艦隊これくしょん〜放縦者たちのカルメン〜   作:プレリュード

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こんにちは、プレリュードです!

唐突な夏休み編です。
そしてなんと!
艦隊これくしょん〜放縦者たちのカルメン〜が赤バー突入です!
我が目を疑いました。そしてあまりの嬉しさにベットの上でローリングして落ちました!ええはい(実話)

つまり今回の話は夏休み&赤バー記念となります。時系列的にはウェークの直後くらいを想定しております。

警告!
今回の話は、メタ、パロなどのオンパレードとなっております。また、読まれなくとも今後の物語展開における問題はありません。
それでも、という方のみお読みください。

では、本編参りましょう。


放縦者たちのインテルメッツォ
INTERMEZZO-1 夏休み特別編『海だと思った? ねえ、海だと思った?』


 

日本の川は総じて流れが速い。上流に行けばいくほどその傾向は強くなる。また海外の、特に運河としての河川と比べると浅く、日本において最も深いといわれる四十万川の最深部ですら20mだ。

それはつまり、深海棲艦が河川の遡上が出来なかったということでもある。そう、浅すぎるのだ。

今の日本において海水浴はメジャーな夏の休暇の過ごし方ではない。ならば何が人気か。

川である。

深海棲艦に襲われる心配なく涼しむことができる川は人気爆発。特に今の暑い季節には人でごった返すのだ。

 

その中で軍のプライベート地を占拠して遊ぶ一団がいた。

館山基地の基地司令、帆波峻。そして帆波隊の以下面々。

そして横須賀鎮守府司令長官、東雲将生と翔鶴、吹雪。

 

いわゆる休暇をとったわけだ。国防が疎かにならないようにするために館山基地には横須賀鎮守府所属の部隊が1日だけ代理で来ているため問題はない。

 

各々が水着を着て川に入っていく。浅いところで涼む者もいれば、普通に泳ぐ者、深いところへ飛び込みをする者、水鉄砲で打ち合いをしている者もいれば、流れのない場所に浮き輪で漂っている者もいる。

 

「シュン、俺は今、生きていることの喜びを噛み締めている」

 

「そうか。良かったな変態中将」

 

「何を言う。男という生き物はすべて変態という名の紳士だ」

 

「紳士ならせめて水着姿の艦娘をガン見すんのやめろよ」

 

「フッ、馬鹿め。彼女たちが見られても恥ずかしくないように一生懸命になって選んだ水着だぞ? 見ないことの方が失礼に当たるというものだ」

 

謎理論を展開しながら何故か誇らしそうに水着姿の艦娘を見る東雲。本人はさりげなく見ているつもりだが、傍から見ていると海パン一丁の男が女性に熱い視線を注いでいるようにしか見えない。

 

一緒にされたくない峻はパーカータイプのラッシュガードのチャックを少し上まで上げてからトングを使って網の上で焼かれる肉をひっくり返す。

バーベキューをしながら川で遊ぶ。このご時勢としてはかなりの贅沢にあたるはずだ。

 

「提督ー。お肉ちょうだいー」

 

ぷかぷかと浮き輪に乗り、浮んでいる北上が緩んだ顔をこちらに向けて言う。

 

「こっち来る気あんのかよ……」

 

「うーん。このまま食べたいんだけど何とかできないー?」

 

「はあ……まあできるけどよ」

 

手元にある立方体の装置をいじり、焼けた肉を空中に()()()。浮かんだ肉はそのまま北上の口元まで空中を進み、ぱくりと北上が頬張った。

 

「おいひいねー。ん、ありがとねー」

 

「満足いただけたようで何よりだ」

 

「一応突っ込んどくぞ。なんで肉が浮いてるんだよ!」

 

「ん? ああこれこれ」

 

立方体の装着を峻がぺしぺしと叩く。

 

「こいつは艦娘の艤装についてる浮力力場発生装置を元に作ったもんだ。これをうまいこと調整してやれば指向性の力場を発生させることができる。あとはその上に肉を乗っけただけ」

 

「まーたシュンの謎発明かよ……」

 

「謎とは失礼な。しっかり役立っただろうが」

 

ふよふよと空中に浮かぶ肉が各所に運ばれるため、それぞれがここまで戻ってこなくても食べれるというのはなかなか便利なはずだ。

 

「私にもいただけるかしら?」

 

「おう陸奥か。ほれ、皿寄越せ」

 

紙皿を受け取り、適当に焼けた野菜と肉を見繕って盛る。もちろん、遠くにいても食べれるが少し冷めてしまうのがこの浮力力場装置の欠点なのだ。

 

