ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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3話 オカ研メンバー、本気です!

「―――――――というわけで、今回、私はリアスさんの戦車として眷属になりました。今後ともよろしくお願いします」

 

「は、はぁ・・・よろしくお願いします」

 

皆に俺と美羽のことを打ち明けた後、俺はロスヴァイセさんが部長の新しい眷属になったことと、その経緯を聞かされていた。

 

なんというか・・・・部長、完全にロスヴァイセさんを買収しましたよね!?

 

まぁ、部長のことだから無理やりなんてことはないだろうし、そのあたりは心配してないけど・・・・

 

つーか、ロスヴァイセさん、それでいいんですか!?

 

「とにかく、これでリアスの眷属は全員そろったことになる」

 

あ、そっか。

 

部長の残ってる駒って戦車だけだったもんな。

兵士は俺が8つも消費しちゃったし・・・・

ということはロスヴァイセさんが最後の眷属になるわけだ。

 

ロスヴァイセさんの戦いを見たけど、この人も相当強いと思うし、魔術、魔法が使えるメンバーが少ないから良い人を眷属にしたと思うよ。

 

「ロスヴァイセ、おまえ歳いくつだっけ?」

 

「今年で十九です」

 

へぇ、やっぱり俺達とあまり変わらないんだな。

 

部長が言う。

 

「ロスヴァイセは教員として駒王学園で働くことになったの」

 

「教員なんですか? 俺はてっきり大学部の方に入るものだと思ってたんですけど」

 

だって、ロスヴァイセさんって大人っぽいけど学生としても十分やっていけると思うんだ。

 

すると、ロスヴァイセさんが首を横に振った。

 

「私は教員免許を持ってますし、学生をするよりは教師として人に教える方が楽しいかと思ったので」

 

ロスヴァイセさんって教員免許持ってたんだ。

なんか、すごいなこの人。

 

「ロスヴァイセが十九ってことはリアスの眷属の中ではイッセー、おまえが一番歳上になるわけだな。二十歳だしな」

 

「先生! それを言わんでくださいよ! 俺だって好きで歳食った訳じゃないんですよ!」

 

異世界に行かなかったら俺はまだ十七だったんだ!

 

うぅ・・・・なんで俺だけこんな・・・・・

まともに青春を過ごさずして十代を終えてしまうなんて・・・・

 

まぁ、異世界でも色々な人に出会えたし、楽しいこともたくさんあった。

異世界に行ったこと自体は不幸だなんて思ってないけどさ。

 

 

「朱乃、イッセーが私達より歳上だと言うことは・・・・」

 

「ええ、リアス。私達も妹キャラになり、イッセー君に甘えることは十分可能ですわ」

 

ぶ、部長? 朱乃さん?

 

何を言って――――

 

二人の言葉を聞いてアーシア達が焦ったように叫ぶ。

 

「だ、ダメですぅ! お二人までそんなことをされたら!」

 

「・・・・私達が絶対的不利」

 

小猫ちゃん、どうしたのそんなに厳しい顔をして?

 

「むぅ、あの二人に新しい属性を作られては・・・・」

 

「ええ、お姉さまキャラだけじゃなく、妹キャラだなんて・・・・・。そのギャップでイッセー君を落とすつもりだわ!」

 

おいおい、ゼノヴィアとレイナまでどうしたよ?

 

「ダメぇ! イッセーはボクのお兄ちゃんなの! 誰にも譲らないよ!」

 

おおう!?

 

美羽が部長と朱乃さんに猛抗議をしだしたぞ!?

 

突然の女性陣の会話に混乱する俺。

なんだ、この状況・・・・・

 

俺の肩に手が置かれる。

 

「色々と大変だね、イッセー君。がんばってね」

 

「イッセー先輩! 僕、イッセー先輩のこと忘れません!」

 

木場が慈悲いっぱいの目で見てくる!

つーか、ギャスパーに至っては不吉すぎるって!

 

なに?

俺、死ぬの!?

 

クソッ!

こうなったのも皆を爆笑しながら見てるこの人のせいだ!

 

「先生! 笑ってないで何とかしてくださいよ!」 

 

「無理」

 

「即答!?」

 

「こんな面白い修羅場を止めるわけねぇだろ」

 

そう言って先生は何処からか取り出したビデオカメラで撮影し出した!

