扇矢萩子の捜査録~艦これRPGリプレイ~   作:長谷川光

42 / 81
それぞれの起因 《1 》

 19CH年1月27日 ハルビン水師営

前任旗艦である海威、そして紆余曲折の末に旗艦の座を手にした順天。

傍目から見れば、二人はゆっくりと互いに近づき合おうとしているように見えた。

海威が担っていた交渉の役目を引き継ぎつつある海王は関東軍司令本部たる新京へ挨拶に向かっている頃の話である

 

午前十時

響の元に慌てた様子の養民がパタパタとやってくる。

養民:『きょ…教官! 海威さんを、知りませんか?』

響@:『ん……? 私のところには来ていないよ。どうした?』

養民:『お姉ちゃんが… 海威さんを探してて…』

響@:『海王のところにいないか。水師営に姿がないなら、急な用事で新京にでも出かけたかな』

養民:『海王さんが、朝一に新京に行くって云ってたけれど…』

順天:『教官!はぁ…はぁ…あの女!どこに逃げたか知りませんか!?』(肩で息をしている

響@:『私のところには来ていない。海王が新京に行ったらしいし、一緒に行ったんじゃないか。全く、物騒なんだから外出するときは誰かに伝えてからにすればいいものを……』

 

GM:さて、響ちゃんはふと思い出します

海威:『千山鳥飛絶』(川釣りを石原参謀としている姿

響@:飛鳥と中山の一件を追ってる途中、呼び戻されたときのやつか

順天:『あぁ…もう…何で私が!?』(頭がしがし

響@:『私に分かることなら相談に乗るけど……』

渋い顔をしながら、順天はおずおずと答える。

順天:『…………昨夜、聞いてみたんですよ。どうして、私たちに予算だとかを触らせてくれなかったのか』

響@:『…………』頷いて続きを促す

順天:『…その途中、あの女…急に青ざめて、一晩考えさせろと打ち切って来たんですよ。確かに、私は過度に責めるような云い方をしたとは思いますが…だからって…まだ姿を現さないだなんて…』

養民:『…あの……お姉ちゃんは海威さんのこと、心配してて… 教官、何か…知っていませんか?」

響@:『ふむ……。一晩、と言ったからには列車に飛び乗ったわけではないのかな』と、川釣りしていたときの姿を思い出したのもあるので、窓を開けて川べりの様子を遠目に眺めてみるが……

GM:なーんか、遠くの方に誰かが居るような気が…(海軍軍人がギリギリ目視でとらえられる距離

響@:「…………」いそいそと双眼鏡を取り出して見てみる

GM:では。明らかに海威です。 釣竿とバケツを折りたたみ椅子の横に置いて、本人は河の向こう側をぼんやりと見ている

響@:考え事してる様子か……

海威:『****』(唇が微妙に動いているが、読み取ることは無理そう

響@:『……いた。けど』

養民:『えっ?』

響@:『まだもう少し考えさせてほしい、って様子だよ』手にした双眼鏡を二人に差し出しつつ

順天:『貸してください』 (ずいと見る

養民:『……海威さん、寒くないのかな』

響@:『……うん、あの調子でずっと外にいたら風邪を引いてしまうな』

 

響@:「今さら何に悩んでいるやら。声を掛けてくるか……」

 

順天:『……何で、どうして…』

響@:『……順天?』

順天:『あんな女…こっちから、願い下げですよ!!』(だかだかと出ていく

養民:『お、お姉ちゃん? えと、えと』(順天が去って行った方と、響の顔を見比べる

響@:響も少ししょんぼりした顔してるかなぁ……

養民:『お姉ちゃん、海威さんのこと…心配してたのに…どうして』

響@:『海威の身に何かあったら……と思っていたんだろう。ところが、本人は呑気に釣りなんてしてたわけで。私も私で海威に用があるから、連れ戻しに行ってくるよ。順天にそう伝えておいてくれ』

