扇矢萩子の捜査録~艦これRPGリプレイ~   作:長谷川光

44 / 81
野分と海鴎

 海鴎、それは第二次上海事変の最中、日中間に決定的な亀裂を走らせる工作を命じられた、実質的に軍上層部から死ぬことを命じられた少女。

そして、野分は必死の説得によって日中の(わだかま)り、いわんや言語のカベを突き抜けて、彼女の死を阻止した

上海事変から半年の月日が経った。

海鴎に対して、出雲が飛鳥を通して情報統制をしていたのだが、飛鳥が石原の元へ向かった後は野分に、海鴎を気に掛けるように出雲は命じていた。

1月25日。 特命捜査班から回ってきた資料に目を通していた出雲は、野分を通して海鴎から事情を聞き出そうと試みる。

 

野分は出雲から海鴎についてのことで話があるとして執務室に呼ばれた

野分@:「野分です」ドアをノックして

出雲:「入れ」

野分@:「失礼します…出雲さん、今日はなんの用なのでしょうか」

出雲:「…貴様に腹の探り合いを頼みはしない、と先に断っていく。それを踏まえ、貴様には海鴎からある事を聞き出してほしいのだ」

野分@:「…お言葉ですが、それは腹の探り合いにはなりませんか?」

出雲:「ならば問うが、貴様は腹の探り合いは出来るのか」

野分@:「できない。できないし、できない。だから、私のできない芸当にならないように、もっと詳しく説明してもらえませんか?」

出雲:「あぁ。貴様が海鴎を助けた日、奴は深海棲艦と共に我らを妨害せんと動いたのは覚えているだろう。奴らは海鴎を守るように動いていた…ように見えた。まるで何等統制下にあるようにな。本件のみならば特殊な事例として処理する原積もりだった。が、同じような現象が昨年の十月、済北島で起きた。」

野分@:「そんなこと、他のところにもあったのですか!?」

出雲:「報告によれば突如とし現れた深海棲艦がソ連軍に対しては猛威を振るったにも関わらず、関東軍には攻撃をしかけなかったようだ。もっとも、ソ連軍の援護に動いた北洋水師の艦娘の部隊には攻撃を行ったようだが。さて…本件について、貴様も知る特命捜査班が大東亜重工の研究員からの事情聴収で該当しそうな話が聞けたようだ」

野分@:「北洋水師って……分かった、出来る限り海鴎に聞いてみる」

出雲:「奴が我々にしゃべって見せたのは、貴様に中国語を教えるためのモノばかりであった。しかるに、奴がそう簡単にしゃべるとも思わない、が可能な範囲での努力を行え」

野分@:「大丈夫です、私は…私は信じてますから。」では他に無いなら執務室を出て海鴎を探そうか

GM:ではでは、判定を<無個性判定 目標値8>

野分@:直感込みでいいっすか

GM:…あっ。のわっちは直感をもってましたね。 はい、加算OKです

野分@:2d6+2>=8

ダイス判定: (2D6+2>=8) → 4[1,3]+2 → 6 → 失敗

野分@:ばかな…

GM:愛が足りなかったか…

野分@:振り直すは可能でしょうか

GM:可能ですよ

*野分は二度目の判定では楽々と目標値を越えたのだった。

GM:では、ここかなっと思った場所には居なかったもの、ならばあっちかと検討を付けたところに居た感じかしらむ。海鴎の姿は休憩の折に時々来るという露店街の一角の店先にいたということにしますか。

野分@:む

海鴎:(……疲れた顔)

野分@:「…海鴎」横から隣の席に座り込んで、耳元に海鴎の名をささやく   至って普通のスキンシップなのである

海鴎:「ひゃっ!?」(文字通り飛び上がる

野分@:「びっくりしちゃった?ごめんごめん」合掌して謝るの仕草をしてみた

海鴎:「なな何ですか!? (辺りをきょろきょろと窺う)……わ、私に、何の…よう、ですか」(声を潜めて

野分@:「ちょっとは元気出た?」上半身を俯いて海鴎の顔を窺う

海鴎:「……元気何て…」

野分@:「さっきはなんか疲れたみたいだけど…やっぱり飛鳥が居ないから寂しい…?」

海鴎:「…っ! …その話はしないで!!」(思わず叫ぶ

野分@:「えっ」

海鴎:「ご…ごめんなさい」(ハっとなる

野分@:「…ね、海鴎。」真剣な顔持ちをして、

海鴎:「……何ですか」(低い声

野分@:「何か、悩みことが…あったの?」

海鴎:「…………」

野分@:「ね、海鴎。私は実に出雲さんからあなたに何かを聞き出すの指令を受けていた。でも、そんなの関係ない。何かに悩んでいる海鴎の姿が…見たくない、海鴎の笑顔が見たい。そのために、私はあなたの力になりたい。私と一緒に、話し合えない?」