 

何やってんの、この人!?

 

「なるほど、これがリアスさんの眷属として生きるということですか。私も馴れなければいけませんね」

 

ロスヴァイセさん、そんなことメモしなくていいから、止めてくださいよぉぉぉおおおおおお!!!

 

 

 

 

 

 

 

それから十分後。

木場のおかげでなんとか事態は収束した。

 

・・・・木場、マジでありがとう

 

コホンッと先生が咳払いし、話し出す。

 

「ま、イッセーの歳なんざどうでもいいとしてだ・・・・・。問題はこれからのことだな」

 

先生の言葉に部屋が静まり返る。

 

これから、か・・・・・。

 

「ロキのせいで異世界のことが露呈したうえに、イッセー、美羽、おまえ達のことが暴かれた。一応の情報統制はしているが、何処からおまえ達のことが漏れるかは分からん。もし、そうなった場合だが・・・・・美羽、分かっているな?」

 

そう言って先生は美羽を見る。

 

美羽はビクッと体を震わせた。

 

もし、美羽の存在がろくでもない奴に知られた場合、美羽は危険な目に合うだろう。

そいつに拐われ何らかの実験に付き合わされることだってあり得る。

 

つまり、そうならない為にも対策をしておく必要があるってことだ。

 

俺は・・・・・ま、大丈夫だろう。

 

ドライグ曰く、大抵の奴らは俺自身に手を出すことはないらしいしな。

 

「美羽のことは俺達の方でもサポートするつもりだ。一応の対処法も既に考えてある。だから、そんなに固くなるな。教え子のことはしっかり守ってやるさ」

 

先生・・・・・

 

この人はこう言うところがあるから憎めない。

 

俺と美羽は先生に頭を下げる。

 

「ありがとうございます、先生」

 

「ああ、そんなんはいいって。俺もおまえらには世話になってる。これくらいはどうってことねぇよ。まぁ、そういうわけで、こちらの方はどうにかできる。だが、問題なのはもう一つの方だ。ロキが言っていた『かの者』」

 

その言葉に部長が反応する。

 

「それはこちらの世界をも滅ぼすという?」

 

「ロキが言うにはそうらしいな。だが、これは見過ごせない。サーゼクスも同じ意見だ」

 

やっぱり、先生とサーゼクスさんも気になっているのか。

 

俺もそのことをずっと考えていた。

 

しかも、向こうの世界では既に動き出しているかもしれない。

つまり、アリスや他の皆に危険が迫っているかもしれないんだ。

 

俺は――――

 

 

俺は皆に視線を移し、覚悟を伝える。

 

 

「皆、俺はもう一度、異世界に行こうと思っている」

 

 

「「「「っ!」」」」

 

 

部長が俺に問う。

 

「異世界に行くって・・・・・。方法は分かっているの?」

 

「ええ。・・・・確証は無いですけど一応の見当はついてます」

 

昔、こっちの世界への帰り方を調べた時のことを思い出したんだ。

 

ついこの間まで完全に忘れていたけど、恐らくその方法で向こうの世界に行けるはず。

 

皆の目を見ながら俺は続ける。

 

「向こうの世界にも俺の仲間がいるんだ。一緒に旅をした仲間。それだけじゃない。向こうに飛ばされて、右も左も分からない俺を助けてくれた人達もいるんだ。そんな人達に危険が迫っているなら、俺は行かなくちゃいけないんだ」

 

「イッセー・・・・・」

 

「部長、すいません。でも、これはもう決めたことなんです。俺のわがままを許してください」

 

そう、これは俺のわがままだ。

向こうにいるアリス達を助けに行くなんてことは皆には関係がない。

それでも、俺はあいつらを助けに行きたいんだ!

 

 

すると、部長の手が俺の頬に触れる。

 

「謝らないで。私だって自分のわがままのために皆を巻き込んだわ。・・・・・それにあなたは今まで私達をその身を挺して守ってきてくれた。あなたにはそのわがままを言う権利がある」

 

「部長・・・・・」

 

「私はあなたに守られてばかりだった。だけど、今度こそあなたの力になってみせる。――――私もあなたについていくわ」

 

「!?」

 

部長の発言に今度は俺が驚いた!

