FAIRY TAIL 妖精の凍てつく雷神   作:タイトルホルダー

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書く気が全くわかないまま約一年半が過ぎてしまいました。その間に色々ありましたがこうして戻ってきました。

頭の中では今後の展開をイメージできているんですが、それを文字に移すとなると別の話ですね。元々論文をスムーズに書くために始めましたが、既に卒論も終わり、就職活動も終わり、家でゴロゴロしているだけですが、なんとかこっちも進めようと思います。


こんな駄作を見ている人は少ないでしょうが、細々と進めていきたいと思います。


山頂での決戦

トール「いくぞ!」

 

俺たちが植物の化物に向かって走り出したら、化物は雄叫びと共に大量の触手を俺たちに向けて突き刺そうとする。

 

 

だが、そんなものは俺たちには何の意味もない。

 

 

十本の指から成る5mほどの溶断ブレードで。

 

メテオシャワーで触手を根本から。

 

炎を纏った両手の連打で。

 

 

それぞれすべて焼き切っていく。

 

 

『ギィィ!!?』

 

 

化物は驚くような声をあげるが、すぐに新たに触手を生やしていく。どうやら再生能力も高いようだ。

 

 

そして今度は緑色の毒ガスを散布してきた。

 

 

トール「アニス!気を付けろよ!」

 

アニス「わかってる!そんな毒は吹き飛ばしてやるんだから!」

 

そう言うとアニスはサイコキネシスで風を操作し、毒ガスを一点に凝縮させた。

 

トール「よーしよくやった!」

 

凝縮させることで黒く濁った玉のようになった毒ガスを溶断ブレードの電熱で焼き切る。

 

 

トール「こっからギア上げてくぜ───投擲の鎚(ミョルニル)!!!」

 

 

そして両手を開きながらミョルニルで出力をあげ、20mもの長さのブレード十本を化物に収束させて攻撃する。

 

『ギィィィアァァァア!!!』

 

化物は溶断ブレードが危険なものであると気づいているので、触手の先からヘドロ状の毒を連続で発射して対抗しようとする。

 

 

トール「無駄だぁ!!!」

 

 

しかし、俺の溶断ブレードはその程度じゃ止まらない。

 

ヘドロ状の毒を物ともせず、その先の触手をも焼き切っていった。

 

両指を操作してそのままブレードを植物本体にぶつけようとしたとき、

 

 

 

鼓膜を引き裂くような大音量の奇声が周囲に響き渡った。

 

 

 

トール「ぐっ…!?」

 

ゼルマ「なんつー奇声……」

 

パオラ「うるさいわね……」

 

アニス「なんなのこれー!?」

 

 

思わずブレードをしまってパオラたちと同じように耳を塞ぐ。

 

耳を塞ぐことで少しは楽になるが、奇声は止まらない。

 

 

30秒ほど続いた奇声は、突然何事も無かったかのように収まったが、今度は徐々に大きくなっていく地響きが聞こえ始めた。

 

 

真下からではなく、さっきまでいた場所から。

 

 

ゼルマ「マジかよ……」

 

 

地響きのする方向を見て、ゼルマが言葉をこぼす。

 

 

この地響きの正体は、先ほどやられてダウンしているはずのアトラスたちが一斉にかけあがってくる音であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

 

ゼルマ「なーんでアトラスたちがこっちに来るのかねぇ」

 

トール「多分……つーか絶対あのバケモンのせいだろ」

 

ゼルマの疑問にトールが答える。いや、ゼルマも薄々わかっていたのだろう。先程の奇声でアトラスたちを呼び寄せたということを。

 

パオラ「ちょっとどうすんのよ。早くあの植物を何とかしないと、私達がやられるのも時間の問題よ」

 

そう言って、パオラはトールの方向を向く。

 

 

パオラ「トール?」

 

 

しかし、そこにトールはいなかった。

 

厳密には、サイコキネシスで空に浮かんでいた。

 

 

トール「ちょっくら下まで行って解毒草を取ってくるんで。それまで時間稼ぎ頼むわー」

 

アニス「あ、ちょっと!」

 

 

かと思えば、用件だけ伝えて猛スピードで下へと飛び出していった。つまり、残された三人でトールが戻ってくるまで時間稼ぎをしなくてはならなくなった。

 

