Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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原作ではLとキラの能力値はさほど変わらない設定だと聞いたことがあるため
Lが月の立場でも同じようなセリフを言うし、月がLの立場でも同じようなセリフを言うという前提の元話は進むのではないかと思います。



第9冊:ワタリ

Lは窓の前に体育座りをしていた。

 

「ずいぶん気の抜けた顔だな、L……」

 

「小休止ってとこですね。まぁ、警察の働きぶりを見たいのが理由です」

 

ポンデリングを口に加えながら続けた。

 

「それにちょっと疲れました。もし私がキラでなければ結構楽しいのかもしれませんが、はは」

 

Lはむくっと立ち上がりぺろりとポンデリングを丸呑みした。そして雑誌を取り出し角っこを摘まんだ。摘ままれた雑誌はぶらんとしている。どうやら週刊誌の様だ。

 

「ICPOも動かせる名探偵LVS超能力で人を殺せるキラ。そうかと思えばLもキラも実在しない。犯罪者を抹殺している警察の作り物など書いてる雑誌もあります。外やテレビ、ラジオなどでもそんなのばかりです。キラ本人がこんなのに振り回されていても気疲れするだけです」

 

「大切なことはたまにはのんびり精神を休めることです」

 

「のんびりか……。俺からすると結構のんびりしてると思うし、そんなことで振り回される性格じゃないだろ」

 

「……」

 

ピンポーン

 

「ワタリです」

 

モニター画面を見るとロングコートを着たワタリが経っていた。しわしわの顔に白いひげワタリ本人である。

 

「ワタリか……なんですか?」

 

 

リュークはLに顔を近づけてきた。

 

「気をつけろよL……」

 

Lはリュークを一瞥した。

 

「今机の中にあるデスノート。触られたら触った人間には俺の姿が見える」

 

――そういう大切なことを今頃……この死神は……

 

 

ぴぴぴ。ワタリのスマートフォンの音が鳴り響く。

 

「はい、ワタリです。………………はい。分かりました。Lに繋げます」

 

 

「L」

 

「なんだ、ワタリ?」

 

「捜査本部の報告が始まります」

 

凶悪犯連続殺人特別捜査本部

 

 

「では次」

 

ガタッ。七三分けをするガタイの良い男が立ち上がった。

 

「はいっ。今までに明らかになった被害者と思われる心臓麻痺死者のすべては日本で情報を得ることが可能だった者と裏付けが取れました。そして……」

 

死亡推定時刻の統計調査、一般情報、気づいた点などの報告をしていった。

 

「また少し犯人に近づけましたね」

 

「はは。Lの手も借りずとも我々で解決できそうですね」

 

松田も両手でガッツポーズを作りながら答えた。

 

宇生田も続いた。

 

「そうですね。殺されるとか怯えている人もいますが、僕は絶対に死ぬ気しないんですよね。実はもうすぐ結婚しますし」

 

少し照れながらここで結婚することの報告を皆に告げ和やかな雰囲気に近づいた。

 

――なぜあの事に気づかないんだ……仕方ないここは私の方からヒントをだしましょう。

 

「また注文で申し訳ないのですが、犠牲になった犯罪者の写真や映像が出ていたがもう一度よく調べて頂きたい」

 

 

――私が殺されなかったのは顔も本名を出していなくて、凶悪犯罪者でもどちらかひとつでも欠けている人は殺されずに心臓麻痺で殺された人は全員顔と名前が分かっていたという点に気付いてもよさそうですが、さすがにあれから日も経って気付かないので今回は誘導しておきましょう。

 

――さてここいらでもう一つコマを進めましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後

 

 

「何っ!?また昨日も心臓麻痺の犠牲者が23人!?」

 

「は、はい」

 

「それもまた一昨日と同じように死んだとすぐ分かる刑務所内の犯罪者が23人が……きっかり1時間おきに一人ずつ……」

総一郎は慌てていた。額から汗が零れ落ちた。

 

「平日に二日もこれが続くという事は……犯人が学生という線も怪しくなってきたな……」

 

「いや学校を二日くらい休むなんて誰でも……」

 

「じゃあ二日学校を休んだ人がキラですね」

 

Lは捜査本部の会話を聞いていてうずうずしていた。

 

「そうじゃない!確かに学生の線は消えたが、キラが伝えたいことは死の時間を自由に操れるという事……そして警察の情報を知る手段を持っているということだ」

 

思わずヒントを与えるつもりが答えを言ってしまったのである。

 

 

■廃工場跡地■

 

「へーLおまえそんなことしてたのか」

 

リュークは久しぶりのLとの外出で羽根をバタバタさせていた。

 

「予定通り事は進んでいます。次の計画の為にわざと残してある50人の犯罪者を使っていきましょう」

 

「ほー」

 

リュークは地面に降り片足を着いた。

 

「しかし、こっちにも解決しなければならない問題がある」

 

「問題?」

 

リュークは廃工場の中へ入り木材が積んである場所を選び体育座りをし始めた。

 

「触ったらリュークの姿が見えます。しかし、だからと言って肌身離さず持ち歩く事は可能であってもしたくはありません。今まではワタリに見られれてもキラ事件の資料としてのメモと言えばどうにかなりました。いえ、ワタリのことなので私の物を許可なく触ることはありえません」

 

 

Lはリュークをじっと見た。言葉を溜めているようだ。

 

「私はギリギリの綱ワタリをしています。下手すれば……キラは……自分のワタリを殺すことになります」

 

 




綱渡り 綱ワタリ

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