養民:『う、うん…分かった』(ぺこりと頭を下げて、順天の後を追う

響@:「……難しいな。こういうとき、野分なら上手くやるんだろうか」(養民の後ろ姿を見送って、海威のところに行きます

GM:では… 海威へと近づくけば近づくほど、だんだんとしっかりと聞こえてきます。

それは、彼女が好んで吟じるあの詩(うた)

 

 千山鳥飛絶

 万径人蹤滅

 孤舟蓑笠翁

 独釣寒江雪

 

響@:『……その詩、この間やっと意味を知ったよ』

釣り具は横に置き、何かをずっと考えている様相だった海威は、響の方に顔を少しだけ向け、薄く微笑む。

海威:『……響ちゃん、ですか。そっか…何か、発見でもありましたか?』(ゆっくりと尋ねる

響@:『私には漢詩の教養はないから……。おじいさんが一人で川釣りをしています、と言われても何が何やら』

海威:『そっか…』

響@:『……私は、出雲や長谷川長官に言われるまま満洲に来た。来てよかったと思ってる。海威や順天たちと出会えて』

海威:『……私はともかくとしても……えぇ。順天も海王も、養民も…皆いい子ですからね』

響@:『……石原少将がね、江雪の詩を作った奴と違って、海威は精力的な奴だって言ってた。けど、今は何だか……』

海威:『……そんなこと無いよ。私はね、臆病なんですよ。私が全部やらなきゃって…思ってた。誰にも見限られたくない、自分をよく見せたいって思って動いただけ』

響@:『…………』

海威:『どうしてそんな風に思ったのか、それは順天たちを守りたいと思ったから。』

響@:『……うん』

海威:『じゃあ…何故私は彼女たちを守ろうと思ったのか。私はずっと、それは旗艦の責任で、自分が旗艦になったのだから受け持つはずの義務だと信じ込もうとしていた』

響@:『…………』

海威:『…答えにくい質問だとは思うのだけれど、響ちゃんから見て私はいくつ位かな』(云いにくそうに

響@:『……え?』

海威:『順天からの指摘は、たぶん…それを考えてくれたら、解ると思うの』

響@:『……そういう、ことか』

海威:『……順天にね、云われちゃったんだ。[私はアンタの娘じゃない]ってね。初めて、気が付いたの…皆の事を、そうやって扱って…自己満足していたって、ね』(あはは、と力なく笑う

響@:『……自己満足なんかじゃないよ。身勝手じゃない。悪いことじゃ決してない。それでも順天たちを守ろうとしてくれたんだろう?』

海威:『……本当は、自分のことを守るために…彼女たちを利用していたのかもしれない』(自嘲を強める

響@:『……順天は、心配していたよ』

海威:『…順天が?』

響@:『……さっき、息を切らして私の部屋に駆け込んできたんだよ。口では、あの女がどこに逃げたか知りませんか、なんて言ってたけどね。そうやって走り回って、海威のことを、探してた』

海威:『…あの子ったら (はっ)こほん、嬉しいのではあるけれど…もう、十分に自立できるでしょうに…後見には石原閣下がいらっしゃり、ある程度の荒仕事は飛鳥さんが補ってくれる…それに』

響@:『……それに?』

海威:『何より、私よりも彼女たちに近しい響教官が居る。』

響@:『……私も海威と同じだよ。彼女たちの大地、彼女たちの北洋水師……。私も歯車として回り続けて、いつかは擦り切れて消えてなくなる。それでも、いつか、私の思いだけは託すつもりでいる……。みんなのことを、私は……』

海威:『響ちゃん』

響@:『……なんだい?』

海威:『…貴女のことを掛け替えもなく、大切に想う人がいたならば。その想いに、答えてあげて欲しいな』

響@:『……心当たりが、ないわけではないけど』

海威:『そっか… なら私が心配しなくともいいのかな』(口に手をあて笑う

響@:『むぅ……。海威、やっと自然に笑ったな?』

海威:『ふふふ… 響教官に聞いてもらえて、胸に突っ掛かっていたものが取れたからでしょうか?』

響@:『胸の痞えが取れたなら……ちゃんと話して伝えられるな? 順天に』

海威:『……えぇ、例え納得してくれなくとも…それが、私の真実なのだから……』(河の向こうを見つめる

 

