ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝   作:ヴァルナル

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忙しくなる前に投稿しておきます!

それではどーぞ!


3話 デートします!!

英雄派の構成員との戦闘があった次の日。

 

俺は待ち合わせ場所である駅近くのコンビニの前にいた。

 

コンビニのガラスで身だしなみをチェック!

寝癖もないし、歯もしっかり磨いてきた!

よし、準備は万端だ!

 

待ち合わせ時間である午前十時になろうとしたとき、フリル付きのかわいらしいワンピースを着た同い年くらいの女の子が俺の眼前に来た。

 

「え、えーと、あ、朱乃さん・・・・・?」

 

「ゴメンなさい、待たせちゃったかしら?」

 

「い、いえ」

 

俺は目をパチクリさせながら、胸を高鳴らせていた。

 

今の朱乃さんは髪をおろして、年相応の女の子が着るようなかわいい服を着ている。

ブーツを履いた朱乃さん、初めて見た!

 

うーん、かわいい!

 

てっきり、いつものようなお姉さま的な年上の女性が着てそうな服装をイメージしてたから、これにはビックリだ!

普段、朱乃さんが部長と出掛けるときの私服もそんな感じだったし!

 

いつもの朱乃さんは美人って感じだけど、今日はかわいく見える!

 

「そ、そんなに見られると恥ずかしいわ。・・・・・変、かな・・・・・?」

 

うぅ!

そんな上目使いで見ないでくださいよ!

ときめいちゃうじゃないですか!

 

俺は首を横に振って、親指を立てる。

 

「いえ! めちゃくちゃ可愛いです!」

 

俺がそう言うと、朱乃さんは恥ずかしそうにしながらも嬉しそうだった!

 

なんてこった!

今日の朱乃さんは乙女すぎる!

 

「今日イッセー君は一日私の彼氏ですわ。・・・・・・イッセー、って呼んでもいい?」

 

うおおおおおおお!?

 

顔を紅潮させながら訊いてくる朱乃さん!

反則だ!

反則すぎる!

 

「も、もちろんですよ!」

 

即答する俺!

だって、断る理由もないし・・・・・・・断れるはずがない!

 

こんなお願いを断れる奴がいるだろうか!?

いや、いない!

 

朱乃さんもそれを聞いて顔をぱぁっと明るくさせた。

 

「やったぁ。ありがとう、イッセー」

 

ぐはっ!

表情一つで必殺の威力!

 

 

あ・・・・・そういえば・・・・・・

 

俺はあることを思い出す。

会談の前、ミカエルさんと初めて出会った頃のことだ。

 

「えーと・・・・・」

 

言い淀む俺を怪訝な表情で見てくる朱乃さん。

 

「どうしたの? ・・・・・・・やっぱり、嫌だった?」

 

「いえ、以前に朱乃さんにお願いされたことを思い出しまして」

 

「お願い? 私、イッセー君に何かお願いしたかしら?」

 

あー、朱乃さん忘れてるっぽいなぁ。

まぁ、いいや。

言ってしまえ、俺!

 

「・・・・・朱乃」

 

「・・・・・・え?」

 

突然のことにポカンとする朱乃さん。

俺が何を言ったのか分からないでいるようだった。

 

「え、えーと。初めてミカエルさんと出会った後に朱乃さんと話しましたよね。その時、朱乃さんが二人の時は『朱乃』って呼んでくれと言ってたことを思い出しまして・・・・・・」

 

「・・・・・・!」

 

朱乃さんは本当に驚いた様子で少しの間、そのまま固まってしまった。

 

すると、朱乃さんは肩を震わせて手で顔を覆ってしまった!

 

えっ!?

泣いた!?

泣かせてしまったのか!?

ウソッ!?

 

混乱する俺!

やっぱり、先輩に対して呼び捨てはダメだったんだろうか・・・・・

 

「え、あ、あの、すいません! 先輩を呼び捨てなんて!」

 

俺は焦って、咄嗟に謝る。

 

あー、もう!

デート前に何やらかしてんだよ、俺!

