扇矢萩子の捜査録~艦これRPGリプレイ~ 作:長谷川光
[上海、遣支艦隊司令部 19CG年 6月26日]
少尉が座長から託されていた手紙、それは遣支艦隊長官である長谷川中将に当てた佐世保鎮守府と遣支艦隊の保有する艦隊による東シナ海での軍事演習を行うように指示する公式文章であった。
遣支艦隊は軽巡洋艦能代を旗艦にした水雷戦隊と空母龍驤を基幹とする遣支艦隊第一航空戦隊を用意している。上海に配属されている響、清霜の二人もまた能代の指揮下でこの演習に参加することが伝えられていた
響@:「……ふむふむ。佐世保の艦隊と演習か」
清霜@:「へー、面白そうだねー」
GM:しかし… 演習前日 二人は出雲から私室に来るように指示されたのであった…
響@:楽しみにしてられる状況じゃない予感……!
清霜@:HAHAHA
響@:じゃー出雲さんの私室に清霜ちゃんと2人で向かうところからでいいのかしら
GM:おねがいしますね
清霜@:「えーっと、清霜、ええと、出所?出頭?なんか違うか、ともかく清霜です」部屋のドアをノックノック
出雲:「入れ」
響@:「面倒事でなければいいが……。失礼します」
清霜@:「失礼しまーす!」ぱたぱた
GM:するとですね、中には出雲以外にも二人います。二人とも面識ある人物で、それぞれ山部少尉と遣支艦隊長官の二人です。
出雲:「清霜、部屋に入る時はもう少し丁寧にしろ」
清霜@:「え、あ、うん。ごめんなさい…」しょぼーん
響@:能代さんはいない?
少尉@:同じ部屋には居ません
響@:これは脂汗だな……
別所の野分@:「もう演習する必要がないからさ」ズバーン!
響@:(どう見ても面倒事の空気だ……!)
長谷川長官:「そこまで落ち込む必要もあるまい… なぁ少尉?」
少尉@:「は…どうでしょう…」
出雲:「こほん… 清霜、響。貴様らは演習から外れろ」
清霜@:「え?どーして?…ですか?」
響@:「…………」清霜が訊いてくれたので黙っている
出雲:「…今回の演習はな、上海に滞在している各国の武官連中も観戦することになっている。ある意味、世界から認められる機会を捨てろと言っていることは、私も承知している…が。貴様ら列強連中が東シナ海に目を向けて喜ぶ奴は分かるか?」
清霜@:「??????」首をかしげております
響@:「本来、私たちの砲は東シナ海域よりも大陸を睨むもの……ということ…租界や満州で動きがあるのか?」
出雲:「そういうことだ、響。中国の連中が我らの頭上を勝手に飛び回って久しいが…同時に、嘆かわしいが日本租界地で不鮮明なカネが動いている。イタリア、イギリス、アメリカ、フランスの旧連合軍租界地の動きも怪しい。」
清霜@:「ええと…そのせいで、演習を見せる訳にはいかなくなった、ってこと?」
長谷川長官:「いいや、むしろ撒き餌だ」
清霜@:「あれ?そうなの?」
長谷川長官:「あぁ、そこな少尉が上海に来たのも一足先に現地入りすることが目的なのだからな」
少尉:(びく)
長谷川長官:「軍事演習は予定通り行う… だが、足元もおろそかにしないのが海軍の方針だ」
響@:「私や清霜は常駐戦力として上海に留まる、と」
出雲:「端的に言えばそうなる」
長谷川長官:「今回、諸君へ与える任務は決して華々しいものではない。だが、堅く命じる。少尉の所属する班の手伝いをしてやってくれ」
清霜@:「……な、なるほどなー」理解してない
響@:「その言い方だと、『何事もないことを祈る仕事』以外にも役割が」
長谷川長官:「…そうだな」
出雲:「クロギリ鎮守府から、ここ上海に輸送船団が到着するまであと二日だな」(ぼそ)
響@:「輸送船団。演習の翌日に?」
清霜@:「わわ、大変そうだ」
長谷川長官:「演習はほぼ一週間かけて完了する。どうも、中央は空母機動部隊の威力の実証を行う心づもりもあるらしい」
響@:「幾分か戦力が出払っている上、さらに庇護下に船団を抱えることになるのか」
長谷川長官:「あぁ…船団の件については問題ない。輸送船団には勿論護衛が付いてくる。連絡によると、駆逐艦雪風・浜風・初霜の三名が護衛としてついているらしい」
響@:エリートだ!
清霜@:わーお
響@:「……ふむ。その面子なら心配は無用かな」
清霜@:「わー、すごいなぁ…」
長谷川長官:「指揮官も将来有望な冨塚中佐が取っていると、南木提督から聞いている。俺は東シナ海に行くが… 留守中は出雲と共に頼んだぞ、響 清霜」
響@:「Да。響、任務了解しました」
清霜@:「りょうかーい!」
少尉@:「清霜さん、響さん。小官の良く知る方と一緒に仕事ができるのは嬉しく思います。今回はご協力お願いします」
響@:「……ん。正直、不慣れな話だけど少尉の手伝いなら頑張るよ。よろしく」
清霜@:「大丈夫!心に46cm砲を持っているなら何事も上手くいくって!よろしくねー!」
少尉@:「はっ、はい!」
GM:という感じで、二人は上海残留が決定したのであった。ごめんなさい、お待たせしました… 佐世保組、ここからスタートです!