 

しばらくしてから、海威は響の方に向き直った

海威:『さて響ちゃん、いくつか伝えたいことと尋ねたいことがあります』

響@:『……っと、そうだ。私も私で海威にちゃんと用があるんだった。そっちから先にどうぞ』

海威:『そうでしたか…なら要点だけ。まず江雪の漢詩について。私も、どういう境地なのか分かってないんです。唯々、良人が気に入って吟じていて…』

響@:『そ、そうだったのか? 解釈に孤独と無力感の詩だってあった気がするんだが……』

海威:『それだけ…なのかな? 少なくとも、あの人はもっと深いものを見ていたように思うの…そして、私も…何となく感じているのだけれど』

響@:『うーん。私もそのうち分かるようになるかな……』

海威:『きっと響ちゃんなら分かると思うよ。それからもう一つ』

響@:『尋ねたいこと、だったな』

海威:『うん、あの…響ちゃんには。私は何歳に見えているの?[そういうことか] って、直ぐに納得していたけれど』

響@:『えぇ……?』あからさまに困った顔

海威:『…やっぱり、皆からみればいい年の小母さんなのかな…』

響@:『いや、普段はそんなこと思わないよ。私は。こんな話になったから、遣欧時代の出雲の部下だったなって思い出しただけで……』

海威:『…出雲先生、ずっと若いよね……』

響@:『……んん? 計算すると、海威も歳の割にはだいぶ若くて……出雲は当時から旗艦、責任ある立場で……一体いくつなんだ……?』

海威:『……出雲さんは、たぶん…私よりも15以上は上ですから…えっと…』

響@:『……N号だかの素体になると加齢が止まるってカラクリじゃないだろうな』

海威:『ど…どうなんでしょう。あの頃は軍歴15年以上の方々と何人か、私みたいな新米が実験対象でしたから…』

響@:『まぁそれはいい。私からの海威への用というのが、それ絡みだ。冷泉博士のとこで見聞きしたものについて話しておこうと思って』

海威:『…そうでしたね。私の知る限り…伝えますね』

響@:『まずユカリについてだけど……。海威の知る紫、つまり駆逐艦榊とは別人だった』

海威:『…そうでしたか。そうですよね」

響@:『ただ、姿形は出雲を若くした感じによく似ていて……。ユカリは「私は成功品だから生きている」と言っていた』

海威:『完成品…ですか…嫌な響きですね。あ…いえ…わざとではなくて… ごほん。 出雲さんとよく似ていた…ということは血縁者なのでしょうか、そのユカリさんというのは』

響@:『素直に考えれば、そうなるけど……冷泉博士は、「丹誠込めて作った」「この世にもう一度蘇らせた」と言っていた。そんな技術がもしかしたらあるのかも』

海威:『……本当に、蘇らせることができるのでしょうか…』(思い悩む

響@:『文字通りに、死んだ人間を生き返らせるというのは無理だろう』

海威:『そう、ですよね…』

響@:『海威や出雲が知る“マリオネット”という技術は、ユカリ個人に関わる部分とは全くの別物みたいだな』

海威:『そう…なりますね。けれど駆逐艦「榊」が、マリオネット計画に深くかかわっているのは事実なのです』

響@:『その辺りのこと、話せる限りを全て聞かせてほしい。……できれば順天たちにも一緒に』

海威:『……そうですね。伝えれるなら、伝えておかないと…ね』

 

***********

遣支艦隊は急転する中国情勢に、より即応可能となるために戦力が増強されてきた。その拡充した戦力はついには連合艦隊に追いつつきかねないほどだ。

連合艦隊長官に並ぶ権限を譲渡された長谷川長官・旗艦艦娘出雲の二人は艦隊を二分することに決定。

一つは上海に、そしてもう一つは既に基地として利用していた青島に本格的に派遣することを決議。

青島に派遣された艦隊は、もともと遣支艦隊が第三艦隊として編成されたのを受けて第四艦隊と呼ばれることになる

この第四艦隊に所属する艦娘の一人が清霜であり、また能代であった

 

 19CH年1月30日

清霜@:「ふー」

GM:艦隊の筆頭書記官になってしまった能代から清霜は呼び出されますよ

清霜@:じゃあ指定された部屋へ行きましょうか…ドアバーン?やるよ

GM:どうぞ!

