遊戯王ARC-V 迷える子羊   作:ちまきまき

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皆さんはスシと天ぷらどっちが好き?(訳:妖怪時計借りたらハマっちゃった)


番外編 No Touchでお願いします!

「なんでお前と一緒にいなきゃ行けないんだよ」

 

「そんなに私と移動するのが嫌か」

 

「嫌」

 

ぷんっ!と頬をハムスターの様にパンパンに膨らませてそっぽを向く遊矢に隣で歩く零児はため息をついた。ただ部屋の移動をするだけだというのに、険悪な雰囲気。あのデュエル以来、零児に対する遊矢の好感度は皆無。もはや夏にやってくるあの黒い悪魔よりも下である。

 

そんな2人が歩く中、後ろから見ていた黒咲とモコを除いたランサーズは困惑していた。

 

「ゆ、遊矢…そんなにあからさまに嫌わなくても…」

 

「そう言うな、ユート。遊矢からすれば赤馬零児は柚子を餌に自分をランサーズに入れた極悪人みたいなものだ」

 

「まぁ、しゃちょーさんもビジネスマンだし、たしょーのリスクはおてのものなの」

 

「リスクはなるべく小さく、利益は大きく。まさにビジネスの塊だぜ」

 

「なのー」

 

権現坂の頭に乗るユートに難しそうな顔の権現坂、「なのなの」と頷く鈴蘭、鈴蘭の意見に同意する沢渡。

 

「それよりもモコはどこだ?黒咲もいないようだが?」

 

「日辻殿と黒咲殿なら先に部屋にいるでござる。お互いのデッキ調整をするとかで」

 

「(こくん)」

 

「そういえば、2人って師匠と弟子の関係だっけ?良いなー黒咲!あーんなCuteな弟子がいて!」

 

馬鹿な男2人よりもモコが気になるセレナ、彼女の問いに答える月影と零羅、黒咲を羨ましがるデニス。先に部屋にいる2人を除いて、ランサーズが揃っている。「ちゃんと話し合いがしたい」と先日の親睦会に参加出来なかった零児の提案が全ての始まりだ。その溝を埋める為に今回、別の部屋に移動して話し合う。今度はランサーズ全員で。

 

「…部屋には君の好きなパンケーキもあるが?」

 

「「パンケーキ!?」」

 

パンケーキに反応したのは遊矢とユート。じゅるりと涎が溢れたが、ハッとしてすぐに拭く。ここまで同じタイミング、同じ動作でシンクロをしていた。

 

「パ、パンケーキなんかに騙されないんだからね!!」

 

「…さてと、この部屋だ」

 

「話聞け―――!!」

 

ギャーギャーと騒ぐ遊矢を放って、零児は部屋の扉を開けた。先に零児が部屋に入り……固まった。

 

「……?赤馬零児?どうしたの?」

 

急に固まった大嫌いな人物を不審に思い、遊矢も部屋に入ってみる。すると、同じ様に固まった。

 

―――部屋の中には黒咲と小さな女の子がいた。

 

高級そうなソファの上に座った黒咲の膝の上に座る小さな女の子。4歳くらいだろうか。髪はふわふわとした白髪のロングヘアーで、大きな瞳は左右色の違うオッドアイ。楽しいのか頬を紅潮させ、黒咲の顔を見るとふにゃりと笑った。その可愛らしい笑顔に黒咲は微笑み返す。薄ピンク色の甘々なロリータのワンピースを着ており、頭の後ろには大きな蝶にも見えるリボン。しかし足は何故か裸足。靴下も履いていない。

 

…その女の子は非常にモコに似ていた。

 

「ん?…あぁ、お前達か」

 

「しゅんおにぃたーん!」

 

「コラコラ、今話をしている途中だ。少しだけ静かにしていろ」

 

「ぷーっ!」

 

黒咲の言葉に頬を膨らませる女の子。非常に可愛らしい。それを見て零児と遊矢はゴミ虫を見るかのようにさげすんだ眼で黒咲を見ると、デュエルディスクを取り出し―――

 

「「もしもし?警察ですか?」」

 

「通報やめろ!」

 

そっと女の子を膝から降ろして、ソファの上に座らせた後、黒咲は鬼の血相で2人のデュエルディスクを掴み、通報を阻止した。だが2人の蔑む目は消えない。

 

「最っ低!最低だよ黒咲!なに?ついに本当の不審者になったの!?ていうか変質者じゃん!最っ低!!」

 

「違う!!話を聞け!!」

 

「不審者及び変質者は皆現場を見られればそう言う。榊遊矢、通報だ」

 

「オッケー!!」

 