 

すると、朱乃さんは涙を拭いながら俺の手を握ってきた。

 

「違うの・・・・・・私、嬉しくて・・・・・・イッセーが『朱乃』って呼んでくれたことが嬉しくて・・・・・・。ゴメンなさい、驚かせてしまって」

 

「い、いえ。傷つけたんじゃないなら、良かったです」

 

俺は朱乃さんにハンカチを手渡しながら言う。

 

朱乃さんは俺から受け取ったハンカチで目元を押さえるとクスッと笑った。

 

「もう、イッセーったら。不意打ちなんて卑怯よ」

 

アハハハ・・・・・

 

俺も朱乃さんから十分すぎる不意打ちを受けたんで、これであいこってことで許してください。

 

俺達はクスクスと笑いあう。

 

あー、とりあえずデートはできそうだ。

よかったよかった。

 

 

それはそうと・・・・・・・・

 

俺はふと後ろを見る。

すると、俺の視界に紅髪が映った。

よくよく見れば、少し離れた電柱の陰に紅髪の女性がサングラスと帽子を被って、こちらをうかがっている。・・・・・あ、メガネをかけた金髪の方は涙目だ。それとレスラーの覆面から猫耳を出している小柄な少女。紙袋を被った怪しい奴!そして普段の格好の木場がこちらへ手で謝っていた。

 

部長と部員達だよね!

あなた達、何やってんですか!?

木場以外はどう見ても不審者に近いんですけど!?

 

何人かメンバーが足りないな。

 

そういえば、美羽がゼノヴィア、イリナ、レイナ、母さんとショッピングに行くって言ってたような・・・・。

あそこにいないのはそれでか。

 

つーか、皆は俺が気の流れで分かるの知ってますよね?

気どころか気配すら隠すつもり無いでしょ!?

だって、こっちまで怒りのオーラが届いてるんだもん!

 

小猫ちゃんは仙術を使って気をある程度消してるみたいだけど、まだ完璧じゃないな。

今度、修行をつけてあげよう。

 

「あらあら、浮気調査にしては人数多すぎね」

 

朱乃さんも気がついたのか、小さく笑んでいた。

そして、見せつけるかのように俺に身を寄せて腕を組んでくる。

 

あー、朱乃さんの髪から良い香りがする。

それに、腕に朱乃さんの胸が・・・・・。

たまらんね!

 

バキッ

 

鈍い音が後方からする。

恐る恐る振り返ると怒りに震えている様子の部長が電柱にヒビを入れていた!

 

部長、恐いっす!

あと、それは器物破損なんでちゃんと修復してくださいよ!?

 

「ねぇ、イッセー。私のこと呼び捨てにするなら、敬語とかも無しにしてくれないかしら?」

 

「え? あ、ああ、はい。分かりました」

 

俺がそう言うと朱乃さんは俺の鼻を指でツンと押した。

 

「まだ敬語よ?」

 

「あー、普段は敬語ですからね。それが出ちゃいましたよ。・・・・・・えーと、分かった。これで良いかな?」

 

俺がそう言うと朱乃さんは微笑む。

 

「ありがとう、私の我儘を聞いてくれて」

 

「いや、こんな可愛い我儘なら大歓迎だよ」

 

「うふふ。それじゃあ、行きましょうか、イッセー」

 

「そうだね、朱乃」

 

こうして、俺と朱乃(・・)は町へと繰り出した。

 

 

ちなみにだが、再び振り返ると魔力で電柱に入ったヒビを直している部長の姿があった。

 

 

 

 

 

 

デートを始めて三時間ほど。

 

その間、朱乃はいつものお姉さま口調が完全に無くなり、完全に年頃の女の子だった。

 

服のブランドショップに行っては「ねぇ、イッセー。これ、似合う」とか、「それともこっちかしら?」って洋服を比べては俺へ普通の女の子のように訊いてくる。

 

それに対して俺は「どっちも似合ってる!」と親指を立てて答えたけどね。

だって、何着ても似合うんだもん!

 

露店で買ったクレープを一緒に食べたら「美味しいね、イッセー」とか言ってくるんだ。

 

町中を歩いているときは、ずっと手を繋いでた。

その間、朱乃は頬を染めてるんだ。

 

いやー、マジで可愛い!

今日、「可愛い」って言うの何回目だよ?

まぁ、それくらい今の朱乃は可愛いということだ!

 

よし、今日はとことん楽しむぞ!

 

俺は朱乃の手を引いて言った。

 

「朱乃! 行きたいところがあるなら言ってくれ! 俺が連れていってやるよ!」

 

「うん!」

 

あー、最高に可愛い笑顔で返事をされてしまったよ!