能代:「仕事が… やってもやっても減らない…はぁああ」(頭抱え込み中

清霜@:「能代さーん!こんにちわー!!」ばっこーん!!

能代:「清霜…ドアが壊れるからやめてって!」

清霜@:「え?……それより今日はどんな話?」

能代:「あぁ…んと、ごほん。この前清霜が満州に向かった時の話の延長的なものだと思ってほしんだけれど」

清霜@:「ふむふむ」

能代:「清霜はトンブリ級海防戦艦っていう船をしっていますか?」

清霜@:「どんぶり級…今夜は牛丼食べたいな…っとと、ええと、タイの沿岸防御のだっけ?」

能代:「ボケはともかく、ビンゴ…そう、その軍艦のことです。本艦は我が帝国海軍が設計したものを民間造船所が起工。その後タイに引き渡されました」

清霜@:「うんうん…もしかして、何か問題があったの?」

能代:「っと、トンブリ級の話はあまり関係なくて… 問題なのは、我が国が他国に軍艦を提供したことがあるという事実です」

清霜@:「あ、そっちか…まあ、問題あるだろうねー…」

能代:「今現在、刃桜会が仏印に『艦』を提供しようとしている。私たちはてっきり艦娘を提供すると思って動いていましたから、清霜と会ったというユカリという少女ではないかと半ば断定していましたが…もしかしたら違うかもしれない という話です」

清霜@:「うんうん」

能代:「なので、再び清霜にはトクサに合流してもらい…」

 

GM:能代の言葉を遮るように艦隊本部に警報が鳴り響く。近海の日本国籍船がSOSの信号を出しているのをキャッチしたようだ

清霜@:「!」

能代:「…話は後で続けましょう、清霜。出撃準備に入りなさい」

清霜@:「りょーかい!清霜、抜錨します!」

能代:「第十五駆逐隊、第一小隊に告ぐ。 清霜とともに、SOS信号発信座標へ急行せよ!」

萩・藤:「はっ!」 (電話越し

GM:さて、SOSの発信座標にたどり着くと…そこには。海面を覆う薄黒い油膜、衣類の切れ端のようなものや何かの欠片のようなものが浮かんでいる

清霜@:「……これって…」

藤:「くっさ…というか、ちくしょぉ… 手遅れだったか?」

萩:「それにしては…信号発信から、沈没までのスピードが速すぎる…一体どうして」

清霜@:「…これは、一波乱ありそうだね…!心の46cm砲が唸るよ…」

藤:「あぁ…そうだな、清霜。ともかく、人の気配を探るぞ」

清霜@:「おっけー」

GM:さて… 清霜ちゃん。 初ダイスをお願いします <無個性判定 目標9>

清霜@:ほいほい

清霜@:2d6>=9 なにがでるかな

ダイス判定: (2D6>=9) → 2[1,1] → 2 → ファンブル(判定失敗。アクシデント表を自分のPCに適用)

清霜@:!?

萩:「き、清霜さん!大丈夫ですか?」

清霜@:多分捜索中に転ぶんだろう  べちゃー

藤:「おいおい…油まみれになってるじゃねえかよ」

清霜@:act

ダイス判定: アクシデント表(4) → 奇妙な猫がまとわりつく。サイクルの終了時、もしくは、艦隊戦の終了時まで、自分の行う行為判定にマイナス1の修正がつく(この効果は、マイナス2まで累積する)。

清霜@:「む、むむむ…」あぶらねとーり

萩:「って、この子…いつから清霜さんに纏わりついていたの?」(猫をはぎ取る

藤:「んにしても…冷静になってみれば、なんかちと変じゃねえか?」

萩:「…そうね、何か不自然な気がする… どうしてだろう…」

清霜@:「……」

藤:「俺たちゃSOSがあってすっ飛んできたんだ…にも関わらず、それなりの距離があったとはいえ…こんな何もかも事後でしたっていうのは…」

清霜@:「何かものすごい敵がいたってこと?」

萩:「…かもしれない。 何だろう、この…歯に何かが引っ掛かった感じ…」

清霜@:「とりあえず、一通り探索して、報告しないとね」

藤:「あっあぁ…そうだな。探索を続けるか」

 

