「こっちに居たほうが面白いと踏んだ」
――その気持ち私も分からなくはない
「そして面白いと確信できた」
「私も退屈でした。同様に面白くなると確信しました。もちろん最初は信じなかった。しかし、そのノートには人間ならだれでも一度は試したくなる魔力があります……」
Lは椅子に座り天井を見つめた。そして、デスノートを手にした時の回想をし始めた。
残しておいた上に乗っていた栗を食べ完食した。
そしてデスノートを見つめてもしこのノートが本物であった場合のことを考え始めた。
――万が一死んだら私は殺人犯になりますね
――殺してもいい人間……しかも私とは全く無関係な人間の方がよい……さらに言えば国も違う方がいい……まぁデスノートが本物だったらと危惧して身近な人を避ける考えがあれば自国の人間を実験台にするのも避けるのは当たり前ですが
テーブルに角砂糖を積み上げながら13個目の角砂糖を積み上げた時にシュミレーションは終わっていた。
――この計画でいこう。第一条件としては先進国であり警察が熱心に動いてくれる事が望ましい。統率が取れるという意味では単一国家が良い。その一方である程度の難題に関しては自国では解決出来ない無能さがある国。そして解決することに行き詰ったときに他国に援助を求める国。私の評価を高くしておりかつ、その責任を相手になすりつけるような国……つまり、日本。
Lは日本のテレビに切りかえた。大画面には10×10以上あるテレビが映っている。日本で放映されているすべてのチャンネルが見通せる。
そしてあるチャンネルに目が止まった。
黒いリモコンを操作しある一つの番組だけを拡大表示した。
「昨日新宿の繁華街で無差別に六人もの人を殺傷した通り魔は今もなお幼児と保母八人を人質にこの保育園にたてこまっております」
Lは角砂糖を一つ飴のように舐め始めた。
――これにしましょうか。条件は揃っている。悪魔のサイコロを振ってみましょう。
「警視庁は犯人を音原田九郎 無職42歳と断定……」
――ご丁寧に顔写真まで載せてくれるのはいいですね。
Lは、ボールペンで「音原田九郎」と書き殴った。過去に覚えた外国語の1つである日本語を久しぶりに書いた。そして時計をじっと見つめた。
――40秒で心臓麻痺でしたね……さて……40秒経ちましたが……
「あっ、人質が出てきました!!」
アナウンサーは興奮気味で声を高らかに上げた。
「皆、無事の様です。入れ替わるように警察隊が突入!!犯人逮捕か!?」
アナウンサーの喋る速度が少しずつ早くなっている。
各キー局や新聞社も野次馬のように集まっている。ざわ……ざわ……
「犯人らしい者は出てきませんね……いったいどうなってるのでしょうか」
アナウンサーは他のライバル社に負けまいと危険を承知で前のめりで1秒でも早く国民に真実を告げようとしていた。
「今情報が入りました!!犯人は保育園内で死亡!!犯人は死亡した模様です」
――ほぉ。
Lは回転椅子に体育座りに座っていた。遠心力でぐるぐると椅子を回転し始めた。
――偶然の可能性は捨てきれないが、ほぼこのノートは本物と考えてみよう
「警官が射殺したのではないと強調しております。人質の証言では犯人は突然倒れたと……」
Lはそのテレビを最後まで見ないまま、外へ出かけて行った。
数時間後戻ってきたLは、ハーゲンダッツを7つ買ってきていた。アイスミルクやラクトアイスではなく正真正銘アイスクリームである。アイスの種類は特にアイスクリームを好んだ。
――さて検証の結果、このノートは本物と断定。そしてリンド=L=テイラーとの交渉もできた。
あとは日本の誰をスケープゴートにするか……世の中腐ってる、腐ってるやつは死んだ方がいいという考えを持っていて、
なおかつ正義という倫理で行動しそうな相手がいい。
大人になると、自身の利益で動く可能性があると考えると子供……
しかし、小学生や中学生なら怖くて使いこなすのは至難。では高校生から大学生でかつ、頭の回転が早くできれば事件の詳細を手に入りやすい立場にある人間がいい……となると警察庁、警視庁、政治家の子供あたりが適任。
音原田のことも考えると日本の中でも東京都が舞台にするのがいいだろう。まぁ1日もあれば私のスケープゴートが見つかるだろう。
【悲報】音原田九郎は二度死ぬ!!!!
パラレルワールドでも生贄なんですね。。。