扇矢萩子の捜査録~艦これRPGリプレイ~   作:長谷川光

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不審な言動

GM:扇矢少佐にフィルムを預けてから僅か数日後、青葉の元に少佐から呼び出しがかかる。

青葉@:向かいますよ!

扇矢少佐:「あら、早かったじゃない」 (以前の喫茶店の、同じ席でコーヒーを啜ってる

青葉@:「そりゃもう!なにかご用でしょうか!」

扇矢少佐:「前に、これを貰ったじゃない」(写真をひらひらとさせる

青葉@:「そうですね。あ、ネガですか?」

扇矢少佐:「現物は貴女が保持するつもりでしょ?」

青葉@:「ええ、なのでどうぞ。」渡す。

扇矢少佐:「後で良いのだけれどもう一セット作って頂戴。保険の為にもね」

青葉@:「そうですねぇ。そうしておきましょう。」

扇矢少佐:「ありがとう。」

青葉@:「保険のワンセットはどうしておきます?」

扇矢少佐:「そうね…また直ぐにここに来ることに成るから。その時に直接回収するわ」

青葉@:「了解しました!」

扇矢少佐:「それから…そうね。貴女は冷泉のことをどう思っているのか聞かせてほしいのだけれど」

青葉@:「うーん、どう、といいますと。人柄とかですか?」

扇矢少佐:「人柄、ユカリさんとの関係の客観視、それから…以前の任務での誘拐騒ぎについて」

青葉@:「人柄ですけど、悪い人では無さそうですね。『彼の職務・研究の範囲内で』と言う但し書きが付きますけど。」

扇矢少佐:「………えぇ、否定はしないわ」

青葉@:「あの手の研究者としては良く居るタイプ、と思いますよ。ユカリさんとの関係は…うーん。なんでしょうね?一見すると恋人同士に見えるんですけど。何か違う感じもしますねぇ……なんというかですね、冷泉さんがユカリさんを大事にしている、ユカリさんが冷泉さんを大事にしている。ここはまず間違いないと思うんですよ。」

扇矢少佐:「そうね」

青葉@:「問題はその感情ですね。特にユカリさん→冷泉さんはただの恋人とかそう言う物では無いと思いますね。うーん。これはただの当て勘なのですけど、ユカリさんにとっての冷泉さんって、世界なんじゃないですかね?」

扇矢少佐:「世界、ねぇ…」

青葉@:「ええ、世界です。彼女の世界は恐らく彼を中心に構成されています、もしくはいました。」

扇矢少佐:「私に云わせてみれば…ユカリさんって、園芸種なのよね」

青葉@:「ふむ。」

扇矢少佐:「冷泉が求めるモノの為に交配を繰り返された… 自然界では現れることはなく、生き延びることも出来ない存在」

青葉@:「そうですね。冷泉さんが決定的に失われたとき、彼女の世界は崩壊するでしょう。」

扇矢少佐:「……そうなのよね…」(何かを考える仕草

青葉@:「問題は冷泉さんのユカリさんに対する感情です。」

扇矢少佐:「………」

青葉@:「幾つか候補はあるんですけどね。家族とか恋人とかそう言う感情ならよいんですけど。……『研究者』であるなら、『唯一無二の研究成果』って大事に愛でる理由になりそうなんですよね。」

扇矢少佐:「どうかしら。そもそものコンセプトが恋人の再現、なのだけれど…」

青葉@:「二人以上が成功した場合のことを考えていたんですかね、あの人。」

扇矢少佐:「中尉が書いた調書によれば間引くつもりだったのじゃないかしら。有望株だった赤は、紫の為の実験体として扱っていたそうよ」

青葉@:「うーん、そうだとしても現実としてもう一人出てきましたよね。」

扇矢少佐:「…そうね、黄。カツミ、だったかしら……冷泉は廃棄されたと思っていたのだから、完全に想定外だったのじゃないかしらね」

青葉@:「冷泉さんの感情がどう振れるか、正直予想が付かないんですよね。」むー、と。

扇矢少佐:「まぁ…カツミって、聞く限りユカリさんと性格が違うみたいだから… もし顔だけ、体だけなら狂喜するでしょうね。一方で性格とか、ユカリさんとの関係を大切にするつもりなら靡く要素は無いんじゃないかしらね」