「お前らは仲が悪いんじゃなかったのか!?だから違うと言っているだろう!―――アレはモコだ!」

 

「「はぁ?」」

 

遊矢と零児の通報コンボが決まろうとしたが、黒咲の言葉で2人はソファの上に座る女の子を見た。モコ似の女の子は黒咲の言い付けをきちんと守っており、両手でドーナツを掴んではむはむと食べていた。その仕草は子リスを彷彿とさせる。

 

――――再び2人はデュエルディスクを耳に当て

 

「「もしもし警察ですか?」」

 

「やめろぉおおお!」

 

再び黒咲が2人のデュエルディスクを掴み、今度はそれを奪った。

 

「最低!!黒咲ついにモコに手出したの!?モコになにしてんだよ!!」

 

「これは由々しき事態だ。不審者人間が年下の少女に手をだし、更には子供を産ませるとは…今から処罰するか?」

 

「処罰じゃなくて無期懲役だって!!ちょっと本当にモコどこなの!?」

 

「あーい!」

 

「へっ?」

 

遊矢の言葉に返事をしたのはあのモコに激似の女の子だった。きゃっきゃと笑い、手を挙げている。可愛い。服の影響もあり、本物の天使に見える。リアル天使だ。

 

―――…あれ?と不安に思いながら遊矢は言った。

 

「…ひ、日辻モコちゃーん?」

 

「あーい!ひつじモコれしゅ!!4さいれす!」

 

…………………………………。

 

 

「えぇえええええええええええええええええええええ!?」

 

「きゃはー!」

 

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

「これは非常に、由々しき事態だ」

 

真剣な表情で手を組む零児。流石は天下のLDSとLCを経営するだけの人間だ。非常に様になっている。…静かな部屋だったらの話だが。

 

「モコちゃん、あーん!」

 

「あー…むっ。おいしいれすねー!鈴蘭ちゃん、あーん!」

 

「あーんっ!おいしいねー!」

 

「「ねー!」」

 

きゃあきゃあと可愛らしい女の子と男の子が戯れる。お互いにケーキの食べさせ合いをしており、口の周りに生クリームをいっぱいつけて笑いあう姿はまさに天使そのもの。

 

――― 事態は大変だが。

 

「…一体どういう事なの?説明頂戴」

 

「…彼女がこうなったのは、これのせいだ」

 

零児が取り出したのは、1つの透明な瓶。市販で売っている薬の瓶と大体同じサイズだ。中には白いラムネにも角砂糖にも見える物体が入っている。

 

「…それは?」

 

「我がLCで開発段階の薬、名付けて『ぷるるんっ☆みらくるふぇいす』だ」

 

「なんじゃそりゃ。後裏声キモイ」

 

「簡単に言えばコラーゲン入りの美容剤と思ってくれればいい。…まさかそれが台所にあるとはな…」

 

話はこうだ。この『ぷるるんっ☆みらくるふぇいす』(以下みらふぇす)をLCは女性向けとして開発していた。そして試作品を作り上げたは良いが、研究員がそれを何故かこの部屋にある簡易台所に置いてしまい、部屋に先に来ていたモコと黒咲は休憩がてら紅茶でも飲もうとした。黒咲は何もいれず、モコは砂糖を入れた。

 

……大体お分かりいただけだろう。モコ(以下チビモコ)は『みらふぇす』を角砂糖と間違え、ポチャン。何も知らずに飲み、直後に煙を立てて、モコは小さくなっていた。

 

なお、元の服は黒咲指導の下、チビモコが楽しそうに畳み、今着ている服は黒咲が箪笥にあった上質な薄い桃色のシルク毛布で作り上げた。10分で。これもデュエリストが成せる匠の技である。何も履いていなかったのは、流石に靴までは作れなかったから。

 

そして今に至る。

 

「ふーん…要はLCの研究員ミスって訳か」

 

「すまないな。私の方から言っておこう」

 

「まったくだよ。でもさ…」

 

ちらりと遊矢がチビモコの見る。チビモコは黒咲の膝の上にちょこんと座り、沢渡と卓上デュエルをしていた。

 

「フィールドまほー『ゴーストリック・ハウス』のこうかで、ダイレクトアタックできまーす!うらしゅびばっかのしゃわたりおにぃたんにダイレクトアタック~!アルカード、まじょちゃん、ねこむすめちゃーん!」

 

「っだぁああああ!負けた!」

 

「わぁーい!しゅんおにぃたん、みてたー!?モコ、かったのー!」

 

「あぁ、見てたぞ。よくやったな」

 

「きゃはーっ!」

 

「沢渡、幼子に負けるとは…」

 

「なさけないのー!」

 

