ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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連続投稿いきまーす!


4話 いざ、異世界へ!!

皆に俺と美羽のことを打ち明けてから5日が経った。

その間、俺はサーゼクスさんやアジュカさんにも自分の口から過去のことを話した。

 

二人とも俺の話を受け止め、今回のことを理解してくれた。

 

それに、俺達が異世界へ行っている間、町のことや家のことも見ていてくれるそうで、グレイフィアさんが家にいてくれるそうだ。

 

あの人がいてくれるならかなり心強い。

 

 

それから、父さんと母さんにも今回のことを伝えた。

美羽のことを部長達に明かしたこと。

 

二人とも驚くかと思ったんだけど、どこか納得しているような感じだった。

そして、俺が異世界に行くことも認めてくれた。

 

二人ともこうなることが何となく分かっていたのかな?

 

 

コンコン

 

 

病室のドアがノックされる。

 

「はーい」

 

俺が返事を返すと入ってきたのはアザゼル先生だった。

 

「おう、様子を見にきたぜ。つっても今日退院だっけか?」

 

「そうですね」

 

俺の腕のことなんだけど、新薬の効果やリハビリのおかげでなんとか、以前のように動かすことが出来るようになった。

 

先生の推測通り、新薬の効果は絶大だった。

 

ちなみにだけど、その新薬はこれからも研究を続けて、今後の冥界医療に活かしていくらしい。

 

「ほれ、退院祝いだ」

 

そう言って先生に手渡されたのはブレスレットだった。

ブレスレットには小さな宝玉が埋め込まれていて、何やら紋様が描かれている。

結構、キレイだ。

 

「これは・・・・・」

 

「そいつは俺が作ったやつでな。おまえのそれと美羽のやつを合わせて二つある」

 

「美羽のも?」

 

「おう。言ってただろ? 美羽のことで一応の対策はしてあるってな。とりあえず、それは仮処置だ。腕にはめてみろ」

 

そう言われて俺は左手首にそれを取り付ける。

 

・・・・・・が、何も変化は起きない。

 

なんだこれ?

 

「それはな、美羽が危険を感じたとき、もしくは美羽の体に異常が起こった時、美羽をおまえのところに強制転移させる道具さ」

 

「っ!」

 

「使用回数の制限は特にない。そいつがぶっ壊れるか、おまえが死なない限りな。一応、距離が離れていても強制転移は可能だ」

 

先生、この短期間でこんなものを作ってたのか!

すげぇよ、この人!

 

確かに、これなら美羽が襲われても安全は確保できる!

 

先生は笑みを浮かべながら続ける。

 

「デザインも悪くないし、何も起こらなければペアルック的な感じで使える。・・・・・美羽がその点を一番喜んでいたのは開発者としては複雑だったけどな」

 

あははは・・・・・

 

美羽、おまえ・・・・

 

あれ? 

でも、これって・・・・・・

 

俺は疑問に思い、それを先生に言う。

 

「これって俺の方から美羽を呼び出すことは出来ないんですか?」

 

俺の問いに先生は首を横に振り、ため息をはく。

 

「すまんが、そこまでの機能はつけることが出来なかった。今回はあくまで美羽の安全を確保するために作ったからな。もう少し時間があればいけるような気もするんだが・・・・・。その代わり、そいつは美羽が何処にいようと効果を発揮できるようにはしてある。例え距離が離れていても、結界に覆われていてもな。とりあえずはそれで我慢してくれ」

 

「いや、それだけでも十分ですよ。ありがとうございます、先生」

 

「礼はいらねぇよ。言ったろ? それは退院祝いだってな」

 

先生はニヤッと笑むと椅子に腰掛ける。

 

そして、俺の右腕を掴み、まじまじと見てきた。

 

「で? 肝心の右腕はどうなんだよ? 見た目は前と変わらんが・・・・」

 

「もう大丈夫です。傷跡は残ってますけど、以前みたいに動かせます」

 

そう言って右腕を自在に動かしてみる。

もう箸だって持てるぜ。

 

「そうか。そりゃ何よりだ」

 

先生は少し安堵した表情となった。

 

いやー、先生には感謝してるぜ。

右腕治ったのも先生のおかげでもあるしな!

