ先生の残留をかけてどっちがはやく烏間先生に一撃を入れるかの勝負をしているらしい。
〘烏間先生、苦労してるなぁ 〙
ほんとご愁傷様です。
「君たちには迷惑はかけないから。普段通り過ごしてくれ」
烏間先生のこの一言で体育の授業が終わった。
着替えに行こうとした所でビッチ先生がやって来た、仕掛けるのか?
「お疲れ様でしたぁ。ノド乾いたでしょ?冷たい飲み物用意したから呑んで〜」
〘 絶対に何か入れてる……〙
ビッチ先生……知人にハニートラップが効かないのは分かるが、それはあからさま過ぎるだろ……
その後ビッチ先生はこけたフリをして烏間先生の油断を誘おうとしてるがもちろん無視された。
「ビッチ先生、流石にそれは俺達でも騙されないよ」
「磯貝、それは仕方ないぞ」
「何で仕方ないんだキンジ?」
「ハニートラップとかの色仕掛けは素性を知らないから効くんだ。知人にやろうと思ったらそれこそ変装とかしないと厳しいな」
「そうよ、今の状態は例えるならキャバ嬢やってたら偶然来た客が父親で気まずくなった状態よ!」
〘中学生が分かるわけないよ……〙
こんなんでビッチ先生大丈夫なのか?
俺は着替えた後、事前に殺せんせーから頼まれていたプリントを職員室に取りに来る。
「失礼します。頼まれていたプリントを取りに来ました。」
「ああ、キンジ君ですか。ではこれをお願いします。」
殺せんせーからプリントを受け取りつつ烏間先生の様子を見てみる。
(やっぱり、いつでも対処出来るように常に警戒しているな。俺があの人の立場なら途中で集中力が切れてしまうだろうな)
そんな分析をしていると、突然ドアが開きビッチ先生の師匠が正面から仕掛けてきた。
「……」
烏間先生はイスが邪魔にならないように引くが途中で何かにつまずきその場で倒れる。
それを見たビッチ先生の師匠はニヤリと笑ったあと、対殺せんせーナイフでノドを突き狙った。
これが俺などの並の人間なら終わっただろうが今回は相手が悪かった。
烏間先生は素早く得物がある手を持つと、人間1人を片手で振りかぶって床に叩きつけた。
その後、所持していた拳銃を相手の眉間にあてる。
「……今のが模擬戦闘じゃ無ければ、眉間に穴が空いてたぞ。」
今回暗殺されるのは公安0課の人間。
この国で最強に位置する人間がこんな程度の攻撃で殺られるはずないのだ。
叩きつけられたビッチ先生の師匠はあまりの衝撃で気絶してしまい、他の職員室にいた人達はというと
「「「……」」」
烏間先生の圧倒的な対処にその場で固まっていた。
烏間先生は殺せんせーとビッチ先生の方を見て
「分かっているんだろうな、もしも今日殺せなかったら……」
「ひ……ひぃぃぃ」
烏間先生から今まで感じた事のない殺気を感じ、ビッチ先生は思わず悲鳴が出てる。
殺気を向けられてない俺でさえ背中から冷や汗が出ている。
「ひぃぃぃぃぃ」
何でか分からないが殺せんせーまで青い顔をして震えていた。
あの殺気をくらっても殺ってやると言っていたビッチ先生だが、あの後は特に何も仕掛けずそのまま昼休みになってしまった。
ビッチ先生の事が気になり俺、凛香、矢田は木の近くにいる烏間先生を見ながら外で昼飯を食べてる。
「ビッチ先生、大丈夫かな……」
「そもそも公安0課の人に暗殺する事が無謀だと思うけどな」
ビッチ先生を心配する矢田に、先程職員室でのやり取りを見てしまった俺は正直に思った事を言う。
「「公安0課?」」
矢田と凛香は知らないようで首を傾げている。
「日本で人を殺す事を許された国内最強の公務員だ。烏間先生も公安0課だぞ」
「私達そんな人に暗殺を教えてもらってたんだ……」
そんな会話をしているうちに穏やかな時間が終わる。
「ビッチ先生今から仕掛けるみたい」
ビッチ先生もどうやら正面から挑むようでナイフを持って烏間先生にゆっくりとだが近づいていく。
無謀だ、ビッチ先生の技術は俺から見てもせいぜい生徒と変わらないぐらいだ。
「ビッチ先生……」
「あれでは無理よ……」
横にいた2人もこのままでは無理な事が分かってしまい、さっき以上に心配している。
「ねーえ、殺らせてよカラスマ〜?」
ビッチ先生は上着を脱いで色仕掛けを仕掛け始めた。
でもダメだビッチ先生、それは通用しない。
少し遠いため、あまり聞き取れないが烏間先生は諦めた振りをして一撃を狙っている。
ビッチ先生は烏間先生のもたれていた木の後ろに回り込んだ。
「!?」
その瞬間、烏間先生の体制が崩れた。
「え?」
「何が起きたの?」
俺達の位置からだと烏間先生が突然理由もなく倒れたように見えたため、凛香と矢田には分からなかったのだろう
「ワイヤートラップだ」
どうやら、さっきのビッチ先生の色仕掛けを見てしまった俺は甘くヒステリアモードにかかっていたらしく仕掛けがすぐに分かった。
やるじゃないか、イリーナ先生。
「いつ仕掛けたの?」
「あの色仕掛けのときだ凛香、あれでカムフラージュして烏間先生の足に仕掛けたんだ。」
説明しながらその後の様子を見ていると、烏間先生は馬乗りに乗られたビッチ先生の一撃を最初は抑えていたが、急に諦めたかのように一撃を受け入れた。
「やったー、これでビッチ先生は残留だよね」
イリーナ先生の残留が決まり、喜んだ矢田はイリーナ先生に向かって走り出し抱きついた。
その側にいた烏間先生に俺は疑問に思った事を聞く。
「なんで最後の一撃を受け入れたんですか?
烏間先生ならあのまま防ぎきれたはずでは?」
「まあ、少し思うところがあってな……」
どうやら、言葉にしなかったが烏間先生もイリーナ先生の事をここに必要だと思ったみたいだ。
向こうからイリーナ先生の師匠がやって来た。
「烏間先生にやられたのは、もう大丈夫なんですか?」
「ああ、歩く事ぐらいは出来るくらいには回復した。君は……」
「ここの生徒の遠山金次です」
「遠山……それに名前に金の文字……不躾であれだが君の親戚に遠山鐵という人物はいるか?」
「ええ、祖父の名前がそうです。」
「ククッ、まさか
ダイハード?じいちゃんのことらしいがなんなんだ?
「ダイハードって映画のあれじゃないよね?」
俺達の会話が聞こえたのか教室から覗いていたカルマが聞く。
「アメリカがつけた二つ名だ。昔300人の兵士の進軍を1人で食い止めたらしい。」
〘 ああ、キンジ(遠山)の人間離れは遺伝だったんだ〙
何やら失礼な事を言われたような気がする…
あとじいちゃん、何とんでもないことやっていたんだよ……
イリーナ先生は師匠がいた事に気づきこちらに来た。
「出来の悪い弟子はここで先生でもやってたほうがマシだ……ここで色々学んで、必ず殺れよイリーナ」
「はい!師匠」
まあ、いろいろあったがこれで一件落着だな。
「キンジ、ビッチ先生で
……どうやら俺だけもうひと騒動あるみたいだ
明日の投稿は難しそうです
あと次回はオリジナル回にしようと思います