「うるせーっ!あんなに裏守備にされて、邪魔されたらどうにもならねぇだろ!!」

 

因みに今日のチビモコ、沢渡相手にゴーストリックの強みである裏守備にしてお邪魔をするをとことん使っている。今日の引きは神っている。

一方で不審者扱いされた黒咲は持ち前の兄っぷりを発揮し、すっかりチビモコに懐かれている。勝った勝ったと喜ぶチビモコの頭をなでなでするその顔はでれでれ。緩みっぱなし。いつもの強面はどこ行った?と言えるレベルだ。

 

「モコねー!ゴーストリックのみんな、しゅきー!アルカードしゅきー!」

 

【ダラッシャァアアアアアアアアッ!!フォォオオオオオオオオッ!!】

 

「あれ?変な声が聞こえたような…?気のせいかな?」

 

アルカード、嬉しさのあまりエクストラデッキの中でガッツポーズ。

 

「ゆぅやおにぃたん!」

 

「ん?なぁに?」

 

とことことやってきたチビモコは、ぴょんっと遊矢の膝の上に乗り、向き合うように座る。

 

「あのねー!」

 

「うん」

 

「よんだだけー!」

 

「はうっ!!」

 

にぱぁ!愛くるしい笑顔に遊矢が射抜かれる。胸を押さえ、悶える遊矢は溜まらずチビモコを抱きしめる。

 

「可愛い!可愛いよ!超可愛い!!」

 

「にゃー!」

 

「持ち帰りたい!はうわぁああ…!!って、セレナ…何やってるの?」

 

すりすりとぷにぷにの頬に自分の頬を摺り寄せる遊矢だったが、ふと視界に入ってきたセレナを不思議そうに見つめる。遊矢に声をかけられたセレナはびくりと跳ね上がる。…何故かユートを盾にして。

 

「セレナもモコと遊ぼうよ~!」

 

「む、無理だ!」

 

「なんで~?子供嫌い?」

 

「ち、違う!そうじゃなくて…!」

 

「……何故俺は盾になっているんだ」

 

頬を染め、チラチラと不安げにチビモコを見るセレナ。そして自分が盾になっている事が不満なユート。遊矢はユートを気にする事なく、セレナに声をかける。

 

「……もしかして恥ずかしい?」

 

「……アカデミアに今のモコの様な子供はいなかった…付け足すとすれば私は子供との接し方を知らん」

 

「そっかぁ…」

 

セレナはアカデミアにいたが、元々部屋に閉じ込められていたので、子供との接し方が分からないのも頷ける。「うんうん」と遊矢は何度か頷くと、チビモコを抱き上げ、セレナの元へと近づく。びくりと跳ね上がるセレナの前までやってくると、チビモコを降ろし、しゃがんだ。

 

「モコ」

 

「なんれすかぁ?」

 

「この猫ちゃん抱っこしてるお姉ちゃんはセレナって言うんだ。猫ちゃんはユートね」

 

「…セレナおねぇたんとユートちゃん?」

 

「ちゃん付け!?」

 

まさかのちゃん付けにユートがショックを受ける。仕方がない、猫の姿をしているのだから。

 

「うん。それじゃあセレナお姉ちゃんに挨拶してみよっか。出来たら黒咲のお兄ちゃんがお菓子くれるぞ~?」

 

「あーい!」

 

とてとてとチビモコがセレナに近づくと、両手を上げて挨拶をした。

 

「セレナおねぇたん!モコはモコっていいましゅ!よろしくれす!」

 

「……あ、あぁ…セレナだ」

 

にゃぱぁと明るく可愛らしい笑顔を見せるチビモコにセレナはユートを降ろすと、少し言葉がつっかえつつも、ちゃんと挨拶が出来た。ユートはそそくさと遊矢の頭に避難し、遊矢はセレナに近づいて耳打ちをした。

 

「セレナ、両腕広げてみて」

 

「何故だ?」

 

「良いから、ね?」

 

「あ、あぁ…」

 

遊矢に言われた通り、セレナは両腕を広げる。それはまるでチビモコに『抱き付いてきて』と言ってる様な物で、

 

「きゃ~!」

 

チビモコは嬉しそうにセレナに抱き付いてきた。驚くセレナの胸元でくふくふと笑うチビモコ。ぎゅぎゅと抱き付いてくるチビモコを、セレナは恐る恐る両腕で優しく抱きしめてみる。暫くすると、彼女の口元が少し緩んだ。

 

「……あたたかいな」

 

「にゃはー!セレナおねぇたーん!」

 

「ナイス、遊矢」

 

「えへへ」

 