 

この後、俺達は朱乃のリクエストで水族館に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

「深海魚って変な顔の子が多いのね」

 

水族館から出たばかりの朱乃は楽しそうに言った。

久しぶりに町の水族館に来たけど、良いもんだな。

小さな水族館だけど、イルカのショーとかもやっていて、すごく楽しめた。

朱乃も満足しているようだった。

 

「さて、次はどこ行こうか?」

 

「そうねぇ」

 

俺と朱乃が次の目的地を決めようとしていた時、俺の視界に再び紅髪の追跡者様ご一行が映った。

 

部長達はずっと、俺達の後ろを追ってきてるんだけど・・・・・。

凄まじいプレッシャーだったよ。

正直、戦闘時以上だった気がする・・・・・・。

 

俺、このデートが終わったら死ぬかも・・・・・・。

 

朱乃も紅髪のご一行様を確認した。

 

可愛いイタズラ笑顔を作ると、俺の手を引張りだした!

 

おおっ!?

なんだなんだ!?

 

振り向き様、朱乃が楽しそうに言った。

 

「リアスたちを撒いちゃいましょう!」

 

なんと!

そうきましたか!

 

部長達も俺達が逃げると知って、急いで駆け出したぞ!

 

つーか、速ッ!

部長達、メチャクチャ速いんですけど!?

こちらが追い付かれそうなくらいの速さだ!

そんなに必死か!

 

えぇい!

こうなったらヤケだ!

とことん付き合ってやらぁ!

 

「朱乃、捕まれ!」

 

「えっ!? キャッ」

 

俺は先を走る朱乃の手を引いて抱き上げる!

右腕が多少使えなくてもこれくらいは出来るのさ!

 

そして、俺は全力で走った!

 

出来るだけ人がいない道を選択して、町中を右に左に駆け巡り、部長達を撒く。

最終的には小猫ちゃんの探知に引掛からない距離まで逃げきった。

 

皆の気配が俺達がいる位置とは全く違う方向に移動していくのを確認すると、そこで朱乃をおろす。

 

「ふぅー、なんとか撒けたみたいだ」

 

俺は息を吐く。

いやー、美羽がいたら追いつかれてたかも・・・・・・。

 

どうせ、帰ったら皆のお怒りが飛んでくるんだ。

こうなったら、全力で楽しむさ。

 

朱乃も俺に抱き上げられている間、凄く楽しそうだったし。

 

「どうだった? 少し乱暴になっちゃったけど・・・・・」

 

俺が尋ねると朱乃は髪を押さえながら答える。

 

「ええ、風が凄く気持ちよかったわ。分かっていたけど、イッセーって物凄く足が速いのね」

 

「鍛えてますから」

 

俺がテキトーなポーズをしながら言うと朱乃は口許を抑えながらクスクス笑っていた。

 

さてさて、部長達を撒いたところでデートの再開といきますか。

 

「次はどこに行こうか?」

 

俺はあたりを見渡して、現在地を確認する。

すると、「休憩○円」「宿泊○円」の文字が書かれた看板があちらこちらにあった。

 

そこで俺は重大なミスに気付いたのだった。

 

 

ここ、ラブホテルばかりじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!

 

 

しまったぁぁぁぁぁ!

なんつーところまで走ってきてるんだよぉぉぉぉ!

 

朱乃もここもそれに気付いたようで顔を真赤にしだしたよ!

 

「ち、違うんだ! け、決して下心とかがあったわけではなくて!」

 

必死の言い訳!

だけど、こんな言い訳聞いてくれるのか!?

 

だって、朱乃からすれば、突然抱きかかえられたと思ったら連れてこられたのがラブホ街だぞ!?

信用できるわけがないじゃないか!

 

あぁ・・・とんでもないことをやらかしちまった・・・・。

今日は先輩とか後輩とか全てを忘れてデートする予定だったのに・・・・・。

 

終わった・・・・完全に嫌われるパターンなんじゃないのか・・・?

 

すると―――――

 

「・・・・いいよ」

 

「へ?」

 

朱乃が何を言っているのか分からず、俺は聞き返してしまった。

 

いいよって・・・・

 

え?

 

朱乃は俺に体を寄せてくると、俺を見上げて潤んだ瞳で言った。

 

「・・・・イッセーが入りたいなら、私、いいよ・・・。・・・・だいじょうぶだから」

 

・・・・・・・。

 

俺の鼻から鼻血が滝のように流れ出た。

 

マ、マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!?

