Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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29冊:直感

真っ白い情景の中に二人は溶け込んでいた。高層ビルの影に入ると急に寒くなり月はポケットに手を入れた。

 

――結論は間違っているが推理の過程は概ね真実……もしキラ=Lならば彼女は始末される可能性がある……いや、死の前後を操れるならば婚約者を失っている状況をうまく利用し自殺に見せかけて殺す可能性もある……警察にこの情報が伝わってはいけない

 

月には彼女を警察に行かせないように誘導するうまい言葉が即座には思いつかなかった。しかし、時間があればうまく誘導できる自信はあった。そこで道路脇で立ち止まりポケットからメモ帳とペンを取り出した。

 

「あなたの話をもう一度よく検証したいのですが……」

そしてバスジャック事件の事や彼女が『間木照子』である事も知った。彼女は事件の事を淡々と話をして隙はなかった。これ以上は同じ話を何度もしかねない。彼女も全て伝えるべきことは伝えたなと感じ話を切り替え始めた。

 

「そろそろ戻ってみます。もう誰かいるかも知れません」

 

「えっ」

――くそっ。引き留めるのも不自然だ……どうする……このままじゃ……落ち着け……相手は女だ……いざとなったら力尽くで……馬鹿な……正月で少ないとはいえ周りに人は居る……それにLがキラというのはあくまで可能性でしかない……しかし……

 

考え事をしているからかだんだんと彼女と距離が離れていった。

 

 

――彼女をLの所に行かせてはいけない気がする……男の直感とでも言うのだろうか。僕は直感というのは合理的なものであると考えている。直感というのは脳にある今までの蓄積した情報や経験から働き一番合理的な答えを即座に出していると考える。

 

月の中で何かが繋がっていくのを感じた。そう……女の直感を利用するんだ。現時点では彼女は月の事をそれほど信頼も関心もない。それは淡々と話をしまるで事務処理のようにこなしているからだ。しかし、彼女が興味を持つ話をすると同時に彼女の求めている細かい心情を読み取りくすぐり続ければ突破口を開けると考えた。彼女が女の直感で月を信用できると判断すれば警察にいかないと考えたのである。

 

「本部に誰もいないというのはおかしいと思いませんか?」

 

「ええ。変だとは思いました」

 

本部に誰もいないという事実を使い、相手に「はい」と言わせた。そうすることにより次の発言が真実でも嘘でも一貫性がありそれっぽく思わせられる。月は捜査本部は担当する人間が分からないシステムを採用していることを知らなかったが、父親に連絡が繋がらない事や受付ですらどこにいるか分からないという状況から察して次の発言をした。

 

 

「キラ事件の捜査本部は担当する人間が分からないシステムを取っているんです」

真実を知らない月の言ったこのことは、実際の所真実であり彼女の心を少し動かした。

 

――まだだ……彼女のバックグラウンドを思い出せ。まだ押しが足らない。彼女はそんなにちょろい女性ではない……婚約者だった……そうだ……これだ

 

 




お待たせしました。


最近はモンスターズジョーカーや春イベントなどのせいで執筆できる時間がありませんでした。

次回、「誘導」

美空編は終了

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