ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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4話 悪魔のお仕事です!!

どうも、悪魔になったイッセーです。

俺は上級悪魔リアス・グレモリーの兵士として悪魔に転生した。

悪魔になった俺を待っていたのは悪魔としての仕事だ。

と言っても俺がやったのはまだチラシ配りだけだけどね。

深夜にチャリを漕いでポストに簡易版魔法陣が描かれた紙を入れていく作業。

地味に辛い作業だったよ。

 

 

――――だけど、目標ができれば苦にはならない。

 

 

部長曰く、悪魔には階級があり、転生悪魔でも爵位がもらえるとのこと。

つまり、今は下級悪魔の俺でも努力次第では上級悪魔になり下僕を持てるということだ。

 

『やり方次第ではモテモテな人生を送れるかもしれない』

 

部長のこの言葉は俺のスケベ心を刺激するには十分だった。

俺は元々、家族を守るために悪魔になった。

だけど、長い悪魔の生だ。

なにか目標がなければやってられない。

 

そこで、俺が目標にしたのはハーレム王になることだ!

俺だけのハーレム!

昔から欲しかった!

小学6年の七夕とクリスマスに『ハーレムが欲しい!』と願ったこともある!

………もちろん、願いは叶わなかったけどね。

ずっと叶わぬ夢だと諦めていた。

異世界でもそんな機会はなかった。

でも、今は違う。

長年の願いが叶えられるチャンスが目の前にある。

このチャンス、逃すわけにはいかねぇ!

 

まぁ、それだけじゃないけどね。

上級悪魔ともなれば、様々な特権が与えられる。

そうなれば家族も守りやすくなるってもんだ。

 

とりあえず――――。

 

「ハーレム王に俺はなる!」

 

そんなスケベ心を抱き、俺は今日もチャリを漕ぐ。

 

 

 

 

 

悪魔になって十日ほどが経ったある日。

 

「そろそろ、イッセーにも契約を取ってもらおうかしら」

 

と、部長が俺に言ってきたんだ。

 

「契約ですか?」

 

「ええ、イッセーもチラシ配りは馴れたと思うし、頃合いだと思うの」

 

マジですか!

やったぜ、ようやく地味なチラシ配りから解放される!

契約を取ってこその悪魔だ。

大きい契約を取って、上級悪魔になってやるぜ!

 

「頑張ってね、お兄ちゃん!」

 

気合いを入れている俺を応援してくれているのは美羽。

実は美羽もオカルト研究部の部員になったんだ。

 

悪魔になった次の日、部長は俺の両親に挨拶に来た。

部長は俺を悪魔に転生させたことやその時に起こったことを隠さず全て話してくれた。

そして、家族の今後のことまで詳しく丁寧に話してくれたんだ。

父さんも母さんもまさか部長が挨拶に来るとは思っていなかったらしく、最初は驚いていた。

だけど、部長の真摯な態度に二人とも部長のことを気に入り、俺のことをよろしく頼むと頭を下げてくれた。

 

美羽がオカルト研究部に入りたいと言い出したのはその時だった。

理由としては俺のことを心配してくれているのと、前々から興味はあったとのことだ。

部長も断るはずもなく、美羽のことを歓迎してくれた。

 

そう言うわけで今。

オカルト研究部にはリアス部長、朱乃さん、木場、小猫ちゃん、俺、美羽の6人が所属している。

 

話を元に戻そう。

リアス部長が言う。

 

「さっき、小猫に依頼が一件来たのだけれど、小猫は別件で居ないから、代わりに行ってもらえないかしら?」

 

おお、小猫ちゃんの代打か!

これは責任重大だな!

 

「もちろんですよ、部長!」

 

「じゃあお願いね、イッセー。朱乃」

 

「はい、準備は出来ていますわ。この魔法陣でイッセーくんには依頼人のところへ行ってもらいます。魔法陣の真ん中に立ってください」

 

朱乃さんに指示された俺は、彼女が展開した魔法陣の真ん中に立つ。

さぁ、悪魔として、初契約だ。

なんか、ドキドキするな。

依頼人に会ったときなんて言おうかな。

 

『汝の望み、言ってみるがよい』

 

みたいな感じかな。

 

それより、依頼人が美人なら良いな。

魔法陣で転移したらスゲェ美人のお姉さんがいて

 

『お願いを聞いてくれたら私を好きにしていいわよ』

 