 

ほ、本当に!?

マジで!?

良いんですか!?

 

「あ、朱乃さん・・・・」

 

俺は驚きのあまり、いつものように『さん』付けで呼んでしまう。

 

朱乃さんはそのまま俺に抱き着き、俺の胸に顔を当てる。

 

「・・・・・さっきまでみたいに『朱乃』って呼んでくれないと・・・イヤ・・・・・」

 

ああああああああああ!!!!

そんなこと言われたらぁぁぁぁぁぁあああ!!!!

 

なんだこの展開!?

こ、これはもう行くしかないんじゃないのか!?

 

朱乃さん・・・・いや、朱乃にここまでされたら俺はそれに応えるしかないじゃないか!

見れば、朱乃も覚悟を決めているよ様子だった!

俺だって朱乃とそういう関係になりたい!

 

よし、行こう!

 

俺は決心して、朱乃の背中に腕を回す。

 

「あ、朱乃・・・・俺・・・・」

 

 

俺が口を開いたとき、こちらに近づいてくる気配を感じた。

 

すぐさま朱乃から離れて気配を感じた方に視線を移す。

 

そこにいたのは帽子を被ったラフな格好の爺さん。

背後にはガタイの良い男とパンツスーツを着た真面目そうなお姉さん。

 

男の方は知らないけど、爺さんとお姉さんについては見たことがある。

というか、あの爺さんとは何度か話したこともある!

 

「オーディンの爺さん!?」

 

そう、現れたのは北欧の主神オーディン!

旧魔王派との一件の時はこの爺さんと一緒に部長達を助けに行った!

 

「ほっほっほっ、久しいの赤龍帝の小僧。まったく、昼間っから女を抱こうなどとやりおるわい」

 

笑いながらそう言う爺さん。

 

「ど、どうして、ここに?」

 

あまりの展開にわずかながらに戸惑いながらもオーディンに話しかける朱乃。

 

そうだよ。

なんでこの爺さんが日本にいるんだよ?

テロが活発な時期にこんなところに来るなんて不用心だと思うぞ。

 

「オーディンさま! こ、このような場所をうろうろとされては困ります! か、神様なのですから、キチンとなさってください!」

 

お姉さんが爺さんを叱りつける。

冥界であった時は鎧着てたよな、このお姉さん。

 

「よいではないか、ロスヴァイセ。お主、勇者をもてなすヴァルキリーなんじゃから、こういう風景もよく見て覚えるんじゃな」

 

「どうせ、私は色気のないヴァルキリーですよ。あなたたちもお昼からこんなところにいちゃだめよ。ハイスクールの生徒でしょ?お家に戻って勉強しなさい勉強」

 

うーん、なんだか爺さんだけでなく俺達まで叱られてしまった。

 

はぁ・・・・朱乃とラブホテルに入る雰囲気じゃないな、これ。

無念だ・・・・。

 

ふと横を見ると朱乃がガタイの良い男性に詰め寄られていた。

 

「・・・あ、あなたは」

 

朱乃は目を見開いて、驚いている。

 

「朱乃、これはどういうことだ?」

 

男の方はキレ気味で、声音に怒気が含まれている。

す、すごい迫力だな・・・・・。

気配からするに堕天使か?

 

「か、関係ないでしょ! そ、それよりもどうしてあなたがここにいるのよ!」

 

朱乃は目つきを鋭くして、にらみ付けていた。

そこには先ほどの乙女モードの雰囲気は微塵もない。

 

「それはいまはどうでもいい! とにかく、ここを離れろ。おまえにはまだ早い」

 

朱乃の腕を掴み、強引に何処かへ連れて行こうとする!

 

「いや! 離して!」

 

抵抗する朱乃!

おいおい、いきなりなにしやがる!

 

俺は男性の腕を掴んでそれを阻止する。

 

「あんたが何者かは知らないけど、朱乃は嫌がってるだろ? 彼女を傷つけるつもりなら、俺も黙っちゃいないぜ?」

 

俺は殺気を放って男に告げる。

男は冷や汗を流しながら、俺に言った。

 

「今日はオーディン殿の護衛としてきている。私は堕天使組織グリゴリ幹部、バラキエル。――――――姫島朱乃の父親でもある」

 

「―――――――!」

 

予想外の言葉に俺は言葉を失った。

 

 


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