Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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48冊:人物像

その頃本部では渋谷と青山でキラらしき人物を発見できなかった。

本当に30日東京ドームにキラが来るのではという話がでていた。

 

月とLはイスに座りお互いの顔を観察している。月は腕を組んだまま座りLの顔をじっと見ながら考えていた。

(青山にノートを持った不審者は一人も現れなかった……そして渋谷の洋品店も同じだ……まさか本当に東京ドームで……?)

 

Lは子供が遠くから自分の結果が良かった時にする一つのポーズである手をグーにして親指を立てるいわゆる「GOOD」を表すしぐさをしていた。

しかしLにとってそのような意味ではなく癖である。そのGOODのしぐさをしながら親指の爪のあたりをかじっている。

 

(……まぁ青山には第二のキラは来ていたでしょう。しかしリュークは相手の死神を見つけ、さらにその死神が誰についてるかは教えないと言っていた、それは死神の性格によるもので向こうの死神は私がキラであることを教える可能性があるとのことだった……この条件の場合私が第二のキラを発見できる可能性は低く、むしろキラに見つかった場合殺される可能性もある……だから今回第二のキラを発見できないのは仕方なかった……そして私以外の人間が言ったところで特別区の人の数は日本最大級……絶対に見つけられないとは言えませんが、見つかる可能性は宝くじが当たるくらいと考えてもいい……大事なのはお互い動かなかったことで第二のキラがどう動くかです)

 

 

するとワタリから第二のキラからお便りが届いたと連絡があった。ビデオテープを抱えて持ってきていた。

そしてそのビデオテープをビデオデッキにセットした。その頃にはLをはじめ捜査本部全員がテレビ画面を凝視していた。

 

ワタリが再生ボタンを押して数秒経つと録画された内容が再生されていった。

 

「キラを見つけることはできませんでしたが、キラと会いたいという気持ちが無くなったのでもう探しません」

 

 

(……どういうことだ……この第二のキラ考えや行動がぶれすぎている……本来なら私に会いたいと何かしらのセクションをしてもいい……単に面倒くさくなっただけなのか……女性ファッション誌に書かれた人間を殺した点、機械音痴である点、感情の起伏が激しい点……ストレートに見るなら10代から20代前半の女性……考えや行動からまともな会社で働いていないように感じる。学生あるいはフリーター、仕事をしていても特殊な仕事……しかもファッション誌を見ることや青山や渋谷を指定することからもいわゆるオシャレな人物像……いや……青山の曜日は平日だった……学生で一日サボるということもできるがわざわざさぼるくらいなら普通に休みの日にするだろう。それを考えるとオシャレな渋谷や青山から連想し平日が休みになるのは、アパレル業やアクセサリーショップ、美容師などの職種……違う……まともの正社員ならここまでぶれない……もっと柔軟に……自由業に近いがオシャレである仕事……芸能界、モデル、歌手、声優など……それなら自身の売れ行きにもよるがある程度時間の余裕がありオシャレであるというイメージが湧く……そしてキラに会いたい気持ちはキラへの崇拝の現れ……そしてそれを超えるような心の変化……)

 

Lはその心の変化を経験したことはなかった。しかし、それは国語の教科書でも小説やドラマなどでも主軸に書かれるアレであることに気付いていた。

(……恋をしたんでしょう……第二のキラは……)

 

この結論に対して腑に落ちた。肩の力がぐっと抜けた。

 

それをよそに松田は大喜びしていた。

「やった。キラと第二のキラは手を組めなかったのですね」

 

「いや、そうとも言えないんじゃないか。すでに手を組んでいるがその事を隠す為にあえてこのようなことを言ったのかも知れないじゃないか」

 

「それならそもそもそんなことを投函して伝える必要はないと思いますよ。投函日を考えると青山の次の日……そう考えると青山で何かあって気が変わったと考える方が利口です」

 

 

Lはシュークリームを食べながら発言していた。恋をしたというのはあくまでLの結論でありこれについて公言する必要はないと考えていた。

 

月はLの肩の力が抜ける微妙な変化を見逃していなかった。何かに気付いているが口に出さないようであった。

 

「L……なぜ第二のキラは感情の変化があったと考えている?」

 

月はLをじっと凝視する……

 

「なるほど……月君も気付いていたましたか……それを私の口から言うのは似合わないと思って黙っていました。もし私が肩の力が抜けるのを見て何もそれについて口を開かないと考えていたのでしたらそれは単に私のキャラに合わないしそのことがキラ事件に繋がると思えない理由から口を挟みませんでした」

 

「そんな気はしていたよ、まずはLの考えから聞かせてくれ」

 