とか言ってくれないかな。

グフフ…………。

俺が妄想を膨らませている間に転移出来るようになったようだ。

魔法陣の光が強くなった。

 

「イッセー。依頼人に失礼の無いようするのよ?」

 

「頑張ってね!」

 

「分かってますよ、部長。じゃあ、行ってきます!」

 

そして、俺は魔法陣の光に包まれて依頼人のところまで転移した。

 

 

 

 

目を開けるとわりと綺麗な部屋。

依頼人は………。

 

「あれ? 君は? 小猫ちゃんを呼んだんだけど」

 

眼鏡をかけたやせ形の男性がいた。

見るからにオタクって感じだな。

 

「えーと。悪魔グレモリーさまの使いのもので、兵藤一誠っていいます。小猫ちゃんは今、別件があったので代わりに俺が」

 

「チェンジで」

 

「ええ!? そりゃ無いですよ!」

 

依頼人の無情な言葉に衝撃を受ける俺。

会って早々チェンジだぜ!?

酷くないか!?

 

「僕はあのかわいい小猫ちゃんを呼んだんだぞ! なのになんで、男が来るんだよ!?」

 

うっ………。

確かに、俺も同じ立場なら全く同じことを言うだろうな…………。

だけど、引き下がるわけにはいかねぇ!

 

「気持ちは分かりますけど、俺もかわいい新人悪魔ってことで納得してください!」

 

「納得できるかぁ! 十字架持ってくるぞこの野郎!」

 

「そんなこと、冗談でも言わないでくださいよ!」

 

「本気だよ!」

 

マズイ、このままじゃあ、ずっと平行線だ。

話を変えないと埒が明かねぇ………というより、追い返される。

 

何か、別の話題は―――――。

 

その時、俺の視界に本棚に納められているマンガが入ってきた。

そこに並べれているのは、俺も持っているドラグ・ソボールだ。

本棚には限定版もあり、主人公のフィギュアも並べられている。

この人、かなりのファンと見た!

 

「俺――――ドラゴン波が撃てます」

 

「なん、だと………っ!」

 

俺の言葉に男性は目を見開いた。

この反応、やはりか!

 

「嘘じゃあないだろうね? ドラグ・ソボール世代にその手の嘘を着くと痛い目を見るよ? 僕だって学生の頃は毎日ドラゴン波の練習をしたものさ。なめるなよ、僕ら直撃世代を!」

 

「ええ。分かってますよ。俺だって校舎裏で何度も練習したことあります。――――お見せしましょう、俺のドラゴン波を!!」

 

俺は部屋の窓を開け、外に向かってドラゴン波のポーズを取り、錬環勁気功で気を溜めていく。

そして、俺の渾身の一撃を放つ!

 

「ドラゴン波ァァァァァ!!!!」

 

俺の掌から極大のオーラが空に向かって放たれる!

どうだ!

見たか、直撃世代!

 

俺が振り替えると依頼人は泣いていた。

それはもう号泣してる。

 

「………まさか、本当にドラゴン波が見られるなんて。グスッ。疑ってすまなかった! 悪魔君! 僕は今、猛烈に感動している! ………僕にドラゴン波を教えて欲しい!」

 

依頼人はそい言うと俺に土下座をしてまで、頭を下げてきた。

異世界に行く前の俺だったら、きっと同じことをしていたかもしれない。

そう思うと俺の中から何か熱いものが吹き出してくる。

俺は依頼人の肩を抱く。

 

「ええ! もちろんですよ! 一緒にがんばりましょう!」

 

こうして、俺は依頼人こと森沢さんと初めての契約を取ることができた。

この日は森沢さんと朝までドラグ・ソボールについて熱く語り合った。

 

 

 

 

 

次の日の夜。

また依頼が入ったんで俺はそこに向かうことにした。

 

魔法陣を抜けた先で待っていたのは――――鍛え上げた肉体を持つ世紀末覇者のような人。

それだけなら、俺も驚かない。

その人はラブリーな魔女っ娘の格好をしていた。

 

おかしい…………絶対におかしいって!

肉体と服装の方向性、全く逆じゃねぇか!

なんで、魔法少女の格好?

なんで、猫耳?

ふざけてるの?

罰ゲームなの?

そう言ってくれたほうが、まだ納得できる。

 

目の前に立つ世紀末覇者に俺は訊ねた。

 

「え、えっと、依頼人の方ですよね? それで依頼というのは…………」

 

「ミルたんを魔法少女にしてほしいにょ」

 

…………。

 

……………………。

 

………………………………。

 

「え?」

 

今この人なんて言った?