青葉@:「付き合いも長いですしね。 ええ、付き合いの長い恋人や家族、そう言った感情なら靡く要素はないですね。ええ。最初に言いましたけど、彼は『研究者』なんですよ。靡くかどうかは置いといて、彼は本当にユカリさんを『人』としてみてるんですかねぇ。」

扇矢少佐:「中尉が云っていたのだけれど、冷泉はユカリさんを失敗だと面と向かって痛罵したこともあるらしいのよね…はぁ……一先ず、冷泉の考えを探るのは脇に置きましょう」

青葉@:「それで誘拐事件ですけど、ここと絡むんですよね。誘拐する理由はまあ、冷泉さんの頭脳ですよね。」

扇矢少佐:「そうね、何よりも実績がありすぎるモノね」

青葉@:「それでですね。そのわりにユカリさんは手付かずなんですよ。いえ、確保が難しいのは判りますよ?それでも不可能じゃないはずなんですよ。」

扇矢少佐:「………」

青葉@:「感情の理由はともかくお互いはお互いを大事に思っています。ならば…人質、と言う手は通用する、したはずなんですよ。少なくとも試す価値はあります。なんででしょうね?その方が冷泉さんをコントロールしやすいはずなのに。」

扇矢少佐:「私は貴女に、ユカリさんを上海に連れて行くと云ったからそういえるのじゃないかしら」

青葉@:「でも、お二人は一緒に住んでますよね?」<冷泉とユカリ

青葉@:「冷泉さんだけ攫って、どうコントロールする気なのだろう、って言う話でして。一応、脅すって言う手段はありますけど。」

扇矢少佐:「考えてみなさいよ、日本に居ることは…ユカリさんをいつでも傷つけることが出来る状況だってことじゃないかしら」

青葉@:「うーん。そうすると誘拐犯は私達が動いてることをあんまり認識してない、という事になりませんか? もしくは、その気になれば私達を蹴散らすだけの手札があるか。」

扇矢少佐:「後者は…この前の琵琶湖の件があるから否定できないのよね…」

青葉@:「ああ、確かにあれが相手の手中にあれば不可能じゃないんですよねぇ…あとは可能性が少なくとも可能性がある時点で脅しとしては成立するか、ですかね。」

扇矢少佐:「……というと?」

青葉@:「えーとですね、ユカリさんが青葉達に守られてるとしても、それを抜いてユカリさんを傷つけることは出来る『かもしれない』わけですよね。冷泉さんがそれの『かもしれない』を試す気になるか、という事です。」

扇矢少佐:「試さざるを得ない状況か、そもそも、四の五の云えず、頷かざるを得ない状況なのかしら」

青葉@:「冷泉さんが飛びつきたくなる餌を用意する、と言うコースもありますね。まあ方法はともかく、冷泉さんを使ってなんらかの研究を進める、と言うのはほぼ間違いないと思うんですけど…何の研究なんでしょうね?」

扇矢少佐:「…推論はいいのだけれどね、そもそも…貴女はこれにどういうスタンスで関わるつもりなのかしら?貴女が関わることはほぼ確定しているわ。後は呉の二人も舞鶴で事情聴収を受けて残っているから、もしかしたら彼女らも『冷泉の行方』を追う案件に合流するかもしれないけれど」

青葉@:「まあ、事件を追いますよ。だって事件ですから。」

扇矢少佐:「そこに事件があるからって所かしらね?」

青葉@:「先ほどの陸軍の一件とも繋がってる可能性はありますしね。」

扇矢少佐:「……そうね」

青葉@:「そういうわけで関われるならむしろ大歓迎です!」

扇矢少佐:「何より、佐藤記者が運んだものが冷泉である可能性も高いみたいだものね」

青葉@:「何か動いてたみたいですしね。」

扇矢少佐:「ともあれ、意見ありがとう。参考にさせて頂くわ」

青葉@:「参考になれば幸いです!」

扇矢少佐:(立ち上がり席を離れようとして、立ち止まる)