「ほらよ」

 

「うふふ。ところでせっかくの水着なのになにも言ってくれないのかしら?」

 

「せっかくの水着、ねぇ」

 

陸奥の水着姿を上から下までざっと見る。白の布地に黒のストライプが入ったビキニだ。

 

「なんかいつもの格好とあんま変わんなくね?」

 

次の瞬間、陸奥の拳が峻にめり込み、川へと吹き飛んだ。水切りの要領で2、3度跳ねた後に水面下に沈んでいく。デリカシーの欠片もないセリフを口にした代償は大きいのだ。

 

「あーあ。シュンのアホ。それにしてもうん、陸奥ちゃんの水着、よく似合ってるな」

 

「あらあら。中将さんはわかってるのね」

 

「そりゃあもちろん! いやー、ビキニとか最高だぜ!」

 

「将生さん?」

 

陸奥の肢体を鼻の下を伸ばして見ていた東雲の背後にゆらりとパレオを巻いた翔鶴が現れる。青筋を額に浮かべて、だがものすごくいい笑顔で。

 

「ヒェッ…………ショウカク=サン……」

 

「うふふ。将生さん? わかってますよね?」

 

たらりと東雲の額に汗が一筋流れる。時にいい笑顔は恐怖にも変換できるのだ。

 

「さあ、将生さん。あなたの罪を数えなさい!」

 

再び水切りの要領で以下略。

 

 

 

 

 

「ぷはっ!」

 

吹き飛ばされた峻が水面に顔を出す。濡れたラッシュガードが肌に貼りつくがもともと水中で使用するものなので問題ない。

 

「あなた随分と派手に飛んできたわね」

 

「まあな。天津風は水鉄砲合戦か?」

 

「ええ、まあ、ねっ!」

 

浅瀬にいた天津風がサイドステップで夕張の撃った水を避ける。そして撃ってきた夕張にむけてお返しとして両手にもつ水鉄砲を連続して撃ちまくる。

 

「やりますね、天津風ちゃん!」

 

「そっちこそ!」

 

2人の間で水が飛び交う。だが夕張の方が飛距離があるのだろう、天津風は距離を詰めれずにいた。

 

「なんなのよ! なんでそんなに飛ぶのよ!」

 

「ふっふっふ。『明石夕張工房』に不可能はないんですよ!」

 

ドヤ顔の明石が夕張の後ろで声高に叫ぶ。どうやらあの異常なまでの飛距離は明石と夕張の合作らしい。遂には明石まで夕張サイドについて水鉄砲を撃ち始めた。

 

「きゃあっ!」

 

天津風に水が当たり、水着の上から着ていたダボッとしたTシャツが肌に張り付き、透けて明るい黄緑色の水着がうっすらと浮き上がる。

 

「天津風ちゃん、援護するよ!」

 

ポンプ式の水鉄砲を装備した吹雪が天津風のヘルプに入るが依然として差は埋まらない。明石と夕張の特製水鉄砲が相手では無理ないだろう。

 

「しゃあないか。天津風、一丁よこせ」

 

「あなたが加われば百人力ね! はい!」

 

放られた水鉄砲をキャッチ。視線を明石と夕張の方向に向ける。

 

「天津風と吹雪は援護してくれ。俺は突撃する!」

 

川底を蹴って駆け出す。迫り来る2筋の水流を最小限の動きで躱すと右手の水鉄砲の引き金を引いた。

 

「わぷっ!」

 

「ひ、卑怯ですよ! 提督がそっちに付くのは!」

 

「その代わりそっちにはお前らの魔改造水鉄砲があるだろうが! これで互角だ!」

 

「くっ! 夕張、弾幕薄いよ何やってるの!」

 

「これでも張ってます!」

 

水の直撃を顔面に食らった後、立て直した夕張が水の弾幕を張る。体の張っていない部位を補うように。どこがとは言わないが。どこがとは言わないが。

 

「うおおおおおお!」

 

「「いやぁぁぁぁぁぁ!」」

 

川面の戦いが幕を開けた。なんてカッコよく言ってみたが結局のところただの水鉄砲合戦である。互いが水鉄砲の引き金を引きまくり、空中を水流が舞う。

だがその時、峻はミスを犯した。撃ちまくった水が叢雲の持っていた紙皿に直撃し、中に入っていた肉や野菜が水に浸ったのだ。

 

「あーもう! 私のご飯に何するのよっ!」

 

「どべふっ!」

 