海鴎:「…いつか、云いましたよね。野分さん、貴女には…守るものがある。私には…一つもない。主君も、大切な友人も、父母も…そして、国も。どれも……私には………ない。  貴女には、出雲がいる。清霜っていう子がいる。きっと親兄弟もいるんでしょう…そして、日本がある。貴女は…私とは違う。 貴女には…何も私のことなんて分からない」

野分@:「…私はね、誰かに教わりました。こんな私でも、結局あなたと同じ立場に立つことはない、こんな私は、傲慢で、わがままかもしれない。でも…それでも、こんなわがままの私でも、海鴎、あなたはあの時、私を信じてくれてた。私は私で、海鴎は海鴎で、膝を付き合わせて話し合ったところで、私が海鴎になれるわけでもない…でも私、野分は…ううん、たった一人の女の子である私は、君といる世界を見たい。だから私は話し合い続ける、それが傲慢でも何でもいい、私は私だから私はこの方法しか知らない、私は私だから…あなたが欲しい。」

海鴎:「……っ …それは、どういう…こと、ですか」

野分@:「私は思ったんだ、私は『今』を守りたい、でも…『今』は何?それは多分遠い過去の近い未来じゃない。そんな過去な未来で、私は…ううん、過去の私は物言わぬ艦艇でしかなかったけれど、でも『今』の野分はそうじゃない。『今』を守れるなら、『あなた』を守れれるなら、私は何だって変えられる。海鴎、あなたは守るべきもの何一つもないっで言ってた。じゃあ、はじめに『私』をあなたの守るべきものの中においてくれない?」

海鴎:「…野分、ちゃんを?」

野分@:「そうです! 海鴎ちゃん、海鴎ちゃんは私を守ってくれますか?」

海鴎:「こんな私に…野分ちゃんを?……わた、私は、私は……野分ちゃんに、助けられた。だから…少しは、ほんの少しでも、野分ちゃんの役に立ちたい…」

野分@:「…ありがとう、海鴎のお陰で、私は勇気をつけた。私は明日、出雲さんに満州国への転属具申を提出したいと思うの。」

海鴎:「…えっ? え”!?」

野分@:まず簡単に出雲から聞いた済北島の事を伝えた

海鴎:「……」(顔がこわばる

野分@:「何かが起きている、『今』は誰かに変えられようとしている、それなのに、私は怖がっていた…私の傲慢で、私のわがままで、実は何も変えられないじゃないか、実は何も守れないじゃないかって…… でも、海鴎はそんな『私』を守れるなら、私は、それでも、それでも大丈夫、どうにかなる気がし始めた。」

海鴎:「…ま、守れるなんて云って…ない…云ってない、けど……野分ちゃんが…そう、決意したんだったら…私は貴女を…応援…するよ」

野分@:「…ありがとう、じゃあ、行ってきます。」海鴎の両手を強く握って、しばしの別れを告ぐ

海鴎:「……っ」(顔を背けてしまう

 

海鴎:「(あの人も…こうやって、別れを告げて。そのまま、あっちに行ってしまった。あの人が、幸せそうだから…私なんかと…過ごすよりも楽しそうにしているから、私は何にも云えない。野分ちゃんも…向こうで、幸せになるのかな)……再見」

 

泣き笑いの顔でそう野分に告げると、走り去っていこうとする

 

野分@:「…海鴎!」

海鴎:(聞こえないふりをして、走る

野分@:choice[立ち尽くす,追いかけるぜ,追いかけるぜ,だから追いかけろ!]

ダイス判定: (CHOICE[立ち尽くす,追いかけるぜ,追いかけるぜ,だから追いかけろ!]) → 追いかけるぜ

野分@:追いかけて、後ろから海鴎を抱きしめる

海鴎:「…離して、ください」

野分@:「不是再見。この事件が終わった後、私はきっと戻るから。その時、またお話ししようね」

海鴎:「……無理しなくて、いいから……私のことなんて…忘れて、いいから… 野分ちゃん …很高?(幸せになって)」

野分@:「これをあげる」(ネクタイを解いて、海鴎の手首に結んだ

海鴎:「えっ…?」

野分@:「私は絶対に取りに来るから。じゃあ…またね。」

海鴎:足を棒立ちにさせて、茫然としている

野分@:司令部に帰るわ

 

 

出雲は野分の様子から大体の様子を察しながらも野分に尋ねる。

出雲:「…して、どうなったのか」

野分@:「はい、海鴎ちゃんから何一つ情報を聞き出せなかったから、私は満州国へ調査しに行きたいたいと思います。」

出雲:「…そうか……(目を閉じる) 貴様…調査と軽々しく口を吐いたが、そうは簡単にいかぬぞ。そもそも、貴様は満州に行くとしても何処をどう動こうと考えているのだ。トクサに合流するのか? それとも水師の響を頼るのか? 将又、飛鳥に頼み込むか。まさか貴様一人で解決できるとは思っていまいだろ」