青葉@:「どうしました?」<立ち止まる

扇矢少佐:「そうね…… 貴方は、カツミが誘拐犯の陣営じゃないって思っているみたいね?私が指示を出していた貴女たち、そして誘拐犯、さらに第三勢力としてカツミの背後。 という事かしら」

青葉@:「そうですね…というよりは。誘拐犯と第三勢力のラインが不確定、と言うところですか。」

扇矢少佐:「……それがより正確ね。ありがとう」

青葉@:「手を組んでる可能性はありそうなんですけどね。そのわりにはカツミさんの使い方が雑だなぁ、と。」

扇矢少佐:「そうね、鉄砲玉もいいところよね …それ以下、かもしれないけれど、ね」

青葉@:「正直な話をしますとね。三日月さんがカツミさんを回収した車を見ていなければカツミさん単独行動説すら浮かぶレベルですよ。」

扇矢少佐:「案外、それが正しいのかもしれないわね」

青葉@:「ふむ、カツミさんは良いように使われるだけ、ですか?」

扇矢少佐:「何時だったか、大陸で姉妹喧嘩の違うシチュエーションを見ているのよ…」

扇矢少佐:「姉を殺すために、良いように使われる妹って状況。 似てるって思ってね。因みに、結局妹は姉の手で始末を付けられたのだけれど」

青葉@:「ほうほう。良くある話なんですね。」

扇矢少佐:「まっ…本案件とは明らかに違うってのは分かってるのだけれど」

青葉@:「そちらの事件も気になりますがまずは目の前の事件です!」

扇矢少佐:「余りにも、カツミの動きがあらゆる面で褒められたものじゃないって点が特にね…」

青葉@:「一度インタビューをしてみたいところですね。」

扇矢少佐:「関係ないことを喋ってごめんなさいね。今日は此処で、また会いましょ」

青葉@:「はい、お疲れ様でした!」

 

 

__琵琶湖での騒動の直後、瑞鶴と比叡の二人は舞鶴鎮守府に補給を受けるために立ち寄っていた。一息入れようとしていた二人を、同じく呉からやってきていた浅間が呼び出す

 

浅間:「まずは今回の任務、お疲れ様です」(ニコリ

比叡@:「そんなの当然よ、でも体はもう大丈夫?」

浅間:「あ、あはは… 体だけは丈夫なんですよ…ほんと、年だからってみんな過剰なんですから」

瑞鶴@:「まーこれぐらいはいつものことだし、そんなでもないけどねー」

浅間:「瑞鶴にはもの足りなかったのかな? 私もひと暴れしたかったのだけれどなぁ」

瑞鶴@:「そんで、要件って何?」

比叡@:「まぁ…結局もやもやの所がそのまま放置しちゃったからね…」

浅間:「うんうん、要件は幾つかあってね。まずね、この舞鶴鎮守府って基本的に主戦力となる艦娘・艦艇が配備されてないのは知ってるでしょ?だから二人には、しばらく此処に留まっていてほしいんだ」

比叡@:「そう…まぁ仕方ないよね、こんな可愛い私なんだもん、期待されても仕方ないわよね!」

瑞鶴@:「ふーん……まぁりょーかいっと」

浅間:「次に盤ちゃん…ごほん、磐手からの命令なのだけれど。冷泉捜索で舞鶴が動くなら協力しろってことらしいよ」

瑞鶴@:「え、あ……マジ?」

浅間:「真剣とかいてマジ、ですよ?」

瑞鶴@:「やれやれ……まぁ、『依頼』とあっちゃしょうがないか」

比叡@:「やってあげようじゃないの。ここまで期待されるとちゃんと応えなきゃカッコ悪いもの、瑞鶴さんも一緒に頑張ろうね!」

瑞鶴@:「はーいはいっと……」>比叡

浅間:「あっと、そうそう、瑞鶴。磐手から忠告が」

瑞鶴@:「え、何?」

浅間:「知らない人に大金を渡されても、変な仕事は請け負うなよ。との事です」(ニッコリ

瑞鶴@:「……あー、はい。りょーかいしましたよー。って言っといて」

比叡@:「?」

浅間:「如何報告したらいいかに困るのだけれど… 貴女の良心を信じさせてもらいますので」

瑞鶴@:「……そんなものあると思う?」(ニッコリと

浅間:「そう…」(目を伏せる

比叡@:「心配することはないわ、私がちゃんと瑞鶴さんのこと観ておきますからね」

瑞鶴@:「はいはーい。監視よろしくーっと。まぁこんな感じだからヘーキよ?」

浅間:「……ほんと、盤ちゃんはどうして貴女を拾ったんでしょうね… もっとも、私がどうこう云うべき問題じゃないってのはわかってます。私からの要件は以上二つ、お願いしますね」