野分@:あいよ 飛龍@:ほーい
[佐世保鎮守府、中央庁舎]
GM:ところ変わって佐世保鎮守府。鎮守府庁舎では那珂ちゃんがほぼ連日ライブを開いているかおs… ごほんごほん
野分@:ここではバックダンサーを務めていたかな…
飛龍@:なんで乗るん!?
野分@:このウェーブに乗るしか無いじゃない!
飛龍@:おうがんばれ(ひでぇ
GM:やはり、佐世保鎮守府でも遣支艦隊との演習の話が艦娘同士の間でも会話の種になっていた。そして、やはり演習の前日に三人の軍関係者が佐世保鎮守府に現れる。
大佐:「久しぶりだな、佐世保に来るのは」
女性:「…なんだか、戻って来たなという感じがします」
少将:「ふむ。全く違う景色に見えるのかと考えていたのだが… やはり、感情は計算できないものだな…」
響@:お、萩子さん登場
*タイトルから出てますので、PLの皆さんもその存在を知っている。
清霜@:おおー
野分@:ところで艦娘にとって萩子さんは普通の人間に見えるですか?それとも面識ありますか?
少尉@:う~ん皆さんとは知り合ってないと思います
野分@:ただのエロい姉さんですか
響@:「矢矧ちゃん何でそんなエロいスーツ着てるの?」とはならない訳だな
*立ち絵がスーツを着こなしたOL風の姿だったため。
少尉@:一応、やはぎっぽい?とか思う人もいるかもしれない
野分@:そういうことですか、わかりました
響@:「は、はじめまして萩子さん……」(矢矧さんだー?!)というリアクションも可ということか。史実じゃ響は坊ノ岬直前に矢矧の旗下にいたことあるから、艦娘としての面識はある方向で空気を読んでいこう。
艦娘としての制服でもなく、軍服姿の女性の話は直ぐに鎮守府中に広まった。
男二人は長官室へ、女性はとある艦娘に割り当てられた部屋へと士官に案内されながら向かうのであった。
少尉A:「こちらが、少佐殿のお探しの方の部屋です。では、自分はこれで」
女性:「案内、ありがとう。…さて、どうしようかしら」
GM:部屋のネームプレートには 「飛龍」の文字が
女性:「失礼するわ、飛龍さんはいるかしら?」
飛龍@:「……いるけど、誰?」
女性:「…そうね、 欲しい才能は手に入れられなかった女、とでも言おうかしら」
飛龍@:「……」
響@:おいィ仕事の都合でエロい格好してるだけかと思ったら萩子さん重い設定がある予感?!
女性:「飛龍さん、単刀直入に言わせてもらえば私の目的は貴女を上海まで連れて行くこと。」
飛龍@:「……」
女性:「貴女が、どれほど傷ついているのかは知らないわ。 けれどね、自分の存在証明はしたくないかしら」
飛龍@:「……別に興味ない」
女性:「…そう、強情なのね」
飛龍@:「……」
女性:「はいそうですか、と頷いてくれるとも思っていなかったのだけれど…」
飛龍@:ずっとだんまりだけどちゃんと話は聞いてるからね(汗
響@:無口ロールって難しいのよね
野分@:身体言語をすればいい!
女性:「…はあぁ、…飛龍さん。貴女は明日からの東シナ海で行われる軍事演習で機動部隊の旗艦を任されていたわよね」(少しすまなさそうに)
飛龍@:「……なんでそれを」
女性:「その大任は、遣支艦隊から参加する空母龍驤が引き継ぎます」
飛龍@:「……そう」
女性:「えぇ、翔鶴さんの嚮導役もしばらくは彼女が代打となってくれるそうです」
飛龍@:「……それで?」
女性:「貴女の所属は一時的に佐世保鎮守府から軍務局直属のとなるわ」
飛龍@:「……どういうことよ、一体」
女性:「聞いているわよ、貴女は任務に忠実な艦娘だってことは」
飛龍@:「……」
女性:「なら、貴女のなけなしの名誉を守るためにも私とともに来てくれるわよね?」
飛龍@:「…………普段の私だったら、行ってたかもしれない。けど……」
女性:「…何かしら?」
飛龍@:「……もう自信がない。私が行っただけで……ただ、居るだけの存在になる。……だから、今回も……」
女性:「知っているかしら、古代ギリシャの医者はこんなことを言ったのよ。『経験は裏切られるためにある』と」
飛龍@:「……」
女性:「貴女には、まだ私たちの目的は明かせない、けれどこれだけは言えるわ。 貴女が、大陸に嵐を呼ぶの」
飛龍@:「目的……ね」
女性→扇矢少佐:「名乗ってなかったわね。私は軍務局内でも機密扱いになっているセクション、特命捜査班に所属する少佐。扇矢萩子よ。」
飛龍@:「……そんな特命捜査班が、私に……?」
扇矢萩子:「私と一緒に来てもらえるかしら、飛龍さん」
飛龍@:「………分かった。……期待は、できるだけ応えるけど」
扇矢萩子:「そう、なら私たちの護衛が最初の任務よ。簡単でしょ?」
飛龍@:「……了解よ」
扇矢萩子:「なら、長官室に来てもらえるかしら。挨拶しないといけないだろうから」
飛龍@:「……ええ」
扇矢萩子:「私は先に行っているわ。すぐに来て」
扇矢少佐の靴音が遠ざかっていく。
そして静寂が場を暫くの間支配したが、それはかちゃりという金属の擦れる音によって崩されるのであった。