GM:その後、三人は探索を続けるも生存者ばかりか溺死者さえも見つけることはできなかった

清霜@:じゃあ帰投したら、その折を報告しよう 「まるまるうまうま、だったよー」

能代:「……むぅ、どういうことなのだろう… うーん」(部屋をウロウロ

藤:「なんて言ったらいいか分からねえんだけどさ、なんかこう……酷く恣意的なものを感じたような気がしたことを付け加えておく」

能代:「現場に駆けつけてみれば、既にSOS信号を発信した船は沈没、生存者・溺死者ともに不明……握りつぶしたい…握りつぶしたいよぉ」(側頭部を押さえながら

清霜@:「あはは…」

能代:「絶対上から怒られるよ…お前らの姿勢と、船舶会社への指導が云々…あーあぁー私が悪ぅございましたあああああ」

萩:「ちょっと!? 能代さん、しっかりしてください!」

清霜@:「……」

藤:「あっちゃー ついに爆発したか…」

清霜@:「……のしろさーん。」

能代:「指導してます、でも実践してくれるとは…それならお前の対応が悪い…はい、仰る通りですよ! …こほん 何でしょう」

清霜@:「人が出ないってことは、浚われたりしたんじゃないかなーって思ったんだけど…」

能代:「はい。その方向も考える予定です!…ごほん。浚われたとすれば…じゃあ、何処に?誰が誰を?何のために?  これらの疑問が当然出てくるわけで…」

清霜@:「それを捜査すればいいのかな?」

能代:「『申し訳ありません、報告が遅れました! 以後気をつけます!』と上には言っておきますので… うん、そういうこと。清霜、第四艦隊の書記官として命じます。本件の事実関係を明らかにしなさい。」

清霜@:「了解だよ! じゃあ行ってきまーす!!」(ばっこーん!!)

藤:「気をつけな」

能代:「もし、万全を期しても私に非があったか、それとも明らかにならないなら… 職を辞させてもらいましょう。えぇ…はははは」(机に突っ伏す

萩:「能代さん?能代さん!能代さーん!?」

 

 **********

一方で同日の旧遣支艦隊こと第三艦隊には、出雲の教え子の一人が艦隊本部の門下を潜ろうとしていた

**:「…出雲さん、元気にしているかしらね。」

慣れた道を歩くように、彼女は一つの部屋を迷うことなく目指す。

途中、廊下で出会った士官・兵の中には懐かしそうに敬礼するものがいる。どうやら彼女と顔見知りの人間も居るようだ

虹口区、支那方面艦隊・第三艦隊司令本部大会議室。 ノックした彼女を部屋の主の一人が間髪入れることなく招く。そこに並ぶのは、出雲・長谷川長官のツートップの下で航空部隊の運用を論議する面々

GM:純然たる空母戦力である飛龍・龍鳳なども参加している会議である

加賀:「……随分とした歓迎ね、いいのだけれど」

出雲:「貴様の肩書は、一航戦の旗艦で十分だと言い張るならな。相応の歓迎をしたまでだ」

飛龍@:「……ん、あれ……?」

出雲:「飛龍、紹介する。こいつは…」

加賀:「第一航空戦隊旗艦艦娘、加賀よ。そして貴女の前任者でもある…よろしく」

飛龍@:「あぁ……えぇ。よろしく」

加賀:「此の度、東シナ海に遊弋することになったとあいさつに来たのだけれど、まさか貴女が上海に居るとは思わなかったわ」

飛龍@:「……何か悪いかしら?」

加賀:「いいえ、ただ…そうね。『引き籠り』には、荷が重すぎると思っただけよ」

飛龍@:「……文句を言いに来ただけならさっさと帰って。正直、今はこっちで手一杯だから」

加賀:「まさか、そんな無駄なことに貴重な燃料は使わないわ。(長官の方に向き直り)長谷川長官、例の輸送作戦の件についてなのですが……対象船がロストしたまま行方しれずのままだと、どういうことでしょうか」