 

だって、俺についてくるっていうことは――――

 

「私も異世界に行くわ」

 

 

 

 

 

 

 

「それは本気ですか!?」

 

「もちろんよ」

 

部長は覚悟のこもった瞳で言う。

 

本気だ・・・・・!

 

「でも、部長は・・・・・」

 

部長はグレモリー家の次期当主だ。

冥界にとっても重要な人になりつつある。

 

一悪魔である俺のわがままにつき合わせる訳にはいかない。

 

「分かってるわ。私はその立場上、あまり勝手なことは出来ない。だけど、私ももう決めたの。あなたについて行くと」

 

部長がそう言うと他のメンバーも一歩前に出て来た。

 

もしかして、皆は・・・・・

 

木場が言う。

 

「当然、僕達も行くつもりだよ、イッセー君。僕達も部長と同じ気持ちさ」

 

その言葉に皆は頷く。

 

おいおい・・・・・マジかよ。

いや、でも・・・・・!

 

俺がそれを止めさせようとすると、先生が笑みを浮かべた。

 

「無駄だぜ。こいつらは何があってもおまえについて行くぜ。観念しろよ、イッセー」

 

「先生!?」

 

「それに、だ。魔王直々の命令がリアスに下ればおまえの勝手なわがままじゃなくなる」

 

命令?

 

どういうことだ?

 

「今、サーゼクスから通信があった。リアス、おまえに魔王としての命令だ。『魔王サーゼクス・ルシファーの名において命ず。リアス・グレモリーとその眷属は異世界に赴き、調査せよ』だとよ」

 

「なっ!?」

 

俺は驚愕の声をあげる。

まさか、サーゼクスさんまでそんなことを言うなんて、考えてなかった。

 

サーゼクスさんからの命を受けた部長は不敵な笑みを浮かべる。

 

「魔王様からの命令では断る訳にはいかないわ。というわけで私達は異世界に行くことになったわ。異論は無いわね、イッセー?」

 

「でも、かなり危険なことになるかもしれないんですよ!?」

 

「イッセーの懸念は分かるわ。だから、危なくなったらすぐに逃げるわ」

 

おいおい・・・・・

良いのかよ・・・・・・

 

「よく、サーゼクスさんが許しましたね」

 

「まぁな。この数日、俺とサーゼクスの間で話し合っていてな。こうなる可能性も見越していた。それでリアス達の気持ちをあいつに伝えたところ、許可が降りたってことだ。それに今回の命令はあくまで調査だ。戦う必要はない。もし本当にヤバかったら一度こちらに帰ってくると良い」

 

・・・・・・

 

はぁ・・・・・・・

 

俺はベッドに大の字で倒れると天井を見上げる。

 

・・・・・なんてこった。

 

元々、俺と美羽で行くつもりだったってのに・・・・・。

 

美羽も向こうには仲の良かった友達がいる。

その気持ちを知っていたから俺は俺と美羽だけで行こうと考えていた。

 

まさか、こんな大所帯になるなんてな・・・・・

 

「はははは・・・・・」

 

不思議と笑みが溢れた。

 

まったく、この人達は・・・・・・

 

俺は再び上体を起こして、皆と向き合う。

俺は笑みを浮かべて言った。

 

「皆、よろしく頼む!」

 

『おうっ!』

 

皆の気合いの入った声が重なった。

 

 

すると、先生が尋ねてきた。

 

「それで? どうやって異世界に行くつもりなんだ?」

 

皆も興味津々と言った感じだ。

 

俺は過去に調べたことを思い出しながら、答える。

 

「俺がこの世界に戻るために色々と調べたんですが、どうやら、世界には『指向性』というのがあるらしいんです」

 

「指向性?」

 

「はい。えーと、なんて説明すれば良いんだろ・・・・・。例えば俺はこっちの世界の人間だからこの世界へに戻れた。だったら美羽はあちらの世界の人間だから・・・・・・」

 

「なるほどな。つまり、おまえは美羽という存在(・・)を使って異世界に渡るつもりだった。そういうことだな?」

 

「そうです。まぁ、これも、俺の直感だし、いけるかどうかは分からないんですけどね。俺が異世界に行けた理由も謎だし。そもそもの原因は俺が吸い込まれたからだし・・・・・」

