~八幡サイド~
あれからまただいぶ時間がたった。
だが安心院は”できない”を見つけられていないし、俺は”本物”を見つけることができていない。
それでもなんだかんだで俺たちは楽しく過ごせていたと思う。
さてそんな俺たちだったのだが、最近安心院がある人間のところに通っているという。
なぜか俺は少し気になったので何をしているのか聞いてみた。
すると安心院は言う。
「この時代の英雄と戦っているのさ」
「英雄?」
「そう、世界を救った英雄だ、土地を守り、民の盾となり、悪を正し、弱きを助け、仲間と共にあり、女を愛し、戦い続けている英雄、獅子目言彦」
「その英雄となんで戦っているんだ?」
「僕のある目的のために対峙してね」
「へー、で?戦ったのならなんでまた戦いにいっているんだ?」
「そりゃあ僕が負け続けているからさ」
「安心院が負けた?」
「ああ、初めて人間に負けたよ」
「僕程度じゃ数秒しかもたないっていうね」
「ほんとにあいつはチートすぎだよ」
「・・・マジで?」
「マジだよ」
安心院が負けるってことはそうとう強いな。
俺でも勝てるかな?
まあ戦うことなんてないと思うがな。
「どんなスキルをもっているんだ?」
一応聞いてみる。
「そうだね、簡単にいうと言彦が世界に与えたダメージはその後、決して回復することがない」
「不可逆のデストロイヤー、それが獅子目言彦だ」
「・・・それだけ?」
確かに強力なスキルだが、安心院を負かすほどのやつのスキルがそれだけなのか?
「そうだね、スキルといえるのはそれだけだよ」
「じゃあなんで負けたんだ?」
「言彦には何も通じないんだ」
「どんなスキルも攻撃も通じないんだよ」
「僕じゃかすり傷すらつけられない」
そんなにか。
これは俺でも勝てるかわからんな。
「で?どうするつもりだよ」
「目的のために勝たなきゃならないんだろ」
「いや、絶対ではないから戦闘を避けるというのも一つの手だね」
「じゃあそれでいいじゃないか」
「もう少し頑張ってみたいんだよ」
「まあ無理そうならそうするさ」
「頑張りすぎるといつか殺されると思うしね」
「そっか・・・ほどほどにな」
俺はなにか嫌な予感がしたが、気のせいだと思って寝むった。
~なじみサイド~
比企谷君が寝た後、僕はまた言彦に挑んでみることにした。
というわけで今言彦と戦ってる最中である。
新しく覚えたスキルもまったく効かない。
人間離れした身体能力も言彦の前では赤子も同然だ。
ドン!
僕は地面に叩きつけられた。
(結局こいつには勝てないんだな)
そう思っていると言彦は言う。
「新しくない」
「新しくないぞ平等主義者よ」
「何度も戦っているんだからしょうがないでしょ」
「お前とは戦い飽きた」
「そろそろ終わりにしよう」
そう、いままでは言彦の気まぐれのおかげで生きていたがこいつが終わりにするというなら僕は殺されるのだろう。
まあ英雄が僕みたいなやつをよく今まで生かしておいたと思うよ。
今まで殺されなかったから気が抜けていたのかもしれない。
逃げようにもこいつからは絶対に逃げられない。
これで僕は死ぬのか。
僕はここで死ぬ覚悟をした。
最後に頭に浮かぶのは比企谷君のことだ。
初めはこいつチョロいな、と思っていたぐらいだった。
彼は捻くれていた、だけど彼は優しすぎた。
そんな性格の彼に僕はなんだかんだで惹かれていたんだ。
この気持ちがどういう感情なのかわからないけど彼とはまだ離れたくなかったなぁ・・・
せめて最後の別れぐらいは言いたかったな。
言彦は今までと違い殺気をだしていて、確実に殺しにきていた。
ちなみに言彦の武器は珍しく拳である。
言彦の本気の拳が迫ってくる。
僕は目をつぶった。
「安心院!!!」
彼の声が聞こえた気がした。
ドゴッ!
