FAIRY TAIL 妖精の凍てつく雷神 作:タイトルホルダー
キュレムと別れてから数週間たった。生まれ故郷に帰るにはまた船に乗らなければならなかったので、なんとか乗れる船を探した。すると、探している途中に船にのせてくれる人を見つけた。その人は海を渡って貿易をする商人で、船の手伝いをすることで乗せてもらえることになった。船は陸に到着し、俺は船乗りの人と別れを告げ、また旅を始めた。
しばらくすると、町が見えた。俺が生まれ育った町だ。出発した時とあまり変わらない。変わっているとすれば、所々に出ていた煙がなくなったということくらいか。俺は出発する前に作った両親の墓の場所にいき、墓参りをしたあとで町を歩き回った。歩き回ってはみたものの、やっぱりいい感じはしない。あの日の出来事が頭にちらつく。思わず手に力をいれてしまう。あのとき俺がもっと魔法を使いこなしていたら、もっと魔力があれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。でも、そんなことを今更いっても仕方がない。これからはちゃんと守る。誰一人として俺の目の前で死なせはしない。力を抜き、町を出る。東にはいったので今度は西のほうへいく。西の方なら魔導士ギルドも盛んだし、人も多いからきっと見つかるかもしれない。
西のほうへ行っているとき、森を通っていた。緑が生い茂っていい森だ。
そんなことを考えながらリンゴを食べていると奇妙な3人を見つけた。いや、2人は普通だが1人は顔を隠している。3人が俺の方を見ると、顔を隠した少女と思わしき者が顔をそらし、他の2人は少女を庇うために怯えながら前にたつ。すると、
ーーーぐう~ーーー
前の2人の女の方がお腹をならす。お腹がなったのが恥ずかしかったのか、顔を赤くする。
「リンゴ、食べる?」
俺はカバンの中からリンゴをとりだす。
「いいの?」
「いいよ。腹減ってるんだろ」
「でも・・・」
「いいから。ほら、あんたらも」
「お前は・・私が怖くないのか?」
「あ?全然怖くねえわ。なんでお前を見て怖がらなけれりゃならないんだよ」
「だって・・・私は悪魔に取り憑かれたから・・・」
そう言いながらフードをかぶった少女は自分の右手を出し、暗い表情で話す。
「悪魔に取り憑かれたからなんだ。そんなもん知ったことか。むしろ腹がへってるやつに飯をあげないやつのほうが悪魔のようなやつだと思うけどな」
トールがそういうとフードをかぶった少女は驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「・・ふふっ・・。変わったやつだな」
「そりゃお互い様だ」
「君、名前は?」
「俺はトール・イエスタ。あんたらは?」
「あたしはミラジェーン」
「俺はエルフマン」
「私はリサーナだよ」
「そっか。よろしくな」
少女たちはリンゴをもらって食べていく。しばらくすると、それを見ていた動物たちたちが大量に寄ってきた。欲しいんだろうかと思い、とりあえず残りのリンゴ2つをカバンの中から取りだし、10等分に分ける。分けた後に動物たちに分け与えると直ぐにリンゴを食べた。よっぽどお腹が空いていたのか、食べるのがすごく早かった。
「すごく食べるのが早いね」
「ああ。何も食ってなかったのかな」
小さい方の少女も同じことを考えていたのか、動物たちの様子に疑問を感じる。
すると動物たちが、お礼なのか卵を取り出して、俺に渡そうとする。どうやら近くで拾ったらしい。その卵には橙色の不思議な模様があった。
「くれるの?」
「キキッ」
「ありがとよ!」
「ええー、いいなー」
リサーナは羨ましく思いながら俺は動物たちから卵をもらうと、
「うほー!まだまだ食い足りねえ!おいお前のその卵!俺によこせ!」
前から森バルカンがあらわれた。
動物たちは怯えるように自分の後ろに隠れた。
「きっとこいつが食べ物をうばったんだ!」
「だから動物たちは食べ物を欲しがってたのか」
「いいからよこせ!」
森バルカンがパンチしてきたのでそれをよける。
「くらえ!氷結竜の咆哮!」
俺はキュレムからもらった滅竜魔法で森バルカンを凍らせた。
「すごいね、トール!」
「へへーん、すごいだろ!」
「トールって、口から氷を出せるのか?」
「そういう魔法を覚えたんだ。ミラジェーンがさっき見せた右手もたぶん魔法だと思うよ。詳しいことはわからないけど」
「ほんとか!?」
「たぶんだけどな。そうだ!聞きたいことがあるんだけどさ」
「何?」
「金髪の女の子2人とピンク髪の女の子知らない?」
「知らないよ」
「そ、そっか・・・。知らないならいいや。じゃあ俺はもういくから」