白をベースに端に青色のフリルがついたチューブトップの水着姿の叢雲が全速力で突進し、ドロップキックが峻の横っ腹に突き刺さった。完全に自業自得である。

だが峻もただでやられるほど甘くない。

 

「お前も道連れだ!」

 

「へっ? ちょっと!」

 

脇腹に命中した叢雲の足を掴み、川の深みへ誘う。足を掴んだまま、地面を蹴って勢いをつける念の入れようだ。

 

ドボーン、と水柱が2つ上がった。が、そこで素直に浮かび上がる2人ではない。

水中での格闘戦が繰り広げられていた。勢いが殺されるがそれでも充分速い拳や蹴りの応酬。次第に呼吸が苦しくなり、ようやく浮上する。

 

「ぷはぁっ!」

 

「ぷへぁっ!」

 

足を水中で蹴って顔だけ出す。

 

「あ、あのっ! と、止めなきゃ!」

 

「あー、吹雪。これはいつもの話なのよ」

 

「そうそう。提督と叢雲ちゃんがバトるのは毎度のことだから」

 

「それより続きやりましょう! ちょうど二対二ですし!」

 

まだ慣れていない吹雪にとっては峻を蹴り飛ばす叢雲はかなりの異常事態だが、もう天津風にとっては日常だった。自分が放置されすぎると怒る寂しがり屋、というのが天津風の叢雲に対する印象だ。

 

浅瀬に叢雲と峻が上がり再び対峙する。

 

「おうおう、叢雲。やる気か?」

 

「はっ! あんたこそ私とやって……っ!」

 

ばっと叢雲が胸を押える。何がやりたいかわからなくて首をかしげた峻だがすぐに理解した。

上の水着の紐が解けて落ちかけている。押さえなければ落ちていただろう。水中での乱闘中に解けかけていたのだろうか。

みるみる叢雲の顔が真っ赤になっていく。その中で峻は悟った。あ、これ俺死んだわ。

 

「このっ…………バカーーーー!」

 

左腕で胸を押さえたまま、全力の右拳が峻の頬にめり込む。宙を舞いながら峻は自分は絶対に悪くないと最後まで思い続けた。

 

 

 

 

 

そんな乱闘騒ぎを傍目にのんびりと潜る潜水艦2人がいた。

 

「海もいいけど川もいいよねー」

 

「そうねー。でも結局のところイムヤたちがやってることが海と変わんない気がするのはなんでかしらねー?」

 

「それはツッコミ入れちゃだめでち」

 

彼女たちがやっている事は川魚の密漁……ゲフンゲフン、川魚の調達である。せっかく川に来たんだし魚食いたくね? とかほざいた峻により駆り出されている2人だが、潜ることは嫌いではないし、そのついでに網を使って魚を捕まえるくらいは容易いことだった。まあ、艤装を付けていない以上、身体能力は普通の人間と同じなので、呼吸が続かなくなる。なので、『帆波謹製水中呼吸器』をそれぞれ口に咥えているわけだが。

 

「そろそろ獲れたころじゃない?」

 

「一回浮上しよっか。急速浮上ー!」

 

ゴーヤの合図に合わせてイムヤが浮き上がる。後を追うように網もゆっくりと揚がっていった。

ザパッと顔を出して浅瀬に網を手繰る。網の中には葉っぱやら小枝やらのゴミがゴタゴタと混入しているが、その中でキラキラと陽光を反射する銀色が見える。

 

「アユにイワナにアマゴ……わぉ! 大漁じゃない!」

 

「いわゆる根こそぎってやつだね!」

 

いい笑顔で川の管理人が泣き顔を浮かべるであろうセリフをさらっとゴーヤが言う。

 

「とにかく運ぶわよ! せっかく獲ったんだから焼いてもらわないと」

 

「らじゃー!」

 

えっほえっほと網を2人がかりで運び、バーベキューセットが置いてある川岸まで持っていく。

 

「あら、イムヤにゴーヤじゃない。魚はどう?」

 

「バッチリ。この程度、お茶の子さいさいよ」

 

誇らしげに胸を張るイムヤから、火の番をしていた矢矧が魚を受け取る。そのまま金網に乗せて上から塩を振れば充分過ぎるご馳走だ。片面の皮がパリッとしてきたらひっくり返してもう片面も焼く。

 

「矢矧、手際いいわね」

 

「提督がいなくなる前に教えてってくれたのよ」

 

「ああ、てーとくが……」

 

「まだ焼けないかしら?」

 

「も、もう少し待ってよ、加賀」

 

