Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

57 / 58
57冊:脳筋

ワタリはわたわたした様子で部屋に入ってきた。

 

「ワタリ速報です……Lの自宅に不法侵入した者を緊急捕獲致しました」

ワタリは白いハンカチで汗を拭っている。

 

<あqせdrftgyふじこlp;@p:「」>廊下からなんといっているか分からない叫び声が聞こえている。

 

(このタイミングで……不法侵入……確か今日はウエディが私の家を警備していたはず……そして廊下の物音……)

 

 

「そしてその不法侵入をした男を警備員4名がこちらへ搬送している最中です……しかし、その男、Lの部屋からDEATH NOTEという黒いノートを発見しこれがキラとなりうる証拠だと言っております」

 

(……あのセキュリティをどうやって突破したのでしょうか……ワタリの言ってることは概ね本当でしょう……ウエディがいてそもそもあのマンション自体ここの捜査本部以上のセキュリティのはずですが……)

 

「分かりました……その人物をこちらに連れてきて下さい。そして警察へ連絡して夜神月君の部屋を家宅捜査してください。その手続きはすでに終了していてどこをどのように調べるかも事前に連絡してあります」

 

ワタリは首を縦に振り捜査本部を後にした。入れ替わりで警備員に連れられた金色のがたいの男が連れてこられた。

 

その男はLを見るととびかかりそうになるような雰囲気であった。

「渋井丸君でしたか……ずいぶん私の部屋で無茶をしたと聞きました」

 

 

「そうだ……お前の部屋からデスノートが発見された……お前がキラだ……ここに書かれた筆跡を照合すればすぐに分かる……」

 

 

「分かりました……では筆跡を照合して貰うように手配致します。相沢さんよろしくお願いします」

 

相沢は黒いノートを受け取ると鑑識にその旨を伝えた。

 

「ところで渋井丸君……あのセキュリティをどうやって突破したのですか?」

 

「ああ。それか、教えてやるよ。お前の部屋はアイバーと呼ばれる詐欺師、ワタリというじいちゃん、ウエディという金髪の女性の3名はお前がいないときはお前の代わりに部屋を守っている……しかしウエディだけはその間に1時間ほど外出する習慣がある。あとは、お前の部屋の上の階の部屋を借りて俺のせいげんづきを放てば穴は開く。侵入さえできればおれのこぶしで様々な怪しいところを破壊してと思ったが、夜神から色々ノートの隠し場所候補を聞いていた。そのうちの一つに机の二重底の仕掛けがあった。夜神のメモを頼りのその仕掛けを解除したらまさかと思うがノートが発見された」

 

(……まったくあの方は……なるほど……あの仕掛けを月君も思いついていたのですか……)

 

「渋井丸君……今の発言録音していますが間違いないですね?」

 

「間違いないぜ!」

渋井丸は腕を組み自身マンマンに答えた。

 

「月君を解放します。ここまで来たらキラは私か月君……もうそのような状況です。私としてみれば一連の流れは私に罪を被せようと複数人で手を組んでるように感じます。ここは皆様がいる状態で本音で語り合っていきたいと思います。もちろんどちらかがキラなら不思議な力で人を殺す可能性もある……ですので私と月君はお互いに手錠をすることでお互いの動きに制限をかけます」

 

月本人がそれに賛同したことから他の捜査本部のメンバーは反対をする者がいなかった。解放された月はシャワーを浴びたのちLの前に姿を現し月の左腕とLの右腕に手錠をはめた。

 

「僕もこうやって対面で話すべきだと思っていた。この状況を作ったということは覚悟はできたようだね……お互いにここから先長くても今日中に決着が着くと思っている……もしかしたら数時間かも知れない……最後の戦いをしようじゃないか……」

 

「そうですね……これ以上ながながとやるよりはお互いに面と向かってやる方がいいでしょうね……今までの概要はシャワーを浴び身支度をする間に聞いていると思いますが、渋井丸君が私の家に不法侵入いたしました」

 

月の髪は微かに湿っている。ドライな髪と同時に表情もドライであった。

「この際不法侵入した件はどうでもいい……大事なのはLの家で何を見つけたかだ……そしてデスノートという黒いノートが発見された……そこには今までの犯罪者の名前と死亡内容が書かれていたそうじゃないか……それでもLは自分がキラではないと思っているのか?」

