新宿駅地下鉄に足を運んだ。日本の中でも東京都は人口のおよそ10分の1である1300万人ほどが住んでいる。そして日本一人口の多い東京都の中でも新宿駅は最も人口が集中する場所でもある。ライトはニット帽を深く被っていた。それはこれからすることを誰にもばれないようにするためである。
LINEの通話電話は繋がったままである。
「来ました」
ナミコの声が聞こえた。ライトは遠目からスーツ姿に左手で鞄を持つ男の後ろについた。
「レイ=ペンバーさん振り向いたら殺します」
少しトーンを下げて言った。
「キラです。振り向いたり、ポッケに手を入れたりしたらその瞬間に殺します」
――ま……まさか……しかしこの声どこかで……
「まずキラだという証拠を見せます」
――本題はここからだ。僕はキラではない……しかし、キラであると信じさせることはできる
「今、あなたから見える喫茶店。あそこで働いているメガネをかけた男を2分後に殺します」
男はがたいが良く金髪にメガネである。イヤホンで何か聞きながらポッケに手を入れたままブラシをかけていてとても真面目には見えなかった。
――大丈夫。
ナミコはどこかにLINEで通話しだした「1分後に倒れて下さい。自然にお願いしますよ、あくまで自然に……」
すると、その店員はドサッと倒れこんだ。他の視線はその男にくぎ付けだった。
「最低一人は殺してみせないと信じてもらえないので仕方ありません。あの男は婦女暴行を数件繰り返しながら証拠不十分で検察が起訴できなかった……さばきを受けて当然の社会悪です。もうLから聞いて知っているように私は殺そうと思う者の顔が分からなければ殺せません。逆に言えばここから見えるすべての人間を殺せるということです。リクエストがあれば殺します。言ってください」
「や……やめろ……キラだという事は信じる……」
ライトは嫌な役回りであるが、さらに念を押した。
「もっともあなたにとってはここに居る人たちよりも自分の大切な人の命を奪われる方が辛いでしょう。今人質にされてるのはそちらだと思ってください」
レイは、はっとした……不意をつかれたからだ……彼女の顔を思い浮かべた。
「まさか……彼女を」
「そうです。あなたの事は調べました。なので私の指示と異なることが分かればわかりますね?パソコンは持ってきてますよね?仕事柄常に持ち歩いているのは分かっております。捜査官のファイルは入っていますか?」
「そんなファイルは持っていない」
「ではこの封筒をどうぞ。この中に入ってるトランシーバーを出してイヤホンをつけてください」
茶色い封筒をすっと差し出した。
――トランシーバー……しかも、おもちゃに近い……だがこれなら通信記録はどこにも残らないし地下であろうと近距離ならば会話ができる考えたな……
『では山手線に乗ってください。内回り、外回りどちらでも構いません。しかし、ドアに近い角の席に座ってください。空いていなかったら空くまで待ってください』
レイは空いていた角の席に座った。
『まずお聞きします。私の見解と全く違う答えが返ってきたらあなたの彼女を殺します』
――言われた通りにするしかないな……
『日本に入ったFBIの構成と人数は?もちろん小声でお願いします』
「4チーム……合計12人と聞いている……」
――12人。案外少ないな……だとするとこちらとしては好都合だ……
『ではその捜査官の中で立場の弱い者に自分の携帯で電話してください。もちろんトランシーバーで会話がこちらに聞こえる様にしてください。日本に入った全員の個人情報の入ったファイルを早急に送って欲しいと言ってください』
レイは捜査官に電話しだした。
『送られてきたファイルを丁寧に封筒の中にある紙に書いてください。その作業が終わるまでは電車から降りられません。それを確実にして頂ければ少なくともあなたの彼女や家族の命は保証します』
レイは送られてきた捜査官のファイルを一枚一枚確認しながら書いていった。
『作業が終わったようですね。元の封筒に記入した神とトランシーバーを入れ網棚に乗せ30分以上そのまま手をひざに置き身動きせずに電車に乗り続け封筒を忘れている事に誰も気付かない様な社内の状況だと判断した駅で電車から降りて下さい』
レイは30分の間、ひざに手のひらを乗せ考えていた
――なぜあの声の主を思い出せない……くそっ……キラめ……お前は一体……
Lがペンバーの後ろにくっついていく必要ないんですよね。
LはFBI12名の事知っていますし。