一週間後
ライトの父総一郎は、額から汗がこぼれた。
「何?FBIが?」
「はい。東京で四人。神奈川で二人。千葉・埼玉で一人ずつ。皆心臓麻痺です!」
「FBI捜査官が日本で心臓麻痺?」
「なんだって?」
ワタリはノートパソコンを折りたたみ始めた。
「その捜査官の手帳から私たち日本の警察を調べていた形跡が……」
「ど……どういうことだ?」
「今すぐFBIに連絡を取れ!」
ワタリは混乱に乗じ一言も喋らず部屋を後にした。
ピピピ。ワタリの携帯電話が鳴り響いた。廊下は部屋とは対照的に静かであった。
「ワタリ。私だ。Lに繋いでくれ」
その声はFBI長官であった。重要な案件であると判断しLの許可を取らずにつなげた。
「L、日本から捜査官が死亡したとの知らせが入った。念の為日本に入った捜査官12人全員に連絡を取ってみたが誰とも連絡が取れない」
息を飲む気配がした。FBI長官は責任を感じているだろう。
「キラに全員殺されたとしか思えない」
――筋書通り
「長官落ち着いて聞いて下さい」
冷静を保とうとしているが、長官の声がいつもよりやや高く、息が荒く、しゃべるうちに話が早くなっていることから客観的には冷静を保とうと努力しているようにしか見えなかった。
「日本に入った捜査官全員の顔を知っている者は?いやそれをファイルとして持っている者は?」
長話はしたくなりので具体的な質問をしてあとは簡単なキャッチボールでこの会話を終わらせようと思った。
「昨日までは私だけだったのだが……」
その後に何が続くかは分かっていたが形式上質問をした。
「昨日までは?」
「そうだ」
「今日日本に入った仲間を確認しておきたいと言う者がいてその捜査官のパソコンファイルを送った……」
「それです!!」
いつも以上に声を大きく発言した。
「とんだ茶番だな」
リュークは笑い続けている。
「キラはその捜査官に接触しなんらかの方法でそのファイルを盗み見た!!」
一呼吸置いた。
「ファイルを送ったという捜査官は誰ですか?」
「その捜査官は……」
長官は間を開けた。しかし、間を開けてもLは何が返ってくるか分かっていたので驚くことはない。
「日本に入った捜査官全員だ……」
「全員……」
「急に何人も日本に入った仲間を知っておきたいと言い出したので私は彼らが皆でファイルを持つことを決めたのだと思った」
――つまり、この事実確認もせずに思い込みで判断したのか……それで長官が務まるとは……
「最初の四人には自らファイルを送り」
――つまり、残りは面倒になってその四人から回して貰う形にでも命令したのだろう
「あとは残りの者へ渡せと指示した」
「……」
「全員ががファイルを持っていた……キラは死の直前の行動を操られるのだとしたら……誰かのファイルを見て全員にファイルを持つように操って殺すことは可能だ……」
Lは、長官からの日本の捜査打ち切りの言葉を待っていた。
「L申し訳ないが……」
――筋書通り
「FBIは日本での操作を打ち切る」
長官はやっとこの言葉が言えて安堵した。
――この長官は今安堵しているに違いない。手を引く理由は一般的な事実を並べるが結局の所自分の命が欲しいという内容でしょう
リュークだけに聞こえる程度で呟いた。