その時バスが揺れてライトのメモが地面に転がった。
「おい、なんだその紙は……動くなよ!」
男はピストルを持ちながら後方部まで向かってきている。
「てめーら乗客同士でメモ回して何か相談していたのか」
レイは驚いた顔をした。
――まずい。あのメモを見られたら隙を見て奴に飛びかかろうとしていたことが……
リュークはクククと笑っている。
――みんな怯えているなぁ。そしてこれからどうなるんだろう。って俺はここにいる必要あったのか
男は紙を拾った。しかし。その紙はライトが拾った紙ではなく予めだれかが落としていた紙のようだった
「アイスまんじゅう 二個」
「けっ買い物の紙かよ。くだらねぇ。いいかてめぇら。今度妙な動きしたらその時は……」
男の視界に得体の知れないものが入ってきた。
「な……なんだてめーは!!そ……そこの一番後ろの奴」
レイはびくりとした。服の内側に拳銃を隠していていつでも撃てるように構えていたからだ。それがばれた。今すぐ拳銃を撃つか撃たないかを考えた瞬間
レイではない方向に向かって叫びはじめた。
「何ふざけてやがる。い……いつからそこに居たーーーーーっ!?」
「あん?俺のことか?おまえ俺の姿が見えるのか?」
男は後ろ向きで少しずつ移動し距離を取り始めた。
「動くんじゃねぇ。う……撃つぞ化け物……」
――化け物?幻覚でも見てるのか
ライトは冷静にこの状況を見ていた。ナミコの頭を深く地面に向かって下げさせその上をライトが覆いかぶさった。前の座席のイスもあり覆いかぶさることで少しでも拳銃の被弾する可能性を下げた。最悪自分が犠牲になってもいいと考え、その考えはナミコにも伝わっていた。
「まずい麻薬中毒者特有の幻覚を見ている。みんな伏せろ!」
レイは大声で日本語で叫んだ。
リュークは男の目をじっと見ている。
「あっそうか。Lはあらかじめこのバスにメモを落としておいた。あの状況ならこいつがメモを触らせるのは明白。もしかするとこのメモを拾うことすらもLは詳細に書いていたのかも知れないな。あったまいー」
男は拳銃の引き金を引き、リュークに向かって撃ちはじめた。拳銃の弾は死神に吸い込まれていくように見えた。
「悪いな。俺は死神だからそんなものじゃ死なないんだ。『俺はLの近くにいなければならない』『デスノートに触った者には俺の姿が見える』『死神はどこを拳銃でぶち抜かれても死なない』みんな俺がLに言ったことだ」
全ての拳銃の弾をリュークに撃ちつけた。
「俺がLからどの距離までなら離れられるか、本当に拳銃でもしなないのか、本当にノートに触った人間は死神が見えるのか……このあたりのテストだったという訳だな。一つの殺しで3つの情報をゲットか……」
弾切れになり、男は運転手の所まで駆け寄り車を止めてドアを開けろと言った。バスを止めると一目散にそのバスから飛び降りた。
不幸なことにバスを降りたときに事故に遭い死亡した。
こじつけですが、あくまでLの実験とライトやレイが遭遇したことは偶然なんじゃないかと思います。
もしかしたらこのLはあえて夜神月を目につけこのようなことを仕組んだ可能性もありますが現時点では不明です。
第一巻完!!