Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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49冊:I am killer

20時55分……月もミサも自宅で一報を見ていた。

 

第二のキラへの呼びかけであり、キラは大量殺人犯なので手を貸してはいけない。キラの情報を警察に教えることで罪を償いキラの恐怖から世界の人々を救うというような内容だった。

 

「んー。警察は私好きじゃないし教えるつもりはないし……それに私はキラで情報を教えたら捕まると思う……だってね罪を無かったことにするという言葉も無ければ罪を軽くするという言葉も無い……あるのは罪を償いという曖昧な言葉……きっと私が第二のキラだと分かったらいくら情報教えても私は逮捕される……そしたらせっかく見つけた私の王子様とも過ごせなくなる……そんなのは嫌……」

 

『そうだな……警察に行くべきじゃない……ミサ自身のやりたいようにする……それで私は良いと考える』

 

ミサはお風呂上りの髪を二つ結びにし始めた。クローゼットを開けるとそこには黒いロリータと言われる服がずらりと並びその中の一つを選んだ。

 

『こんな時間にどこ行くんだ?』

 

「名乗り出るの」

 

 

『ああ……こっちか』

 

そこには「夜神」と書かれた表札があった。ミサは息を飲んでインターホンを押した。

 

その夜、夜神家にゴスロリツインテールの金髪の女の子が訪問してきた。さゆが応対すると「月君が大事なノートを大学に忘れていたので届けにきた」と話し始めた。さゆはそんな彼女の雰囲気が学校の友達で一人もいないし、原宿へ遊びに行ったときにそれに似た格好の人がいて周りの友達と見てびっくりしていた。

 

(……この人……多分お兄ちゃんの友達じゃない……見た目がかけ離れてるとかじゃなくて……直感がそう言ってる)

友達がいたらネタになるけれど対面すると少し怖い……自分とかけ離れた世界に住んでいる人だということを悟った……そしてさゆは感じていた。女の直感なのかも知れない。なんとなくお兄ちゃんとは親しい間柄じゃないと思った。もし友達なら電話やLINEなどを使って届けに来るということを伝える。そしてお兄ちゃんなら忘れ物を届けに来る人がいるということを家族に伝える。私の知るお兄ちゃんは完璧なんだ。

 

そしてお兄ちゃんを好きだから分かる……この人もお兄ちゃんが好きなんだと思う。目がキラキラしているしどこか浮かれているようにも見える。

今までにも女の子がうちへ来ることがあった。お兄ちゃんが約束している相手の場合は事前に家族に知らされる……ただ家族に知らされない訪問だとだいたいお兄ちゃんは驚いた顔をする。そして数十分外で会話をしたりする。だいたい、その女の子が泣き出す……それは分かる。好きだった相手に告白したけど振られたんだということ……私は少しだけ気の毒になるけど、かと言ってそういう女性が訪問してうれしい顔して帰るなら嫉妬するだろう……お兄ちゃんは兄弟として好きなのか分からない時があるからかも知れない。

 

そしてお兄ちゃんは一度もそういう告白をOKしたことはなかった……彼女という彼女もいないのを知っている。仲の良い子と遊んだりはするけど彼氏彼女の関係にはなったことがない……私の友達たちもお兄ちゃんかっこいいとかお兄ちゃん運動神経いいし頭もよくていいなとかいうし、他のクラスの知らない子からもお兄ちゃんを紹介してとか言う……そう言われるのは嬉しいけどたまにいやになる……私はお兄ちゃんの近くにいるけど生涯結ばれることがなく、唯一の妹として一番近くにいる。

そしてそれはお父さんやお母さんあるいはお兄ちゃんの子供よりも私が一番お兄ちゃんと生きる時間が多いのも分かる……だから悲しいのです。

 

でもそんな気持ちをお兄ちゃんが知ったら今まで通り暮らせるとは思えなかった。私は、元気で少し馬鹿な妹でいるのが一番いいんだ そう言い聞かせた。

最近はキラ事件とか騒がれてるけど私だって殺したい人は何人かいる……

 

 

さゆは「お兄ちゃんーお兄ちゃん大変!!!!なんかね変なおねえさんがノート持ってきたぁぁぁ」と大声出しながら階段を駆け上がってきた。月はノートを忘れてはいなかったが「ノート」という言葉から青山を連想した。そして恐る恐る階段を下りるとどこかでみたことがあるような女の子が立っていた。まがまがしいオーラが漂っている……このオーラから親や妹を関わらせてはいけないと直感が働き会話を聞かれたくない為に外に出た。

 

5月の夜の外は暖かくそしてひんやりした空気に包まれている。とても気持ちのいい快適な温度である。

 

 

「君は……?」

 

「あまねみさです……青山のブルーノートで介抱された子です」

 

「ああ」

 

何かを思い出した感じだった。それと同時になぜ家を知っているかが気になった。

そして見た目が違うことからこう推理した。

 

「なるほどあれは変装だったということかな?あのあとは体調大丈夫だった?」

 

「おかげさまで……いきなり押しかけてすみません……家も知ってるし不気味ですよね……月君がキラ事件に熱心に取り組んでると聞きました……私は実はキラが誰だか知っています」

 

月はミサをまっすぐ見つめた。嘘ではなさそうだ……あの時感じた隠し持ってる何かに辿り着ける感じがした。

 

「なるほど……それはとても興味深い……うちんちに上がって欲しい」

 

玄関を仲介し階段を登って貰う。

 

ミサを自分の部屋にあげると椅子に座らせた。数分後には母親が紅茶を届けてくれた。

 

「キラが誰だか知っていると言っていたけどそれはキラ?それとも第二のキラ?」

 

「やっぱり月君もキラが二人いると思ってるんですね。第二のキラです」

 

(……これは……第二のキラを知る人物が現れるなんて……いや……場合によってはLが仕組んだ罠ということもある……しかし……あの場所でこの子と会ったのは偶然……そして僕は彼女が……いや……しかし……イメージとしてはほぼ合致している)

 

「その第二のキラが誰なのかを聞いてもいいのかな?」

(もし彼女が第二のキラだと考えているのか……しかしイメージに近い……だとしたらわざわざこんなことをいいにくるのか……)

 

月は息を飲んだ。汗も出始めている。

 

「はい、私がキラです」

 

ミサの顔は透き通ったいい顔をしている。その目には力強い何かが宿り平然と月を見つめていた。

その力強さに月は飲み込まれそうになった。

 




サユも場合によっては主人公が務められたのではないかという部分も描いてみました。

ついにミサも動き出す

次回 偽恋


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