狩人様は神喰いに。   作:zakuzaku

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お久しぶりです。最近忙しくてまともに小説書けてません。
ですが流石にこれ以上放置していると、そのまま書く気起き無いまんまだと思います。

なので引っ張り出してきました。

暗い世界観ぶち壊しの第1話初期案。
内容はGE要素ゼロのただのブラボなので、本編とは全く以て無関係。
もはやスピンオフでも何でもない、ただの没作品となっております。

それでも読んでもいいという方はどうぞ。


4周目の狩人

―――ものは言い様、という言葉がある。まさしくそれが俺に当てはまってしまったわけだ。狩りを続けることがいつかは俺の目的に重なる。その意味をやっと理解できた。

 

 

「□□□□□□ーーーーーーーッッッッ!!!」

 

 

不服か?そうだろうな、欲しい力が目の前にあるのにそれを得られないなんて、上位者のお前からしたら歯痒いに決まってるだろうな。

 

 

「#%コ*&ロ:*:/ス#&:*<#!!!!」

 

 

・・・ああ、今じゃ何となくお前らの言葉も分かるよ。白痴の蜘蛛と乳母の血を啜ったんだから当然か・・・・・まあ、既にどうでもいいことだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・どの道、狩るのは変わらん」

 

 

 

 

その日を境に、獣狩りの夜は幕を閉じる。

そして、物語は幼年期へ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・で、結局こうなるのか」

 

 

嘆息混じりに俺は目を開けた。視界に広がるのは薄暗い天井。いい加減にしてもらいたいものだ。

ここはヨセフカの診療所。無知で無害な医者の診療所・・・今のは少し酷い言い方だったな。ともかく、ここで俺はよくわからん血を輸血されて、獣を狩り、血の意志を啜る狩人になった。

 

 

「俺が上位者になろうとしても駄目か・・・」

 

 

現在俺は不可解なことに巻き込まれている。いや、既にずっと前から現在まで巻き込まれていると言った方が正しい。さっき言った通り、俺は狩人になった。そしてある人間から指南を受け、獣狩りを全うし、獣狩りの夜から解放された。まあ、この解放については色々意味があるんだが・・・とりあえず今はそのままの意味で受け取ってもらっていい。それで獣狩りの夜を解放されて・・・再度ここで目を覚ましたんだ。意味がわからなくて混乱すると思うが、簡単に言えばタイムループしたのだ。輸血されて目を覚ましたこの瞬間まで。当然最初は長い夢だったのだと思った。しかしどうだろう、多少力は衰えど、獣を狩る動作の全てがしっかりと体に刻み込まれていた。夢で体に染みこんだ血生臭さも残っており、「全てが夢」で片づけることなど出来ない。

 

 

「何か原因があるんだろうなぁ・・・何がダメなんだろう」

 

 

1度目はゲールマンに夢から解放され、2度目はゲールマンを殺し、3度目は元凶である月の魔物をぶち殺した。ついでに、古狩人たちの尻拭いもしたというおまけ付きで。俺が宇宙の頂点に君臨するために化け物になるとかいうぶっ飛びENDだったけど、それでも足りないらしい。結局のところまたここに戻ってきたのがその証拠だ。

 

 

「・・・ま、ここでうじうじ考えてても仕方ないよな」

 

 

診療台から腰を上げ、きしむ床に着地する。毎度思うが、なんでこの診療所は所々整備されてないんだ?床抜けそうでハラハラする。

 

そんなどうでもいいことを考えながら、俺はヨセフカの診療所を後にした。途中の獣?慈悲の刃でステルスキルしてやったよ。元は人間だからね、できるだけ苦痛は少なくして殺すのが俺のモットー。痛みも感じぬまま死ねるんだから多少はマシなはず・・・だよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ハワーイハワーイ!」」」

 

「うるせぇ」

 

 

