Prologue 迷える子羊とシスター
ある所に雲の様にふわふわとした白い髪を持った羊の女の子がいました。
羊の女の子は意地悪な両親に毎日毎日、その大きな手で、その長い脚で意地悪されていました。
いつもいつも薄暗い、埃だらけの部屋の隅っこに身を縮めて、何とか両親から逃げようとしましたが、全て無駄に終わってしまいました。
何度も謝っても手は、足は止まりません。
羊の女の子が生まれてから、春が4回目に来た時の事でした。意地悪な両親がいなくなりました。
その後、やってきた青い服のお兄さん達から聞いた話は「両親は馬車に引かれていなくなった」という事でした。
羊の女の子は何故か悲しくなりませんでした。何も感じない自分にビックリしました。
羊の女の子は青い服のお兄さん達に連れていかれて、孤児院というところへ連れていかれました。
孤児院は羊の女の子みたいな子がいっぱいいる所で、皆羊の女の子を歓迎しました。
初めて食べたスープの味は、しょっぱくて、何故か目からポロポロ水が出ました。
羊の女の子は先生に孤児院でやる事をいっぱい、いっぱい教えてもらいました。
羊の女の子がやってきた後も、孤児院には羊の女の子よりも小さい子がいっぱいきました。
小さい子供達は最初来た時は泣いていましたが、皆羊の女の子を「お姉ちゃん」と呼び、慕ってくれました。
そんな日常が続いて、春が8つ来た時の事です。羊の女の子が王子様に攫われたのは。
羊の女の子がお花にお水を上げていると、突然王子様は、いいえ王子様の皮を被った悪魔は羊の女の子を連れ去りました。
悪魔は泣く羊の女の子の頭を撫でます。
『今日から家族だよ』
ニッタリと笑った悪魔はそう言いました。しかし羊の女の子の家族は孤児院の子達です。この悪魔の家族にはなれません。
嫌だ嫌だと首を何度も横に振っても、悪魔はニッタリと笑って同じ事を何度も言います。
すると孤児院でお世話になっていたシスターが背中に馬鹿でかい包丁を持って、羊の女の子を助けてくれました。
悪魔はシスターによって退治され、羊の女の子は泣きながらシスターに抱き付くと、シスターは優しく抱き留めてくれました。
羊の女の子がシスターに手を引かれて、孤児院に帰ると子供達と先生が大泣きで迎えてくれました。
大泣きする皆に釣られて、羊の女の子も大きな声で泣き始めました。
わんわん泣いた後、羊の女の子は言いました。
『王子様なんていない』
それを聞いたシスターはこう言いました。
『お前の面倒は私が見よう。文字が分からないなら、常識が分からないなら、全てが分からないなら私が教えてやる』
そう言って、シスターは救いの手を迷える羊の女の子に差し伸べたのです。
「シスター、おはようございます。今日、頑張っていってきますっ」
「おーおー頑張ってこぉーい」
いってきまーす!と手を上げて、自分にぱたぱた振る羊の女の子にシスターは振り返します。緊張気味に、でもどこか楽しげな笑顔で見せて、走っていく羊の女の子の後ろ姿をシスターは見えなくなるまでずっと見つめていました。
「あーあ、行っちまったなぁー。まったくあんなでっかくなっちまって…昔はあぁーんなに小さかったのによぉ」
シスターは懐かしむように笑って、家の中に入っていきました。
「頑張れよぉ、モコ。お前はやっと自分の足で一歩を踏み出せたんだ。…今日は記念日だな。よしっマザーに連絡してやるかぁ!」
モ「は、初めまして日辻モコと言います!初めて次回予告をやらせていただく事になりました…!」
シ「おーおー一丁前に自己紹介も出来るようになったのかぁー」
モ「シスター!モコ、頑張ります!きょ、今日はモコの簡単なプロフィールについて教えたいと思います!…きっと皆さん、興味ないと思うんですけど…」
シ「まーまー、とにかく仕事はこなせ」
モ「そ、そうですね!では、これをドーンッ!です!」
日辻モコ(ひつじ もこ)
・腰まであるふわふわモコモコの白い髪を持ち、前髪で目が見えない。
・イケメン恐怖症
・モヤシの炒め物が大好き(理由・安くて美味しいから)
・舞網第二中学校2年A組所属(遊矢と柚子と同じクラス)
・体が小さいがバストは大きい、お尻もちょっと大きい、安産体型
・比較的穏やかで、ビビリ
・女子制服の上にブレザーを羽織っているけど、袖がブカブカで手が指先までしか出ない
・一人称は「モコ」「私」、常に丁寧語
モ「あれ?なんかモコの大事な事が書かれているような…」
シ「気にするなぁー」
モ「そ、そうですね!では次回の迷える子羊略して『まよつじ』はモコの通うデュエル塾LDSが舞台です!」
シ「モコの友達が出てくるぞー」
モ「そうです!モコが大好きなお友達が出ます!それでは皆さん、またお会いしましょう!」