キラが死の直前の行動を操れるとして12人全員にファイルを持たせ殺すには……まず12人の顔と名前が必要。もしLがキラではないならファイルを持った時間が早かった者にキラは接触しそのファイルを見て全員にファイルを持たすように操って殺す。注目すべきは死の順番ではなくファイルを持った順番。しかし、Lがキラならそもそも12名の顔と名前は知っている。つまり、ファイルを手にした上位の者はブラフとなる……
これから家族会議があると聞いているがキラ事件のことを深く考えていた。
総一郎は言葉を発しないまま、リビングの4人席のテーブルに座り腕を組んだままでいる。母は、お茶を4人に出した。母親はすでにこれから父が話す内容を知っているように思えた。毎年新年にはこうして家族会議はあるのだが、新年の挨拶には3日早い。
サユはにこにこしている。もしかしたらお年玉でも貰えると思っているのだろうか。なんなら僕の集めたラブライブのレアカードを譲ってあげてもいい。
そして父は重い口を開き始めた。
「隠しておいてもいずれわかる事だ。ここで言っておく。私は今キラ事件の捜査本部の指揮を執る立場にある」
サユは頭を腕で組んでにこにこしている。
「そうなんだーなんとなく知っていたけどやっぱすごいねーお父さんって」
「いや。本題はここからだ」
「実は昨日……キラを見つけ出す為に日本に入ったFBI12人全員が亡くなった……」
「キラに殺されちゃったのー??」さゆも驚きながら質問しだした。
「つまりキラを捕まえようとする者は殺されるかもしれない……現に部下もこの事件からはどんどん降りている。あんな冷酷で残虐なかつてない恐ろしい犯罪だ。降りていく部下と止めることもできない」
総一郎は伏し目がちになった。正直、家族に反対されると考えているからだ。家族の顔がみれなかった……
さゆはテーブルに体を乗り出した。
「お父さんが死んだら嫌だよー。止めてよー」
間髪いれずに母親も
「そうよ、立場とかそんなものよりも大事なことがあるでしょ」
――そうだ。母さん。父さんには大事なものがある……
「いや私は絶対この事件から降りない……悪に屈してはならない」
「……」
ライトは言葉を発せなかった。前髪に目が隠れて見えていない。
「立派だよ。父さん。僕は父さんを誇りに思う」
ライトはテーブルに両手を置いた。
――そうだ。今はキラ事件の事を考えなくてはいけない。そして父さんは命をかけて戦おうとしている。
ライトの顔は急に険しく、憎むべきキラのことを考え始めた。
「父さんにもしもの事があったら……」
ライトは席を立ちさゆの後ろに回った。
そしてクールな顔で
「必ず僕がキラを死刑台に送る」
本気で出たことであり、非常に重い言葉である。心から全身からその言葉がでてきた。嘘ではない真実の言葉。総一郎はそんな息子の顔を見て安堵した。
父は口を閉じたままだったが、母は「ライト……」と一言発し、さゆも「お兄ちゃん」と一言発した。「お兄ちゃんだけ、うまく煙に巻いてずるい……父さんの話はこれからが長いのに……」と言おうとしたけど辞めた。
次回、24.5冊:ザ・グレイトフル・ダッド!!!!
本当の偉大なる父親の行動は君はまだ知らない!