 

しかし、ゼルマだけはトールの行動に対して違う捉え方をしていた。

 

 

───あの野郎、俺たちを試してやがるな。

 

 

ゼルマは幽鬼の支配者(ファントムロード)ではトップの実力であり、周りの者たちからはファントム最強とまで言われたこともある。

 

 

だが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)ではそうはいかない。

 

 

自分と恐らくは互角であろうトールはギルドでもトップクラスの魔導士ではあるが、トールと互角以上の強さを持つ者たちがいる。

 

 

具体的に言えば、ラクサスやギルダーツなどの戦争に参加していなかった者たちである。

 

………厳密には、ミストガンは裏でマカロフの魔力を集めたり、ファントムの他の支部を一人で潰していたのだが、ゼルマはそれを知る由はない。

 

 

それ故に、自分がまだまだ弱いということを自覚させられた。

 

 

なら、どうすればよいのか。

 

 

答えは簡単、強くなればいい。

 

 

ありがたいことに、S級クエストなどは自分を強くするのには打ってつけである。このようなチャンスを無駄にするわけにはいかない。

 

 

そしてこんなチャンスを与えたトールは遠回しにこう言ったのだろう。

 

 

このくらいおまえにならできるだろ、と。

 

 

トールの思惑に乗せられているようであまり気分はよくないが、今はこのチャンスを有意に活かすことに集中する。

 

ゼルマ「願ってもない状況だ。おい二人とも、このまま俺たちであの植物をぶっ殺しちまおうぜ」

 

ゼルマの発言に二人は驚きながらゼルマの方を向く。

 

アニス「え?でもトールは時間稼ぎしてろって……」

 

ゼルマ「あの花粉で解毒させるのはアトラスたちなんだろ?まああのバケモンにも効くかもしれねえが、諸悪の根源を倒しておかなきゃこの依頼は終わんねえのは事実だ」

 

アニス「でも……トールに怒られないかな?」

 

ゼルマ「んなもん構わねえさ。これくらいトール抜きでやんなきゃいつまでたってもS級魔導士になれねえし、トールを越えることなんざできねえ」

 

その言葉にパオラがピクッと反応する。彼女にとって、トールと並ぶことは目標でもあり、いつまでも守ってもらうというのは彼女のプライドに障るようだ。

 

パオラ「………まあ、私もいつまでもトールに甘んじるわけじゃないけど………その言い方、なんだか私たちがやられるフラグが建ってしまいそうね」

 

ゼルマ「ハッ、フラグなんざすべて焼き払ってやるぜ」

 

ゼルマはパオラの言ったことを嘲笑いながら右手に蒼い炎───炎の滅悪魔法を纏う。

 

右手から発する蒼炎により、周囲の温度も少し上がる。

 

ゼルマ「悪魔殺しの力で、こいつを滅する!」

 

そう言うとゼルマは植物の化物へとダッシュで向かった。

 

対する化物は、いくつかの触手でゼルマをはたき落とし、自身にぶつかる前に爆発させようと試みる。

 

ゼルマ「炎魔──」

 

それを見たゼルマは最小限の動きで触手を躱し、本体へと近づいていく。

 

『ギギィ!!?』

 

本能で不味いと判断し、咄嗟に自分の前に大量の触手を盾のように配置し、本体の身を守ろうとするが一部間に合わない。そしてゼルマは相手の状況もお構いなしに拳を奮う。

 

ゼルマ「断滅拳!!!」

 

蒼炎の拳がそのまま触手に向けて放たれた。

 

本能の判断が功を成したのか、結果的には自身の致命傷を避けたが、防御に使った触手はすべて焼き焦げていた。それを見てゼルマは次の行動に移す。

 

ゼルマ「炎魔──」

 

 

今度は左手に魔力を溜め───放つ。

 

 

ゼルマ「断滅波!!!」

 

 

近距離から放たれた炎のレーザーは残りの触手を焼き切り、本体から放たれた猛毒性のある溶解液と衝突して爆発する。

 

その様子を見てゼルマはふっと笑う。

 

ゼルマ「相性的にも俺が有利だ。このまま俺がやる」

 