比叡@:頷く

瑞鶴@:「りょーかいっとー」

浅間:「では、後日。」(立ち上がる

浅間:choice[机の上のモノを落とす,こける,セーフ]

ダイス判定: (CHOICE[机の上のモノを落とす,こける,セーフ]) → 机の上のモノを落とす

GM:どんがらがっちゃん!

浅間:「あぁあああっ!で、ではねっ!」(わっちゃわっちゃと急いで拾い上げると、逃げるように退散

瑞鶴@:「……ちょっと待ってくれないかな?」

浅間:「な…何かな」

瑞鶴@:「んー、私からも二つ。そんな裏切る真似はしないことは言っておくよ」

浅間:「それは私たちを? それとも『磐手』を、でしょうか」

瑞鶴@:「どっちでもいいよー。貴女のお好きなように」

浅間:「…それから?」(先を促す

瑞鶴@:「んでもう一つ。『それ』を落としてから急に雰囲気変わったけど……どったの?」

浅間:「そ…それは、ですね……」(目をそらす

瑞鶴@:「本当はあんまし関わりたくないけど……『それ』が今回、ひいては次また会っちゃったときに、私たちに必要になるんじゃないかなと思うけどなー?」

浅間:「……はぁ、そうですね。」

比叡@:「…よくわかんないけど、私、面倒なことはきらいじゃないけど、出来れば簡単に済ませたいよね」

浅間:「私の多面性の一つだって思ってもらえると嬉しいんだけれど」

比叡@:「そんなミステリアスなセリフ、私にだけふさわしいと思うけどね…まぁいいでしょ、こっちはこっちでやれることをやるわ。」

浅間:「それに、こうしてあなたたちと話す『わたし』以外なんて、知りたくないでしょ?」

瑞鶴@:「まぁ、それでいいか(無駄に問い詰めるのは……今はやめるべきか)」

浅間:「瑞鶴の態度と変わらないと思うのだけれど…ね」(苦笑

瑞鶴@:「……ふーん。今のは聞かなかったことにしたげるわ」

浅間:「別に、覚えていてくれてもいいのだけれど」

比叡@:「ひとまずこれでいいでしょう、浅間さん、瑞鶴さん」

瑞鶴@:「ほら、なんか用事があるんでしょ? さっさと行ったらどうかしら?」

浅間:「では、御言葉に甘えて退散させてもらいます。二人とも、御励みなさい」(微笑みを浮かべながら去っていく

比叡@:「…ふぅ」

瑞鶴@:「なーに息をついてるのよ比叡。あんなの特にどうってことないでしょ?」

比叡@:「そ、そうよ、ね…やることは変わらないけどややこしいのが嫌よね」

瑞鶴@:「そうでもないけど……まぁ少しだけ気になったわ。えぇ、少しだけ」

比叡@:「そうよね!少しだけだから…気にしないでおこう!」

瑞鶴@:「はーいはい分かりましたっと(……いや、まさか……まぁ、疑うだけのアクションではあるか……)」

比叡@:「そうと決めると今のうちに観光していくわよ!ね、舞鶴の名物って何なんでしょうね?」気にしないと決めると全然気にしないスタイル

瑞鶴@:「んー、あいつらに聞けば何かしら分かるんじゃないの? 流石にそこまでの情報は持ち合わせていませんよっと」

比叡@:「じゃあ聞いてみるしか無いわ、こんな辛気臭い所に居てないではやくいくわよ!」

瑞鶴@:「頑張れー」(興味なし

 

比叡は瑞鶴の手を引っ張って舞鶴組を探すのであった。

 


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