「どこいくの?」
「町に行ってギルドを探す。ギルドの人なら何か知っているかもしれない」
「なら、私たちも行っていい?」
「そっちが良いなら別にいいよ」
「いいでしょ?ミラ姉?エルフ兄ちゃん?」
「あたしはいいよ」
「俺もいいよ」
「やったあ!じゃあよろしくね、トール!」
「ああ!よろしくな!ミラジェーン、エルフマン、リサーナ」
「ミラでいいよトール」
「わかった。よろしくな、ミラ」
こうして俺とミラ、エルフマン、リサーナ(ついでに卵)の旅が始まった。
「へえ~、トールって私より2つ年下なんだね」
「俺も驚いたわ」
「なあ、さっきいってた人たちはトールとどんな関係があるんだ?」
リサーナが俺との年齢差に驚き、俺も驚いたことを話しているとミラが質問をしてきた。
「3人とも俺と同じ町にすんでたんだ。金髪の2人は俺の姉と妹だ」
「なんでそいつらを探しているんだ?」
「実は・・・」
俺は町で起きた出来事を全て話した。
「そっか。そんなことが・・」
「でも、まだお姉さんたちはまだ生きているかもしれないんてしょ。だったら信じようよ!」
「ああ、ありがとな。そういえば、3人は何であんな森にいたんだ?その腕が関係してるのか?」
「村の教会にいた悪魔を退治したんだけど、その時に悪魔に取り憑かれたんだ。それでアタシたちは村を出ていったんだ」
「そうだったんだ。悪いな、嫌なこと思い出せちゃって」
「いいんだ。気にしないでくれ」
「ねえ、その卵は結局どうするの?」
「これもギルドの人に聞いてみようと思うんだ。何かの卵なら育てようと思うんだ」
「もし本当に何かの卵なら私も育てるの手伝っていい?」
「おう、いいぜ。名前も今のうちに決めとこっかなー」
ピクッ
四人で話をしていると、卵が少し動いた。
「今動いたぞ」
「やっぱり何かの卵なんだよ!」
「どんな生き物が生まれるのかな」
俺とリサーナとエルフマンが卵の話をしていると、ミラが建物の中にいる子供たちを見ていた。その子供たちは楽しそうに喋っていた。
「どうした?入らんのか?」
その時、後ろから老人が話しかけてきた。
「あの、あなたは?」
「わしはマカロフ。ここのギルドのマスターじゃ」
「ギルド?」
「ほれ、あれが名前じゃ」
マカロフが持っていた杖を上に向けたので、俺たちが上を見るとそこにはこう書いてあった。
───
「それは
「・・・悪魔の力・・・
(そんなのいらない・・・)」
「じーさん!聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんじゃ?」
「このへんに俺と同じくらいの背の金髪かピンク髪の女の子見なかったか?」
「ふむ・・・。いや、見なかったぞ」
「そっかぁ。じーさんも知らないか」
「何かあったのか?」
俺は町での出来事を話した。
「そうか、辛かったじゃろう。どうじゃお前さん、うちのギルドに入らないか?」
「え、なんで?」
「ここには身寄りのないガキはいっぱいおる。それに、宛もなく探すより、1ヶ所に留まっていろんな情報を集めるほうがよいかもしれんぞ。ここに現れるかもしれんしな」
「強くなって有名になれば向こうから来るかもしれない、か。よし、決めた!俺ここのギルドに入る!もともとどっかのギルドには入るつもりだったしな。んじゃ、これからよろしく、マスター!」
「おう!よろしくのぉ!」
その直後、ギルドの人達から歓迎の声が聞こえた。
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「んで、マスター。もうひとつ聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんじゃ?なんでも言ってごらん」
「この卵のことなんだけどさ」
俺はそういって動物たちからもらった卵をだす。
「一応動きはしたから何かの卵とは思うんだけどさ、何の生き物が生まれるのか知らないかな?」
「いや、こんな卵始めて見るのお」
「だとしたら新種の生き物かな?とにかく孵化してみるよ。どうやって卵を孵化すればいいの?」
「頑張って暖めることじゃな」
「う~ん、炎じゃ焦がしてしまうから自力で頑張るしかないか」
産まれるまで楽しみだな。
リサーナとエルフマンがミラに魔法を見せるところは主人公あんま関係ないので省きます。
氷の良い名前ないかな?炎だったら煉獄とか焔とかあるけど氷はいまいちピンとこないわ。いまのところは氷結竜か氷雪竜か極寒竜か極氷竜ていうのを考えてます。なんか良いのがあったら感想にでも書いてくれればうれしいです。
あれ?なんかミラにもフラグがたちそうになるぞ。