長谷川長官:「………」

 

GM:と、話を切り出すがその船については飛龍はもちろん知っています

飛龍@:もう共有してるのね。はやいはやい

GM:っと。いやいや、違います。現在、航空屋まで集められているのは大連・神戸間を往復する帝国廻船の貨物船から定時連絡が途切れたということで、航空偵察を含めたあらゆる手段で見つけ出そうとしている最中です

飛龍@:あ、そっちか

GM:あらゆる、とは言え。海域的に完全に中国or満州の領海であるため、日本海軍はなかなか手を出せずに歯がゆい思いをしているところですね

長谷川長官:「残念ながらまだ調査中だ。 今、この段階で我が国の巡視船など乗り入れてみろ、航空機を大量に投入してみろ、中国との和解を砕け散るぞ」

飛龍@:「……はぁ。こうして話してるのも埒があかない。長官、ロストした場所に行ってみてもいいかしら?」

長谷川長官:「………そうだな。海路で直接は許可できないが、陸からの接近は認めよう」

飛龍@:「了解よ。……それと、私一人でやる。こういうことは少人数の方があまり大事にならずに済むわ」

長谷川長官:「…そうか、足柄もまだ帰ってきていない上にお前も知っての通り俺たちも動けない。すまないが頼んだ」

飛龍@:「まぁ、任せてといて。……場合によっては、航空隊から離れる可能性もあるけど」

出雲:「…飛龍、まずは出港地である大連を目指せ。青島の監視所から黙視されていないようだからな。」

飛龍@:「大連ね……分かったわ」

出雲:「航空隊の指揮はこちらで担おう。時間は掛けられない、迅速な行動を要請する」

飛龍@:「……そうね。ただでさえこっちが危険なときにこんな状況……偶然とは言いにくい」

加賀:「……長官、出雲さん。我が部隊及び空母加賀号麾下は黄海に遊弋し警戒態勢を取ります。万が一の事態があれば、それに臨機応変に対応しましょう」

出雲:「配慮に感謝する」

加賀:「では… お先に失礼します。(一礼して飛龍の横を通って呟く) どれだけのことができるか、見ものね」

飛龍@:「……もう、あの頃の私に戻らないから」(横を通る加賀にボソリと

出雲:「……飛龍、悪かったな。」

飛龍@:「……別に」

出雲:「……臥龍は雲を得て天に昇るという。飛んで見せて黙らせろ、アレ(加賀)にはそう教えた故にな」

飛龍@:「……元より、そのつもり」

出雲:「なれば問答無用、支度次第疾く行け」

飛龍@:「……」(コクリと頷いて部屋をでる

長谷川長官:「……さて、続けるか。」

出雲:「あぁ、そうだな」

 **********

GM:足柄が出雲からマークするように指示されていたのは大東亜重工・上海支社長である。昨年の上海文化競進会前後から金回りが良くなった男であり、トクサ側からの情報によればクロギリ海域からの輸送船団との取引の便宜を図っている張本人だという。

足柄@:ほうほう、じゃあ周辺情報を集めたりしてたのかな?

GM:ですね。出雲があらかじめ持っている情報(飛鳥がすでに調べていたもの+トクサからの提供)を合わせて探っている感じですね

足柄@:出雲としてはどんな証拠としてはどんなのが欲しいんだろ?

GM:報告を受けた後ならば、基本的に大東亜重工の今後の方針に影響しそうな対外交渉

足柄@:なるほど。証拠集めってよりは情報収集なのね

GM:はい、あとは軍艦建造の可能性かな

足柄@:となると、特に金や資材の流れをあたることになるな。

GM:では… 判定の準備を<無個性判定 目標12/補正技能 誘惑・調査>

足柄@:誘惑3の調査2で7か。2d6+5>=12

ダイス判定: (2D6+5>=12) →11 → 失敗

足柄@:おおっと。振り直すかな。声援貰える人居ます?