魔法少女にしてくれって言った?

それに語尾が「にょ」だったような…………。

 

聞き間違いであってほしい。

よし、もう一度聞いてみよう!

 

「すいません。もう一度お願いします」

 

俺が尋ねる。

すると―――――。

 

「悪魔さんっ!」

 

 

ブオォォォォォォォォォォッ!

 

 

うおぁ!?

な、なんだこの風圧は!?

声だけでこの風圧とかどんだけだよ!?

ガラス割れたぞ!

 

「ミルたんを魔法少女にしてほしいにょ!」

 

聞き間違いであってほしかった!

魔法少女って…………どう見ても魔王だろアンタ!

纏ってるオーラがシリウスよりも強いってどういうことだよ!?

本当に人間なのか!?

答えてくれ、ミルたん!

 

「魔法少女………ですか?」

 

「そうだにょ」

 

「え、え~と。なんで魔法少女になろうと?」

 

気になる。

すごく気になる。

こんな魔王みたいな人が何故に魔法少女になりたいと思ったのか。

 

ミルたんは一つのDVDを俺に見せてきた。

俺も知ってるミルキースパイラルという魔法少女のアニメだ。

まさか………。

 

「ミルたんはミルキーに憧れているんだにょ。それで魔法力をつけようとトレーニングしたけど魔法力はつかなかったにょ。だから、悪魔さんに頼ることにしたんだにょ」

 

いや、あんた、魔法力付けなくても十分強いと思うんですけど!?

魔法力より腕力使ったほうが物事解決できる気がするんですけど!?

 

「まずは、ミルキーについて教えてあげるにょ」

 

その日、俺はミルたんとミルキースパイラルを全シリーズ全話見ることになった。

ミルキーは普通に面白いと思うけど、隣で漢の娘がものすごい覇気を出しながら表情豊かに語るんだぜ?

俺にとって悪魔になったことを初めて後悔した瞬間だった…………。

 

とりあえず、気を操る修行方法を教えたら契約を結んでくれた。

俺のことは気に入ってもらえたらしく今後も俺を指名してくれるそうだ。

で、対価は一冊の本だった。

なんでも、悪の軍団と戦ったとき得た戦利品だそうだ。

 

部長に見せたところ大昔の禁術が書かれた魔道書であることが判明。

部室が大騒ぎになったのは別の話だ。

 

 

 

 

ミルたんと契約した次の日の放課後。

 

「やるじゃない、イッセー。初めてなのに二件も契約をとってくるなんて」

 

「ははは………ありがとうございます」

 

うん、誉められるのは嬉しいけど出来れば、もう少し普通の人と契約したかったよ。

 

「ただ………」

 

おっと、部長が眉間にしわを寄せて何やら考え出したぞ。

俺、なんかミスったかな。

心当たりがあるとすればドラゴン波だけど。

 

「部長………俺、何かやらかしました?」

 

「いいえ、そう言うわけででは無いのだけれど、ただイッセーに対するアンケート結果が良すぎるのよ」

 

アンケート?

そういえば、森沢さんとミルたんに書いてもらったな。

内容は見ていないが、どうやら好評だったらしい。

 

部長がアンケート結果を読み上げる。

 

「アンケートを読み上げるわ。一人目は………『彼と出会えて良かった! 今後とも是非指導をお願いしたい! また、語り合おう!』ですって。イッセー、何か教えたの?」

 

「えーと、マンガに出てくる技を少々………」

 

「マンガの技、ね。あまり、無茶なことを人間に教えてはダメよ」

 

ははは………。

まぁ、教えたのは筋トレと座禅だけだから大丈夫だと思うけどね。

 

「次は………あの魔道書を対価にくれた人よね?『あんなに真摯に話を聞いてもらえて嬉しかったにょ。また、よろしくお願いするにょ』………にょ?」

 

「部長、その人の語尾は気にしないで下さい。一々ツッコミを入れていたらキリがありませんよ………」

 

「え、ええ。そうさせてもらうわ。一体どんな依頼人なのか、すごく気になるのだけれど………」

 

気にしないで下さい。

お願いします。

 

「まぁ、悪魔として人間と仲良くしすぎるのは少しどうかと思うけど、この調子で頑張ってちょうだい」

 

「はい、部長!」

 

これからも契約をドンドン取って上級悪魔を目指すぜ!

 

 


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