 

「吸い込まれた? 何に?」

 

「うーん、それが何だったのか・・・・・。あまりに一瞬の出来事だったし・・・・・。あ、そういえば、この間、次元の狭間に飛ばされた時と似た光景を見た気が・・・・」

 

アーシアを庇ってシャルバに次元の狭間に飛ばされたときのことを思い出す。

 

あの万華鏡を覗いたような光景は俺が異世界に渡った時に一瞬だけ見えた光景と同じだった。

 

俺の話を聞いて、先生は何か心当たりがあるのか、手を顎にやり何やら考え出した。

 

「まさかと思うが『次元の渦』に吸い込まれたのか?」

 

次元の渦?

聞いたことがない言葉だ。

 

皆も聞き覚えがないらしく、頭に疑問符を浮かべていた。

 

「次元の渦ってのは極稀に起こる現象でな。その名の通り、次元の狭間に出来る渦みたいなやつだ。あまりに一瞬のことだから、発見するのは現象が起こった後になるから、まだまだ調査段階のものなんだ。それゆえにいつ、どこで、どういう仕組みで起こるのかは誰にも分からない」

 

部長が先生に問う。

 

「でも、起こるのは一瞬なのでしょう? なぜ、その存在が知られているの?」

 

「確かに次元の渦を起こるところを見たものはいない。だが、起こった後には必ずその周囲が歪む。それが渦に見えるから次元の渦って呼ばれてるのさ。話を聞く限り、イッセーはそれに吸い込まれたのだろう。・・・・なんというか、災難だったな」

 

本当ですよ!

 

なんで、俺がそんな滅多に起きないやつに吸い込まれないといけないんだ!

 

「しかし、興味深いな。・・・・・別の世界に渡った者は元の世界に戻るためだけに次元の渦を発生させられるのか・・・・・? いや、それだったら、なぜイッセーは異世界へ? 世界の意思とでも言うべきなのか・・・・? それに異世界で過ごした三年がこちらで一瞬だったことも気になる。次元の渦による影響か・・・・・?」

 

ぶつぶつと呟きなが考え込む先生。

 

ああなったら完全に自分の世界に入り込んでるんだよなぁ。

 

「そういえばイッセー。おまえ、さっき調べたって言ってたよな?」

 

「え? あ、はい」

 

「元の世界に戻るための資料があったということはだ。過去にも誰かがその世界へ行ったことがあり、元の世界に戻った後もその世界に行くことを可能にしたということになる」

 

「あー、向こうでもそういう話になったような」

 

一緒に方法を探してくれていた人も同じことに気づいてたな。

ただ、具体的な方法は書かれてなかったから分からなかったんだけどね。

 

まぁ、そんなことは先生に言われるまで完全に忘れてました!

 

そんな俺の表情を見て、先生はため息をつく。

 

「ったく・・・・そんな重要なことを忘れやがって・・・・。おまえ、やっぱりバカだろ」

 

「ははは・・・・・すいません」

 

あの時はこんなことになるなんて思ってなかったし・・・・・

完全に頭から抜けてたよ。

 

いや、本当に面目ない。

 

「ま、異世界に行くにしても、おまえの腕が治ってからだ。それまで各自、準備をしていろ。その間に俺もおまえらが抜ける分の要員は確保しておく」

 

そっか。

 

俺達が抜けるということは町を守るメンバーが減ることになる。

俺達の穴埋めをするメンバーが必要になるんだよな。

 

俺の時みたいに一瞬で帰ってこれる保証もないし。

 

「そうだな・・・・。おまえ達の代わりに『刃狗(スラッシュドッグ)』のチームに任せるか。何かあっても、あいつらの実力なら余裕だろう」

 

スラッシュドッグ?

なんか、格好いい名前だ。

先生がそこまで言うなら相当の実力者なんだろうな。

 

「とにかく、そう言うことだ。イッセー、おまえは腕の治療に専念しろ。いいな?」

 

「はい!」

 

よーし、張り切って治療に励むぜ!

 

・・・・・と言っても薬を飲んで軽いリハビリだけなんだけどね。

 

 

とにかく、こうして俺達は異世界へ向かうことに決まった!

 

待ってろよ、アリス!

すぐに行くからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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