燃やされてたまるか。俺は持ってた仕込み杖を変形させてぶん回す。なんやかんやでこれが複数相手するとき一番楽だ。ヤーナム市街にいる大抵の市民はこれで片が付く。そんなこんなでヤーナム市街で俺が最初に死にまくった場所、通称「焚き火エリア」をなんなく突破。その後、少し進んだ場所にてあるものを使う。

 

 

チリンチリーン・・・

 

 

空気が揺らめき、何もなかった場所に物体が現れる。それが何なのか俺は知っている。

 

 

「・・・どうも、神父さん」

 

「貴様が・・・夢の主か?」

 

「そうっすよ」

 

「ふん・・・」

 

 

やっぱ苦手だわこの人。そもそも獣狩りをしているやつらにまともな人間がほとんどいないのが問題な気がする。

俺が使ったのは「古狩人の鐘」だ。これを使うと、俺の世界線・・・正しくは夢の中に他世界の狩人を引き込むことが出来る。どういう原理かは知らないが。

 

 

「・・・で、何用だ。見たところ狩人のようだが・・・獣狩りの手伝いをしろというのか?」

 

「・・・まあ、そうです。よろしくお願いします」

 

「よかろう。だが、言っておく。貴様が我を忘れ、獣と化したとき・・・その時は容赦なく狩らせてもらう」

 

「はぁ、了解です」

 

 

そのまま言葉を返してやりたい。この教会の狩人、ガスコイン神父は俺の世界にも存在する狩人だ。だが、恐らくもう獣化が始まっているころだろう。外見はそこまで変わっていないにしても、獣を狩るうちに血に飢え、人と獣の区別がつかないレベルまでに至り、獣と化し、俺に狩られたのが彼の最期だった。血を恐れる心を決して忘れてはいけない。血に酔うことがあっても、飲んでも吞まれるな。吞まれたが最後、永遠に血を求め彷徨う獣と化す。まあ、要は酒と一緒ってことだ。「匂い立つ血の酒」なんてものが出来て、市外に出回っていること自体が間違いだ。

 

 

「何をしている。早く案内しろ、どいつを狩ればいい?」

 

「・・・・・こっちです」

 

 

会話を中断し、移動を始める。階段を上り、大橋の上に到着する。犬二匹を適当に処理した後、そのまままっすぐに橋を進む。

 

 

「恐らく、あなたはこの先の獣を狩り終えれば、元の世界に帰れるでしょう。死なないでくださいよ?」

 

「ふん・・・抜かせ。見るからに新人のような貴様に遅れをとるほど、このガスコインは弱者ではない」

 

 

感覚と知識と体質は上位者を狩った化け物ですけどね。自分で言うのもなんだけどさ。そんなこんなで俺と神父は途中で立ち止まる。奴が姿を現す―――。

 

 

「どうしてこうも・・・聖職者ってのはおぞましい変貌を遂げるんだろうねぇ」

 

「ふん、こいつは・・・なかなかの獲物じゃあないか」

 

 

化け物を前ににんまりと笑みを見せるガスコイン神父。

危うい。すでに血に飢えている者の笑み。そんな彼をさしおき、突貫する。

 

 

「足元がお留守だ、聖職者さんよ」

 

 

思い切り持っている仕込み杖を右膝に突き刺す。それに対して甲高い雄たけびを上げて異常に肥大化した左腕を振り回す獣。だがどうだろう、そこに残るのは深々と突き刺さった仕込み杖のみで誰の姿もない。

 

 

「遅い」

 

 

獣がこちらの場所を把握したのは、俺は既に後ろから左膝を「千景」で斬りつけた後だった。膝カックンの要領で膝をつくように体勢を崩す獣。いきなり大きな隙ができる。言い忘れてたけど、最期に身に着けていた装備と、所持品はループで目覚めたときにも持っているのだ。ついでに体質も最期のまま。どうなってんだ本当に。

 

 

「―――少しは、やるようだ」

 

 

瞬間、獣の頭上にとてつもない衝撃が走る。神父が変形させた長斧で思い切り叩き付けたのだ。

あれめっちゃ痛い(体験談)。

 