音はあるのになぜか衝撃がいつまでたってもこないので僕は目をあけた。
「え!?」
そこには・・・
僕を言彦の拳からかばう比企谷八幡がいた。
~数分前~
~八幡サイド~
俺はまだ夜中なのに目が覚めてしまった。
やはり嫌な予感がする。
とりあえず俺は外の空気でも吸いにいこうとした。
そのときになにか違和感を感じた。
「あれ?安心院はどこだ?」
そう、安心院がいないのだ。
どうやら拠点にはいないようだった。
そしてさっきの話を思い出す。
俺はまさか、と思いスキルで安心院を探した。
すぐに場所はわかった。
俺は嫌な予感がするので念のため行ってみることにした。
安心院が見えてきた。
そこには今にも殺されそうな安心院の姿があった。
それを見た俺は自然と体が動いていた。
ドゴッ!
安心院をかばった俺はまともに拳をくらう。
なんとかその場で踏ん張れた。
あぁ、いてぇなぁ。
こんなに痛いのは転生してから初めてだろう。
他人をかばうなんて俺らしくないことしたな。
「え!?」
初めて安心院が驚いているところ見たな。
そんなことを思っていると相手が言う。
「む?」
「新しい、新しいぞ!!」
なんだこいつ。
「何者か知らんがこの平等主義者の仲間か?」
「・・・知り合いだ」
「そうか知り合いか」
「げっげっげっげ!」
「新しいいいいぃぃ!」
何だよその笑い方、俺でも少し引くぞ。
なんにせよこいつと戦わなければならないようだ。
「比企谷君!何で助けた!」
「言彦にはだれも勝てない! 逃げるんだ!」
安心院が逃げろと言っているが無視する。
安心院を置いていけるわけがない。
そういや”言彦”ってことはやっぱりこいつが英雄なわけだ。
『お前がこの世界の英雄だとしても、安心院は殺させない!』
こんなこと言うなんてほんとに俺らしくないな。
~なじみサイド~
『お前がこの世界の英雄だとしても、安心院は殺させない!』
なに括弧つけてんだよ、君らしくもない。
確かに比企谷君の強さは知らないがどんなに強くてもこいつには誰も勝てないんだ。
このままでは二人とも殺されてしまう。
だが僕は体が動けない。
僕はただこの戦いを見続けることしかできない。
だから僕はせめて比企谷君だけでも何とか生き残ってくれと願うしかなかった。
~八幡サイド~
こいつはスキルが効かない。
試してみたが全く意味がなかった。
だから物理で攻めるしかない。
身体能力にも自信があるが最初の一撃のせいで少し動きが鈍っているようだ。
不可逆って思っていたよりやばいな。
それでも戦いは互角だった。
殴っても殴り返される。
蹴っても蹴り返される。
離れても追いつかれ離されても追いつく。
拳同士がぶつかり、攻撃を避け合い。
それぞれが全力を出し合った戦いだった。
「儂にダメージを与えるとは新しい」
「だが動きが鈍くなっているぞ」
「うるせえよ」
だがこいつには互角ではだめなのだ。
どんどんこっちの動きが鈍くなっていく。
こっちは少しずつだがダメージを受けていくからだ。
攻撃を受ければガードしていてもダメージを受ける。
拳同士のぶつかりも少しずつだがダメージを受ける。
どんなに小さなダメージも積み重なると大きなダメージになる。
普段ならすぐに回復するはずのダメージもこいつによって受けたダメージは全く回復しない。
あっちもダメージを受けているが小さいダメージはすぐに回復される分こっちの方がダメージを受けていることになる。
そうやって俺は追い詰められていった。
どうだったでしょうか。
原作5000年前の獅子目言彦戦で安心院なじみが殺されかけるという原作と少し違う展開にしました。
私は戦闘をうまく書けないのですみません。