Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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第16冊:遭遇

次の日、今日は土曜日だった。

Lは朝刊を読んでいた。そしてその右端と左端をつまんでリュークに見せた。

「テスト結果発表か」

 

その新聞の見出しには『コンビニ強盗 逆に店員に刺され死亡』と書いてあった。

 

「すごいですね。デスノート

 

Lの持つデスノートには

 

中岡字 松四郎 出血多量死

 

セブンイレブンにナイフを持って押し入り、その日の売り上げを要求。警察に連絡しようとしたコンビニ店員に対して即座にナイフで切りつけようとするが揉みあいになる。持っていたナイフが自分の腹部にナイフが刺さり1時30分に死亡。

 

と書かれていた。

 

Lは何も言わずにリュークに箱いっぱいのりんごを差し出した。

「何だよ」

 

「すみませんが、リュークにお手伝いして貰うことがあります。その前払いです」

 

「どういうことだ?」

 

Lはパソコンの犯罪者リストのNEWの所を閲覧していた。恐田奇一郎の写真を見て昨日ニュースでやっていた銀行を襲ったが金を奪えず銀行員と一般人を撃って逃げた麻薬常習犯を見ていた。

 

「今回の実験には死神であるリュークが必要です。すぐ目の前にあるスペースランド行きのバス停で行いますので目と鼻の先です。30分も取らせないので手伝ってもらえませんか?」

 

リュークには断る理由はなかった。なぜならLの買うりんごはどれもおいしいからである。

「分かったよ、別にお前の為じゃなくてりんごの為だからな」

 

 

ライトは少しおしゃれをして外を出た。

 

――おそらく、初の土曜日。僕を疑っているならあの日系の人物は尾行してくるだろう。そしてバスという狭い空間なら尾行者も必ず乗ってくる。そして奈美子を巻き込むのは危険だと思ったが、彼女もどうしても協力したいという事から今回この日にスペースランドに行くことにした。

 

「夜神くーん」

ナミコはミニスカにロングブーツという塾の時とは違うおしゃれをしていた。ライトが視界にはいるとすぐに手を振り始めた。

 

「ごめん、遅かった?」

 

「まだ約束のバスが着くまで5分前だよ。遅くないって。スペースランドは中学生の時以来だから楽しみー」

 

「夜神君と二人きりだし……」という言葉は言えなかった。

 

レイはその二人の様子を影から見ていた。

――平日は外出と言えば学校と予備校に行くくらい。たまの休みにデートか……いたって普通。いや真面目な受験生だ……夜神局長の息子月。疑う余地なし。この家族の娘までは調べる必要ないな……まぁ、とりあえず今日一日の行動を観て終わりだ。

 

レイは少し駆け足でそのバスに乗り込んだ。ライトは後ろから2番目の二人席をナミコと座っていた。一番後ろの5人席は空いていたので尾行するなら必ず後ろに座ってくると考えたからである。予想通りレイはライトたちの後ろに着席した。

 

バスの扉が閉まった時に一人の男が乗ろうとした。プシューともう一度扉が開くと人相の悪い男がポッケに手を入れながら乗り込んできた。

 

ライトはその人物をどこかで見た気がしたがそれよりも今は後ろに座る人物に対して警戒するためにその男への関心を無くそうとしたときだった……

 

その男はポッケから黒い何かを取り出した。カチャという男がすると運転手の頭にその鉄の塊を押し付けた。

 

運転手は「えっ」とだけ言った。

 

「このバスは俺が乗っ取った!!」

 

ライトは思い出した。昨夜銀行強盗をした麻薬常習犯だ。確かに都内の事件であったがこのまちにきていたとは……と考えた。その犯人のことよりも別のことを考えていた。

 

乗客はおどおどしていた。女性客の中には「キャー」と叫ぶ人もいた。

 

 

「騒ぐんじゃねぇ。少しでも騒いだり動いたりした奴はぶっ殺す」

 

リュークは逆立ちしてみたりくるくる回ったりしてみたが誰も気付いてないようだ。

――Lの奴何がしたいんだ?多分のこの小柄の男が死にそうな気がするけど……今回はどうなるか見てないし、ひとりでLみたいな推理してみるか

 

ナミコは震えていた。それはそうだ。拳銃ですら一般人はテレビの中でしか見たことない。しかも相手は麻薬常習犯であり、何をしでかすか分からない。警察局長の息子である僕がなんとかしなければならない。

ライトはナミコのふとももを二回トントンと叩いた。

 

そしてある紙を渡した。声を出すと殺される可能性がでてくるからだ。

 

レイはその紙を凝視した。

 

ナミコちゃん大丈夫安心して

犯人の隙をみて僕が

ピストルを持った手を押さえる

こういう時の対処は刑事である

父に教わっている

犯人は小柄で弱弱しい

僕の方が力もある

 

ナミコはそれを見て、夜神君は本物だと感じた。頭脳明晰、運動神経抜群、容姿端麗、そしてこのような状況でも勇敢に立ち向かおうとしながらも女の子に対して気を使える。

好きでよかったと思った。

 

――ほう。この男なかなかかっこいいことしてるなぁ。夜神月というのか。あれ、どこかで聞いたことある名前のような。どこだっけ

 

リュークはバスの中の人物を一人一人観察してみた。




次回の題名は「二個」


次の話は、デスノート原作を拡大解釈をしつつ、伏線などを張りました。
この「二個」に関わることが次のテーマの話の主軸です。

どんな話になるか予想してみると楽しいかもしれません。とんでもない話なので正解はしにくいと思います。


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ついにリュークと月が遭遇しました。犯人との遭遇もかけてあります。


このスペースランドの話は、立場上キラであるLが搭乗するという考えがありました。

しかし、Lはレイの本名も名前も入手できる立場にあるのでわざわざ乗り合わせる必要はありません。


そこでナミコという新キャラを投入することで、リュークの代わりにストーカー娘というキャラがストーカーの過程で尾行に気付き、ライトは尾行者からキラやLなどの情報が落ちるのではと考え尾行されてることに気付かない振りをして何とか尾行者が何者であるかを追います。

ナミコ役はユリという選択肢もありました。ユリは本来ならスペースランドに搭乗する子です。この子は明るくて積極的の為、私の思い描くストーカー女のイメージと違うため、ユリが名前を出した明治大学を目指しているナミコという名前だけでたけれど同じ塾?あるいは同じ中学?であっただろう子を起用しました。

ユリさんの友達なのできっと可愛い。そして明治大学志望ということもあり頭の回転も高めであろうという子がしっくりきました。


そうすることで原作の流れを途切れさせずに今後の話の展開にも繋がっていきます。

もちろんライトの側近の女の子を使うということは、皆様が予想しているであろう

「ミサ」の登場で大きな弊害になってくると思います。


そもそも「ミサ」はキラであるL側につくのか?

はたまたキラの能力の無いライト側につくのか?

L=キラだとしたらどこでミサはそれを気付くのか

キラで無いライトをどうやって好きになり、ミサがキラであることを伝えるのか伝えないのか。


「ミサ」は、大きな分岐点となります。

原作ではライトはリュークやサユと会話をする場面がありますが、それがこちらの創作ではLとリューク、ワタリに置き換えてたりするのでたまにワタリがサユだと思わないばかりのかわいらしい発言をしてくれるかと思いますw

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