 

「ぬぅあ!!」

 

 

そして斧を刺しっぱなしにした上で、伏せている脳天に追い打ちをかける。我々狩人が獣に対して最高レベルのダメージを与える技、内臓攻撃。文字通り相手の体内に手を突っ込み、内臓を引き裂くがごとく傷口を広げながら引き抜く。うん、これはエグイ。

さて、そんなことをされてもよろよろと立ち上がる獣。さらに一鳴きすると、凶暴性を増してこちらに突っ込んでくる。

 

 

「・・・所詮獣だな、本当に」

 

 

突っ込んでくる獣に対して、動かず、持っている愛銃(エヴェリン)で照準を定め、引き金を引く。弾丸は獣の眼球を抉りぬくように貫通する。途端に視界を奪われた獣は、俺の右脇をかすめるように通り過ぎ、倒れこむように体勢を崩した。俺の血質なめんな。

 

 

「クハハッ・・・血まみれのその鼻じゃあ匂いも分かるまい」

 

 

愉快そうに獣を見つめる神父。そして立ち上がろうとする獣に対して突進する。彼の獲物であるハルバードは変形により短くなり、地面にこすりつけるようにしながらさらに加速する。

 

 

「ぅるぁぁッッ!!!」

 

 

アッパーカットのようなカチ上げがまたも頭部を捉える。致命傷の傷口からは噴水の如く血が吹き出し、教会の神父の服を赤黒く染めた。それでもまだ立ち上がろうともがく獣。このまま放置してもいずれは息絶えるだろうが、獣と相対した狩人に「慈悲」の二文字はない。

 

 

「これで終わりだ―――」

 

 

自分の血を大量に鞘に流し込み、刃を納刀。これでもかと言うほどに血を吸わせる。そして―――。

 

 

「―――抜刀」

 

 

紅緋の弧を描くが如く、剣戟が毛深い胴体へと刻まれる。それを境に獣は二度三度ほど大きく痙攣したのち、動かなくなった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、お疲れ様です、神父」

 

「・・・貴様、一つ聞くぞ」

 

 

聞くぞということで、拒否権はないようですな。まあ、聞かれましょう。

 

 

「その身のこなし・・・素人ではないんだな・・・?」

 

「あー・・・」

 

 

まあ、そりゃそうなるか。普通ならあんな化け物目の前にして、体が動くわけないもんな。当然の疑問だ。

 

 

「・・・獣狩りをする前は普通の狩人兼漁師やってたんで、ある程度は慣れてるんですよ。銃の心得も一応あるし」

 

「・・・それにしてもだ。あんな巨体の化け物を見たことは無いだろう。貴様はそれを見るやいなや突進していったではないか。それをどう説明するつもりだ」

 

「海には結構デカい奴いますよ?白鯨なんてさっきのやつの5倍はありますからね」

 

「・・・なるほどな」

 

 

ふう、なんとか納得してもらえたようだ。まあ、全部ホラですがなにか?

そんなことを言っているうちに、ガスコイン神父の体が淡い光を帯びて薄くなっていく。どうやら別れの時のようだ。

 

 

「それでは、ガスコインさん。また機会があったらお会いしましょう」

 

「・・・貴様が獣になっていたら会うかもしれんな」

 

 

素直じゃないんだからもー。なんて思っているうちに徐々に光りに包まれていくガスコイン。帽子を深くかぶり直した仕草を最後にとうとう見えなくなった。

 

 

「・・・よっし、やること決めた。とりあえず―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――全員、助けてみるとするか」

 

 

なんやかんやで、4周目の滑り出しは順調に始まったようだ。





戦闘が中二臭い・・・あ、本編と変わらなかったわ(白目)

結局は血質技術ガン上げの千景抜刀エヴェパンマンが対人最強の今作品。
そんな中、私はゲール爺さんの鎌振り回していました。なんというネタ勢。


だってしょーがないじゃない、かっこいいんだもの。

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