パオラ「あら、私の流星魔法にも炎系の魔法はあるのよ?あんただけに美味しいとこ取りはさせないわよ。アニス、私を抱えて飛んで」

 

アニス「オッケー!」

 

パオラがそう言うとアニスは頷き、パオラの着ている服の襟部分を持ちながら(エーラ)で飛ぶ。

 

アニス「二人とも気をつけてね。この植物は触手の再生能力が高いから」

 

そう言った矢先に、植物の化物は再び触手を再生させた。

 

パオラ「あとアトラスたちにもね!ゼルマ後ろ!」

 

ゼルマ「っと!」

 

いつの間にか背後で自分を殴りかかろうとしていたギガンテスの攻撃を少し危なげに躱す。

 

ゼルマ「はぁっ!」

 

そのままジャンプしてギガンテスの後ろ首の少し上を狙って蹴りを放った。

 

 

すると、首の後ろを手刀により気を失う人間のように、ギガンテスも衝撃を受けて膝をつき、そのまま倒れ込んだ。

 

ギガンテスたちの攻撃と植物の触手から何度も躱しつつ、二人は魔力を溜めていく。

 

そして、パオラはアニスによって急上昇し、魔力を解放する。対してゼルマは攻撃をアクロバティックに避けつつ、化物に狙いを定める。

 

パオラ「スーパーノヴァ!」

 

ゼルマ「炎魔の激昂!」

 

パオラは大きな球状に溜めた魔力を、ゼルマは空中のまま植物の方を向いて悪魔殺しの灼熱のブレスを放つ。

それにより、化物は爆煙に包まれ、余波で突風が吹き荒れる。

 

『ギィ……ギャギャギャギャ!!!』

 

爆煙が漂うなか、耳障りな音が聞こえると煙の中から大量の触手がでてくる。

 

ゼルマ「こんなもんっ……!」

 

ゼルマは直進してくる触手をジャンプして避ける。しかし、自分以外の方向に飛び出た触手が自分を狙っていないことに気づく。

 

ゼルマ「どういうことだ?」

 

アニス「二人とも、あれ!」

 

ゼルマが不思議に思っていると、やがて触手がギガンテスたちに向かっていることにアニスは気づく。

 

そしてその触手がギガンテスたちの体に引っ付くと、彼らの体と触手が緑色に光だした。

 

パオラ「もしかして……魔力を吸ってる!?」

 

その言葉通りギガンテスたちから魔力を吸った植物は触手による風圧で煙を払う。

その姿は今までの大きさよりも遥かに大きくなっていた。

 

ゼルマ「もう何でもありかコイツふざけんな」

 

パオラ「不死身とまではいかないけど……それを彷彿とさせるわね」

 

化物のタフさや多様さに飽きれ、驚愕する。そして不本意ながらも理解した。

 

 

これがS級クエストであると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあとも強化された化物との攻防は続いた。魔力を吸いとったことにより、ギガンテスたちは戦闘不能になったが、それを植物の化物は上回る強さであった。

 

 

本体や触手の速さ、固さ、力。すべてが先程よりも上回っている。

 

 

それにより、魔力と体力の消費が多くなり、ゼルマたちは苦戦を強いられていた。

 

 

ゼルマ「やべぇな……」

 

パオラ「そろそろ魔力が尽きるわ……」

 

 

2人の状況も危うくなってきたその時、

 

アニス「ごめんパオラ!魔力が切れちゃう!」

 

パオラ「ちょっ…!?」

 

ついにアニスの魔力が限界となり、パオラを連れてゆっくりと下へと落ちていく。

 

それを見逃さずに溶解液をパオラたちに向けて放つ。

 

 

バリバリバチバチバチッ!!!

