Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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27冊:どんぐりの背比べ

Lは総一郎を見つめつつ声のトーンを落とした。

 

「キラが殺人に必要なのは顔と名前。そんなことはもう分かってるはず……常識的に考えれば顔と名前だけで人は殺せない。しかし、現実に今それだけの情報で次々と犯罪者が殺されている。これはそういう殺人そう考えるしかないんです。命を張って捜査するものはもう我々だけです。不用意に名前は出さないでください。命は大切にしましょう」

 

「名前が必要?顔は聞いていましたがそんな話出てましたっけ?」

松田はこういう事もポンポン上司に聞くことができる。総一郎は

 

「名前が分からないあるいは名前を間違われて報道されていた大物犯罪者のすべてが死を免れている。本部でも言われていたことだ」

 

Lは後ろ向きに皆の話を聞いていた。警察庁のレベルがどれくらいかを測ろうとしているようにも思えた。

 

総一郎たちを座らせた。テーブルの上にはティーカップが5つ置かれていた。Lは体育座りで腰かけ「適当に掛けてください」と言った。松田は「先に座るのかよw」とつっこみを入れそうであったが、代わりに違う発言をした。

 

「今思ったのですが「顔と名前」が必要なら、各メディアの犯罪者の報道を規制すれば犠牲者を抑えられませんか?」

 

他の4人のメンバーも「松田の言うとおりだ」「気付かなかった」などと言っている。

 

「……」

――その場合どうなるか考えたことないのか

 

「そんなことをしたら一般人が殺されます」

 

「一般人?」「何故?」

 

「キラは幼稚で負けず嫌い。そう……私も幼稚で負けず嫌い……だからわかる……リンドLテイラーがキラに宣戦布告した時にそれまで犯罪者しか殺してなかったと思われるキラはためらうことなく、テレビに映っていたテイラーを殺した。そして日本の関東にキラが潜伏していると言えば日本の犯罪者を中心に殺し始めた。こんな行動をするキラに報道規制で悪人を隠したら「悪人を出さないなら罪の軽い者、罪のない者でも殺す」となるのがキラの思考回路です。どうせマスコミを利用するのはこういうのはどうでしょう……FBI殺しにアメリカ激怒。キラに世界中が憤り日本に合計1500人の捜査員導入……これでこの間のFBIどころではなくなる。外にいる者すべてが敵に見え背心的に追い詰められなんらかの反応を起こす……」

 

総一郎たちは尊敬のまなざしでLを見ている……凄すぎて言葉がでない……しばらく沈黙していた。冷蔵庫の音がかすかに響き渡った。

 

「面白い……」

「実際は7人しか働いていないのに1500人か……」「FBIと違って実在していないのだからリスクも少ない……」

 

総一郎はさすがLと思いこれはかなりキラ事件解決につながると考えた。

「竜崎この提案さっそく上の者にかけあってみる」

 

竜崎とは用心の為に呼ばせる名前である。

 

「……」

――なんなんだ、日本の警察庁たちは……こんな案はキラ相手に対して子供だましでしかない……それを……

 

「キラがこれに反発したらどうなりますかね?」

「反発しようにも……」

 

「……」

――この中に私のスケープゴートに相応しい人材はいないですね。

 


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