Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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第14冊:幼稚

玄関の前に着いた。

 

――後ろを振り返りたい気持ちはあるが、あえて気付かない振りをしていた。その方が情報が落ちるのではないかと考えたからだ。尾行者はキラではない。キラが僕を尾行するメリットはなく、むしろキラだとばれるリスクの方が大きいだろう。そういう意味ではLが日本以外の組織に依頼して警察関係者を調べさせているという考えの方が筋が通る。

 

塾から帰る時間は玄関の鍵は空いている。ドアノブを握りしめ、ドアを開けて「ただいま」と一言言ってそのまま二階にある自分の部屋まで歩き始めた。

 

――Lが警察関係者を使って日本の警察を調べる理由は、Lがキラであってもそうでなくても存在する。Lがキラではない場合、警察関係者にキラがいる可能性が高いという理由からキラ逮捕の為に警察関係者を調べさせているなら納得できる。Lがキラだとしても内部告発者がいるからその人物を探し出すという意味でキラ捜査の名目で調べさせている可能性がある。またあえてキラを一生懸命探すという演技をするために形式上警察関係者を調べさせている可能性もある。どれも可能性であり、当たっていることの方が少ないだろう。

 

部屋の前に立ち注意深く、ドアノブを凝視している。

ドアノブを右に回し、扉を開けるとピンク色のポストイットがひらりと床に落ちた。

 

――当然部屋までは入っていない。

 

――根拠はないが、Lが指揮を執り動かしていると確信している。

 

ライトは上着を床に投げ捨て椅子に座った。

 

――情報が漏れてからまだ6日だというのにもう僕に尾行が2日……。おそらく警察関係者を調べている人数は少ないはずだ……十数人くらいからだろう。仮に10人で調べていたとしても僕が疑われる可能性はまずない。なぜなら僕はキラではないからだ。それにもっと怪しい人物はいるだろう。しかし、何か月も放っておけば僕がキラである可能性は0であると判断して僕に対して関心を失うだろう。それは駄目だ。

 

ライトは引き出しから黒いキラ事件ノートを取り出した。

 

ライトはキラ事件のまとめノートを読みつつある書き殴りが目に付いた『キラは幼稚で負けず嫌いではないか?』

 

――そうだ。僕自身が幼稚で負けず嫌いである性格だったから、感じた。今までの事件の事実を追うよりもキラの性格を把握した上でキラに対しての罠にかけられればもしかしたら……リンドLテイラーがキラに宣戦布告した時にそれまで犯罪者しか殺してなかったと思われるキラはためらうことなく、テレビに映っていたテイラーを殺した。そして日本の関東にキラが潜伏していると言えば日本の犯罪者を中心に殺し始めた。もちろんこれはL=キラではないときのキラの性格分析だ。しかし、L=キラならこれは自作自演。何の為にこんなことをしているのか……僕には少し分かる気がする。いずれにしても僕はLにあう必要がある。そしてどうすればLに会えるかを考えていた。父さんに言っても無駄だ。しかし、会わざるを得ない状況を作るとするなら……それは……

 

ライトは目を瞑っていた。それがどんなに危険なのかを分かっていたからだ。

 

 

本来のデスノートとは少しずつ歯車がずれ始めて行った。

 


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