 

この人、何だかんだで良い人なんだよなぁ。

バラキエルさんも良い人だったし。

 

なんで堕天したか謎だな。

 

「そういえば、先生ってなんで堕天したんですか?」

 

「なんだよ、いきなり?」

 

「いえ、何となく気になったので」

 

「まぁ、教えてやっても良いけどよ。つーか、言ってなかったか? 俺、童貞失って堕天したんだよ」

 

 

衝撃の事実に俺は言葉を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

退院手続きを終えた俺は先生と共に家に転移してきた。

とりあえず、自分の部屋に転移したんだけど、そこにはオカ研メンバーが集結していた。

 

「おかえりなさい、イッセー」

 

「ただいま戻りました、部長。って何で俺の部屋に集まってるんですか?」

 

「何言ってるの? ここはあなたの部屋であり、私の部屋でもあるのよ?」

 

そうでした。

 

俺の部屋は皆の寝床になってるんだった。

家に住んでるオカ研メンバーは全員、この部屋で寝てるもんな。

ベッドも改築した時より一回り大きめになったんだ。

 

「イッセー、私達は既に準備は整えてあるわ。あなたに言われた通り、ソーナにもあなた達のことを話しておいたけど・・・・良かったの?」

 

実は部長にソーナ会長にも俺と美羽のことを話すよう頼んでおいたんだ。

 

会長達なら信用できるし、何より同じ学園の仲間で、死線を乗り越えた仲間だ。

こうなった以上、隠し事は無しにしておきたい。

 

「ええ。ソーナ会長なら大丈夫だと思うので」

 

「まぁ、ソーナも初めは驚いてはいたけど、事情は理解してくれたわ」

 

流石はソーナ会長だ。

 

とりあえず、準備は完了か。

 

 

俺は皆を見渡す。

 

皆も俺の視線に、その表情を真剣なものにした。

 

「皆、今から俺達は異世界に飛ぶ。向こうではどんな危険が待っているか分からない。危なくなったらすぐに逃げること。これだけは約束してくれ」

 

向こうで何かが起こり始めているのは確かだ。

もしかしたら、また死線を潜るはめになるかもしれない。

しかも、それはロキの時よりも危険な戦場になることも考えられる。

 

だから、俺は皆に言った。

皆には死んでほしくないからな。

 

『はいっ!』

 

皆の返事で全てが決まった。

 

俺はニッと笑う。

 

「よし。それじゃあ、行くか。――――アスト・アーデに」

 

 

 

 

 

 

室内は眩い光に包まれていた。

最上階にあるミーティングルーム。

 

俺達は部屋の中央で円を繋ぐように手を繋いだ状態でいた。

 

「今、思ったんですけど、先生まで来ても良いんですか?」

 

「おうよ。シェムハザやバラキエルには話をつけてある。今回のことはそれだけ重要なんだよ。それに」

 

「それに?」

 

「異世界だなんて、面白そうだろ。向こうにはどんな面白い物があるのかすげー興味あるしな!」

 

あ・・・・・

確かに、この人はそういう人だった。

 

この人は面白そうだと思ったらそれに突き進んでいくもんなぁ。

 

はぁ・・・・・

 

まぁ、先生が来てくれるのは心強いけどさ。

 

 

俺は自分の隣を見る。

 

そこには輝きの中心になっている美羽がいた。

 

「とりあえず、ゆっくり深呼吸だ。そして、向こうの世界を思い浮かべろ」

 

俺は手を繋いだ皆に錬環勁気功を使って気を完全に同調させる。

循環させた気が俺達を巡り、一つの円を形作っていく。

これは錬環勁気功の技の一つ。

全てが俺と一体になる技だ。

 

美羽と俺達を一つにすることで、ここにいる全員が向こうに行けることになる。

 

正直、この大人数を俺一人で調整するのは難しいから、小猫ちゃんにも手伝ってもらっている。

 

まさか、こんなところで小猫ちゃんに教えたことが役立つとは・・・・・。

 

 

キイィィィィィィィィィン

 

 

甲高い音が響き始める。

どうやら、そろそろのようだ。

 

俺は部屋で俺達を見送りに来ている父さんと母さん、サーゼクスさんに視線を送る。

 

「イッセー、美羽、皆、気を付けるんだぞ!」

 