「気は乗りませんが……まぁ、恋をしたということでしょうね」

 

「恋!!!!井出さんがいたら聞かせてやりたいなぁ。ええっ。なんで第二のキラが恋をしていたと思うのですか?」

 

「じゃあここはLに変わって僕が話すよ。第二のキラは少なくともキラを崇拝していた。そんな人間が簡単に心の変化をしないだろう。しかし、崇拝を凌駕するほどの出来事がこの世界にあるとすればそれは「恋」キラ以上の人物を見つけた……だからキラを探すことに興味が無くなったと考える」

 

「月の推理は一理あるな……うむ……」

総一郎はあごのひげを手で触りながら息子の推理は一理あるとうなづいていた。

 

「そしてファッション誌に書かれた人間を殺害したことや青山、そして渋谷を指定し平日であったこと、恋をしたり考えや行動がぶれる事を考えると一般企業に就職していない10代後半から20代前半の女性と考えられる……もちろん年齢の多少の前後はあるかも知れないが……確かに平日なら暇な大学生やさぼるということもできるがそもそもさぼるくらいなら休みの日に決行すべきだと考える……そして常識を知っていればこのようなビデオを送ったり、キラの真似事をしないだろう……場所もオシャレで華やかでありファッション誌を見ているとなると、自由業かつ華やかな仕事……芸能界やモデル、イベント関連のコンパニオンの人物とかは最初に注目すべきではないかと思っている」

 

(……やはり月君の考えは私と非常に近い……結論もほぼ同じ……芸能界とモデルは同じであり私は歌手や声優をそのカテゴリにいれましたが月君はコンパニオンをその代わりいれている……本当にここまで考えられる人物が私以外にいて非常に楽しいですよ)

 

「私も月君の考えとほぼ同意見です。学生の線もあるとは思いますが、学生ではない場合比較的時間が取れて華やかな仕事……私の場合は歌手や声優をそのカテゴリにいれましたが月君はコンパニオンをその代わりいれていました。芸能界やモデル関係者は同意です。もちろんコンパニオン関係者という単語はでてこなかったですが私のイメージするカテゴリには入ります……第二のキラは10代後半から20代前半くらいの女性……そして大学生あるいは自由業についている……都内近郊に現在住んでいる……その線で推理しましょう。そして恋をしたからキラへ興味を失った。」

 

 

 

「うむ……月とLの考えをもとに捜査していこう。青山がきっかけで感情が変化したのかも知れないな。そうなるとせっかくの第二のキラからキラを追うという方法が使えなくなる……せっかくのチャンスだったがしょうがないな」

 

「父さん……逆だよ……チャンスだよ」

 

「月どういう意味だ?」

 

 

「キラへの興味を失ったということは、つまり寝返る可能性があるということなんだ。こちらから第二のキラに呼びかけてみるのはどうかな?第二のキラに対して好条件を出し、殺害方法や詳しい能力などを聞く代わりに逮捕は免除し様々な補助も受けられるというような」

 

月の顔は般若のような怖い顔をしながらLにだけ向けた。Lは月が自身をキラだという考えは曲げないつもりであるし、そして月君はこれを今回するつもりでトークを展開していたということを理解した。確かにこの方法ならLを捕まえる可能性が出てくるかも知れない

 

(……第二のキラならそれに乗っかる可能性もありますね……しかしそれが決行されたら止めるだけの方法がありません……)

 

『なぁ、Lこれはまずいんじゃねえのか?今内心ふるえちまってるだろう?』

 

(……まぁ震えと言ってもも武者震いでしょうかね……逆に私としてはここまでやってくれてうれしいですよ。どうやって切り抜けるか考えるだけでゾクゾクしますからね)

 

『お前というやつは本当変わってるな』

 

「父さん、これはできるだけ早い方がいい 今は19時25分……そしたら20時55分の各局のスポットで第一報を流すための準備をしよう、Lもキラじゃないなら拒否はしないよね?」

 

またいやらしい顔つきをLにだけ見せる。原作では月がミサを抱いて口説くときのような顔である。

 

「はい、私はキラではありませんし第二のキラなら乗っかる可能性もありますからね。面白いやってみましょう」

(逆に第二のキラをおびき寄せるいい手だと考えましょう……もし第一報で自主的に名乗り出てくれるようであれば第二のキラとの接触は月君とはほぼ同時……それならデスノートを持つ私が第二のキラを殺すだけの時間は十分にある……むしろこの策は私がキラだと考えているならすべきないもろはの策です)

 

 

 

 




やっとミサ登場だーーー

次回偽恋

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