GM:うーん、もし使うなら飛鳥の資料を引き継いでるから飛鳥からの分かしら

足柄@:じゃあ飛鳥の分を使って成功にしますか。

GM:Ok では、クロギリ海域から上海に流れた金が、支社長の指示の下でロンダリングされて大東亜重工に流されていくのを、お兄さんがたから足柄は知ります

足柄@:「ふむふム。ンー。まあこれ出雲に流せば何かいいかんじにつかうかナ。」という事で報告ゴー!かな?他にも何か得られたら別だけど

GM:あーどうしよう…大東亜重工の対外交渉に関するうわさもついでに流れてきたという体でこんな情報が回ってきます

足柄@:ほうほう

GM:大東亜重工、火曜研究所が完成させた96式超重榴弾砲、開発コード[山津波]を関東軍が導入を決定。導入を決めた人間の中には石原莞爾も居るとのこと

足柄@:了解了解。確か、前回で似たようなもの作って盗用疑われたって愚痴ってた人の盗用(じゃないけど)元の砲かな?

GM:ですね。その火曜研側が作った、野戦砲隊がギリギリ運用できる巨砲です

足柄@:なるほど、こっちとの因縁も多少あるし覚えておいて一緒に報告しましょう

GM:では早朝に艦隊本部に戻ってきた足柄さんを、出雲が迎えます

足柄@:「ただいま戻ったヨー。」

出雲:「……貴様か、足柄」

GM:足柄さん判定用意を<無個性判定 目標12/補正技能 心理学>

足柄@:2d6+3>=12 厳しいな

ダイス判定: → 失敗

足柄@:1回だけ振り直すか。

二度目の判定で見事足柄さんは成功させた。

GM:…おおぉあーでは、足柄さん。 出雲が待っていたのは自分ではないことに気が付きます

足柄@:「お目当ての子じゃなくてごめんネー?」

出雲:「……っ。くくっ……貴様には隠せぬか」 (少しバツの悪そうな顔で苦笑する

足柄@:「まー、いつ帰るか判らないシ?暇つぶしに報告聞ク?」

出雲:「あぁ、頼む」

足柄@:という事でロンダリングとか火砲とかをかくかくしかじか!