「皆揃って、絶対に帰ってきなさい!」

 

分かってるよ、父さん、母さん。

 

「リアス。父上と母上には私の方から話をつけておいた。グレモリーのことは私に任せてくれ」

 

「ありがとうございます、お兄様」

 

「気にするな。可愛い妹のためなら、これくらい、どうということはないよ。・・・・イッセー君、皆を頼む」

 

「はい!」

 

すると、部屋に一つの魔法陣が現れた。

 

そこから現れたのは人型のティアだった。

 

「ティアも見送りに来てくれたのか?」

 

「見送り? 何を言っている?」

 

そう言うとティアはツカツカとこちらに歩いてきて、俺の肩を掴む。

 

俺を通して俺達を包む光と同じものがティアを包んでいく。

 

「私を置いていくとはどういうつもりだ? 私も連れて行ってもらおうか」

 

ティアは不敵に笑みを浮かべる。

 

その行動にこの場の全員が驚いていた!

 

「おいおい! マジかよ!?」

 

「大マジだ。私はおまえの使い魔なのだろう? だったら私も連れていくべきだと思うが?」

 

「・・・・・・・」

 

あー、ダメだ。

この目は何を言っても聞かない人の目だ。

 

「良いのかよ?」

 

「なーに、おまえのためになら喜んで力を使おうじゃないか」

 

 

はぁ・・・・・

 

盛大なため息が漏れる。

 

皆も苦笑していた。

 

「まさか、ティアマットまで来るなんてな。最強の龍王も随分丸くなったもんだな」

 

先生が笑いながら皮肉を言うが、ティアもそれに返す。

 

「フッ、私はイッセーがどこまで行くのか見たくて使い魔になったんだ。こうするのは当然だろう? どこぞののサボり未婚総督よりは遥かにマシだ」

 

おい、ティア!

それは禁止ワードだぞ!?

 

「んだと!? 喧嘩売ってんのか、テメェ!」

 

先生が怒鳴るが、ティアはすました顔でとんでもないことを口にしていく!

 

「悔しかったら早いところ身を固めるんだな。おまえのとこのシェムハザもバラキエルも結婚しているし、既に子もいるというじゃないか。他の幹部もつい最近、おめでたいことがあったと聞いている。女はいくらでもいる、なんてことをほざいているが、いつまで経っても結婚しないし、挙げ句の果てには神器にのめり込み、完全にオタクと化した。サボりでオタクの未婚総督。最悪だな」

 

「おまえだって独り身だろうが! タンニーンは結婚してるぞ!」

 

マジか。

タンニーンのおっさん、奥さんいたんだ。

どんな人なんだろ?

 

「私はおまえと違って独り身を気にしてないからな。独り身をウジウジと嘆いているおまえと一緒にするな」

 

「ぐっ・・・・後で覚悟しとけよ・・・・」

 

「やれるならやってみろ」

 

そう言って凄まじいオーラを纏わせていく二人!

 

 

おいいいいいいいいいいっ!!

 

なんで行く直前に喧嘩してんの!?

 

マジで止めて!

あんたらが喧嘩したら、この家どころか町まで吹き飛ぶから!

 

 

「クスッ」

 

そんな二人のやり取りを見て、美羽が微笑んだ。

 

「なんか、さっきまでの重たい空気が無くなっちゃったね」

 

ああ、全くその通りだよ。

 

あー、さっきまでのシリアスはどこへやら・・・・・

 

はぁ・・・・・こんな調子で大丈夫なのかね?

 

『まぁ、この方がおまえ達らしいと思うがな』

 

そう言われれば確かにそうなんだけどさ・・・・・

 

もう、いいや!

諦めよう!

俺達にはシリアスを保ち続けるのは無理!

 

そういうことで!

 

 

「それじゃあ、父さん、母さん、サーゼクスさん! 行ってきます!」

 

 

その瞬間、俺達は完全に光に覆われた。

 

 

 

 




はい、というわけでイッセー達は異世界に旅立ちました!

メンバーはオカ研メンバー+アザゼル+ロスヴァイセ+ティアマットです。

本当は今回で異世界での描写を書きたかったのですが、とりあえずキリがいいところで終わらせました。

次回より舞台は異世界となります!






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