焼けていく魚から目を離さない加賀が今か今かと催促する。矢矧が慌てて焼きにかかるが、こればっかりは急いでどうにかなるものではない。

炭がパチッと爆ぜて火の粉を散らす。アユの皮が膨らみ、程よいコゲが付く。瞬間、矢矧の持つトングが霞み、金網に乗っていたアユが消えて加賀の皿に現れる。

 

「できたわよ!」

 

「それでは」

 

加賀が焼きたてのアユを一口。味わうかのようにゆっくりと咀嚼していき、小さく喉が動く。

そして頭と背骨を残して身が消えた。何があったと思うかもしれないが比喩でも何でもなく消えたのだ。

 

「ふわふわで口に入れると溶けるような身。新鮮ゆえに嫌な苦味が感じられない内臓。丁度良い塩加減と火の入り具合。流石に気分が高揚します」

 

「アユの霊圧が……消えたでち!?」

 

満足度が高いのか、どこかキラキラした加賀と驚愕するゴーヤ。だがほかの面子はそんなものはもう目に入っていない。視界に入るのは現在進行形で焼かれる川魚の数々だ。

あの加賀が饒舌になった。その事実は重いのだ。

 

「矢矧っ! イムヤにもちょうだい!」

 

「あら? いい匂いがすると思えば……私にもいただけるかしら?」

 

「陸奥さん待つでち! これはゴーヤとイムヤで獲ってきたから先にもらうのはゴーヤだよ!」

 

「おうおう。俺にも一尾もらえるか?」

 

手が回らなくなり始め、悲鳴を上げかけた矢矧。そこに追い討ちとばかりに東雲がやってきた。

 

「さっき吹き飛ばされてましたけど大丈夫ですか?」

 

「心配無用だぜ、陸奥ちゃん。じゃれ合いで怪我するほどヤワじゃないんだ」

 

首を回して東雲が無事をアピールする。その前に、二尾のアユが乗った紙皿が差し出された。

 

「おいおい、俺は別に一尾でいいぜ?」

 

「そういうわけにもいきませんよ。ほら、むこうで翔鶴さんがむくれてるから行ってあげてください」

 

矢矧が指差す方向には岩に腰掛けた翔鶴が、少し頬を膨らませて川面にそのスラリと伸びる足を浸していた。時折その足を揺らしては水面に波紋が広がる。

 

「……悪いな。この借りはいずれ返す」

 

「期待しておきますね」

 

矢矧から紙皿を受け取ると、東雲は翔鶴のいる岩場へと足を向ける。そしてその隣に腰掛けると、何かを話し始めた。初めは拗ねたようにしていた翔鶴もだんだんと態度が柔らかくなり、終いには笑みがこぼれるようになっていく。

 

「矢矧ちゃん、ナイスフォローです!」

 

「よしてよ。提督が中将には恩売っとけって言ってたからやっただけよ」

 

榛名の言葉をムズ痒い気持ちで受取りながら矢矧が魚をひっくり返す。その後ろには飢えた集団が長蛇の列を作り、焼けるのは今か今かと待ち望んでいた。

 

「早く提督が来て交代してくれないかしら……」

 

ため息をつきながら次の魚に手を伸ばす。ちなみにその列の最後尾に峻が並んでいた。なぜ代わってくれなかったという矢矧の問いかけを、待っていれば食べれるという夢のシステムを実現したかったなどと言ったところ、矢矧に吹き飛ばされたのは余談だ。

 

 

 

 

 

「やーーーーー!」

 

突き出した岩場から鈴谷がダイブする。そのまま足から水中へと落ちていった。

水柱がたち、しばらくすると鈴谷が浮かんでくる。

 

「あはははははっ! これサイコーだよっ!」

 

笑いながら鈴谷が岩場を上がってくる。その最中で瑞鶴も飛び込んだ。また立ち上がる水柱。

 

「確かにこれおもしろいね! 最初に川って聞いた時は何それって思ったけど、悪くないね」

 

「だろ? 何より塩水じゃないから後からの洗濯が楽なんだ」

 

「提督さんの理由が妙に家庭的なのはなんでなの……」

 

「いいじゃねえか。実際楽だろ? さて、俺も行くか」

 

助走で勢いをつけて大きく飛び上がる。空中で膝を抱えて3回転。そしてそのままダイブした。

澄んだ水の中で目を開く。心地よい冷たさに包まれる。その感覚を楽しむと仰向けに川面に浮かんだ。緩やかな流れに身を任せて漂う。

 

「なに黄昏ているんです、大佐」

 