初めて触る子供体温に嬉しそうなセレナに笑うチビモコ。遊矢の気遣いにユートは感心する。素敵な気遣いだと。ふと、セレナに影が覆いかぶさった。セレナが顔を上げる前に、何かがにゅっと手を伸ばし、ふわりとチビモコを抱き上げる。遊矢が「あっ」と呟いた。

 

―――チビモコを抱き上げたのは意外な人物、否、モンスターだった。

 

「ニャハハハーッ!」

 

「ふぉー!まほーちゅかいしゃん!」

 

ニャハニャハと独特な笑い声と白い魔法使いの様な衣装に、赤い仮面が特徴的のマジシャン『Em トラピーズ・マジシャン』がチビモコを抱き上げていた。くるくると回ったり、楽しげにチビモコと触れ合うこのモンスターを操るのは勿論彼である。

 

「コラコラ、トラピーズ。あんまり振り回したら駄目だよ。程々にね」

 

「ニャハハー!」

 

「ぴゃー!しゅごーい!」

 

いつの間にかデュエルディスクを展開していたのだろう。プレートにはトラピーズ・マジシャンのカードが置かれている。トラピーズ・マジシャンはダンスをする様にくるくると回る。チビモコも嬉しそうで、「まほーちゅかいしゃーん!」とすっかり気に入った様である。トラピーズからチビモコを受け取ったデニスが軽いマジックを見せると、ぴゃー!とチビモコが喜ぶ。

 

すると、バンッと急に扉が開いた。全員が振り返って、扉の方を見るとそこには……!

 

 

 

「番外編含め8話ぶりの登場だ(キリッ)」

 

「何かスタイリッシュにシスターさん登場――――!?」

 

 

 

キリッとキメ顔で、スタイリッシュに登場したのは皆さんご存じ、まよつじ最強と名高いシスターだった。片手に紙袋を持った彼女はスタスタとモデル並に長い足を動かしてチビモコを抱き上げるデニスに近づくと、チビモコを奪い去った。因みにスピード的には音速を超え、恐怖を感じたトラピーズはカードに戻った。

 

「はっ!?えっ!?」

 

「おぉ…よしよしモコ。随分と懐かしい姿になって」

 

「ししゅたー!」

 

んぴゃー!と喜ぶチビモコを撫でる微笑のシスター。狼狽えるデニスは放っておき、シスターは片手に持っていた紙袋を遊矢に向けた。

 

「ほら」

 

「…え?これなんです?」

 

「モコの着替え」

 

ほれと遊矢に紙袋を押し付けたシスター。恐る恐る遊矢が中身を除き、出してみる。

 

「…えっ…!これって……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

つるんとした2つの角、長い尻尾、そして2色の眼を模した大きなビーズ。そう今、ここには…。

 

「がぉー!」

 

「アァアアアアッ!可愛い可愛い可愛い!オッドアイズ・モコ・ドラゴン可愛いよぉおおおおお!!」

 

バシャバシャバシャッ!!

 

遊矢のデュエルディスクのカメラボタンを押す手が止まらない。可愛いと連呼しながら撮るのは、赤いパーカーを着たチビモコである。しかもただのパーカーではない。尾てい骨部分に尻尾(柔らか綿入り)、フードの部分にはオッドアイズの特徴的な目を模した大きなビーズと角(子供が怪我しないプラスチック)が付いており、所謂キャラパーカーの様な装い。

 

実はこれ、シスターの手作りキャラパーカーである。

 

「次っ!次はダークリベリオン版を!!」

 

「よし、任せろ。何ならダスティ・ローブのローブもあるぞ」

 

「本当か!?あぁ迷う!」

 

さっとダークリベリオンパーカーを取り出すシスター。にゃーにゃーと喜ぶユート。他にも月光蒼猫やミミクリー・レイニアス、プリティーヒロインなどなど、色々ある。

両手を挙げて「がぉー!」と叫ぶチビモコを遊矢が可愛いを連呼して、撮る撮る。

 

「シスターさん!次は星読みを!!あぁでも時読みも良いなぁ…!」

 

「遊矢撮りすぎだ!今度はダークリベリオンを!!」

 

 

この日は撮影会となったが、まさかこれが

 

 

 

 

 

―――― 色々と大変な事になってしまう事となるとは…

 

 

 

 

 

 

 




一応この後

シンクロ次元行ったり、融合次元でユーリ様に可愛がられたりする予定。

また世代超えちゃったり。

初代⇒青眼を着て、海馬ランドのマスコットやったり
GX⇒ブラマジで購買部のお手伝いしたり
5D⇒ブラックローズ風ワンピ着て、アキちゃんにきゃっきゃされたり
ゼアル⇒96と仲良くなって、銀河眼コプスレしたり…

などかな?

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