 

 

しかし、それは鳴り響く(いかづち)によってその攻撃は阻止された。

 

トール「待たせたなぁ!」

 

ようやくトールが戻ってきたことにより、アニスとパオラは喜び、安心する。

 

ゼルマ「トールおっせえぞコラァ!」

 

トール「うるせえぞゼルマ!これでも飛ばしてきたんだぞ!俺たちが来たときに毒消しの花粉を飛ばしてたからまた花粉出すまで時間がかかるんだよ!」

 

パオラ「こんなときに喧嘩するんじゃないわよアンタ達!」

 

どうやら花粉の採取に時間がかかったらしく、2人が始めた喧嘩にパオラが怒り、アニスは呆れていた。しかしながら採取は無事完了したようで、上空には大量の花粉が漂っていた。

 

トール「お待ちかねの解毒剤だ!受け取りやがれ!」

 

その言葉と共に花粉を操作してギガンテスたちに巻き散らした。その花粉を吸いこむによって彼らの体が白く光りだし、やがて光が治まると、正気に戻った者が現れ始めた。

 

これで再び操られることはなくなった。

 

アニス「やった!これでもう自由になったんだね!」

 

トール「ああ、あとはこの化物を片づけるだけだ」

 

パオラ「そのことなんだけど、ちょっといい?」

 

ゼルマ「なんだなんだ?どうしたんだ?」

 

トールが化物向かって走り出そうとしたとき、パオラがトールの右肩を抑えて止め、それに気づいたゼルマがトールたちのほうへと寄る。

 

植物の化物を見ながら少し話すとトールとゼルマは頷く。

 

「「うおおおおおお!!!」」

 

そして再び魔力を解放すると、化物へと突っ込んでいき、そのまま左右に分かれて同時に触手を牽制しつつ、防御されながらも攻撃を繰り出していった。

 

 

2人のあまりの攻撃の厄介さ故に、2人を排除するために全力を注ぎ始めた。

 

 

それによって、パオラを認識から外してしまったことに気づかずに。

 

 

2対1の攻防を見ながらパオラは集中力を高め、残り少ない魔力を絞りだす。

 

パオラ「メテオアデス」

 

2人を見送ったパオラは、速度を急激に上げる術“メテオアデス”により、今までよりも格段に速いスピードで突っ込んでいった。

 

パオラ「はぁぁぁぁああああ!!!」

 

その速さと魔力により化物も気づくが、トールとゼルマが更に激しく攻撃することで身動きがとれず、防御の術がとれない。

 

ゼルマ「おっと、まだ付き合ってくれよ」

 

トール「もっと遊ぼうぜベイビー」

 

追い撃ちにサイコキネシスで動きを封じ、周りを炎で監獄のように閉じ込める。これでパオラにとって絶好の機会となった。

 

パオラ「これで決めるわ!」

 

 

先程2人に話した内容はこうである。

 

 

自分に策があるから二人で隙をつくってほしい。そして自分が合図をしたらすぐに2人でとどめを刺してくれ、と。

 

 

 

パオラ「メテオマグナム!!!」

 

 

超高速の移動術と流星の魔力を右手に集めた高速の鉄拳により、植物の化物の体に直撃した。

 

『ギギギギギャギャギャギャ!!?』

 

痛覚が働いているのか、悲鳴のような奇声をあげる。しかし、防御の体制をとることができず、抗うすべがない。

 

 

やがて植物の本体を突き破り、ついに体に風穴を開けることができた。

 

 

パオラ「今よ!」

 

パオラの声が2人に届いたとき、既に2人は動いていた。

 

トール「雷神の──」

 

ゼルマ「炎魔の──」

 

 

 

 

「「怒号(激昂)ォ!!!」」

 

 

 

最後の一撃として放たれた神殺しの雷と悪魔殺しの炎の二つのブレス。

 

 

真面に直撃した化物はなす術もなく打ち倒され、そこに残ったものは雷と炎によって焼き焦がされた触手だけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アニス「やったね3人とも!特に最後はすごかったよ!」

 

戦いが終わり、アニスが3人の下にかけよってくる。その表情はとても嬉しそうである。

 

トール「パオラの作戦通りうまくいったな」

 

ゼルマ「ん?何持ってんだそれ」

 

パオラ「今回の騒動の元凶よ」

 

パオラのほうを見たゼルマが何かを持っていることに気づき、ゼルマの質問にパオラは右手を出して答える。

 

アニス「それってもしかして……」

 

パオラ「ええ、これがあの植物の正体───毒の魔水晶(ラクリマ)よ」

 

このあと、パオラは3人に自分の考えを説明した。

 

この毒の魔水晶が偶然この山に流れ着き、一般的な植物と融合することであの化物が生まれた可能性が高い、と。

 

