Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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ワタリの焦りようとその焦りようの理由に検討がつかないLは不吉な何かを感じるどころか期待に胸を膨らませていた。

(……このままいけば夜神月君がキラとして逮捕が秒読みというタイミングで何かが起きた……いや、もし私がキラではなくキラとして疑われるような月君の立場なら、数日の間に監視カメラや盗聴器の発見をし、逆にそこからキラ本人が自分をキラと仕立てあげるという推測を成り立たせるだろう……ここで月君が何も行動を起こさないならそれまでの男であったと考えます……さて扉の先には何が……)


37冊:反撃

一同は部屋に集まった。

 

モニターを見ると夜神月がベットに座っていた。足を組みながら腕組みをしていた。

そして机の上に大きな紙が置かれている。

 

「月君の机の上に大きな紙があり何か書いてません?そこ大きくしましょ」

 

 

紙には「16時に僕の推理を話します。キラが誰であるかを伝えたいと考えています」と書かれていた。

 

総一郎は時計を見た。15時56分……

 

「えっ……なんかこれ僕たちに対してのメッセージに見えませんか?」

 

「あと4分か……」

 

『もしかしてLはキラとか言ったりしてな。まずいんじゃないの?』

(ここで夜神月君を殺したらそれこそ私たちの中にキラがいるということになる……面白いじゃないですか聞いてあげましょう)

 

 

「16時だ……」

 

 

『父さんごめん、監視カメラと盗聴器には気付いてたけど気付いていないふりをしていた。おそらく今この画面を見ているのは父さん、捜査本部の皆さん、そしてL……』

 

 

「えっ。なんで分かるの?」

 

盗聴器などが仕掛けられているのはドアノブの仕掛けやシャーシンなどから誰かが入ったのは明白であったから注意深く観察をしたら発見できたという話をした。

 

(ウエディは侵入の腕はいいけど他が普通レベルですね……)

 

『監視カメラと盗聴器をしかけるなら日曜日から土曜日まで1週間仕掛けるだろう……だからといってずっとつける訳にはいかない……かといって一週間は最低監視する必要はるなら今日までは最悪カメラと盗聴器はついてると考えていました。もちろんすぐに推理の考察をお聞かせすることもできましたが僕からは捜査本部のみんなが全員見ているという保証はないため昼休みが終わっているだろう15時に机の上に紙を置けば1時間のうちにこの紙の存在を知り16時にはここに集まるだろうと考えました。あまり時間を掛けすぎてももしそこにキラがいる場合は何らかの対策はされるでしょうからあえて1時間前から告知しました。もちろんこの事で僕が殺されるリスクはありましたが僕がもし死んだらキラ対策本部にキラがいるということになりかなりキラを絞りやすくなったのですがこうして僕は生きています』

 

月はベッドから腰を上げ、椅子に座った。

 

『結論から言いますと僕はキラを……』

 

 

全員が月を凝視している。

 

『Lだと断定しています』

 

Lは凝視している。体が震えた。それは怖さよりもうれしさだった。

そしてそんなLを他のメンバーは見つめていた。

『お前……特定されてるぞ……w』

 

『僕がここでこうしてキラだと考えているLもいるのにここで話すには理由があります。Lは僕をキラに仕立てあげる為に監視カメラと盗聴器をしかけてあれこれ警察本部を誘導し僕を黒塗りしてきたかと思いますが、逆にみんなが見てるからこそこうしてみんなに僕の考えそして思いを伝える機会ができたと考えています。それはもしLがキラならそろそろ僕をキラとして仕立てあげるのではないかと考えるからです。世界一の探偵のLがキラを探し出せないのであればそれはLがキラであるから。インターネットでもたまに書かれていることですがそれは十分あり得る話です。ただキラがLの場合誰かをキラとして仕立てあげる必要があります。そして僕はそのキラとして仕立てあげるなら僕になるだろうと考えはじめ、監視カメラと盗聴器の下りで確信しました』

 

 

Lはじっと月の顔を見つめている。Lは微動だもしていない。

 

『捜査本部のメンバーは10名もいないのではないかと考えています。命を懸けてまで捜査したいという人よりも死なない範囲だけど社会に貢献できる仕事をするというのが常人の考え方だと思うからです。そうなると監視カメラと盗聴器をしかけて監視できる範囲は1家族あるいは2家族くらいまでこの時点で僕の家族は父さんを除き3人であるからもう一家族が7人くらいいてもキラ候補は10名程度。この程度なら全国模試で1位だったりキラ事件に興味を持っているという僕をキラにはしやすかったはず。初日で軽犯罪者が二人殺されたけれど、Lなら初日から驚くほど夜神月は白だとか、あるいはポテトチップスにでも小型機械を仕込ませて背中で死角を作れば犯罪者の名前と顔は得ることができるなどの難癖をつけるのではないかと思います』

 

「おいっ、これLが言ってた内容とほぼ同じなんだけど……本当にLがキラなの?」

松田はもう訳が分からなくなっていた。

 

(……そうこなくっちゃ……)

 

Lの口元はかすかに緩んでいた。




次回、演説!

まだまだ月のターン!!!!!

自分を楽しめてくれる相手を見つけ生きる意味を見出し始めたLと

天才高校生の夜神月……

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