出雲:「……榴弾砲か、しかし…そんなものが深海棲艦に有効だと木曜研は思っているのか?」

足柄@:「どうだろネ?深海に向けるとは限らないシ。」

出雲:「対空火器か?ならば巨砲にする必要もあるまい」

足柄@:「どっかの陣地にドーン、とカ。ああ言うのって動かないもの狙うんじゃないノ?」

出雲:「あぁそうだ、基本的には面を平均的に痛めつける兵器だと私は思うのだが。まぁいい…今はまだまだ情報が足りなさすぎる故にな」

足柄@:「どっかの陣地なり要塞なりを狙う予定は…まあ、あるよネ。どこかはともかく。」

出雲:「…ウラジオか」

足柄@:「『何時』かはともかく『何時か』はやるだろうしネー。ロシア方面はちょっとやな思い出あル?」

出雲:「私の半生以上をロシアと敵対して過ごしているのだ。よく思いたくとも、中々難しいだろう」

足柄@:「そんなもんなのネ。ところでさ。誰待ってたノ?」

出雲:「……貴様、私が素直に言うとでも?」

足柄@:「……自覚あるんダ。」

出雲:「何年私が私の役をやっていると思うのだ」

足柄@:「まーそうだけどサ。じゃあこっちが当てるのはあリ?」

出雲:「好きにしろ」

足柄@:「飛鳥でショ?この時間に他に報告に来そうな奴って言うト。」

出雲:「………」

足柄@:「……」

出雲:「……独り言なのだが。貴様は私の羞恥を煽りたいのか…それとも冷やかしたいだけなのか」

足柄@:「そこは想像にお任せするヨ。あ、ボス次の指令あル?無いなら一眠りして遊びいくけド。」

出雲:「…………はぁ。貴様、飛龍を知っているだろ。」

足柄@:「あ、うン。」

出雲:「アイツが大連まで、突如消息の途絶えた輸送船の捜索をしに行った。それも一人でな。この手は貴様の領分だろう、バックアップについてやれ。」

足柄@:「あいあい。それにしても、輸送船、ネ。」

出雲:「奴が断固として拒否したならば、私から副次的に頼むことを主目的にしてほしい」

足柄@:「副次的?」

出雲:「……これを見ろ」(と、新聞の号外を足柄に渡す

記事には満鉄線の爆破について報道されている

足柄@:「ふーン?」新聞の号外を受け取る、「……爆破?」なんか時間かかった。

出雲:「私からの頼み事は大きく分けて二つ」

足柄@:「うン。」

出雲:「一つ目、これは飛龍の件に殆ど同じであるが輸送船が運んでた『積み荷』の行方だ」

足柄@:「あ、うン。そこ気になってタ。何だったノ?」

出雲:「…『積み荷』はな ~~~~。 これらの存在は、我らの重大機密である」

足柄@:「……偶然、には思えないネ。」

出雲:「そして二つ目、それは…」(少し言いよどむ

足柄@:「も一つハ?」

出雲:「…飛鳥についてだ。」

足柄@:「ふぅン?」

出雲:「……貴様を私情で動かすのは望むところではないが、動かれてくれ」

足柄@:「うンうン。ボスの頼みとあらバ?」

出雲:「爆破は、飛鳥が上海に戻ってくるのに使うはずだったダイヤの汽車を狙ったものだ。」

足柄@:「拙く無イ?」

出雲:「見れば分かるように死人も出ているらしい…最悪、奴の死亡報告を上げてくれればいい」(苦い顔)

足柄@:「そっちじゃなくテ。いやそっちもまずいんだけド。」

出雲:「…済まない。何もかもが非常にまずい。更に悪い知らせであるのだが」

足柄@:「うン。」

出雲:「私は、海軍左派に肩入れしている。現在の海軍大臣は左派の人間なのだが、この所…辞職を迫るような怪文書騒ぎが海軍省で起こっているという」

足柄@:「ふーン?怪文書?」

出雲:「ここで確認ではあるが、特命捜査班は大臣のお膝元に作られている。」

足柄@:「大臣が辞職したらオじゃン?」

出雲:「…分かるな、『積み荷』の扱い一つで大臣の首が飛ぶぞ」

足柄@:「そうだけド。むしろ……誰だかしらないけド、完全に『ここ』に的絞ってなイ?」

出雲:「……ならば狙いは何だ。」

足柄@:「ンー。さっき、大臣の首が飛ブって言ってるじゃン?それを1番防ぎそうな場所が『ここ(と、特命科)』と見てるんじゃ無いかナとか。」

出雲:「…差し詰め、外堀ということか。私たちは」

足柄@:「ま、そユわけで頼みは受けるけどサ。ボス達も注意した方が良いと思うヨ。」

出雲:「……聞くだけは聞いておこう」

足柄@:「そゆ事ネ。ここまで派手に動くって事は結構本気だと思うヨ。……(少し考える。)あと、石原さンとこと響のとこ。この辺が危ないと思ウ。」

出雲:「石原には私から伝えておこう…あれはあれで聞き入れいるタイプではないがな」

足柄@:「面倒くさいの多いよネー。」おまいう。

出雲:「油断しないに越したことはない、ただ…今度は備えあれど憂いありの状況なのがつらいな」

足柄@:「ちょと派手に動きすぎたんじゃないノ?まあ……誰だかしらないけド、お礼ぐらいはしておきたいネ」にやっと

出雲:「えらく生き生きとしているな、貴様」

足柄@:「そりゃ、人生は楽しまないとネー。まーネ。とにかく、『積み荷』を確保するとこからかナ。」

出雲:「可能ならば飛龍のバックアップもしてくれよ」

足柄@:「あ、はいヨー。」<バックアップ

足柄@:「じゃ、飛龍のとこ行ってくるネー」ひらひらと手を振って退室

出雲:「あぁ、行ってこい………」(椅子にもたれ掛かる

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。