あとは戦う前にトールが推測した通り、その化物が毒ガスを撒き散らすことでアトラスたちが暴走したことが結論となる。

 

パオラ「ていう感じなんだけど……トール、間違ってない?」

 

トール「ああ、あってると思うぜ。それによく魔水晶を見つけたな、それも戦いの最中に」

 

パオラ「ぐ、偶然よ。トールに助けられたときにたまたま魔水晶の光が見えたの」

 

自分の考えがあっていたことも含めてトールに褒められたパオラは、目を逸らして照れながらも説明する。

 

ゼルマ「まあこれで一件落着だな。ほら、さっさと村まで戻ろうぜ」

 

そういってゼルマは山を下り、トールたちも続いて降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村についたトールたちはことの顛末を依頼人に話し、依頼が完結したことを告げた。体が丈夫なために村まで降りてきたアトラスたちの治療も早く終わり、村人たちとアトラスたちは諍いなく和解することができた。

 

また、毒の魔水晶についてはトールたちはいらないので、換金して村で分けるように話し、依頼人もそれで合意した。

 

報酬の7200000ジュエルをもらい、村人たちとアトラスたちに感謝されながら仕事を終えたことでトールたちも満足げである。

 

 

そして、ついでの目的であった温泉も満喫し、今は帰りの電車で寛いでいた。

 

トール「いやーいい仕事だった」

 

アニス「村人みんなに感謝されてよかったね!」

 

ゼルマ「余計な被害も出してないから報酬の減額もないしな。こっちだって何一つ文句はないさ」

 

フェアリーテイルでの初仕事であったゼルマは無事にこなしたことで幸先の良いスタートができたことに満足する。

 

トール「でも、欲をいうならもっと戦いたかったなー」

 

アニス「贅沢なこと言っちゃだめだよ。S級の仕事は何が起きるかわからないんだから」

 

トール「仕方ねえだろ。解毒草の花粉を取りに行く必要があったとはいえもっとあのバケモンとやりあいたかったぜ」

 

アニス「また今度の仕事で頑張ればいいじゃない!」

 

トール「はいはいわかったよ」

 

ゼルマ「どうしてもってんなら、今なら〝コイツ〟で相手になるぜ」

 

そういってゼルマは、鞄からあるものを取り出し、ドンッと机に置く。

 

それは彼らの年で少しずつ飲み始めるものであり、大人が好んで嗜む飲み物。

 

そう、酒である。

 

アニス「村で何か買ってるのは見たけどお酒買ってたんだ」

 

ゼルマ「仕事終わりに祝杯を、ってな。どっちが先に潰れるか勝負だ!」

 

トール「いいぜその喧嘩買った!」

 

そういうと電車内で売店をしている駅員にコップを2つもらい、酒を入れるとすぐに2人で飲み始めた。

 

アニス「はぁ、始まった。この2人もナツたちみたいにムキになって……ねえパオラ」

 

ふと、さっきから会話に入ってこないパオラを不思議に思い、アニスの向かい側に座っているパオラに目を向ける。

 

 

しかし、パオラはアニスの返事に答えることはなく、ただ目を閉じて座椅子の肘掛けに凭れながら眠っていた。

 

 

アニス「そっか、疲れて眠っちゃったんだね」

 

初めてのS級クエストでプレッシャーも感じて余計に疲れが溜まり、仕事を終えたことで溜まった疲労によって眠ってしまったのだろう。

 

アニス「(わたしももっと頑張らないと!)」

 

アニスはパオラをそっとしておくことにして、自分ももっと強くなることを決意し、先程からノンストップで酒を飲み続けている2人に目をやることにした。

 

 

トール「まだまだぁ!」

 

ゼルマ「まだまだぁ!」

 

 

 

「「まだまだまだまだまだァァァァァ!!!!!」」

 

 

 

 

 

その後調子にのって二本目三本目に突入し、酒の酔いと電車の揺れが重なって2人同時に酔いつぶれ、パオラに怒られることになるのはあと数時間後の話であった。

 




トールたち側と相手側のパワーバランスが難しいですが、とりあえずなんとかなりました。


先に言っておきますが、ジェイソンの雑誌取材はアニメのほうに寄せるので、ラクサス反抗期編が終わってからにします。

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