野分@:「以前にも話した通り、私はたった一人の駆逐艦艦娘でしかない、自分一人で何かできようと思わないです。詳しいことは知りませんが、これから事件調査のトクサがより動く安いように、私みたいなトクサとして動いた経験をした艦娘が、あちらに合流したほうが一番手取り早いと思います、例えば清霜ちゃんみたいに」

出雲:「満州での二件には、結果論的には確かに清霜が動いていた……貴様は、私に端からトクサに自分を送り込めと売り込むか」

野分@:「そのつもりはなかった…あれ以来、私はただの傲慢で人を巻き込んでしまうじゃないかと反省しました。しかし反省した結果、私は傲慢で人を巻き込んでしまってもいいと、思います。…元から言うと、これはただのわがままなんですけど…出雲さんが納得させるよう、必ずいい結果を持ち帰ります。」

出雲:「…………(今の段階で、部下を満州に送り込んでもいいのだろうか。例の『積荷』について、まさかこいつが探り当てるとは思わない)…(滿洲の趨勢は愈々不鮮明。その状況下で、更に私が滿洲に腕を伸ばすことは過度ではないか)…(しかし、どうであれ野分に此処まで云わせた責任は私にある。) ……野分」

野分@:「はい」

出雲:「満州へ何故行く必要がある、報告書ならば私の手元にある、徒に動くは得策ではないと私は考える。」

野分@:「…私はこの事件についで、上海はあくまで末端でしか無いと思う」

出雲:「ほぉ…云ってくれる。成程、上海での一件は確かに元から切り捨てを前提にしていたのだろうからな」

野分@:「上海はただ敏感なだけで満州よりはやく事が露見されただけ、実際その研究のラボは上海にいませんでした」

出雲:「あぁそうだ。ハルビンにあったと聞いている。……貴様を滿洲、トクサの元に送り込んでやることは吝かではない。ことによっては許可しよう」

野分@:「っ、ありがとうございます!」

出雲:「しかしな、貴様は土産を見繕ってから行け」

野分@:「えっ」

出雲:「トクサトクサと貴様は繰り返すが、艦娘野分は私の部下だ」

野分@:「うぅ…す、すみません 私だって、扇矢さんより出雲さん…いいえなんでもありません」

出雲:「私の手元にある資料を貸してやる。上海の支流から、大河を見つけ出してから動け。分かったな。何、貴様にこの手の事が得意な兵をつけてやる。そいつらを使って成果を見せろ

野分@:「というと…?」

出雲:「…いつも奴らに頼ってばかりでは、いい加減なさけないだろうが」(にやりと

野分@:「だ、大丈夫です!トクサと言えど実際は私たちが動くなんですから!」

出雲:「だからだ… 奴らもまだ動いても居ないだろうこの一件、貴様が真っ先に動け。貴様が私の手元の資料、そして集めた情報から判断したうえで滿洲に本流があるとするならば。私はもろ手を振って送るだろう」

野分@:「頑張ります!」

野分@:資料…要するにログか

GM:まぁ…ログには上がってない、闇へと葬られた設定とかも書いてあると思いますよ

野分@:しかし今回の今まで野分が集めた情報というと海鴎がかわいだけという

*海鴎はとてもかわいい。それじゃダメなんですか!

出雲:「念のために、ではあるが。貴様が調べた結果、何も上がってこなければ大人しく調べ続けろ。調べた結果、満州以外が怪しいというならばそこへ行く便宜は取り計らう」

野分@:「それは…分かってます。」

出雲:「断っておかなければ、貴様ならば勝手に満州へ乗り込みかねないからな」

野分@:「大丈夫です!出雲さんの名に恥じないよう、全力で満州国が怪しいようにあら探しをします!」

出雲:「…一つ云っておいてやる。日露戦争において、我らが何故勝てたのか。 それは情報を重視したからだ。断じて、今のように自らの作戦に都合の良い情報を取り揃えて上官からの許可を得るような真似をしたからではない。冷静に分析しろ。感情は完璧に排せ…とは貴様には云わんが、今のように満州が怪しいのだという先入観を捨てろ。」

野分@:「…はい、ちょっと舞い上がりすぎていました。出雲さんの名に恥じないよう、必ず元を辿り着けよう…それが何処であろうと、きっと正しい『今』へ繋がれるから。」

出雲:「分かればいい。 資料を渡す、ついてこい」

野分@:出雲に付いて行ってシーン終了

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。