 

「ええ……そうです。はめられました……私は知りません……現在筆跡鑑定中です……ですのが違う話をしながら待ちましょう」

 

Lはかしわもちのかしわを取り外す。かしわにこびりついたおもちをきれいに舐めまわしていた。

 

「違う話とは?」

 

「はい。私は渋伊丸君の話を聞いて腑に落ちない点がありました……それは夜神君にメモを渡され私がしかけをしそうなしかけを考えられるだけメモに書き渡したとのこと。そしてメモしたしかけの一つが私の机の二重底の引出のしかけと同じだったということです。間違いないですね?」

 

Lはかしわもちをほおばりながら月の顔をしっかりと見ている。

 

(……なんだ……この感じ……デスノートが発見されたことは想定内といった感じだ……こちらが圧倒的に有利な証拠を見つけたにも関わらず焦る様子が一つもない……そして渋井丸にメモを渡したから僕をキラにするという強引なやり方はまずない……正直に話すか)

 

「ああ。間違いない。メモを渡したのも僕であり渋井丸に協力して貰った。まさかメモを渡したから、僕がキラという訳ではないだろうな?」

 

「ええ。問題はそこではありません。「夜神から色々ノートの隠し場所候補を聞いていた」ここです。なぜキラの殺しの道具がノートと具体的なのでしょうか?キラの殺しの道具に必要なものはノートであるということを知っているかのようだった……これはかなり怪しいでしょうね」

 

月は確かにと思った……ミサから殺しの方法を聞いていたのでノートで殺せるということはすでに月側の人間には周知の事実であった。ミサがキラであることを話すのは今ではないと考えた……その為すぐには弁解をしなかった。

 

その時にワタリ速報が流れた。ワタリによると筆跡鑑定の結果はLの筆跡に似せた別の者である可能性が高いということであった。そしてその筆跡は夜神月がLの字を真似て書いたようであるということだった。

 

「どうやら発見されたノートというのは夜神君が私の筆跡を真似て作ったようなものらしいです」

 

Lはこの時の為にあえて細工をしたデスノートをそれらしい場所に隠していた。本物のデスノートは夜神月の部屋に隠していた。そしてそれが見つかりそのノートに触れることで死神が見えるようになる。Lの部屋にあったデスノートは名前を書いても死なない。ただの大学ノートを加工したものであるからだ。

 

「悪いがそのノートに関しては僕が知らない。Lの仕組んだ罠としか言えないな……そもそも僕に似た筆跡ということがひっかかる。Lの家に偽装したものを忍ばせるなら自分で書いたりはしないだろう……つまりそれがLが仕組んだという証拠……さらにこれから僕の部屋から物的証拠を発見して僕をキラに仕立てあげるのがLのストーリーだろう」

 

月は腕組みをしながら目を瞑っている。顔は一層険しくなりつつある。

 

(……確かにその通り。すでに月君の部屋に本物のデスノートを忍ばせている……そして捜査員がそれを発見するのも時間の問題だ……それをどう突破してくる……?)

 

警視庁の現業から連絡があり、夜神月の部屋から黒いDEATHNOTEと書かれたノートが発見されたとの報告があった……その警察官たちは大至急そのノートを捜査本部に持ってきた。ノートを運んだ警察官が部屋に入るとこの世のモノとは思えない何かを見たような叫び声を上げた。そしてその警察官の話によると黒い大きな羽を生やした死神が見えるとのことだった。捜査本部の人間もそれぞれがそのノートを触るとその警察官たちが言ったように死神の存在を確認できた。

 

「このノートに触れると死神が見えるようですね……さきほど私の部屋から発見されたノートは触れても死神なんてものは見えませんでした……つまりこんな非現実的なことが起こるノートは本物……そうですか?死神」

 

「ああ、このノートは本物だ」

地獄から聞こえるような低い声でその死神は言った。嘘ではないこのノートは本物である。

 

「そしてこのノートの中身を見ると、素人目でも夜神月君の筆跡と酷似しています……というよりも本人が書いた考えていいでしょう……」

 

そのノートを総一郎にも見せる。総一郎は手を震わせながらデスノートを覗き込んだ。

 

「……これは確かに息子の字だ……」

総一郎は膝の力が抜けてその場に倒れこんだ……

 

 




次回、勝敗

最終回です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。