隣を榛名が泳いでいた。顔だけそちらに向けて話す。

 

「別に黄昏てるわけじゃねえよ。物思いに耽ってただけだ」

 

「それは黄昏てたんじゃないんですか?」

 

「……かもな」

 

「ところで聞きたいんですけど、暑くないんですか? そんな上着まで着て」

 

「別に暑くないぞ? こりゃラッシュガードって言ってな、端的にいえば日焼け防止用の上着なんだ。本来はサーファーとかがボードなどとの摩擦で怪我するのを防ぐためのものだが最近は日焼け防止としてのものも売ってるんだ」

 

「便利なものなんですね」

 

「まあな。今度お前も買ってみたらどうだ? 男物よりも品揃えはいいはずだぞ?」

 

「そうですね。お給料の使い道の一つとしてはいいかもしれません」

 

何が楽しいのかニコニコと笑いながら隣を泳ぎ続ける榛名。

 

「なあ、榛名。こんなのと泳いでて楽しいか?」

 

「はい! 榛名は楽しいですよ? ちなみに……」

 

榛名が顔を近づける。

 

「叢雲ちゃん、反省してるみたいなので行ってあげてくださいね?」

 

息が耳にかかり、くすぐったさに耳をかく。反省、というのは先の殴り飛ばした件だろう。そんな反省するほどのことでもないだろうに。そもそも俺を殴り飛ばしたのは初めてのことじゃないだろ。

 

「気にしてないんだがなあ」

 

「でも、ですよ」

 

そうまで言われれば仕方ない。とは言え何を話せばいいのだろうか。浮かんでいた体を起こす。

 

「わかった行くよ」

 

「そうしてください。きっと待ってます」

 

平泳ぎで岸に向かう。その後からちゃんと水着も褒めてあげてくださいね! という榛名の声が聞こえた。

 

「善処する」

 

そうとしか答えられなかった。

 

 

 

 

 

「いやー、シュン。今日は楽しかったぜ」

 

「へいへい。あとの片付けはやっとくから先に帰れ」

 

「いや、そういうわけにはいかねえだろ。やるよ」

 

「いいんだよ。たまには中将も休めよ」

 

「……そこまで言われちゃあな。わかったお先だ」

 

東雲が車に乗り込み、翔鶴と吹雪も一礼した後に乗り込んだ。そのまま去っていく車を見届けてからバーベキューセットなどの片付けに全員でかかるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「翔鶴、説明を頼んでいいか?」

 

翌日、青筋を額に立てた東雲が執務室で机を睨んでいた。机の上には大量の書類。

 

「は、はい。これは先日のバーベキューの食材代の請求書ですね。こちらはバーベキューセットの購入費。そのほかにも経費の申請が大量に……」

 

「あの野郎! そういうことか! たまには中将も休めよ、とか妙に殊勝なふうに言いやがったから信用したらこのオチだ!」

 

立ち上がって天井に向かって叫ぶ東雲。まんまと騙されたのだ。おそらく今頃は館山基地で『ざまぁ』と笑っている峻がいるのだろう。

 

「経費で落とさなけりゃ自腹切らせる気満々じゃねえか! なんだよ! 領収書の宛名が『東雲将生中将』になってんだよ! 払えってか! ええ、コラァ!」

 

ペラペラと書類をめくっていくと、最後に1枚だけメモが挟まっていた。その最後のメモには一言だけ添えてあった。

 

『これぞ幻惑』

 

「ふざけんな!」

 

 

 

 

 




後半に行くにつれてネタ切れになったとか言ってはいけない(真顔)
正直なところ、かなり暴走した感じが拭えないどころかそれしかない。後半に至ってはぶん投げましたし。
描写してないところは、ほら、あれだ。読者の皆さんの心の中にあるんですよ(震え声)
はい、調子に乗りました。すみません。


ちなみに本編からカットしたものを一部抜粋し台本形式にしたものがこちら。




長月「なあ、若狭。私たちのは川へ遊びに行かないのか?」
若狭「それより仕事だよ、長月」
長月「そういえば若狭は水練の成績があまりよくなかったような……」
若狭「仕事だよ」
長月「あっハイ」



常盤「ねえ、アタシの出番はー?」
霧島「まだ本編に登場してないのに何言ってるんですか」
常盤「んー、まあ仕方ないか。時系列的にはこの話、ウェーク島の直後くらいだからねー」
若葉「メタいぞ。だが悪くない」
作者「ていうかお前らはこういう話に出したくないんだよ、この変態が」

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